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日本共産党東京都議会議員団

若者の住みやすいまちづくりまちへ、給付型奨学金制度と家賃補助制度の創設を! かばさわ洋平議員反対討論〔2019年第2回定例会〕

○ かばさわ洋平議員の反対討論      2019.6.25

 

 会派を代表して、市長より提案されました28議案中、議案第86号、議案第87号、89号~91号、93号、95号、96号、98号、100号~103号、108号、111号に反対するとともに、発議第6号が否決されたことに対して、また請願第1号~3号が不採択になったことへの討論を行います。

 

 はじめに、議案第85号・千葉市一般会計補正予算の消防団設備整備事業についてです。

あすみが丘出張所整備事業について、オリンピック需要の影響等での3億3200万円から4億3260万への継続費の高騰は、騒音等の配慮で土曜日を休工日に加えるなどで地元住民要望に即した対応は一定評価するものの、建築設計の見直しなどの要因も大きく、事前の見積もりの甘さが指摘をされるものです。

 地方財政法第3条で予算の編成で「地方公共団体は法令の定めるところに従い且つ合理的な基準により経費を算定しこれを予算に計上しなければならない」第4条で「予算の執行はその目的を達成するために必要且つ最小の限度を超えてこれを支出してはならない」との規定に触れる恐れがあると指摘をせざるを得ません。速やかにあすみが丘出張所整備を進めるべきと考えるため、補正予算案には反対しませんが、市民からの信頼を損なわぬよう、今後の建設案件において適切な見積や積算をすることを求めておきます。

 

次に、議案第86号、87号千葉市会計年度任用職員の給与その他の給付に関する条例及び、地方公務員法及び地方自治法の一部改正に伴う関係条例の整備に関する条例の制定についてであります。会計年度任用職員制度が導入されることに伴い、給与や給付に関し必要な事項を定めるものです。

 本議案に反対する理由として、1つに会計年度任用職員制度の導入は、不安定、低賃金な臨時、非常勤職員が自治体職場で増え続けていくことを当然として、必要な業務を正規職員の定数枠を広げる内容が一切示されていないことであり、正規職員は定員割れ、非常勤職員を増やし安上がりの行政をすすめることの、制度的基盤を構築するものであるからです。

2つに、会計年度ごとの任用と雇い止めを自治体の判断でできることを可能にしたことは、地方公務員の恒常の職の期限任用の原則を崩す恐れがあるからです。

3つに、会計年度任用職員への給付について、フルタイムの場合は給料および各種手当ての対象となるのに、数分でも短くパートタイマーとされた者は期末手当てのみとされてしまい、フルタイムとパートタイマーでの待遇格差が広がることは問題です。

4つに、教員・講師の年収が約180万円の抜本的改善が求められているなかで、時給960円など低賃金改善こそ必要であり、ただちに時給を1500円に引き上げることを求めます。

5つに、保育職場の非正規雇用率が高いため、正規の保育士増で定員を確保し、保育の質を向上させることを求めます。

6つに、年収200万円以下、非常勤勤務の70%が女性である公務職場となっている千葉市がワーキングプアの製造所となって、千葉全体の格差拡大を進めることになりかねないことを直視し改善することを求めます。非常勤職員を1年任用の「会計年度任用職員」として制度化する本条例は、正規職員を原則としている地方公務員法を揺るがすものであり、認めることはできません。

 

次に、議案第89号千葉市市税条例等の一部改正についてです。

 条例改正の理由は、消費税増税に伴い、自動車メーカー業界の利益を増やこと、地方自治体の課税自主権を侵害すること、大規模商業施設に対して税の優遇措置を行うことであり、市民の利益に反する市税条例等の一部改正には反対であります。

1つ目の理由として軽自動車環境性能割合の創設については、消費税10%増税による駆け込み需要と増税後の落ち込み、いわゆる反動減の対策として軽自動車環境性能割合の創設がされました。消費者の利益のように見せかけて本当の狙いは、自動車メーカー等、業界団体は自動車保有税の恒久的な引き下げと併せて、軽自動車環境性能割合の創設し、車の売り上げを確保するための条例改正であるため、反対するものであります。

2つ目の理由として、法人市民税の法人税率の税率見直しですが、消費税増税による地方財政への影響にたいして、国が地方に交付する交付税の原資として、法人市民税の税率を引き下げによる影響額を地方から国が吸い上げて配分するものであるからです。税率が引き下げによる千葉市への税収減額は約41億円にもなります。地方税を国が取り上げ、他の自治体に回すやり方を恒久化することは、地方自治体の課税自主権を侵害し、地方税制にゆがみを持ち込むことであるため、反対するものであります。

 

