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日本共産党東京都議会議員団

2017年第1回定例会  ふくなが洋議員の一般質問と答弁

2017.3.14

1.社会的養護を必要とする子どもたちの支援について
【ふくなが洋議員】
 虐待など様々な理由から親元で生活できない子どもを育てる「里親制度」の必要性が求められています。千葉市も里親制度を推進するために職員の休暇制度を導入しました。特別養子縁組成立のための監護期間に育児休業に相当する制度の導入です。
 こうした背景に踏まえて里親制度に関わり伺います。
 里親制度、特別養子縁組制度などの目的・役割・必要性についてわかりやすく説明を求めるものです。
【こども未来局長答弁】
 里親制度は、児童福祉法に基づき、社会的養護が必要な児童を、実親の同意を得て、児童相談所が一定期間その児童の養育を里親に委託する制度です。
 一方、特別養子縁組制度は、民法に基づき、原則として6歳未満の子どもの福祉のため、特に必要がある場合に、子どもと実親との法律上の親子関係を消滅させ、養親との間に実親子関係に準じた安定した親子関係を生じさせる制度です。
 どちらも、家庭での養育にかける子どもが、特定の大人との愛着関係を築きながら、健全に育つために欠かせない制度です。

【ふくなが洋議員】
 千葉市の里親制度の委託率はそのような状況にあるのか。また里親制度推進において千葉市職員の休暇制度の現状についてと見通しについて
【こども未来局長答弁】
 平成28年12月末日現在、児童養護施設に118人、乳児院に13人、里親に25人、ファミリーホームに13人の児童が措置されており、里親等委託率は22.5%となっております。
【総務局長答弁】
 平成27年4月から、国に先んじて、特別養子縁組の成立に向けた監護のための育児休業制度を導入しましてが、現在までに制度を利用した職員はおりません。
 また、今後の制度利用についての見通しですが、現在、職員から相談を受けている案件はありません。なお、法改正に合わせ、本年4月から、育児休暇の対象となる子の範囲を拡大し、実親等の同意が得られず養育里親に委託されている子を含めるほか、育児に関連する他の休暇制度についても、対象となる子の範囲を、育児休暇と同様に取り扱うことにより、里親となることを希望する職員のための勤務環境の整備を行うこととしております。

【ふくなが洋議員】
 子ども措置にあたり、子どもの最善の利益を保障するための千葉市の取り組みについてはどうか。
【こども未来局長答弁】
 児童相談所では、子どもが育ってきた環境や本人の発達の状態、一時保護中の行動観察とあわせ、子どもの意向や家庭引き取りの可能性なども考慮し、処遇を決定しております。また、措置先の検討にあたっては、里親やファミリーホームなど家庭的な環境を優先しております。さらに措置した後も、子どもの年齢や状態、家庭状況を踏まえ、毎年、長期的な見通しを再検討するとともに、必要な具体的支援策を立てるなど、子どもの最善の利益が実現するよう、努めております。

【ふくなが洋議員】
 市民との共同、市民参加型の里親制度の在り方についての千葉市の取り組みについて。また、千葉市における里親制度の課題についてはどうか。
 里親相談員などの制度化で里親への支援を行うことが必要ではないのか。また、児童相談所の役割についてはどうか。
【こども未来局長答弁】
 本市では、平成27年度からNPO団体との協働により里親制度の推進に取り組んでおり、次年度も引き続き、シンポジュウムの開催や出前講座、里親の支援団体となり得る各種団体への説明会等、普及啓発に努めるとともに、里子の学習支援や就労自立に向けた支援を行って参ります。なお、課題については、市民に対する制度周知の強化をはじめ、様々な支援者や支援団体の育成、行政と関係団体間のネットワーク構築、さらには、児童相談所の専門性の向上と体制強化であると認識しております。
 児童相談所の里親支援員や、児童養護施設に配置した里親支援専門相談員など、里親支援のために一定の体制を整えているものの、里親家庭が抱える固有の悩みについては、同じ立場である里親が支援者となることも必要と考えており、今年度より、里親会と検討しております。また、児童相談所の役割ですが、児童の権利・利益を守るため、最適な里親家庭を選定し、里親の資質向上を図りながら、里親子の関係構築を支援する等、継続的に支援することであると考えております。

【ふくなが洋議員】
 児童養護施設を退所した子どもに対して市営住宅の入居を認めることを求めるものですお答えください。
【都市局長答弁】
 本市では、児童養護施設を退所した若年の方に係わり住宅に困窮している方で、配偶者がいる方や障害者、生活保護受給者など入居の要件を満たしていれば入居の対象としています。

