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日本共産党東京都議会議員団

子どもルーム運営一部民営化、特区民泊、公民館指定管理制度移行は反対!かばさわ洋平議員が反対討論〔2017年第3回定例会〕

○ かばさわ洋平議員の討論    2017.9.15

 

 

 

 会派を代表して、市長より提案されました16議案中、議案第98号、議案第102号、議案第103号、議案第105号、議案第112号に反対するとともに、発議第13号が否決されたことに対して、請願第4号が不採択になったことへの討論を行います。

 

 はじめに、議案第98号・平成29年度千葉市一般会計補正予算の中央区役所移転整備事業費・美術館拡張整備事業費についてです。

 補正予算では、実施設計費用に区役所4,300万円、美術館に7,000万円が組まれていますが、総額では区役所移転に4億6,000万円、美術館拡張には12億円を見込んでいるとのことです。

 これまで我が会派は、区役所と保健福祉センターについては一体での整備を、千葉市美術館は単体で運営をすべきと求めてきました。中央区役所問題の背景には17年前の中央第6地区再開発事業については総事業費432億8,500万円で千葉市の大きな財政赤字をつくった要因となったこと、今なお償還額は平成28年度時点で206億円の債務が残っていることを指摘しなければなりません。またきぼーるの高層階に区役所と保健福祉センターの窓口が設置されること、駐車場運用の問題等、市民に密着した公共施設でありながら、議案質疑の答弁で「市民の声としては聞いていない」と答えるなど、今回の移転に係る補正は内容含めて、あまりにも急な議案であり市民理解を得られません。もっと慎重に進めるべき問題です。

 環境経済委員会では他会派からも、「突然出てきた」「経費がかかりすぎる」「慎重にすべき」との意見が出されており、我が会派は区役所と保健福祉センターの一体化と美術館運用含めて、市民の理解をもとに進めることを求め、継続審査を主張しましたが否決されたため、賛成しかねるとしたものです。

 

 つぎに、議案第98号・平成29年度千葉市一般会計補正予算のグリーンツーリズム推進事業についてです。

 内陸部の緑豊かな自然や里山など地域資源を有効活用し、特区民泊事業開始に合わせ、若葉区と緑区で、プロモーションと観光マーケティング調査を国の交付金を活用し行なうものです。地元の事業者と地域の活性化につながるグリーンツーリズム自体に反対するものではありませんが、住民から騒音等のトラブルの不安の声があるなか、特区民泊による違法運営対応や近隣トラブル対応におけるガイドライン等が不十分であるため、補正には賛成しかねます。ガイドラインやルール策定を求めるものです。

 

 

 つぎに、議案第98号・平成29年度千葉市一般会計補正予算中、稲毛海浜公園施設リニューアル建設負担金についてです。

 これは、稲毛海浜公園について、民間活力による公園施設リニューアルに伴う施設整備・改修費用のうち、千葉市に帰属するインフラ及び関連整備費用を事業者への市負担分として、平成30年度から32年度までの3か年の債務負担行為で24億8,000万円を補正しようとするものです。砂浜改修に7億9,700万円やウッドデッキ整備に5億円、インフラ整備に5億3,500万円など多額の整備費用が計上されています。

 稲毛海浜公園施設リニューアル整備・運営事業の事業に関し、今年6月16日に開催された千葉市公園等活用事業選定委員会における審議結果では、事業予定者の企画提案に対し、「今後の施設改修について、市の負担額も含め十分な協議が必要である」「市の投資額が多額であり、市民の理解を得られるか懸念される」などの意見が出されています。

 公園のリニューアルに多額の負担を要するにもかかわらず、周辺住民・市民への説明はなく、議会での議決を経て説明することは問題であります。砂浜は流出を抑制しても流出は完全に防ぐことはできず今後の市の負担も懸念されます。

 稲毛海浜公園のリニューアルは市民の安全に関わる問題であり、千葉市が責任を持って行う事業です。その上で、東京の業者と契約するのではなく、地元企業を活用して、地元雇用や地域経済活性化をはかるべきです。民間活力を入れて整備することには慎重にすべきです。この債務負担行為については賛成しかねます。

 

