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日本共産党東京都議会議員団

「発達障がい相談診断体制の強化を!住民第一の明大誉田農場跡地整備を!学校いじめなくすためにも教員負担軽減を!」かばさわ洋平議員が一般質問〔2017年第2回定例会〕

かばさわ洋平議員の一般質問及び答弁(要旨)        2017.7.7

 

 

1.発達障がい支援について

【かばさわ洋平議員】

自閉症・アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害、学習障害など、いわゆる発達障がいがある子どもが近年増加傾向にあります。文部科学省による2012年に全国の公立小中学校で約5万人を対象にした調査結果では、”発達障害の可能性のある”とされた児童生徒の割合は6.5%となり、1クラスに2人程度は発達障害の傾向がある子どもがいることになります。千葉市の0~18歳人口で特別な教育的支援が必要とする児童数は10,501人と推計されています。どこに生まれても、どんな障がいがあっても障がい者の権利を守り発達を保障するために、発達に支援が必要な子どもと保護者に対して、乳幼児期から学齢期、就労期を通した一貫したきめ細かい総合的支援の仕組みづくりが急務です。そこで伺います。

① 本市の発達障がい支援における、取組みの特徴と課題について伺います。

【保健福祉局次長答弁】

本市の取組みの特徴ですが、発達障害者を総合的に支援する拠点として、発達障害者支援センターを設置し、本人やその家族を対象に、相談支援を行うとともに、企業等への支援、講演会開催や講師派遣などの普及啓発を行っております。また、同センターにおいて、保育所等への巡回相談を実施するとともに、集団行動の観察を通じて施設職員や保護者にアドバイスする「子育てアシスト」を実施するなど、発達障害の早期発見に、重点的に取り組んでおります。

次に、課題ですが、発達障害の相談支援が増加する中で、児童が通う保育所や幼稚園、学校、さらには企業において、発達障害への理解を深めることが必要と考えております。

また、発達障害について、多くの不安を抱える障害者本人や家族に寄り添いながら、必要に応じた相談支援が行える体制の構築が必要と考えております。

 

【かばさわ洋平議員】

 発達障がいの早期発見体制は進んできたものの、切れ目ない相談の体制等ができているのか、いささか疑問であります。先日、市民から「市の発達障害者支援センターに電話で相談しようとしたところ応答がなく留守電になっていた」という相談を受けました。お子さんの行動について心配があり、多くの不安を抱えながら発達障害者支援センターに電話かけたけど、つながらないという状況、これで切れ目ない支援といえるのでしょうか。現在、幼稚園や保育園等への出張機関支援業務が増加するなか、職員が出払うことが多く、電話相談に対応できないという状況の早期改善が必要です。そこで伺います。

② 発達障がい者支援センターにおいて職員の増員をして、事務所不在で応答できない状況を改善し、常時市民からの電話相談を受けられる体制にすることを求めるがどうか。

【保健福祉局次長答弁】

発達障害者支援センターは、発達障害に関する不安など様々な悩みの相談窓口であり、きめ細やかな対応を図るためにも、今後、相談体制の改善に努めて参ります。

 

【かばさわ洋平議員】

 市の支援体制でやはり早期改善が必要な点はなんと言っても相談診断体制の強化であります。心身の発達に心配のあるお子さんとご家族からの相談に応じ、お子さんの診断・評価・検査を行い、障害の早期発見と支援を行う医療機関である、美浜区にある療育センターでの小児科における障がいの診断件数推移です。美浜区にある療育センターにおける医師等に障がいについての診断は現在申し込みから診断まで3ヶ月待ちです、発達障がいのあるお子さんを抱える親御さんから「広島市から千葉市に来て障がい者手帳を受けるために申し込んで3ヶ月も待たされ、自閉症なのにサービスが受けられなかった」また別の方でも「診断が3ヶ月待ちだから相談を諦めた」と相談されました。政令市の発達障がい診断施設数を調査しましたところ、関東の政令市で1箇所なのは千葉市だけで支援体制が貧弱です。相模原市は72万人口ですが4箇所整備して、発達障がい支援体制を強化しています。本来、区に1箇所程度療育相談や診断が受けることができる施設が必要と考えます。