2.地方衛生・環境研究所について
【ふくなが洋議員】
 政令市では必置施設として衛生研究所がおかれています。千葉市では環境保健研究所として平成5年3月8日千葉市総合保健医療センター内に開設されました。
 新しい感染症対策、遺伝子組み換え食品、アレルギー食品への取り組み、生物多様性の保全、循環型社会への構築、地球環境温暖化対策など市民の健康や安全・安心を最前線で守る大事な施設です。
 千葉市環境保健研究所の設立経過・目的・役割・機能について伺います。
【保健福祉局長答弁】
 千葉市環境保健研究所は、国が定める「地方衛生研究所設置要綱」に基づき全国の都道府県・指定都市が設置する地方衛生研究所であり、平成5年3月に、保健所検査課と衛生検査センターを改組し、新たに調査研究機能を備えた期間として開設しました。研究所は、地域保険と環境保全に関する施策を適切に推進するための科学的、技術的な中核機関として、(1)感染症や食中毒等の病原体の検査、(2)食品、飲料水、家庭用品の規格基準等の安全性試験、(3)大気、海・川・地下水等の環境保全、に関わる分析検査等を実施し、保健所等の関係機関が行政施策を推進するために必要な科学的知見を提供するとともに、業務の基礎となる試験検査方法等に関する調査研究を行っております。

【ふくなが洋議員】
(2) この間市民の健康・安全を守る具体的な成果について。
【保健福祉局長答弁】
 新型インフルエンザやMERS(マーズ)、ジカ熱等の感染症、食中毒、環境汚染等の健康危機発生時には、国から優先的に必要な試薬等の提供を受け、休日及び夜間であっても、病原体、食中毒原因物質、環境汚染物質等の試験検査を迅速、確実に行うこととしております。また、平常時には、食品・添加物、残留農薬、飲料水、有害大気汚染物質や、河川・海域・事業場排水の水質等の分析検査を計画的に行っております。これらの結果を基に、保健所等の関係機関において、感染源や汚染経路等を特定し、被害の拡大・再発防止等の対応を実施するとともに、規制基準等の順守や達成状況について監視、指導、確認を行うなど、関係機関と連携して、市民の健康と安全な生活を守るための業務を実施しております。

【ふくなが洋議員】
 千葉市環境保健研究所は優れた環境技術向上のために国の研究機関・大学・外部研究機関との連携について。また、環境保健研究所の事業について説明を。
【保健福祉局長答弁】
 研究所が行なっている試験検査のうち、研究的要素の大きいもの、広域的な視野を必要とするもの及び専門的かつ高度な技術や設備を必要とするものについて、外部の研究機関等と連携して、実施することとしております。国の研究機関との連携としては、感染症発生動向調査や、食中毒の防止基準及び室内空気環境汚染化学物質の濃度指針の策定のため、国立感染症研究所や国立医薬品食品衛生研究所等の機関に、収集した検体や試験検査データを提供しております。また、他自治体の衛生・環境研究所との連携としては、広域に調査する必要がある大気汚染等の環境保全に係る調査や、最新の試験検査技術の習得及び検査制度の確保のための研修・研究等を共同で実施しております。今後も、外部機関との連携を進め、技術の向上や検査機能の強化に努めて参ります。
 研究所では、試験検査業務や分析検査業務だけでなく、業務で得られる知識、技術を活かした事業を実施しています。これまでの実績として、呼吸器感染症の原因となるRSウィルスの遺伝子検査法を開発し、集団感染時の迅速な原因究明に貢献しているほか、海外からの輸入症例であるG3型麻しんウィルスを日本で初めて確認するなどの業績を上げており、こうした業務実績を取りまとめて学術誌への論文投稿や学会発表などを行っております。また、研究所での人材や器材を活用し、毎年、小学校5・6年生を対象とした「夏休み教室『科学にチャレンジ』」の開催や、中学生・高校生を対象とした「未来の科学者育成プログラム」への参加により、講義や検査を体験する場を提供し、科学に関心のある子どもを増やすとともに、研究所の取組みを広く周知するよう努めております。

【ふくなが洋議員】
 市民の命を守る先頭に立っている環境保健研究所の人と予算を増やすことを求めます。お答えください。
【保健福祉局長答弁】
 近年、ますます増加する感染症や食の安全にかかわる健康事案、PM2・5等の新たな環境リスクなど、市民の健康に対する脅威に確実に対応するため、研究所にはこれまで以上の正確迅速な試験・検査をはじめ、新たな検査技術への対応が求められています。こうしたニーズに応えられるよう専門的な技術を持つ職員の確保や必要な検査機器の設備など、検査体制の充実と知識・技術の継承を計画的に進めて参ります。