 つぎに、議案第98号・平成29年度一般会計補正予算の子どもルーム運営事業についてです。

 千葉市社会福祉協議会に委託している子どもルームの運営業務において、指導員不足のため、瑞穂小子どもルーム・朝日ヶ丘小子どもルーム・美浜打瀬小子どもルーム・真砂第五小子どもルームの4校の子どもルームを民間事業者による運営へ変更するものです。指導員不足の背景にあるのは、我が会派が再三求め、経験給導入をようやく本年4月から実施したものの、市が処遇改善策を先送りしてきたことに問題があります。千葉市社会福祉協議会運営において、苦労して募集してもなお指導員不足が生じているのに民間事業者が同じ待遇で募集しても集まるとは考えられません。民間事業者への委託費を現状委託費より増やすというのなら、千葉市社会福祉協議会運営で委託費を増額して指導員処遇改善に努めるべきです。

 事前説明においても、保護者への現時点での説明もなく、指導員の説明は9月に電話での簡易説明という杜撰なものです。「突然のことで困惑している」「障害のある子どもの今後が不安」「ずっとこのルームで勤めたかった」など現場の指導員から突然の民営化発表に、不信感や怒りの声が寄せられています。本来であれば、保護者や指導員含めて意見聴取しながら慎重に進めるべき問題です。市の強引な進め方は現場指導員からも市民からも理解を得られず、信頼関係の低下がさらなる指導員の離職につながり、人材確保にも悪影響を与え、子どもルーム全体の質の低下につながるものと危惧します。よって本補正予算に反対するものであります。今後の子どもルーム運営のあり方については児童福祉審議会で方向性を検討することを求めておきます。

 

つぎに、議案第98号・平成29年度千葉市一般会計補正予算の公民館施設管理運営に係る債務負担行為についてと議案第112号・千葉市花園公民館ほか46施設に係る公民館の指定管理者を非公募で教育振興財団に指定する議案についてです。

 公民館は憲法・教育基本法・社会教育法に基づいて設置されており、単なる貸し館施設ではなく、学ぶ権利を保障する教育機関であるため、公的責任で運営すべきであります。

 補正予算は、平成30年度から34年度の5年間の管理運営を委託するため、65億9,423万1千円が計上されました。人件費は直営よりも1億554万7千円削減した分を、報償費、消耗品費、修繕費、委託料などに再配分するなどして、5年間で1,181万5千円の差額が出たというものです。

 職員の人件費は、財団5年間の委託費では1,904万円の増額となっています。指定管理者制度導入5年間で1,000万円程度の減額では、更新時には費用の削減が困難になると推察されます。指定管理者制度はコストカットが至上命題だとしながら、委託費削減額が、ほんのわずかの削減額しか示せず、サービスの向上など二の次になるのは明らかです。

 社会教育主事の資格取得については、財団で年に2人確保する予算程度で、現在財団にいる19人、そのほか資格職を採用することもあるようですが不確定であり、質を高めるためには社会教育主事の育成と登用が不可欠です。

 そもそも、今回の議案についてもすでに指定管理者制度の導入や教育振興財団に委託予定もわかっていながら、議会前の教育委員会議を非公開で進めてきたことも、問題です。

 災害時の対応は、指定管理者は避難所として使用される場合も「積極的に協力する」という財団の立場は、直営で市が責任をもって行う場合とは根本的に違います。市職員の担当が駆け付けて対応するようですが、日頃から市民に現地で接している公民館職員が対応することが望ましく、防災力低下につながります。

 自民、公明、未来民進、市民ネットも社会教育主事を増やして質の向上をしていくことや教育委員会の関与についても質していましたが、賛成の立場をとったことは遺憾です。

 現存の市職員は異動になる地域課題の認識の低下、経験ある市職員が公民館を離れ、財団の契約社員等に置き換わることで労働者の官製ワーキングプアを増やし、人件費削減の予算を老朽化予算へまわすというための指定管理者制度の導入は、社会教育の低下につながります。社会教育は指定管理者制度ではなく、市直営で発展させることを求め、反対します。

 

 つぎに、議案第102号・千葉市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例と議案第103号・千葉市衛生関係手数料条例の一部改正についてです。

 若葉区と緑区の一部の区域において特区民泊を導入するための条例です。内陸部の緑豊かな自然や里山などの地域資源の活性化に向けては、本来地域住民が誇りと愛着を持つことができる活力に満ちた地域社会を実現するとある「観光立国推進基本法」に基づいて推進することが望まれており、良心的事業者においては支援を十分行うべきと考えます。しかし、民泊事業においては、営利を目的とする事業者があまりにも多く、地域では騒音やゴミ出しなど様々なトラブルが起きています。