③ 相談から診断までの3ヶ月というタイムラグを改善するために、市内に発達障がいの診断や相談が可能な場所を、例えば若年層世帯が増加している緑区などに、1箇所増設すべきと考えるが見解を伺います。

【保健福祉局次長答弁】

療育センターでの相談から診断までの期間を短縮するために、本年4月からは相談員1名を増員し、療育体制の強化を図ったところです。現状において、保護者からの発達障害の診断や相談の要望について、紹介できる医療機関が療育センターのみであることは課題であると考えております。今後、市内の医療従事者に対し、「発達障害に係る対応力向上研修」を予定しており、療育センターだけでなく、かかりつけ医など地域の身近な医療機関においても、相談ができ、早期発見・早期支援につなげられる仕組みづくりを目指して参ります。

 

【かばさわ洋平議員】

先般の熊谷市長による所信表明で「発達障害のある子どもの早期発見ケア、保護者の相談体制の充実を図る」とこう力強く語られていました。相談体制強化に向けて施策を前へ進めるべきです。そこで市長に伺います。

④ 各区の保健福祉センターでは必要に応じて専門機関につなぐなど対応しているかと思いますが、発達障がい支援相談を専門で受け付けられるよう各区の保健福祉センターに支援コーディネーターを配置するなど、相談体制強化を求めるがどうか。

【保健福祉局次長答弁】

地域の身近な医療機関においても相談ができ、早期発見・早期支援につなげられる仕組みづくりを目指していく中で、保健福祉センターにおける発達障害への関わり方についても検討して参ります。

 

【かばさわ洋平議員】

次に、障がいのある子も、ない子も一緒に過ごす保育や教育、いわゆるインクルーシブ保育・教育に向けた取組みについて伺います。現状では通常学級では、個別の指導計画や個別の教育支援計画書の作成義務も無く、発達障がいの様々な特徴や接し方に対する知識等が不足しているが故に、いじめやひきこもり・不登校、家庭内暴力など深刻な問題に発展するケースが後を絶ちません。特別支援学級の教員や支援専門保育士だけではなく、通常学級で教える教員にこそ発達障がいの特徴や関わり方への更なる理解が必要だと考えます。そこで伺います。

⑤『インクルーシブ保育・教育』の更なる推進のために、発達障がいにおける特徴から、発達支援・指導について、保育士や教職員全員を対象にした発達支援研修の実施を求めるがどうか。

【教育次長答弁】

幼稚園、保育所等においては、本市及び、民間保育園協議会、幼稚園協会において発達支援やインクルーシブ保育に関する 研修を実施しております。また、教職員を対象とした研修としては、初任者研修や中堅教諭等資質向上研修、新任管理職研修及び特別支援教育の専門研修など、特別な支援が必要な児童生徒の理解と支援方法に関する研修を幅広く実施しております。今後も、発達障害等に関する理解と支援方法がより深められるよう、多くの保育士や教職員が受講できる機会を設けるとともに、研修内容の充実に努めてまいります。

 

【かばさわ洋平議員】

 通常学級において、平成28年度の特別支援教育指導員の配置要望は97校あったにも関わらず、対応できたのは、61校しかありません。要望したのに応えられない学校の教員負担や子どもへの影響を考えると、特別支援教育指導員の更なる配置が必要です。またスクールカウンセラーに相談したいという声があるのに通う小学校での配置がないため相談ができていないなどの声もお聞きしました。教育現場でのニーズに応じきれていない状況の改善が急務です。

⑥ 通常学級での発達支援取組み強化策として、特別支援教育指導員、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの更なる増員配置を求めるがどうか。

【教育次長答弁】

現在、特別支援教育指導員を配置できなかった学校には、学校訪問相談員を派遣するとともに、指導主事が訪問し、児童生徒の状況や支援体制等を把握し、ニーズに合った対応や校内支援体制の強化に向けた指導、助言を行っております。今後、各学校の配置要望の状況等を踏まえ、増員等について検討してまいります。