次に、議案第90号、91号、93号、101~103号及び111号については、本年10月の消費税率10%引き上げによる各種料金改正です。消費税は2014年4月にも8%に増税されましたが、その増税で国民の暮らしは大きな打撃を受けています。家計消費は増税前と比べて年25万円も減り、実質賃金は6年で年10万円以上減っています。こうした時に再び増税したら、消費は冷え込み、市民の暮らしは悪化します。消費税増税10%は中止すべきであり、新たな市民負担増においては反対するものです。

 

次に、議案第95号・千葉市市民参加及び協働に関する条例の全部改正についてです。

今回の改正は、条例の題名を「市民参加及び協働に関する条例」から「市民自治によるまちづくり条例」とし、行政主体であった条例の「前文」の主語を「私たち」に変え、市民自治によるまちづくり条例とするもので、市民の協力を求める内容にとどまっています。行政側から「今後は、市民主体の活動を促進する必要がある」「行政サービスだけでこれらの課題の解決を図ることが困難になっており、市民の皆様に地域の実情に合ったまちづくりをしていただくことが必要になったことから今回の条例改正案を提出」と改正の理由も示されました。行政の役割を放棄しつつ、地域課題の解決のため市民に「共助の押し付け」をするものです。また、今回の条例改正にあたってのパブリックコメントには、2名から9件の意見しか寄せられておらず、多くの市民が知らないまま市民自治の条例が策定されたとの感が否めません。

日本共産党千葉市議団は、2002年12月に「千葉市市民参画条例」を提案しており、その後、2008年の条例制定時にも、市民ネットワークとともに「修正案」を提案するなど、市民参加・参画には常に積極的な立場で関わってきました。

「市民や議会からの要請を受けたものではなく、本市からの働き方がきっかけ」と市も認めているように、本来の「住民自治」や「市民参画」などで、最も尊重されるべき意思形成の段階からの積み上げ等が不十分であること、あわせて2008年の条例制定時に賛否両論で議論した、住民の意向を直接反映させる住民投票の規定が反映されていないことなどを踏まえ、この議案には賛成しかねます。

 

次に、議案第96号 千葉市美術館条例の一部改正についてです。

 3つのコンセプトに基づく新たな事業に積極的に取り組み、所蔵作品を鑑賞できる場や子どもたちの豊かな想像力や創造性をはぐくむ場、地域のコミュニケーションの場とするなど、

美術館の拡張による「子どもアトリエ」「市民アトリエ」などの新たな体験型の事業には期待の声もあり、今後、市民の活用が十分行われるよう望むものです。しかし、常設展示の観覧料については一般が200円から500円で300円値上げされ、大学生・高校生は220円、中学生・小学生は150円とそれぞれ値上げとなります。消費税等の増税など市民負担となることには賛同できません。

 

次に、議案98号・千葉市少年自然の家設置管理条例の一部改正についてです。

今回の改正は、PFI事業契約終了後に指定管理者制度を導入し、利用料金の導入と利用対象者の拡大を図るものです。

現在のPFI事業では議会の関与がなく、事業費用や内容も不透明で事業の内容を知るにはサービスの点検にとどまっています。しかも指定管理者制度で公募して導入となれば、職員の人件費などのコストカットにつながることが懸念されます。

本来、教育施設は無料であるべきですが、中学生以下の利用料が無料から有料化し、すでに食事代やリネン代、バス代に加えてさらなる負担増は問題です。以上のことから条例の一部改正には反対するものであります。

 

議案第100号・千葉市都市公園条例一部改正についてです。

蘇我スポーツ公園への指定管理者制度の導入及び、料金改定と昭和の森への指定管理者制度導入と料金改定です。

利用料金改正においては、昭和の森の駐車場利用料金が現行の1日400円から、1時間100円となることは、2016年に日本共産党市議団としても求めてきたものであり、市民の利便向上につながるもので一定評価するものの、一方で蘇我スポーツ公園においては多目的広場と第1多目的グラウンドにおいて、消費税の転嫁以外に、利用率が減少したことを受けて、利用料金を便乗値上げすることは合理性はなく、市民サービス向上に反するものであり、賛成することはできません。

 

 次に、議案第108号・富士見ハイネスビルの財産の処分についてです。

 ビジネス支援センターが用途廃止されたことに伴い、富士見ハイネスビル区分所有権を処分することですが、売却先が中央公園・通町公園の連結強化事業用地として取得する土地の所有者であります。中央通町公園の連結強化を進めるための、代替資産として先行して提供するという理由もあり、交渉における透明性が欠けること、価格等の適正なのかどうかという疑義があることや、そもそも中央公園・通町公園の連結強化事業は多額の税金が投入される事業でありながら、効果は不透明であり市民理解が得られていないために、賛成しかねるものです。

 

次に、発議第6号・千葉市介護保険条例の一部を改正についてであります。

本発議の目的は介護保険サービスへの苦情を迅速に処理し、適正な介護保険事務の執行を図るものです。

 これまでは介護保険のサービスの利用についての改善は一定図られてきましたがまだ不十分です。さらに厚労省の調査でも介護職に対するパワハラ・セクハラが半数を超えることが明らかになりました。こうした介護現場で介護保険の利用者と介護職が働きやすい環境を実現することが求められています。

