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日本共産党東京都議会議員団

地産地消推進条例と再生土規制条例に賛同を! 中村きみえ議員が反対討論[2018年第2回定例会]

○ 中村きみえ議員の討論    2018.6.21

 

 

議案第61号 平成30年度千葉市一般会計補正予算、第62号、第64~65号、及び67号に反対し、発議第4、第5号が否決されたことに対し討論を行います。

 

議案第61号 補正予算の「広域連携の推進」についてです。

 広域連携の推進は、国の委託金「新たな広域連携促進事業」を活用し、千葉市の街づくりの方針、「千葉市まち・ひと・しごと創世総合戦略」で示す「共創都市圏」の下に、東金、大網白里、茂原市の圏域の都市に連携を求めるものです。上から目線で、都市間連携を求める不平等観が拭えない違和感があり、国の委託事業を無批判で受け入れることには賛成できません。

 事業概要・目的で、「千葉市は圏域からの人口流入での人口増、通勤通学者により高い昼夜間人口を保持していますが、圏域内都市で人口減が始まり、千葉市及び圏域全体の活力低下がする恐れがあるので連携していく」としています。このことは千葉市の都合で圏域都市との連携を求めており、大都市優位の考え方は納得できるものではありません。

千葉市の街づくりは、基本構想・基本計画のもと「千葉市まち・ひと・しごと創世総合戦略」、立地適正化計画などですが、共通しているのは集約型都市構造です。集約型都市構造は、中心部や拠点に公共施設や人口を集約し、それ以外地域は縮小されていく計画であり、「広域連携の推進」は、広域圏で集約と縮小され、圏域の他都市に一層の過疎化を進める懸念があります。

 全国の事例をと先行している「連携中枢都市圏」は、道州制に固執した新たな自治体再編の手法といわれており、表には見えない自治体合併を進めているとの指摘もあります。広島市で取り組まれている200万人広島広域都市圏構想は、山口県、山陰方面まで圏域を拡大していく構想で、連携中枢都市にふさわしい都市機能の強化として、広島駅周辺開発、道路や新交通建設など大型開発のラッシュで、住民は置き去りにされているという報告もあります。

 千葉市が予算計上した国の委託事業「新たな広域連携促進事業」は、「連携中枢都市圏」と共通する、道州制に固執した新たな自治体再編の手法であるとの指摘と、大型開発の促進で住民生活・福祉を切り下げることは容認できるものではありません。

 以上、広域連携の推進には反対するものです。

 

議案第62号 千葉市市税条例の一部改正について

 中小企業が行う生産性向上設備投資に係る固定資産税(償却資産)の課税標準の特例措置の導入について規定の整備を図るものです。

 中小企業の生産革命実現のため、生産性向上特別措置法に基づき、市町村の導入期本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた中小企業の先端設備等導入計画に記載された一定の機会・装備等です。

 中小企業への支援は必要ですが、先端設備等を導入する一部企業を支援して、現行制度で措置してきた中小企業者への支援を打ち切ることは認められません。

 問題点は、①前提となる生産性向上特別措置法は、AIやI0Tなどの新たな技術を活用し急激に生産性を向上させなければ国際競争力を失うとして、生産性の高い設備へ投資を促すとともに「サンドボックス」と呼ばれる、企業提案による新たな実証のための規制の特例制度を創設するものです。「サンドボックス」は米国で実証実施中に重大な事故が発生したなど危険性が高いです。②生産性向上特別措置法に基づくデータ活用支援対策による、ビッグデータの利活用は、行政機関が持つ個人データを匿名加工して民間開放する異例の法制度が作られました。大量の情報のひもつきにより個人の特定につながりかねません。個人データの提供は除外すべきです。③特例措置の対象になる先端設備等導入の一部企業は、先端設備における大企業と深く関係する企業です。法律では「大企業の子会社を適用除外」「資本の割合が50%以下」としていますが、これは大企業の資本が49%なら認めるものです。このように大企業の利益と一体の一部企業にのみ支援する措置には同意できません。④現在、中小企業の設備投資に係る固定資産税の特例措置は、「中小企業経営化法」に基づき、生産性向上の認定を受けた中小企業の行う、一定の設備投資に係る固定資産税について、3年間、課税標準の2分の1とする措置が設けられていますが、今回制度新設に伴い、2019年度で廃止されます。これは、先端設備等導入の一部企業には減税の支援をし、市内全体の中小企業を支援してきた従来の制度を廃止するもので認められません。

 

議案64号 千葉市旅館業法施行条例の一部改正について

 この一部改正は旅館業法の一部改正で「ホテル」と「旅館」の営業種別が統合されて構造設備の規制緩和が図られたものです。なお、特区民泊でも千葉市で認定されている施設があることも明らかになりました。

今回の条例では、施設内で人の常駐を必要とせず、帳簿を必要とせず、立ち入り調査は年に1回では、宿泊者と近隣住民の命と住環境を守ることにはなりません。施行条例の段階で地域住民の安全安心が守れないことが明らかになりました。今必要なことは宿泊者と市民生活の安全を守ることです。