また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが対応している事案にも、発達障害等に伴う内容も多く、相談件数も増加傾向にあることから、関係機関との連携とともに、その効果的な配置や増員についても検討してまいります。

 

【かばさわ洋平議員】

 放課後等デイサービスの利用者数推移です。事業者数と共に利用者数も大幅に増加しています。先般、放課後等デイサービス事業者と懇談する機会がありました。日々専門的知見をもつ職員の方が子どもの支援計画などきめ細かく発達支援を進めているわけですが、学校現場との情報共有などに課題があると指摘されていました。軽度の発達障がいがある子どもに対して、学校では支援計画などの作成がないなか指導されています。本来情報が共有化されることが子ども達にとって最適な発達支援につながると考えます。

⑦ 放課後等デイサービスを利用する子どもが増加するなか、学校とデイサービス事業者との支援計画共有や事業者が学校に訪れる訪問支援などを実施できるようにすべきと考えるがどうか。また、放課後等デイサービス事業において、小学校高学年、中学・高校生が通うことのできる事業所が不足しているため、何らかのインセンティブを付与する等の支援策を行い、必要とされる事業所の開設を促進させる対応を求めるがどうか。

【教育次長答弁】

市立養護学校と第二養護学校においては、放課後等デイサービス事業者との連絡会を設け、相互に作成している支援計画の情報を共有し、支援に役立てております。また、通常の学級における軽度の発達障害がある子どもについても、支援内容の情報提供を図るなど連携に努めております。今後、さらなる連携のために、保護者の理解のもと、個々のケースに応じて個別の教育支援計画を作成し、学校と放課後等デイサービス事業者が情報を共有できるよう、各校へ指導してまいります。また、保育所や学校等の集団生活への適応のための専門的な支援等を行う「保育所等訪問支援」についても、支援を必要とされる方が利用できるよう、保護者や学校等に対し周知を図ってまいります。

 

【かばさわ洋平議員】

 発達支援システムを構築した那須塩原市を調査しました。母子健康から始まり、障がい福祉、医療・療育機関、教育委員会、労働等の関係機関が連携を図り、共通の視点に立って、子どもと保護者、家族を支えるために、計画的に推進していくためにつくられた支援体制です。特徴的なのは、保育園、幼稚園、認定こども園、小中学校等において、個別の支援計画を作成し、情報を蓄積し、様々な関係機関が情報共有して、本当に切れ目のない支援体制をつくっていることです。市民から寄せられる声として、「幼稚園から学校に上がって保護者が担任に説明する、また担任がかわれば一から説明するという状況で大変」という声です。文科省においても乳幼児期から社会に出るまでの切れ目ない支援体制構築において整備費用を3年間補助する事業が開始されたところです。そこで伺います。

⑧ 発達障がいにおける、相談から支援まで『個別の教育支援計画』を保育園、幼稚園、療育機関、小中学校等が情報共有・連携できる支援体制を構築して、切れ目ない一貫した発達障がい支援を推進することを求めるがどうか。

【教育次長答弁】

就学前の幼児の状況を把握し、小学校へ安心して就学できるようにするとともに、各機関が連携した相談支援体制の強化や情報共有を図るため、平成27年度に特別支援連携会議を設置し、検討を進めております。今年度は、教育支援計画の様式を統一化し、幼稚園、保育所等において、個人ごとの支援計画を作成、活用していくことで、関係機関への早期接続や、継続的な支援につなげてまいります。

 

【かばさわ洋平議員】

 先般、発達障がいのある人達への8つの支援ポイントを漫画で分かりやすくとりまとめた『虎の巻』シリーズを発行して、市民理解促進を進めてきた札幌市を視察調査しました。職場で使える、学校で使える、子育てで使えると6つのシリーズを展開しています。特徴的なのは、よくありがちな、発達障がい特性羅列になると、雇用側にとって「仕事ができない人たち」との印象を与えかねないということで、発達障がいの就労能力を引き出すには、弱点解消ではなく、強みにアプローチする手法で展開していることです。

