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日本共産党東京都議会議員団

種苗法改正を求める意見書に反対討論 野本信正議員〔2020年第2回定例会〕

野本信正議員の意見書討論                2020.6.17

種苗法改正を求める意見書に反対討論を行う

 反対の第1の理由は、農家のタネ取り・自家増殖を制限する種苗法改正は、許諾手続きの費用負担が増加し、また、種子を毎年購入することになり農家の負担が増えて、廃業する農家が増えるなど農業が衰退する。また、「タネは皆のもの」という種子の公共性を壊し、農民の種子を企業の儲けにするものである。

第2の理由は、消費者は農家の負担増により野菜価格が上がる心配があり、廃業する農家が増えれば国産の野菜入手が困難になり、グローバルな品種が増えて食料の安全性が懸念される。現在カロリーベース36%の食糧自給率がさらに下がり、自給・自足が困難になる。

以上2つの理由を要約すると、種苗法改正は、自家採取を一律禁止するもので、農水省は「国内品種の海外流出を防ぐため」と言うが、種苗法に効果はない。海外流出に有効な手立ては、「海外での品種登録しかない」と言われており、改正の理由にはなっていない。

 むしろ、農家に新たな負担を強いて、在来品種や多様な種子が失われ、消費者の選ぶ権利を奪うことになる。また、大手企業による種子の独占が進むと言われている。

 以下、少し理由を付け加える。

 「種苗法改正案」は、これまで原則として農家に認められてきた登録品種の自家増殖を「許諾制」にすることで、事実上一律禁止し、農家のタネ取り(自家増殖)の権利が著しく制限されることになる。

 同時に許諾手続きに費用がかかり、もしくは、種子を毎年購入しなければならなくなるなど、日本農業を支える圧倒的多数の農家にとっては新たに多くの負担が発生する。

 政府は、「登録品種の数は少なく、影響は少ない」というが、例えば、サツマイモは甘みの強い新しい品種が主流を占めていて、そのほとんどが登録品種であり「種苗法改正」で、サツマイモの主要生産地である千葉県では大きな影響が予想される。

 これは、農家の経営を圧迫し、ひいては地域農業の衰退を招きかねない。農業の発展方向を示した「国連家族農業の10年」や「農民の権利宣言」の精神とも相反するものである。

 農水省は今回の改定が「日本国内で開発された品種の海外流出防止のため」であることを強調しているが、同じ農水省が2017年に「有効な対策は海外での品種登録を行うことが唯一の方法である」としてきたものである。

 今回、海外での育成権者の保護強化のために、国内農業の自家増殖を禁じることには何ら必然性はない。

改正案は、在来種(一般品種)は育成者権の対象外としているが、今後、一般品種が登録される可能性も否定できない。

 今回の改正案は、育成権者、いわゆる、金も力もある大企業にとっては大変有利である一方、農家を委縮させ、在来種の栽培やタネ取りを断念させる可能性もある。

その結果、地域で種子を守ってきたタネ取り農家と共に、多様な種子が失われ、消費者の権利を奪うことにもなる。

 また、地域の中小の種苗会社が資金的に品種登録をする余裕がない場合、高額な登録料を支払うことのできる大手民間企業による種子の独占や、市場の寡占化が進み、農家や消費者の選択肢をより一層制限することになる。

 自家増殖禁止は、種子の多様性や地域に適した作物栽培を妨げかねず、地球規模での気候変動による食糧不足が心配される中、食糧自給率の低い日本においては食料安全保障の観点にも逆行している。農業と食の安全を脅かす意見書を、千葉市議会が可決すべきではない。

 以上、地域農家、消費者の権利を守り、安定した農作物・食料を確保する観点から、農家の権利を制限する「種苗法改正」を取りやめることを強く求め、「種苗法改正を求める意見書」に反対する。

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