千葉市の保育園は公立で運営を!緑町に文化ホールを! あぐい初美議員一般質問〔2019年第2回定例会〕
○ 安喰初美議員の一般質問 2019.6.18
日本共産党千葉市議会議員団の安喰初美です。
私は、千葉市の公立保育所で保育士として38年働いてきました。千葉市の「太陽の子を育てる」という指標のもと、感性豊かで明るくたくましい子どもをめざして子どもの最善の利益を考えて保育をしてきました。私が長年保育士を続けてこられたのは、子どもたちとの生活や遊びを通して子どもが日々成長発達していく様子を目の当たりにできることにやりがいを感じてきたからです。また一方で、保育士一人で見る子どもの数が多すぎて、子ども一人ひとりの気持ちを受け止めて対応をすることが難しいこともあり、子どもとの関わりが十分できないもどかしさも抱えてきました。公立の保育所だからこそ保育の質を守り、子どもたちを守ることが必要です。
私は、子どもの育ちを支えるために子どもの主体性を尊重した保育ができるよう保育士が働きやすい職場をつくり、保護者も安心できる保育所にしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして一般質問を行います。
1.保育の充実について
まず初めに保育士の待遇について質問します。
当局から提出された資料によると、正規保育士が不足しているため、欠員が常態化し、非正規の補充保育士が配置されています。その人数は、平成31年4月1日現在260名で全体の28.5%になっています。正規保育士が少ないために、早番遅番の当番回数が多く、事務量や各種会議への参加、保護者対応などが増え仕事量が増大し、過密労働になっています。時間外労働も5年前に比べて月平均3時間も増え、最大では年間303時間にもなっています。このような状態では子どもとゆったりかかわる余裕がなく、子どもにとってもいい環境とは言えません。また、当番による保育士同士のすれ違いで十分な保育の話し合いができないことは、保育の質にもかかわってきます。一刻も早い正規保育士の補充が必要と考えます。
保育所は女性の多い職場環境のため、産休・育休が多く発生します。本来、その代替職員をゆとりをもって確保しなければならないのに、確保されていないため代替職員をクラス担任の代わりに配置したり、代替職員が配置されないまま欠員となったりしている保育所もあり、慢性的な人手不足に陥っています。
朝夕の延長保育職員の不足も深刻です。正規保育士や非正規の補充保育士が時間外勤務をして延長保育職員の不足を補っている保育所が増えています。通常、早番勤務は8時から16時30分までですが、朝の延長保育職員がいないために正規保育士が7時に出勤して、夕方の延長保育職員も足りない場合は18時15分まで勤務する長時間労働の実態があります。正規保育士・代替え職員・延長保育職員の確保は急務と言えます。そこで伺います。
一つに、職員の不足により、保育に影響が出ている現状についての認識をお答えください。
二つに、よりよい保育をするために本来はすべて正規職員で人員確保すべきだと思いますが、いかがお考えですか。
三つに、産休・育休代替や延長保育職員などの非常勤職員不足を解消するための対策についてお答えください。
次に、公立保育所の民営化について質問します。
千葉市では市立幼稚園の廃止に伴って土気保育所が民営化されました。10年前には公立保育所の半分を民営化するという案が出されましたが、職員や市民、日本共産党市議団の運動で民営化案を撤回させ公立保育所を守ってきました。2012年に老朽化した6か所(寒川、大森、緑町、小深、千城台西、小倉台)の木造の保育所を建て替える計画が出され、建て替えにより寒川、大森、緑町の3か所が民営化されました。公立保育所が民営化されるときには環境の変化が著しいため子どもが不安にならないような対応が求められます。民営化の最大の問題点は、職員がすべて入れ替わってしまうため、子どもや保護者との信頼関係を築くまでに時間がかかることにあります。今回の大森保育所と緑町保育所の事例では非常勤職員が民営化された保育園に残っても比率が少なかったために、子どもたちが不安になり、混乱を招いています。また、保育士が確保できないために、定員に空きがあるのに子どもを入所させられない状況が生まれていると聞いています。そこで伺います。