⑨ 私は、発達障がいの特性や関わり方を当事者や保護者、関係者だけではなく、広く市民理解を広げて社会全体で支えていくことこそが必要と考えます。千葉市としても市民や企業理解を広げて障がい者と共生しやすい社会実現のために、札幌市のように視覚で訴えよりわかりやすい発達障がい支援の冊子作成を進めて障がい者の就労はじめとした各種支援の推進を求めるがどうか。

【教育次長答弁】

発達障害には、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性 発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など、様々な障害があり、理解しづらい点があることから、発達障害それぞれの特性にあわせた接し方を、わかりやすく伝える小冊子は、発達障害の理解を広めるための一つの効果的な取組みと考えております。今後、発達障害者へのライフステージに応じた支援策を検討する中で、発達障害に関する、よりわかりやすい周知方法に  ついても合わせて検討して参ります。

 

2.明治大学誉田農場跡地の産業用地整備について

【かばさわ洋平議員】

 明治大学誉田農場跡地25.9haをエム・ケーが産業用地として開発するのに伴い、総事業費約51億円のうち道路、下水道等のインフラ整備分を、市が10億円を限度に負担するというものです。我が党としては、明大誉田農場跡地への運動公園や文化施設整備などの住民要望があったなか、産業用地整備について市民参加がなく決まったことや、市民の税金を特定事業者の産業用地確保のために投入すること、地元中小企業への対策が不十分であること等を本件整備についての問題点を指摘してきました。地元住民から様々なお声が寄せられていますので住民目線で質してまいりたいと思います。そこで伺います。

① 地元住民から「近隣に住宅地や学校があるなか、どんな企業が入るのか不安」という声があります。企業誘致においては、製造業や研究所等を誘致したいとのことですが、騒音、大気、水質、化学物質等の安全管理など、環境に配慮した取組みが必要であると考えます。土気緑の森工業団地であったように、必要に応じて地元住民との環境協定の締結や説明会の開催等、住民環境ファーストの整備が必要と考えるがどうか。

【経済農政局長答弁】

住宅地や学校が近接している周辺環境に配慮し、立地する企業の設備投資計画について、事前に周辺環境への影響確認を行った上で、法や条例等を遵守した対応を適切に指導し、最終的には、事業者と本市とが協議し、分譲可否を決定するスキームを導入して参ります。

また、進出企業と地域住民との間で、円滑なコミュニケーションを図ることが出来るよう、立地企業で構成する、工業団地組合を組織することが計画されており、本市としても当組合の設立・運営を支援することによって、周辺環境と調和した産業集積の実現を目指して参ります。

 

【かばさわ洋平議員】

② 産業用地には何社、何名の雇用者数になるか、そして新たに千葉市民の雇用数はどの程度増える想定なのか。千葉市民の地元雇用について求めることが必要だと思うが見解は。

【経済農政局長答弁】

立地する企業数については、開発行為や地区計画などの手続きを開始したところであり、分譲区画数が未決定であることから想定は困難ですが、雇用者数は近隣工業団地における雇用実績より750名から1,000名程度が見込まれます。なお、千葉市民の雇用については、全体の50%程度になるものと見込まれますが、立地企業に対しては、市民雇用を促して参ります。

 

【かばさわ洋平議員】

③ 近隣に誉田中学校はじめ、誉田小学校があるため通学において、子どもを通わせる親御さんから不安の声があります。産業用地整備に伴い工事車両の搬入搬出を誉田中学校側校門側や誉田小学校通学路付近の大網街道からは進入しないルートを設定することが必要と考えるが見解は。また、隣接する誉田中学校線路付近の通学路安全対策を求めるがどうか。

