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日本共産党東京都議会議員団

2018年度決算の不認定討論―かばさわ洋平議員〔2019年第3回定例会〕

日本共産党千葉市議会議員団を代表して、平成30年度決算に不認定の立場から討論を行ないます。
不認定の第1の理由は、平成30年度決算においては24億円の実質収支の黒字でしたが、住民福祉の向上という視点で精査すると、必要性や採算性が問われる大型開発事業を推進する一方で市民福祉を大幅にカットした決算であるからです。
まず、はじめに、市民が真に必要とする福祉をカットする問題についてです。平成30年度決算における心身障害者福祉手当カットや家庭ごみ有料化などの市民負担増と福祉カット合計は22億円にも及びます。今回、代表質疑にて心身障害者福祉手当カット2億3千万において、当初説明していた発達障害者支援などの喫緊の課題に対応するためにどの程度配分したのかを質すと、カットした2億3千万のうち、約1,300万円でしかありませんでした。必死に暮らしている心身障害者の手当を削り、しかも平成30年以降は65歳以上で新たに手当支給対象になった障害者は支給しないというものであり、心身障害者に対して、あまりにもむごい仕打ちと言わざるを得ないものであります。
次に、在宅高齢者オムツ給付削減1億円についてです。今回のオムツ支給事業の所得制限の改悪は、支給対象を住民税非課税以下にしたため、65歳単身者において年収160万円で介護度4及び5の市民は月額800円の負担だったものが、8,000円の負担になり、年額にすると9,600円負担から9万6,000円と10倍の負担増を強いられ、悲鳴の声が寄せられております。しかも、今回の削減1億円についての、使途を質しても、活用されたのは1,500万円であります。
今回の二つの福祉カットについては、声が上げづらい障害者や高齢者を狙い打ちするところが大きな問題であること、また、福祉カットの財源が説明してきた施策に対して予算が適切に振り向けられていないという2重の問題が明らかになりました。「誰も置き去りにしない」という市長が掲げる市長選のポリシーに真っ向から反する、真に支援が必要な福祉さえ削っていく市政運営については、認めることはできません。

次に、市民福祉カットと大型開発についてです。先ほど述べてきた、市民福祉カットの合計は平成30年度決算において22億円の一方で、千葉駅東口周辺再開発、競輪・体育館整備事業、稲毛海浜公園リニューアル、通町公園・中央公園連携事業などの大型開発事業は15億7,800万円を使い、採算性や必要性が指摘される事業もあるなかで、今後も多額の事業費が注ぎ込まれることになります。
この福祉カットと大型開発の関係を熊谷市政がスタートした平成23年度から平成30年度までまとめてみると、福祉カット、公共料金値上げ、ゴミ袋有料化、職員給与カット等で合計269億7000万円となります。一方の大型開発については、平成23年度から平成30年度までの合計は231億9,000万円であります。必要性や採算性が問われる大型開発事業を少しでもコスト縮減や見直しを行なえば、市民生活を追い込むような福祉カットはせずに運営できていたのではないでしょうか。
今回、新たに提案された子ども医療費負担増についても代表質疑で取上げましたが、子育て世帯を追い詰めるような負担増は、少子化を一層促進させて、都市としての活力をも失わせるものです。市長に強く申し上げたいのは、財政健全化のためという旗印のもとで、見直す施策を間違えては市民が不幸になるということです。通町公園・中央公園連結に立派な参道ができなくても、市民の命と健康には影響がありません。しかし、いまでさえ経済的に子どもの受診を控える実態があるなかで、子ども医療費の負担増により医者にかかることを諦めしてしまう子育て世帯が必ず出ます。医療機関での受診機会を失わせ、子どもの健康と命に影響を与えるのです。子どもの虐待や貧困が社会問題化するなかにおいて、市長の掲げてきた子育てしやすい千葉市にも反するのは明らかでありませんか。子ども医療費の負担増は中止すべきであると重ねて強く求めるものであります。