一つに、民営化にあたって保護者からどのような要望が出されていましたか、お示し下さい。
二つに、市は保護者の要望に対してどのような手立てをとってきたのかお答えください。
次に、安全な保育について質問します。
大津市で保育園児たちが散歩中、右折車をよけようとした車が交差点の歩道で信号待ちしていた保育士と子どもたちの中に突入し、子ども2人は亡くなって一人は重体、子どもと保育士13人が重軽傷を負いました。さらに、市原市で道路からフェンスを突き抜けて公園の砂場まで車が突っ込む事故がありました。とっさに保育士が子どもをかばい、子どもは怪我がなかったものの、保育士は重傷を負いました。その後、西宮市でも散歩中の子どもの列に車が突っ込み、子ども2人が重軽傷を負う事故が発生しています。亡くなられた2人のお子さんのご冥福をお祈りするとともに、けがをされた方の心身ともに早い回復をお祈り申し上げます。庭がない保育園は子どもを外で遊ばせるためには散歩に出かけるしかありません。子どもを園外に連れ出すには交通事故に遭う可能性や不審者に遭う可能性、子どもがいなくなってしまうことなど様々なリスクが付きまといます。保育園はリスクがあるとわかっていても、子どもを広い場所でのびのびと遊ばせたい、自然に触れさせたいとの思いから安全なルートを通り、様々な状況を想定して対応策を考えて散歩に出ています。国が保育所の最低基準を緩和して、庭がなくても近隣に公園があれば認可できるようになりました。待機児童対策で千葉市にも小規模保育事業所が増え、65か所中、庭がない施設は52か所もあります。散歩の際は、狭い道路を通らざるを得ない、また電柱をよけながら歩くなど苦労して出かけていると聞いています。一つの公園に複数の保育園が集中しないよう日替わりで違う公園に出かける状況も生まれています。
今回の事故を受けて運転手自身の対応と同時に、事故を防ぐためのハード面とソフト面が求められていると思います。そこで伺います。
一つに、事故を受けて園庭がない施設について実態調査をしたのか伺います。
二つに、この事故の教訓をふまえて庭のない保育園に対してどんな対応をしてきたのかお聞かせください。
三つに、ハード面について伺います。大津市でも交差点にポールが設置されていれば事故を防ぐことはできたのではないかと思います。子どもが安全に園外で活動できるように環境を整えるのは大人の責任です。こども未来局、建設局、都市局と連携して子どもの安全を守るための対策を検討しているのかお聞かせください。
四つに、子どもたちが安全に歩けるように歩道にポールやガードパイプを設置したり、道路に注意喚起の表示をしたりなど安全対策をしていくことが必要ではないでしょうか。
2.緑町の地域問題について
最後に、緑町の地域問題について質問します。
株式会社ZOZOが千葉市と千葉大と包括的連携協定を締結し、西千葉エリアで新たな価値を生み出すまちづくりを目指すとして緑町に新社屋建設が始まっています。協定の目的として、双方の資源、ノウハウを有効に活用した協働による活動を推進することにより、個性や魅力を高め未来へつなぐまちづくり、地域の一層の活性化及び市民のサービス向上に資することをうたっています。
緑町は千葉大学が近くにあり、文教の街として落ち着いた雰囲気があり閑静な住宅街として古くから住民に親しまれています。稲毛消防署西千葉出張所前のスーパーマルエツが閉店してから買い物に困っていると地域の住民から声が寄せられていました。その街で、一企業であるZOZOが次々に土地を買い占めている状況に対して、私も地域を訪問した時に住民から「ここに何ができるんだろう」「緑町はどう変わってしまうのだろう」「店の営業に影響が出るのではないか」など不安な声を耳にしました。そこで伺います。
一つに、協定締結について住民に説明を行ったのか、住民の声を聴く機会が保証されたのかお聞かせください。
二つに、街づくりの具体的な構想の中にスーパーの誘致も含めているのかお答えください。
三つに、ZOZOは民間企業です。その経営方針、経営状況により計画自体の変更やとん挫をすることはないのか、お答えください。
以上で1回目の質問を終わります。
(2回目)
1.保育の充実について
一つ目に、保育士の待遇について伺います。