【経済農政局長答弁】

工事車両については、誉田中学校校門側や大網街道から進入せず、東側の誉田駅北口線からの進入ルートを設定することを計画しているところです。また、通学路を含めた線路付近における道路の安全対策につきましては、誉田中学校側角について、車両が加速したまま通行しないよう、警察等の関係機関と協議しながら、一時停止線を設ける等の対策を実施する他、産業用地を周回する道路部分については、現状の4メートル程度の幅員から14メートルへ、大幅に拡幅し、両側に2.5メートルの歩道を確保する計画になっています。さらに、明大踏切から産業用地を周回する道路へ、車両が直接通行することの無いよう、道路形状を変更したところです。

 

【かばさわ洋平議員】

先日の5月中旬に開かれた、本件整備に伴う都市計画説明会が誉田公民館で開催され、私も参加しました。参加された市民からの声で多かったのは、本件整備に伴う誉田地域における交通問題に対する懸念であります。そこで伺います。

④ 産業用地整備に伴い、雇用者が750~1,000人増加と試算していますが、車両台数はどの程度増える試算か。

【経済農政局長答弁】

平成27年度に実施した、千葉市交通現況調査に基づき試算した結果、従業員等の通勤に伴う交通量が日量870台程度、立地企業による事業活動による交通量が日量430台程度増加し、合計すると日量1,300台程度の交通量の増加が見込まれます。

 

【かばさわ洋平議員】

今回、外房有料道路の高田IC付近の利便性が考慮されて産業用地として整備されるものの、外房有料道路の高田ICは鎌取方面へのアクセスできない片側ICです。つまり、土気や茂原方面からは大網街道を利用してアクセスすることになります。約1,300台増加というなか、誉田地域の渋滞スポットである十文字踏切や大網街道の渋滞がさらに深刻化することを強く懸念するものです。誉田地区の長年の問題である渋滞問題に早期改善に取り組むべきと考えます。

⑤ 産業用地整備に伴い1,300台車両増加する想定のなか、誉田地区渋滞改善に向けて、高田ICのフルICもしくは、誉田パーキング周辺の外房有料道路接続を進めるべきと考えますが、見解は。また、十文字踏切、または明大踏切の高架や地下化等による渋滞解消策を早期に具現化すべきと考えるがどうか。

【経済農政局長答弁】

ご提案の渋滞解消策については、現地における地形や環境等を勘案し、実現は極めて困難であるものと考えておりますが、今後、具体的な進出企業が決定し、交通量を含めた将来的な見込みが確定する状況に備えて、庁内の関係課で構成している連絡・調整体制を維持し、必要な情報の共有を図るとともに、適切な対応に努めて参ります。

 

3.学校いじめ対策と教職員負担軽減について

【かばさわ洋平議員】

 文科省調査によると、小・中・高のいじめの認知件数は平成27年度で22万4,540件と過去最多となっています。千葉市の小中学校のいじめ認知件数推移をみると、若干低下傾向であるものの、平成27年度では784件もいじめがあったと報告されています。

① 過去5年間において、児童生徒の身体において殴る蹴るなどの暴行があった事案は合計何件発生していたか伺います。

【教育次長答弁】

文部科学省が毎年実施している「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」における、「いじめの態様の項目」のうち、「ひどくぶつかられたり、蹴られたりする」に該当する件数は、平成23年から27年までの5年間の合計で小学校274件、中学校120件、合計394件となっております。

 

【かばさわ洋平議員】

2017年4月11日付の毎日新聞の記事です。いじめを受けたのに学校が適切に対応せず、精神的苦痛を受けたとして、おゆみ野南中学校に通っていた男子生徒が同級生と千葉市を相手取り330万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたとされています。2013年から15年にかけて、殴る蹴るなどの暴行を受けてきたことや精神的に追い詰められ14年2月に過呼吸で倒れたとされ、原告代理人によると「学校は男子生徒が過呼吸で倒れた時点でいじめの存在を認識したのに、実態調査やいじめ防止策を怠った」と市を提訴しています。そこで伺います。

② 本件における、殴る蹴るなどの暴行を受けてきたことや精神的に追い詰められ14年2月に過呼吸で倒れたというのは重大事態ではないのか。また市は本件のいじめの実態調査について詳細、また学校や教育委員会がとった対応と防止策について伺います

