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日本共産党東京都議会議員団

千葉公園体育館整備の関連予算70億円の事業を延期して、市民生活を優先に!-あぐい初美市議の討論〔2020年第4回定例会〕

議案に対する討論を行なうあぐい初美市議(12月15日・本会議)

会派を代表いたしまして議案第147号 千葉市一般会計補正予算「産地パワーアップ事業に係る国庫補助金返還について」及び議案第152号「千葉市新型コロナウイルス感染症対策条例の制定について」は意見を述べ、議案第155号工事請負契約について(仮称)千葉公園体育館整備工事、議案第156号工事請負契約(仮称)千葉公園体育館整備電気設備工事、議案第157号(仮称)千葉公園体育館整備空調設備工事、議案第158号(仮称)千葉公園体育館整備給排水設備工事、議案第165号指定管理者の指定について(千葉市中央区蘇我コミュニティセンター)議案第169号指定管理者の指定について(千葉市稲毛区長沼コミュニティセンター)、議案第177号指定管理者の指定について(千葉市若葉文化ホールほか2施設)、議案第183号指定管理者の指定について(千葉市長沼原勤労市民プラザほか1施設)は反対する立場から、発議第19号「千葉市認知症施策推進条例の制定について」は否決され、請願第5号「千葉市の教育に関する請願」については不採択とされたことについて討論を行います。

初めに、議案第147号 千葉市一般会計補正予算「産地パワーアップ事業に係る国庫補助金返還」についてです。

 千葉ベビーリーフ菜園株式会社が、平成29年度に国の「産地パワーアップ事業」を活用して低コスト耐候性ハウス66棟などを整備しましたが、度重なる自然災害を受けて事業撤退の申し出があったことで、補助金の返還が行われるものです。

 66棟の低コスト耐候性ハウスが整備された所在地は、子和清水排水路が流れており、これまでも大雨や台風で水没・浸水している場所です。平成25年10月の台風26号による暴風・大雨の時にも大きな川のようになり、近隣の住宅も床上浸水する被害が出ました。昔から水田として活用され、大雨の時は貯水池のような役割を果たしている場所へ、千葉市が企業の誘致を認めたことは問題ではなかったのか、疑問が残ります。国庫補助金の返還については反対するものではありませんが、今後の活用については土地の持っている特性を熟慮し進めることを求めておきます。また、現地で働いていた人が職を失うことがないように、雇用の確保を求めておきます。

次に、議案第152号「千葉市新型コロナウイルス感染症対策条例の制定について」は、感染者や医療従事者への誹謗中傷や差別防止は喫緊の課題であるため、条例と共に救済に関する相談窓口設置やネット上の書き込み削除要請など実行性ある対策を進めることを求めるものです。また、第3波で日々感染者が増加し、医療現場が逼迫している現状においては、最も重要なことは市の責務である感染症対策を迅速に実施することであり、死亡リスクの高い高齢者や基礎疾患のある市民が無症状でも無料でPCR検査できるよう体制強化に取組むことを求めるものです。

次に、議案第155号から議案第158号までの「(仮称)千葉公園体育館整備工事」等関連事業についてです。

既存の「千葉公園体育館」、「千葉市武道場」「中央コミュニティセンターのスポーツ施設」の3施設を集約し、千葉公園内に地下1階地上3階建ての(仮称)千葉公園体育館を新たに整備するものです。

(仮称)千葉公園体育館整備予算は総額56億円ですが、契約において大手のゼネコンが予定価格を超過していることは不自然との疑念が残ります。落札に至る評価項目や評価項目の配点などは、資料で明確に示されるべきです。

(仮称)千葉公園体育館整備は、建設工事費のほかに集約する施設の除却費用などを加えると、総額70億円を超える大事業です。基本計画策定から今日まで3年間の月日があり、今年の春に新型コロナウイルス感染症の緊急事態が発生したのに、何ら考慮せずに今議会に提案したことは信じがたいことであり、あまりにも危機感のない決定であると思います。