様々なアレルギー児への対応や障害児保育、虐待の発見や対応、子育て困難家庭への支援、きめ細かな保護者対応など保育士の業務は多岐にわたるとともに、関係機関との連携、調整も必要になっています。これらのことは当然非正規職員も奮闘されていますが、個別対応が求められ、責任ある正規職員が担っていくものだと思います。子どもの発達を保障し、保護者の子育てを支援していく質の高い保育をしていくためには、正規職員の増員が必要であると考えます。
平成30年度の保育士と経験者保育士の募集合わせて35名に対して合格は37名で、採用は保育士経験者保育士合わせて24名でした。35名の募集に対して24名の採用で11名も下回っています。正規職員の増員を本気で考えているならば募集人員を下回る採用は考えられません。そこで伺います。
一つに、募集人員より採用人員が下回った原因をどのように考えますか。
二つに、合格した人が千葉市で働きたいと思えるようどのような手立てを考えていますか。
保育士は保育中子どもから目を離さずに常に緊張した状態で働いているため、長時間労働をすれば大変なストレスになります。正規職員の比率が増えれば、勤務時間内に交代で子どもから離れて指導計画や児童票、クラスのお便りなどの事務を行ったり、保育準備を行ったりすることができ、残業を減らすことができるのではないかと考えます。保育士資格を持っていても保育職場で働かない人が多いのは、長時間・過密労働の働き方があり、仕事と子育ての両立について困難を感じている人が多いからではないでしょうか。子育て中の人が残業をしなくて済み、働き続けられる職場に変えていくことが必要です。視察に行ったある保育園では、残業はほぼなく、勤務時間通りに帰ることができ、離職率も低いというお話を聞きました。そこで伺います。
このような経験に学んで時間外労働を減らしていくことが保育士の確保にもつながっていくと思いませんか。お答えください。
保育所近隣に延長保育職員の希望者がいない場合は、延長保育職員不足が続いてしまいます。実際に何年も確保できない状態で正規職員へのしわ寄せがずっと続いている保育所があり、これ以上放置することはできません。延長保育は、朝夕の時間帯のために、近隣で協力してくれる方が、継続して働き続ける条件となります。
そのため、市でも商店街でのチラシの掲示や自治会の回覧など行なっているようですが、地域の各種関係団体などに働きかけたり、学校の保護者にお知らせしたりするなどあらゆる手立てを行なって確保できるようにすべきではないですか。
公立保育所の非常勤職員の賃金アップが民間保育園の保育士の賃金アップにも反映します。お隣の船橋市では時給1,560円ですが、千葉市は1,330円です。船橋の保育の関係者からは時給を上げたことで、人員確保が出来ていると聞いています。
千葉市も時給をアップすれば人員確保につながるのではないでしょうか。
民間保育園の保育士に対して千葉県と千葉市で月額3万円の補助をしています。また、家賃補助や保育士の子どもの保育料の補助など保育士確保のための施策が行なわれています。それでも保育士の賃金は労働者全体の平均給与に比べて低い状態にあるため保育士不足解消につながっていません。日本共産党は国の責任で直ちに5万円の賃上げを行い、賃金格差をなくしていくよう求めています。そこで伺います。
賃上げについて市独自での対策と国の責任で保障すべきと思いますが見解を求めます。
保育所の民営化後の混乱については、市としても職員を派遣して対応してきたことにより徐々に保育が安定してきていることは、安どしております。
しかし、民営化後に保護者から寄せられた意見・要望が94項目にも上っていると聞きました。いかに民営化で行われている保育に保護者が戸惑い、不安を感じているかがわかります。関係者からは「0歳から6歳までが一緒に過ごしているので、小さい子にけがをさせるのではないかと不安だ」「4月から1度も散歩に行っていない」「園庭に遊具がなく、毎日泥遊びばかりやっている」などの声が共産党の市議団にも寄せられています。そこで伺います。
一つに、保育士の確保や保育環境の整備が不十分なまま、4月の開園を見切り発車したことが子どもや保護者にしわ寄せがいったのではありませんか。今回のことを教訓にしてどう生かしていくのですか。
二つに、今回の民営化ではスムーズな運営、保育の質を保つという点では課題がありました。老朽化による建て替えが決まっている保育所は公立として建て替えるべきです。お答えください。