 問題は当局が「苦情については千葉県社会福祉協議会や国保連合会が対応している」と説明したことです。介護保険の実施主体である千葉市がこの問題を正面から取り上げないで他の機関で対応する姿勢は認めらません。

 介護サービスを利用する人と介護職が共同でより良い介護保険制度にするために千葉市は深刻な介護保険の現場に寄り添い苦情を処理する機関を設置して、介護保険の充実を図るべきです。わが会派以外の反対で否決されてことは極めて遺憾であります。

 

次に、請願第1号・千葉市病院事業のあり方検討委員会の市民参加を認める請願が不採択になったことです。

 この請願は①希望者がすべて傍聴できるように、②市民があり方検討委員会に意見を述べる場の確保、③もっと市民への情報公開を求めるものです。

わが会派以外の反対で不採択になったことについて意見を申し上げます。今日、市民に関わる課題について市民参加が保障されない委員会は考えられません。市立病院は市民のための病院です。委員に市民公募委員の参加は当然のことです。

 市民不在の市立病院のあり方は考えられません。市民参加、情報公開をさらに進めること、自治体病院の本来のあり方を実現することを強く求めるものです。

 

次に、請願第2号・千葉市独自の給付型奨学金の創設を求める請願についてです。

本請願は、お金の有る無しに左右されることなく、経済的に困難な若者でも大学に進学できるように市独自で給付型奨学金を創設することを求めるものです。

進学を希望して大学に合格したのに入学金を払うことができずに進学を断念した人や学費を払うためにいくつもアルバイトをかけもちしているため、本来の勉強時間をとれない学生の実態から、若者の学ぶ権利を保障するための制度が求められています。

2020年度から国が奨学金制度を新しくしますが、利用できる人は住民税非課税等で限定されており、国の制度は学びたい人すべてが利用するには不十分です。

海老名市や旭市、浦安市など他の自治体では奨学金返済に補助を出し若者支援をしています。他自治体の制度にも学び自治体独自の給付型奨学金制度の研究し、さらに学生の実態把握に取組み、実施を求めます。他の委員からは、国の制度があるからと反対したのは現状を見ず、自治体としての役割を求めようとしないのは問題です。すべての若者がお金の心配なく学べるよう給付型奨学金の創設を求める請願への賛同を求めるものです。

 

次に、請願第3号・若者への家賃補助制度の創設を求める請願についてです。

 非正規雇用が増え、若者の低賃金化が進み、生活や自立が困難な若者が多いため、安心して住み続けられるよう若者向け家賃補助制度を求めるものです。

 2019年1月の総務省「労働力調査基本集計」によると、非正規雇用労働者は38%にまで増加しており、若者の3人に1人が非正規雇用と雇用環境が不安定であり、また人口減少社会のなか、若者の定住促進にも有効な施策である若者家賃補助等の制度は全国50を越える自治体が進めています。本市の課題として、千葉市まち・ひと・しごと創生 人口ビジョン・総合戦略でも、「学生や若い社会人が、進学・就職などの機会に本市に転入し、大学卒業や転勤などを契機として転出していってしまう。若い世代の定着を図ることは、本市の社会増にとって極めて重要といえる」としています。こうした課題解決に向けても若者の定住を図る家賃補助制度は有用な施策であります。委員会質疑では、日本共産党千葉市議団以外の会派は反対しましたが、人口減少社会到来が目前のなか、本気で若者の住みやすいまちづくりを進めていくことが今こそ必要であります。若者に選ばれる都市、若者の活力で地域経済が活性化する千葉市をつくるためにも若者向け家賃補助制度を求める請願に賛同を求めるものであります。

 

 最後に、議会運営について、一言申し上げます。本定例会より、議場説明員が関係当局職員のみとなりました。政令市としてこうした対応は千葉市だけであり、全国的にみても例がない対応であります。市議会を傍聴された市民から「なぜ議場説明員がいないのか」「議会軽視につながらないか」と指摘を受けました。確かに、執行部の業務効率の観点から、一定の合理性はあるものの、しかし、市政の施策一般質問で議論する内容は例え、答弁すべき当局だけの関連にとどまらず、部局を越えて複合的に関連や協力関係があるものであります。全庁上げて取組む課題などを当局がより理解し、施策に反映してこそ市政発展につながるものと考えます。今回の対応が行政の縦割り化をより促進しかねない、さらには執行体制の緩みにつながらないのか危惧するものであります。現に、本定例会において、議場説明員の答弁修正を行なう機会が少なくとも3回もあり、市民への信頼にも影響しかねないものであります。よって、議場説明員における対応は、従前のごとく全ての職員が出席して対応することを求めるものです。

 以上で、日本共産党千葉市議団を代表しての討論を終わります。

 

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