 次に、財政健全化判断比率改善に伴い、市債の有効活用についてです。実質交際費比率が13.8%に改善したとされています。しかし、このうち、1.6%は県費教職員負担移譲に伴うものであり、市の改善というものではありません。この1.6%分の市債を発行して、市民生活に直結する関連事業に振り向けることを求めるものであります。
 日本共産党千葉市議団がいち早く、そして一貫して求めてきた、小中学校教室エアコン整備に取組んだことや、増額要望してきた土木事務所予算、公園遊具や樹木管理予算が増額されたことは一定の評価をするものです。しかしながら、渋滞が深刻化する道路、危険な交差点改良など市民が望む道路整備の進捗は遅く、または公園のトイレ設置要望があっても14年も先送りされている公園があること、さらには文化ホールのない区への計画を要望しても予算措置もされないなど、市民生活向上には不十分と言わざるを得ません。
実質公債費比率の1.6%分の市債発行可能額1,002億円を、遅れてきた道路整備や公園トイレ新設や洋式化、文化ホール整備など市民生活直結事業に振り向けることを求めます。また、低賃金やわずかな年金で頑張って生活している市民も沢山います。消費税増税が強行され一層、生活が厳しさを増していくなかで、国保料の引き下げや難病見舞金の復活、心身障害者手当復活など、福祉向上に取組むことも合わせて求めておきます。

 次に、市長の基本姿勢の消費税増税についてです。
 先の代表質疑において、市民の暮らしを守る立場から、消費税増税中止または消費税でなく法人税等の見直しで社会保障を充実していくことについて市長を質しました。しかし、「市民の負担増になる」と認めつつも「適切に対応する」という言葉だけにとどまり、国に意見をする姿勢がなかったことは甚だ遺憾であります。
 10月1日から消費税が10%に引き上げられ、軽減税率のレジへの設備投資ができずに廃業する小売店や間違った税の収受が発生するなど売り場における深刻な影響が広がっています。とりわけ、消費税増税に伴う、消費低迷が企業業績を悪化させ、国民の賃金低下に拍車をかけ、1997年~2017年の間に、世界の主要国のGDPは、アメリカ―227%、イギリス―170%、フランス―178%、ドイツ―166%などという伸びですが、日本は110%と20年間かけてほとんど成長しない、長期の低迷に陥っていることは深刻であります。消費税は逆進性が強く貧困と格差を広げるため、税金は負担能力に応じて、応能負担の原則にもとづいて、消費税ではない税制の民主的改革をすすめるよう、市から国に対して要望することを求めるものです。

 次に、IRカジノ誘致についてです。
 代表質疑では、繰り返し市民世論が反対多数のなかで、誘致判断をすべきではないと質しましたが、「民間事業者から情報提供を受けて検討する」との姿勢でありました。市長選挙の時中立とやり過ごし、市民の反対世論の多い施策を推し進めることは民主主義の観点からも問題であります。総務決算分科会の質疑では幕張以外の場所でも検討しているということがわかりました。仮に、幕張以外ということになれば、今まで説明してきた幕張新都市の魅力向上のため、IRカジノ誘致という説明も食い違ってきます。カジノはギャンブルでのめりこみ生活や家庭が壊れ、人生をも狂わす人を増やします。その人の不幸の上で成り立つまちづくりを市民の大多数は望んでいません。民意に真剣に耳を傾け、カジノ誘致中止の判断を市長が下すことを改めて強く求めるものであります。