日本共産党市議団はこの間ずっと、子どもが安全に過ごせる庭がある保育園の設置を求めてきました。庭に子どもの発達に適した遊具があることで、運動機能の発達はもちろん、遊具を介して社会性や言葉の発達が促されます。変化に富む砂や土、水に触れることで試したり考えたりする力が養われます。子どもの心と体を育てるためには安心して走り回れる庭と遊具が必要です。世田谷区では子どもの豊かな育ちを保障するためには庭が必要だとの考えから、新たな保育園を設置する際には庭があることが条件になっています。千葉市でも子どもの発達を保障するための保育の質を確保することが求められます。
現時点で庭がない保育園に対して、危険を冒して毎日散歩に出かけている状況を改善していかなければなりません。千葉市の配置基準は1,2歳児5対1です。保育士一人で5人の子どもを園外で保育することがいかに大変か想像できると思います。車が散歩の列のそばを通るたびに、保育士は子どもたちを止まらせて自分の体で子どもをかばって危険から守っています。園外保育のたびに保育士は神経をすり減らしてストレスにさらされています。
世田谷区では認証保育園や小規模保育事業所などの庭がない施設は、近隣の庭がある保育園や小中学校と連携して校庭を利用できるようにすることで、安全面の確保をしています。千葉市の公立保育所では3歳未満児の散歩先として近隣の小中学校に出かけています。小学校の敷地内ということで、安全面も確保されますし、飼育小屋や池の周りを探索したり、植えてある植物を見たり、また小学生と触れ合う機会もあり、子どもたちの興味関心が広がり教育にも適した場所となっています。
子どもの安全確保のため、こども未来局、建設局、都市局が連携して対応していくという回答をいただき、子どもたちの安全が守られるために前進できるのではないかと思います。そこで伺います。
一つに、園外活動について実態調査をしないでマニュアルを周知しただけでは安全確保対策としては弱いのではないでしょうか。早急な実態調査を求めます。
二つに、市として安心安全の保育を行うため、園庭がある保育園を整備すべきではないかと考えますが、いかがですか。
三つに、園外活動の安全確保のため職員の増員が必要ではありませんか。
四つに、庭のない保育園が、小中学校の校庭を利用できるよう教育委員会と連携して対策を講じる考えはありますか。
2.緑町の地域問題について
緑町にスーパーがなくなってから自転車で西千葉駅前のスーパーまで行くしかなくなってしまった高齢者が多く、スーパーの搬入口付近にずらりと自転車が並び業者とトラブルになっているという話を聞いています。また、子育て中の人も保育園のお迎えの後に買い物に寄ることができなくなり、近くにスーパーを求めていると聞いています。住民のニーズを把握し地域の要望に沿った街づくりをしていくことで企業として社会貢献ができるのではないかと思います。そこで伺います。
一つに、市は、緑町にスーパーがなくて住民が困っている実態をどこまで把握しているのですか。積極的にZOZOに働きかけてスーパーの誘致を求めていくべきではないですか。
二つに、地域経済の発展や住民サービスの向上というなら住民や地元商店街の意見を聞くべきです。住民意見の反映はどう担保されるのかお答えください。
以上で2回目の質問を終わります。
(3回目)
緑町の地域の問題については、ZOZOにスーパーの誘致を求めるのは難しいとの答弁でした。しかし、連携事項の中には文化・教育及びスポーツ振興の推進がうたわれています。稲毛区には文化ホールがないので、ホールを作ってほしいという要望があります。地域の住民の要望を聞き、まちづくりを進めていくべきです。ZOZOが文化ホールに携わることで地域貢献にもつながると考えます。
保育の充実については、保育の現場を知るものとして、子どもが安全に安心して過ごすことができ、保育士が長時間労働でなく働きがいをもって仕事ができるように求めてきました。公立保育所だからこそ手厚く保育が行われてきたのに、今回の民営化を行ったことで保育の低下と混乱をもたらしました。残りの建て替え対象になっている小深、千城台西、小倉台の3つの保育所については公立として建て替えることを強く求めます。
保育園の安全対策について、大津市では市が職員91人態勢で安全確保への取り組みを進めるプロジェクトを立ち上げたとの報道がありました。これに学び、直ちに実態調査をすることを求めて私の一般質問を終わります。