3.成年後見制度について
【ふくなが洋議員】
 認知症や障害などで判断能力が不十分な人の生活を支援する「成年後見制度」の必要性が求められ、千葉市でも千葉市社会福祉協議会の中に千葉市成年後見支援センターが活動を行っています。そこで伺います
 千葉市における成年後見制度の歴史的経過、成年後見支援センターの活動状況、政令市の中でどのような状況にあるのかまず説明をいただきたい。
【保健福祉局長答弁】
 成年後見人制度は、介護保険制度と同時期に始まったものであり、制度開始時における本市の対応としては、身寄りがなく判断力が不十分な認知症高齢者や障害者への市長申し立ての受付を行っておりました。当初は、年間数件で推移しておりましたが、現在は、本年2月末時点で27件となっております。また、平成12年度から市社会福祉協議会で運営していた「ちばし権利擁護センター」の業務を、平成22年4月に「成年後見支援センター」へ移行し、さらに、本市の委託事業として制度の相談、家庭裁判所申し立て手続きの支援、弁護士等を配置した専門相談、成人後見人候補者の情報提供や市民後見人の養成や啓発等を行ってきたところです。政令市の中では、成年後見支援センターの開設は4番目であり、比較的早い段階から積極的に取り組んできたものと考えております。

【ふくなが洋議員】
 千葉市における市長申し立て実態及び成年後見制度の実態・特徴・課題について。成年後見制度に対応するNPO法人などの活動についての評価は。また、日常生活自立支援事業は大切な事業です。この事業の背景・実績及び今後の課題について伺う。
【保健福祉局長答弁】
 本市における市長申し立ての実態ですが、民生委員やケアマネージャー等から、あんしんケアセンターや区保健福祉センター等に成年後見に関する相談が寄せられ、区高齢障害支援課等で生活歴等の確認や親族調査のうえ、親族による申し立てが見込めない時は、市長申し立てを行っております。また、本市の特徴としましては、成人後見支援センターにおいて、平成22年度に初めて実施した市民後見人養成研修に、成人後見制度を研究している筑波大学法科大学院教授を講師として招くなど、市民後見人の養成を積極的に行い、現在78人が市民後見人候補者として登録しており、千葉家庭裁判所管内で本年2月時点において、7人の市民後見人がすでに選定されております。課題といたしましては、全町内自治会に対し、成年後見制度のパンフレットを回覧するなどして、制度の周知に努めておりますが、成年後見制度が日常生活になじみが薄いことなどから、なかなか制度の利用が進まないことと認識しております。
 複数のNPO法人などが、親族申し立てにおける成年後見人等の受任や制度の相談・啓発に精力的に取り組んでいるほか、市民申立て案件の成年後見人等を受任する例もあり、本制度に貢献しているものと考えております。また、市社会福祉協議会においては、法人として成年後見人等の受任を積極的に行うなど、当制度の利用促進に向け、前向きに取り組んでいるものと評価しております。
 日常生活自立支援事業は、少子高齢化や単身世帯等が増加するなど、家族形態が大きく変化する中で、判断能力が十分ではなく、身の回りの事や金銭管理などの日常生活に不安のある方が増加したこと等を背景に、平成11年度に創設されたものです。
 過去3年間の契約者数の推移につきましては、26年度は80人、27年度は133人、   28年度は2月末現在で169人となっております。今後の課題といたしましては、引き続き利用者の増加が見込まれることから、支援が必要な方に制度の仕組みを理解していただくことと考えており、市民やケアマネージャーなどの事業者に対し、制度の周知・啓発を図るとともに、丁寧な相談対応に努めて参ります。

【ふくなが洋議員】
 認知症の増加などで成年後見制度はますます必要性が高まっています。行政が制度のPR・利用をもっと進めるべきではないのか伺います。
【保健福祉局長答弁】
 制度の利用促進のためパンフレットやチラシ等の配布のほか、成年後見支援センターにおいて、ショッピングセンター、生涯学習センター等での講演会や町内自治会、障害児の父母の会等への講師派遣を行うなど、広く市民に対し情報提供しているところです。また、制度の対象者に接する機会の多い安心ケアセンター等の関係機関において、制度の利用促進に向け引き続き積極的に情報提供や相談を行うよう進めていきます。