 市の説明では「市内で無許可営業の疑いがある施設は65件あり、そのうち6件は是正されている。他の物件は特定が困難」と答弁しています。すでに、こうした違法民泊が横行するなか、特区民泊は地域住民の不安を増すばかりです。ガイドラインの制定の必要、近隣住民への丁寧な説明、オーナーが不在の時の対応、トラブルが起きた時の対応が不明確であり、トラブル増加で地域社会の混乱を招きかねないことから、本条例には反対するものです。

 

 つぎに、議案第105号・千葉市保育所設置管理条例の一部改正についてです。

 緑町保育所及び大森保育所について、民設民営の手法による建替えを実施するにあたり、条例を改正するというものです。これまで市民から公立保育所は公立のままで存続させてほしいという請願も提出されてきました。また、保護者からも「公立だから入ったのに民間になるなら他の公立保育所へ移りたい」という声も出されています。

 一定期間、共同保育を実施するものの、保育士のほぼ全てが入れ替わることでの子ども達への影響ははかり知れません。また委員会質疑で保育士や看護士、栄養士が全く同様の雇用形態ではなくなることも明らかになり問題です。障がい児や医療支援対応など公立だからこそ手厚い支援が行える保育環境は、子ども達最優先で考えると堅持すべきであり、公立の質が民間認可保育園の監査基準となる以上、財政的側面で民間委託を進めることは千葉市全体の保育の質を低下させることに他なりません。公立保育所はそのまま公立で建替えることが子ども達への最善の利益であるため、本条例には反対するものであります。

 

 続いて、発議第13号・千葉市職員の平等な任用機会を確保し成年被後見人及び被保佐人の自立と社会参加を促進する条例の制定についてです。

国連で障害者権利条約が制定され、我が国においても障がいを理由とする差別の解消に関する障害者差別解消法が制定されました。その上に立って千葉市の公務員職場において障害者の任用の機会を確保していく提案として、成年被後見人及び被保佐人の自立と社会参加に向けて、任用試験を受けられるようにする条例です。

 市は「平成31年3月までに、地方公務員法の欠格条項について検討されるものと考え、国の動向も注視していきたい」と答弁しました。しかし、兵庫県明石市においては自治体自らの判断で条例を作成し、障がい者が多数受検をするなど、共生のまちづくりを進めています。まさに障害者差別解消を文字通り地方自治で前進をさせているのです。 

総務委員会の各会派の意見として、公明は「任用までは良いが、その後のことは不確定性がある」。未来民進は「成年後見人制度利用促進基本計画の見直しをみて判断したい」。市民ネットは「欠格条項を入れてまでして雇えるようにしようとするところまでは賛同しかねる」との意見が述べられ、採決の結果、自民・公明・未来民進・市民ネット・無所属の日本共産党以外の会派の反対で否決されたことは極めて遺憾です。今必要なことは、様子をみることではなくて、障がい者差別解消法に基づき、障がいのある人もない人も、共に働き共に暮らす共生のまちづくりを進めるために自治体自らの判断のもと施策を講じることであります。

 

 最後に、請願第4号 就学援助の入学準備金を入学前に支給することを求める請願についてです。

子どもの貧困が大きな社会問題となっている中、就学援助の入学準備金は現状の入学後の7月支給ではなく、入学前の3月に支給してほしいというものです。請願者の意見陳述では、経済的問題で卒業アルバム購入を拒否する小学生がおり、千葉市の教育現場でも貧困問題が広がっていることが述べられました。

 早期改善が求められるなか、教育委員会は市民の願いに応え、新中学生1年生については平成30年3月支給、新小学校1年生については平成31年3月から支給することを検討していると方向性を示しました。昨年に続く市民からの請願と我が会派が粘り強く議会質問で取り上げ求めてきたことが、いよいよ前進するもので教育委員会の対応を一定評価するものです。今後、支給に向けてシステム改修の適切な実施、保育園や幼稚園での周知徹底、そして申請時期に事務的対応で教員や教育委員会職員に負担がかかるため、過度な負担とならぬよう職員の一時的増員など要望するものであります。

 請願審議の各会派の意見として、市民ネットは「検討している段階、早期の3月支給の実現を求める」と賛成しました。ところが自民、公明、未来民進は「願意を満たしている」と反対し、不採択となりました。まだ実現していない施策でありながら、願意満たしていると反対する姿勢は、市民の願いを踏みつけにする対応で極めて遺憾であります。市民の請願権を尊重すべきです。我が会派は、市民に寄り添い、子どもの貧困対策はじめ福祉増進に向けて全力で取り組むことを訴え、以上で、日本共産党を代表しての討論を終わります。

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