 次に、防災・台風15号対策についてです。
 9月9日に発生した、最大瞬間風速57.5メートルに及ぶ強風により、大規模な停電が発生するなど深刻な被害が続出しました。今回の台風被害の防災における課題は様々ありますが、2点指摘しておきたいと思います。1つに、情報伝達における改善が喫緊の課題であるということです。停電が続く地域に対して、防災無線が聞こえない地域は陸の孤島と化し、避難所情報すら行き届いていない実態が多数散見されました。既存の防災無線やSNSだけに頼らず、個別訪問や電話・FAX送信、防災ラジオの配布など、情報を届けるための施策改善を要望します。
 2つに、長引く停電の最大の原因となったのが、倒木であるため、杉林の管理について、本市としても条例や支援策を講じて、危険な杉林の適切な管理に取組むことであります。管理が行き届かない溝腐れ病の杉が再度台風によって倒れ、被害が拡大しないよう、調査を進めて必要な予算確保と支援策に全庁を上げて取組むことを求めるものです。また、市が管理する街路樹や公園等の樹木が電線にふれて停電の原因とならぬよう、高木の是正など適切な管理を合わせて要望するものであります。

 次に、各部局に対して、指摘要望など申し上げます。
はじめに、総務局についてです。
職員の不祥事についてですが、平成30年度は18人の職員が懲戒処分を受け、5人が懲戒免職となり、市民の信頼をキズつけています。不祥事の特徴は、飲酒運転物損事故、学校徴収金の着服など、公務員としての倫理意識の欠如が主な原因である事案や組織的対応が不十分であるなどと言われています。再発防止は、相次ぐ不祥事に対応した対策が必要ですが、まずは公務員としての自覚を常に意識したコンプライアンス研修の強化を求めるものです。

次に、市民局についてです。
 住民基本台帳事務についてです。マイナンバーカードは、発行見込み数46,000枚に対して、実際の発行数は22,000枚でした。見込み数の半数以下にとどまったのは、必要性がないことに加え、個人情報の漏洩やカードの紛失・盗難などの不安があるからです。国は今後、健康保険証との統合や、行政手続きの電子申請への統一、戸籍事務とマイナンバー制度を結びつけ、普及を進めていくとしていますが、プライバシーの重大な侵害につながるもので大問題です。「利便性の向上」を理由に、高齢者や障がい者など、デジタルやIT機器の利用に困難のある方が困らないよう、市民の一番身近な行政としてサービスを行うよう求めておきます。

次に、保健福祉局についてです。
生活保護利用者に対する警察からの問い合わせについては法的手続きで対応すること。特にケース記録についてはケースワーカーと利用者の信頼関係を壊すことになりかねない問題があり利用者の人権を守る対応をすることを要望します。
 成年後見制度は市民後見人への支援など制度の理解と利用を強化すること。また、新生児への検査支援では早期発見・早期治療の視点から難聴検査・目の異常検査を100%公費負担で実施することを求めるものです。

次に、子ども未来局についてです。
待機児童の増加に子どもルームの増設が追い付いていないため、子どもたちは狭い保育室に詰め込まれ、遊びが制限されている状況があります。子どもルームの早急な整備を求めるとともに、社協と民間事業者の保育の質に相違がないよう、指導員の確保を求めます。
保育施設整備については、子どもがのびのびと遊べ、子どもの発達を保障できる庭のある0歳~6歳までの施設整備を進めるとともに、保育士の処遇改善を図り、保育の質を確保していくことを求めます。

次に、環境局についてです。
再生可能エネルギー等導入の推進では、太陽光発電等、再エネ・省エネ設備等のさらなる普及を進めるとともに、学校等公共施設の屋上を利用した設備は、災害時に避難所施設の電力として利用できるよう、蓄電も考えた仕組みにするよう求めます。
 ごみの減量化推進については、単一素材プラスチックの拠点回収は始まりましたが、プラスチック容器包装再資源化の取り組みは一向に進んでいません。地球温暖化対策の強化を求める運動が世界各地で取りくまれている中、CO2削減に大きな効果があるプラスチック製容器包装の再資源化を実施するよう求めておきます。

次に、経済農政局についてです。
企業立地促進は、過去5年間、毎年新規企業を25~30社増やし、継続企業は68社、事業費も8億8900万円と伸ばしています。一方、市内中小企業対策や商店街支援向けの施策、農業関連予算は十分といえないため、増額を求めます。
森林振興対策ですが、千葉市はおよそ304haの森林を要し、このうち2018年度は0.56haで整備費は84万円でした。県内のサンブスギのおよそ8割が溝腐れ病と言われており、台風15号においては倒木により深刻な被害が続出したことを受け、被害林の再生を図るために必要な整備費を抜本的に増額することを求めておきます。