【教育次長答弁】

本件については、いじめの重大事態について国が示している「いじめ防止対策推進法第28条」及び「いじめの防止等のための基本方針」に照らし、重大事態ではないと判断しました。本市では、いじめを発見、相談を受けた場合、速やかに事実確認や被害児童生徒の心のケア、加害児童生徒への指導等を学校と教育委員会等が連携し、迅速に対応しております。

本件についても同様であり、被害生徒の安全・安心な学校生活を第一に、学校での指導や見守りに努めてきたところです。なお、実態調査の詳細については、係争中のことでもあり、お答えすることは控えさせていただきます。

 

【かばさわ洋平議員】

千葉市はいじめ防止基本方針を策定しており、「いじめ防止対策推進法」第30条第1項に基づき、学校は、重大事態が発生した場合には、直ちに市教育委員会に報告し、市教育委員会はこれを市長に報告するとされております。そこで市長に伺います。

③ おゆみ野南中学校のいじめ事案について、市長はいつ詳細な報告を受けたのか。また報告を受けどのような指示をしたのか伺います。

【教育次長答弁】

本件の概要については、平成28年11月に教育委員会より市長に報告をしております。また、市長からは、事実確認を十分に行い、適切な対応を行うようにとの指示がありました。

 

【かばさわ洋平議員】

 千葉市が実態調査や再発防止策を怠ったと、市民から訴えられることを重く受け止めるべきです。市と教育委員会が人権侵害と暴力であるいじめの放置・隠蔽を絶対に許さないという立場に立つべきだと考えます。市長に伺います。

④ 人権侵害であるいじめの放置・隠蔽が、「安全配慮義務」違反に当たることを明確にし、学校と教育行政の基本原則とすべきだ思うが市長の見解を伺います。

【熊谷市長答弁】

いじめは絶対に許されないものであり、放置・隠蔽がされることが決してないよう、各学校においては、未然防止、早期発見・早期解決に、なお一層努めて参ります。今後も、国が示している「いじめ防止対策推進法」及び「千葉市いじめ防止基本方針」等に則し、安全・安心な学校づくりを推進して参ります。

 

【かばさわ洋平議員】

いじめ根絶に向けては、いじめを面白がって見ていたり、はやしたてたりする子どもが観衆と言われ、見て見ぬふりをしているのが傍観者、観衆と傍観者への対応が重要ポイントだと指摘されています。先般、千葉大学らと柏市教育委員会が共同開発した、いじめ対策における「傍観者の視点で考え、議論する授業」を展開し、また公立学校で初めてアプリを導入し、いじめの早期発見や防止対策に乗り出した柏市を視察しました。実証授業においては、ドラマによるネットいじめが発生した時にとるべき対応を考え議論することで、傍観者が声をあげることにつながり、クラスの雰囲気が変わりいじめが起きにくい環境につながるというものです。そこで伺います。

⑤ 千葉大学らが制作した「傍観者の視点で考え議論する授業」のような取組みを千葉市でも実施していくことが必要と考えるが、見解を伺います。

【教育次長答弁】

柏市においては、7月末までに中学校20校で実証授業を実施すると聞いておりますが、その効果等を十分に把握するとともに、本市での実施について、様々な角度から検討してまいります。

 

【かばさわ洋平議員】

視察をした柏市では、相談できない子どもが命を落としてはならないといして、匿名で報告できるアプリを導入しています。匿名通報アプリには匿名で市教育委員会に文章を送信できる機能と重大・緊急時には直接専門機関へ電話接続もできるようにもなっています。

千葉市小中学校の各学校調査による集計では『いじめられた児童生徒の相談状況』結果をみると、『担任に相談』が多数ある一方で、『誰にも相談していない』と回答する子どもが23名います。そこで伺います。

⑥ 私はいじめで誰にも相談できず自ら命を絶つようなことがあってはならないと思います。いじめを誰にも相談できない生徒のセーフティネットとして機能する、匿名での相談や通報ができるアプリ等を導入するなど、いじめ早期発見で深刻な事態を防ぐような新たな取組みを求めるがどうか。