4.債権管理について
【ふくなが洋議員】
 生活再建型管理について伺います。
 最初に強制徴収公債権・非強制徴収公債権・私債権についてそれぞれわかりやすく説明をいただきたい。また、千葉市の債権管理の理念はどのようなものか。さらに、市民が債権を滞納する大きな原因はなにか説明をいただきたい。
【財政局長答弁】
 公債権は、賦課決定等の公法上の原因に基づいて発生する債権で、そのうち強制徴収公債権は、自力執行権が付与されているため、債権者である市の機関が財産調査から滞納処分まで、強制力を持って自ら行うことができる債券です。一方、非強制徴収公債権は、自力執行権が付与されていないため、強制執行を行うためには、裁判所の判決等が必要となる債権です。また、私債権は、契約等の私法上の原因に基づいて発生する債権で、自力執行権が付与されていないことは、非強制徴収公債権と同様です。
 本市の債権管理に関する基本方針では、その基本的な考え方として、本市の保有するすべての金銭債権について、法令の規定に基づく適正な債権管理と、滞納額縮減のための効率的・効果的な債権回収を行うものとしています。
 滞納には様々な原因があると思いますが、主な原因は、納付の意思はあるものの不注意で納付を忘れる場合や、納付資力がない場合、また資力があっても納付意識が欠如しているため納付されない場合などがあります。

【ふくなが洋議員】
 資産・収入がなければ滞納処分の停止・自治体債権の放棄・免除を検討するのが自治体職員の法的責務と考えないのか。
【財政局長答弁】
 納付交渉や財産調査などにより、納付資力を的確に見極めたうえで実情に応じた措置を講じています。強制徴収公債権については、徴収看過の猶予のほか執行停止を、非強制徴収公債権や私債権については、履行の延期や債権放棄を法令に従い行っています。

【ふくなが洋議員】
 生活保護の「不正受給対策室」の名称は、小田原市の人権侵害ジャンパーと同様の保護行政の異質さを感じます。直ちに廃止して生活再建支援課などの名称の変更をするべきではないのか。
【保健福祉局長答弁】
 生活保護については、真に支援を必要とする人には確実に保護を実施しつつ、被保護者の就労・自立支援を強化するとともに、不正受給に対しては厳正に対応していくことを基本姿勢としています。生活保護費の財源は全額公費で賄われることから、不正受給の増加は、制度に対する市民の信頼性を揺るがす重大な問題であります。
 そこで、不正受給の未然防止対策を実施するとともに、悪質な案件に対しては厳正に対処し、制度の信頼性を確保するという目的で、不正受給対策室を設置したものであります。今後も、真に支援を必要とする人には確実に保護を実施して参ります。

【ふくなが洋議員】
 そもそも不正受給と言われるものは全体の0.5%と言われます。千葉市はそれよりも低い0.4%です。千葉市のやりかたは市民の申請権の抑制・否定につながるものだ。このような人権を無視するような「不正受給対策室」は、全国の自治体でどこにあるのか。
【保健福祉局長答弁】
 他の政令市で、課・室の規模で「不正受給対策」の組織を置いている自治体はありません。

【ふくなが洋議員】
 全国の地方自治体で千葉市だけが「不正受給対策室」をつくっている。こんなことは、小田原市の人権侵害と同じとは考えないのか。
【保健福祉局長答弁】
 生活保護は、真に支援が必要な人に確実に保護を実施することが基本であり、本来、必要ではなかった保護を不正な手段で受け取ることは、制度の主旨に反するばかりか、このような不正受給の増加は、制度に対する国民・市民の信頼性を揺るがすことになるため、不正受給の未然防止を含め不正受給対策室を設置し、厳正に対処しているものです。

【ふくなが洋議員】
 漏給あるいは過誤支給した場合、千葉市はどうしているのか。それに対する判例についても示してほしい。
【保健福祉局長答弁】
 生活保護費の変更は、国の基準に基づき実施していますが、判例については把握していません。

【ふくなが洋議員】
 野洲市役所の1階には、市民生活相談課があり、同じフロアには消費生活センターがあり、近くに納税課があり、向かいにはハローワークがあります。
 行政が、生活困窮の原因を明らかにし、就労・納税などで生活再建ができるようにしているのです。千葉市も、このようにして納税を進めるべきではないのか。
【財政局長答弁】
 野洲市の事例は承知していますが、本市では納付相談等によって生活支援や多重債務などが判明した場合は、消費生活センターあるいは法テラス、生活自立仕事相談センターへの紹介、その他、医療助成制度等の各種支援制度の窓口を案内するなどによって対応を図っています。

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