 次に、都市局についてです。
高齢者の外出支援策について、我が会派が繰り返し、デマンドタクシーや高齢者シルバーパス制度の導入を提案してきましたが、ようやく地域公共交通網形成計画の策定に取組むなかで検討がされることになるのは前進です。速やかな施策化を求めると共に、高齢ドライバーの事故抑止策として、ブレーキ踏み間違い防止装置補助支援についても要望しておきます。
 公園についてです。公園のトイレ洋式化や新設については、14年間も要望から対応できていないことは大問題です。新たに公園トイレアクションプランを策定して、市民が日々使用する公園環境の向上に向けて、速やかに取組むことを強く求めるものであります。

 次に、建設局についてです。
台風15号による倒木や電柱倒壊が相次ぐなかで、改めて電柱地中化における必要性が高まっています。整備コストが依然として高いという課題がありますが、国に補助負担改善を求めるなど、まずは病院等につながる主要道路等において速やかな整備をして、安全安心なまちづくりを進めることを要望するものです。
 下水道会計事業についてですが、先般9月にあすみが丘3丁目道路で下水管の老朽化影響で陥没事故が発生しました。あすみが丘地域はじめ市内各地で発生しないのかどうか、市民は大変不安になっています。今回と同様な構造の下水管カ所、市内114箇所のうち、昨年度46箇所点検を実施したとのことであり、残る68箇所について今年度速やかな点検調査を実施して、二度と道路陥没事案が発生しないように対応を図ることを求めるものです。

次に、消防局についてです。
消防団に職員OBを登用して地域でのリーダーの役割を果たすことと共に、女性消防職員を積極的に採用し働く環境の充実を図ること、さらには相次ぐ不祥事の再発防止のために組織の風通しを良くすることを求めておきます。

 次に、水道局についてです。一般会計補助金は、霞ケ浦導水事業の撤退に伴い特別損失を計上したことなどにより、11億円まで増加となりました。今後の見通しにおいては、毎年一般会計補助金は8億円程度で推移する見込みであります。県は、統合・広域化の具体的な取組み内容などを盛り込んだ「水道広域化推進プラン」を令和4年度末までに策定することとしており、本市水道と県水道の早期統合化に向けて全力で取り組むことを求めておきます。

次に、病院局についてです。
自治体病院倫理綱領に基づいて政策医療を担い市民に信頼される病院経営を行うこと、地域に必要な医療を公平、公正に提供して市民の命と健康を守る先頭に立っていただくことを要望します。

次に、教育委員会です。
熱中症の危険をなくし、学習環境を改善するために全小中学校へのエアコン設置工事を一日も早く完了させるとともに、工事完了後の学校では速やかな稼働を求めます。普通教室へのエアコン設置完了後は、災害時の避難所ともなる体育館へも早急に設置するよう求めます。
また災害時の避難所として大きな役割を果たした公民館については、利用しやすい施設となるようエレベーターの設置も含め、計画的に修繕を行い、非常用電源の確保など避難所として機能向上をはかるよう求めます。公民館で社会教育主事が増えたとはいえ、企画能力の向上に資する研修の充実を図るとともに、地域の課題や特性に即した主催事業の実施を要望します。

 最後に、台風15号により避難生活を余儀なくされている市民が未だ4名おられます。最後まで被災市民に寄り添い、速やかな生活が再建できる支援を要望します。また、住宅屋根等の一部損壊についても900世帯を超える状況であり、速やかな支援措置が必要であります。国・県・市が緊密に連携を取り合いながら、住宅再建支援に取組むなど、市民の皆様が一日も早く元の生活が送れるよう、引き続き全力を尽くしていただくことをお願い申し上げまして、日本共産党千葉市議会議員団を代表しての討論と致します。

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