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日本共産党東京都議会議員団

子どもの医療費助成制度の窓口負担増は中止を! あぐい初美議員の反対討論〔2019年第3回定例会〕

日本共産党千葉市議会議員団のあぐい初美です。まず初めに台風15号により被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。同時に市民生活の復旧と支援のため、市の職員の皆さんが昼夜を分かたぬ奮闘をされていることに感謝申し上げます。
会派を代表して市長より提案されました議案第117号、議案第120号及び議案第127号、議案第129号から第131号、議案第137号については反対するとともに、発議第11号が否決されたことについての討論を行います。

 

初めに議案第117号、令和元年度千葉市一般会計補正予算(第3号)中所管、稲毛海浜公園のリニューアルについてです。
稲毛海浜公園リニューアルにおける海へのウッドデッキ整備について、漁業への影響や安全確保等に関する漁業関係者との協議に不測の日程を要したことから整備期間を1年間延長するというものです。
委員会質疑では、ウッドデッキ整備に伴う環境影響については漁業関係者へ環境影響は軽微であると説明して理解を求めたものの、一部の漁業関係者は海に手を加えてほしくないという反対の声があったとの答弁です。漁業関係者からの反対の声があること、そもそもリゾート感の演出のために、白い砂浜に約9億円近く、ウッドデッキ整備に事業費は5億2,600万円も使うということ事態が市民理解は得られない事業でもあるため、本補正予算には賛成することはできません。

 

同じく議案第117号、公立保育所管理運営費(公立保育所・公立認定こども園副食費)についてです。
今年10月からの幼児教育・保育の無償化に伴い、これまで保育料の一部として徴収していた3歳以上児の副食費について、別途徴収することとされたことから、公立保育所及び認定こども園における副食費月額5,160円を徴収し、年収約360万円未満世帯及び第3子以降の副食費の免除を行い、経費を補正予算として計上するものです。
これまで副食費は保育料の中に含まれていました。保育園の給食は国の保育所保育指針でも保育の一環と位置付けています。子どもの豊かな生活と発達を保障するうえで保育から給食だけを切り離すことはできません。
公立保育所については一律の金額でも民間保育園、幼稚園、認定こども園などは4,500円から6,000円までと徴収額にばらつきがあります。利用調整があり、希望した施設を利用できない場合、徴収額が高額でも受け入れざるを得ません。今まで公立も民間も同じ保育料だったものが実費徴収によって新たな格差が生まれます。
無償化といいながら副食費の実費徴収をすることは子育て世帯の家計を圧迫します。秋田県では半数以上、徳島県では4割以上、東京都では4割近くなど、全国で少なくとも100を超える自治体が副食費を無償にすることが明らかになり、立川市や世田谷区では部分的な補助を行い子育て世帯の経済的支援を行っています。子育てしやすい千葉市となるよう県内の先頭を切って副食費の無償化をすべきです。
10月からの無償化により、教育・保育施設の利用希望者が増え、待機児童の増加が予想されます。子どもの成長発達にとってふさわしい認可施設の整備を進めるとともに保育士の待遇改善を行い保育士の確保についてもさらなる注力が必要であると指摘しておきます。

 

次に議案第120号 千葉市競輪事業特別会計補正予算 及び 議案第127号 千葉市競輪事業施設整備基金条例の制定についてです。
新たな250競輪の実施にあたって、競輪事業施設整備基金を創設し、前年度の繰越金を積み立て、5か年計画で選手宿舎(千葉サイクル会館)を9億3,820万円かけて改修するものです。
千葉サイクル会館は現在、選手宿舎として競輪開催時60日程度の稼働であり、市民への開放も隣接する高校の入学式・卒業式のほかは、利用頻度が高いとは言えません。千葉市は、建設費用に39億9,000万円、土地の取得に28億円をかけて建設された選手宿舎を、今回の改修であと37年間の延命化を図るとしています。
また、現在の競輪事業基金を、施設整備基金と運営基金とに分けることで「目的が明確化し、安定した体制」になるとしていますが、全国的にも競輪事業自体ピーク時の3分の1まで収益が減っており、250競輪についても依然先行きは不透明と思われます。市は、オリンピックを機にスポーツ性の高い250競輪で新たなファンの獲得を進めるとしていますが、新たに公営事業、ギャンブルに関わる人を作ることになります。競輪事業については、そこで働く職員の方々の職場の確保は必要だとの主張はしてきましたが、新たに展開すべきではないとの立場であり、反対です。

 

次に議案第129号、子どもの医療費の助成に関する条例の一部改正についてです。この議案は現在通院受診において子ども医療費受給券を提示して処方される調剤について、保険調剤薬局での自己負担額は無料としているものを、0歳から小学校3年生までは300円、小学校4年生から中学校3年生までは500円の保護者負担を新たに求めるというものです。

子ども医療費助成制度は全国でも県内でも拡充する動きが広がっており、自己負担の金額を軽減し高校3年生まで助成年齢を引き上げる自治体が増えています。千葉市でも子ども医療費助成を行い、通院受診の際、窓口で300円もしくは500円という安い金額を支払うことで気軽に医療にかかることが出来る制度を作り、子育て世代の経済的な支援をしてきました。