 さらに6月15日解禁された民泊新法については都内で23区のうち18区が条例で厳しい規制をかけています。民泊新法では年間180日しか営業できず、ヤミ民泊についての規制を図ることも重要であり、従来県が指導することとなっていますが、千葉市でも厚労省からの通達が示され、立ち入り検査の権限が付与されることも示されました。これは旅館業法の一部改正でマンションでのホテル・旅館業が可能になり、民泊事業から撤退した事業者の新たな収益の場となるとも言われています。

 これまでも違法民泊は市内でも問題があるとわが会派は指摘をしてきました。市内のマンション管理組合からも民泊事業への不安が出されています。ヤミ民泊が横行すればごみ・騒音問題などがすでに指摘をされています。

いま求められているのは危険な規制緩和ではなく旅館業法など諸法規を堅持したルールに基づく整備が必要であることを指摘して、この条例の一部改正には反対をするものです。 

 

議案第65号 千葉市病院事業あり方検討委員会設置条例の制定について

 この条例は、病院事業のあり方を検討するために、学識経験者等の意見を聴取するため、新たな付属機関を設置するものです。

 病院事業のあり方については、これまでも病院管理者・両病院長を先頭に、精力的に取り組まれてきたところです。その点や自治体病院綱領の精神を踏まえて、市民参加により、病院事業のあり方を審議するよう強く求めるものです。

 また、海浜・青葉病院の歴史的な設立経過も十分踏まえた議論が必要です。「病院事業のあり方」は、あくまで市民とともに検討すべきであることを指摘しておきます。

 

議案第67号 千葉市放課後児童健全育成事業設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について

 今回の改正は、国の基準で放課後児童支援員の資格要件が拡大されたこと等に伴い、「5年以上の放課後児童健全育成事業に従事した者であって、市長が適当と認めたものを追加」しようとするものです。中学を卒業した経験者であれば、支援員として認めるという規制緩和です。

 千葉市の児童支援員は、現時点でも13名不足しており、補助支援員の不足とも合わせて、人材不足から受入を制限したルーム数が39ルームにも及ぶなど、人材確保は早急に進めなければなりません。しかしながら、深刻な人材不足を資格要件の緩和でやり過ごそうとするのは問題です。

本年6月、全国学童保育連絡協議会は「学童保育の抜本的拡充を目指す議員連盟」に対し、18万人の反対署名と要望書を提出しました。現場では、「これでは子どもの安全は守れない」「子どもを守る仕事には有資格の支援員が必要」という声が多数を占めていました。処遇改善による人材の確保こそが正常な対応です。

「安易な資格要件の拡大は認められない」という立場から、本議案には賛成しかねることを述べておきます。

 

発議4号 千葉市土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例の一部を改正する条例について

 建設汚泥その他の産業廃棄物を中間処理施設において中間処理を行ない、有用な資材として再生したものいわゆる「再生土」の埋立て等を条令の規制対象にするための条例の一部を改正するものを提案しました。

県条例では届出制で抜け穴となっているため、県内でもすでに7市1町で再生土の規制条例ができています。一方、条例の無い香取市などは8か月で22カ所から42カ所へと埋め立て地が急増するなど、対応を急ぐ必要があります。

 委員会では、「県が条例を制定してからでも遅くない」「罰則がないことは問題」などの理由で共産党以外の会派が反対し、否決となったことは極めて遺憾です。他の環境問題では、市内でも法の範囲外で規制できずにトラブルになっているケースがすでに起きているにも関わらず、「県の対応を待つ」というのは市民の生活を守ろうという思いが欠如していると言わざるを得ません。「地域環境は汚染が明らかになっては遅い」のです。議会のみなさんの誠意ある対応を願うものです。

 

発議5号 千葉市の農業振興における地産地消の推進に関する条例についてです。

 千葉市の農家人口は平成2年に20455人であったものが、平成27年には3709人と5分の1まで大幅に減少しており、このままでは農家が無くなるという切迫した状況です。また、政令市における農家1人当たりの地産地消推進費を比較すると、千葉市は農家1人当たり440円とワースト3です。

地産地消条例を制定している横浜市は、8489円と千葉市の20倍以上です。衰退する農業打開に向けて、市民の意識向上や機運醸成のPRを強化し、生産者のみならず、市、事業者、消費者が力を合わせて地産地消に取り組み、持続可能な農業を育成し、市民の豊かな食生活の向上を求めた条例提案です。

 委員会では「市外など外に向けて発信しないといけない」「市も各種政策に取り組んでいる」などの意見で自民・公明・未来民主から反対されました。本条例案は、深刻な農家の担い手不足の解消、市内産農産物を消費したいという市民のニーズが出発点であり、外への発信等を否定するためのものではありません。市の取り組みが位置づけと共に不十分だと考えて提案したものです。市民ネットワークからは、この条例案の特徴とした「農副連携」の項目について賛成の意向が示されました。福祉や教育、観光などの複数の部署との連携強化で、縦割りを解消した組織体制の整備で速やかな施策展開を可能にするものです。共産党と市民ネットワーク以外の賛成が得られず、否決されたのは非常に残念です。

市の各種農業施策のさらなる充実・発展・強化を求め、討論を終わります。

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