【教育次長答弁】

児童生徒のSNSを使用する頻度が高まっている現状から、国の「いじめ防止対策協議会」では、SNSを活用した相談システムの検討をしていると聞いております。今後、国の動向や柏市での実践を注視しつつ、SNSを活用した相談システムの有効性について研究してまいります。

 

【かばさわ洋平議員】

いじめ問題については、やはり信頼する先生に相談して解決されるケースが当然望ましいわけですが、昨今の教職員の多忙化があり、じっくりと子ども達と向き合うことができず、いじめを見逃してしまうなど、向き合うことができずにやり過ごしてしまうようなことがあってはあなりません。千葉市の小中学校の教員の月平均の残業時間の状況です。これをみると教頭の72時間、教諭でも64時間となっており、いわゆる大臣告示の月45時間というラインを越えており深刻な過重労働が改善されていません。教職員多忙化解消に向けて実効性ある取組みが急務です。そこで伺います。

⑦ 給食費徴収や事務処理などが管理職中心に重い負担となっています。教職員の負担軽減進めるために給食費公会計化で負担軽減をはかること、また事務職員の増員を求めるがどうか。

【教育次長答弁】

現在、給食費の徴収や未納となっている保護者への督促等は、学校の教職員が行っております。完全公会計化を実施することにより、これらの業務は、教育委員会の責任で行うこととなり、教職員の負担は軽減されると考えております。また、事務職員の加配を強く国に要望したことにより、定数184人に対し7人増の191人の配置となりました。今後は、さらなる充実を図れるよう、引き続き国へ要望してまいります。

 

【かばさわ洋平議員】

 中学校における残業時間が多いのは、やはり部活動です。スポーツ庁が平成28年に公表した中学校への調査で、1週間の中で休養日を「設けていない」と回答した割合が約22%、1カ月の中で土曜日や日曜日を休養日に設定していない割合も約42%に上ったとされています。千葉市においても学校単位で実態に格差があると聞いております。そこで伺います。

⑧ 教職員多忙化解消に向けて、部活動休養日の適切な実施を進めるために、部活動休養における新たなガイドラインを作成し学校現場に徹底をはかることを求めるがどうか。

【教育次長答弁】

部活動休養日の適切な設定については、本市で作成している「学校体育振興施策」に、平日週1回と土日のどちらかを含め、週に2日以上休養日を設けることを示し、全市立中学校に周知しております。これを受け、各学校では実情に応じた取組みを進めております。

今後、スポーツ庁が平成30年3月末を目途に策定する予定の「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」の内容も踏まえ、学校現場への対応を検討してまいります。

 

【かばさわ洋平議員】

いじめ根本的解決に向けて必要なのは、教員多忙化解消に向けた施策であり、やはり少人数学級の推進です。県費負担教職員負担が移譲されて千葉市も少人数学級推進など掲げて小4まで35人学級を拡充しました。一方で中学校1年は35人から38人に後退しました。いじめ認知件数が最も多いのは中学1年生です。今回千葉市がいじめ対応に問題があるとされて訴えられたのも中学校です。政令市で中学1年を35人学級としているのは8市もあり、少人数学級推進しています。そこで伺います。

⑨ 教員は過労死ラインで働いても肝心の子どもの悩み相談など向かい合う時間、授業準備をする時間が持てなくて悩んでいます。いじめをなくしていくためにも、子ども一人ひとりをていねいに向き合う少人数学級の更なる推進のために教職員加配を国に強く要望すること、そして千葉市として35人学級を速やかに完成させることを求めるがどうか。

【教育次長答弁】

今年度の少人数学級及び少人数指導のための教職員の加配定数については、昨年度より3人増の250人となっており、指定都市教育委員・教育長協議会や国の施策及び予算に対する重点要望を記載した緑本において、引き続き加配の増員を要望してまいります。

また、35人学級の更なる拡大については、今年度、小学4年生まで拡大した効果を検証するほか、35人学級を実施済みの他政令市の事例を研究するとともに、国の動向を注視してまいります

 

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