ところが、この議案では今まで無料だった薬代を保護者に負担させる子育て支援に逆行する内容です。子どもはいろいろな病気にかかって大きくなっていきます。定期的に受診し、小児科、眼科、皮膚科、耳鼻科などにかかればそのたびに薬が処方されることが多くあり、お子さんが多く、疾患を抱えるほど青天井で負担増となっていきます。市は保護者の自己負担額の増加見込み額を平均で年6回2,300円としていますが、家庭によってはこれを大幅に上回る負担を強いられることは予想に難くありません。4年生以上では今まで通院1回につき500円だったものが1,000円になったのでは気軽に受診できない世帯も出てきて受診抑制につながらないか懸念されます。

千葉市では経済的に困難な状況で支援制度を利用する児童数は約13,000人で約13人に一人となっており、子どもの相対的貧困率は13.9%です。子どもの貧困対策推進計画のアンケート項目で、子どもの体調が悪い時に病院に受診したほうが良いと思ったのに受診しなかったことがあると答えた世帯32.2%のうち、8.7%が医療費の支払いが困難だった、5.4%が病院までの交通費の支払いが困難だったと答えており、これ以上の負担増となれば、そうした回答をした保護者は子どもをますます受診から遠のかせてしまうのではないでしょうか。

市は薬代を保護者に負担させて浮いた分の予算をエアコンの維持費や児童相談所の体制強化など子育て施策にまわすと説明していますが、子育て支援のための事業を削って別の子育て支援事業につけ変えただけで、子育て施策は何ら前進するものではありません。国に子ども医療費助成制度を早急に作るよう要望するとともに、市の公共事業を見直して子ども医療費助成のための財源を確保すべきです。子育て支援では経済的負担の軽減がなによりも優先して求められていることから、保護者に新たな負担を押し付ける本議案には賛成できません。

 

次に議案第130号、千葉市児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例等の一部改正についてと議案第131号、千葉市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正についてです。
子ども・子育て支援法施行5年後の見直しによる国基準の改正により、小規模保育事業等において、卒園後の受け皿にかかる保育所、幼稚園、認定こども園などの連携施設の設定が進んでいないことから、連携施設の確保を猶予される期間を5年から10年に延長するもの、また、家庭的保育事業者においては食事の提供において原則とされている自園調理について、自園調理に関する規定を適用しないことができ、弁当持参等の手段も認められる経過措置期間を5年から10年に延長する措置を居宅以外でも行う事業についても適用するというものです。どちらの改正内容も規制緩和を容認し、保育の質の確保にはつながらないことから賛成することはできません。

 

次に議案第137号、日本スポーツ振興センター共済掛金徴収条例の一部改正についてです。独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令の一部改正に伴い、共済掛金の額が改定されたため、市が保護者から徴収する額として条例で定めている額を高等学校は1,380円から1,830円に、特別支援学校高等部は920円から1,075円に改定するものです。この制度は学校の管理下における骨折、捻挫、打撲、擦過傷などのけがや疾病などの災害に対し、国、設置者、保護者が相互に負担をして補償するものです。万が一の災害のために補償制度は大事であるとともに学校管理下であれば、市が子どもの安全を守っていく責任があります。市は子どもの災害の防止に努めるとともに、子どもに災害が発生した際には責任ある対応を行うためにも、この制度の充実が求められます。高校生になれば通学費、部活や塾などいろいろと出費がかさみ、保護者にとっては経済的に苦しい時期であると思います。保護者から徴収する掛金の額を値上げして、保護者負担を増やすべきではありません。以上のことから本議案には賛成できません。

 

次に発議11号 千葉市再生資源物の屋外保管に関する条例の制定についてです。
千葉市内に多数設置されている、金属スクラップヤードは、新たに建設中のものも含めて75カ所も存在しており、崩落・騒音・相次ぐ火災事故など、市民生活の安全と生活環境を著しく脅かし、住民に不安を与えています。これまで行政のチェックや規制の及ばなかった再生資源物保管所と事業者に、届け出を求め、必要な協力を求めることを目的として条例の提案を行いました。

常任委員会の審査では「目的の主旨には賛同する」としながら、「この条例でどこまで規制できるのか」など実効性や強制力を理由に、すべての会派から否決されました。今現在、何の規制もない状態で、事業者の同意がなければ立ち入り検査や指導など行えない現状を、さらに放置することになることを住民は望んでいません。「この条例があるとできることは何か」と問われ、「届け出が出されると場所の把握や指導、立ち入りができる」と条例の実効性があることを当局も答弁しています。市内の75カ所の金属スクラップヤードに対し、必要があれば立ち入り検査や改善命令を行なえるよう求めた条例が否決されたことは大変残念であり、誠に遺憾です。

 

最後に一言申し上げます。議案第122号地方公務員法の一部改正に伴う関係条例の改正についてです。これは、成年後見人及び被保佐人が職員の欠格条項の対象から除外されたことに伴う改正です。この改正は、2年前の9月議会にわが会派が条例提案したものであり、歓迎するものですが、当時は議会で否決されました。この制度を利用すると選挙権が奪われるという問題がありました。今回の条例の改正でこうした背景と障碍者権利条約、多様性共生社会のもとで関係者の希望にこたえる対応強く求めるものです。
議会では、議会の権能強化が求められています。市民の権利が奪われることに対して議会として改善を求めることこそ議会の権能を高めることになると考えます。
日本共産党千葉市議団は、市民の命と健康、福祉が大事にされ、市民生活優先の市政運営がおこなわれることを求め、会派を代表しての討論を終わります。

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