来年度の減収予測が90億円という深刻な財政事情を考えれば、総額70億円になる千葉公園体育館整備は延期して、多額の歳出を抑えるのが当然ではありませんか。

議案質疑で、新型コロナウイルス感染症対策よりも体育館整備のほうが優先課題だと思っているとしたならその根拠を示されたいと質したら、当局は「スポーツ活動の拠点として機能する施設の整備は、本市の将来にわたる持続的発展に資する事業で、コロナ禍においても財政健全化とのバランスを踏まえ着実に推進していく」と答えました。財政健全化とのバランスを踏まえということは、来年度の収支不足をまた福祉カットで賄うということではありませんか。

コロナ下で疲弊している市民生活と福祉にしわ寄せをするのではなく、70億円もの多額の投資を延期すべきであります。

体育館整備を望んでいるスポーツ関係者も、コロナ禍のもと、整備を遅らせることについて理解をしてくれるはずであります。70億円を超える予算は、事業を延期して、コロナ禍のもと、緊急に必要な事業に振り向けることを強く求めます。市原市や八千代市では、庁舎建設計画そのものを先送りして、新型コロナ対策に振り向けており、千葉市でも市民の望む優先順位はコロナ対策であると考え、この議案には賛成いたしかねます。

今議会では、29件の指定管理者の指定についての議案が提出されています。これだけ多く運用されている、指定管理者制度について一言申し上げます。

「指定管理者の指定」については、2003年(平成15年)度の地方自治法の改正で導入をされ、千葉市では2005年(平成17年)度の運用開始から約15年が経過しました。指定管理の最大の狙いは「官から民へ」「公の施設」の管理・運営に株式会社など民間事業者が参入できるようにしたことです。「公の施設」が企業のビジネス、収益活動の道具にされかねません。企業側にとっては自治体が税金を使って建設した公の施設を利潤追求の道具にできる『先行投資の要らない安全で儲けが期待できる格好の市場』です。自治体の視点は、利用者の意見や施設の適切な運営や目的よりも、委託料をいかに下げるかが関心事となる傾向が否めません。

市は、指定管理者制度導入にあたって、指定管理者は経費を節減して、民間のノウハウを活用してサービスを向上させると言ってきましたが、そもそも、経費を削減してサービスを向上させるというやり方は無理が生じます。本来は、公設で管理運営を行なうことが望ましく、指定管理者においても従業員の待遇改善が図られるべきです。公募という名のもとに、3年とか5年とかの期間を設け、慣れたころにまた、全く新しい事業運営者になることが、市民が望む「安定して安心して使える施設管理」に応える制度であるのか、見直しが必要な時期に来ているのではないかと思います。

 この制度については2011年当時の片山総務大臣が「本来指定管理になじまないような施設まで指定管理の波が押し寄せてきている。自治体が内部で非正規化をどんどん進め、官製ワーキングプアを大量につくってしまった」と述べて2度にわたり制度運用の再点検と是正を求める通知をだすなど重大な問題をかかえるものです。我が党は、指定管理者制度には一貫して反対の立場でした。

 日弁連は2017年4月に指定管理者基本条例を提言しました。その内容は、指定管理者の採用の是非を検討する際は、公共サービスの水準の確保から行い、経費の節減を目的として導入しないこと。指定管理者による管理の導入要件の設定、該当しない施設の明確化などを求めています。

 非該当の施設として、図書館など長期の継続的な方針のもとで行われる必要がある施設、及び利用者との信頼関係を継続する視点から期間を限定することが適当でない病院・保育所などがあげられています。

問題がある指定管理者制度について現在、改善提案が行われています。公共性の高い社会福祉施設や社会教育施設を適用除外にしています。

指定管理者選定評価委員会に専門家を入れる、臨時委員を置くなど複雑な運営について市民理解を得ながら進めなければなりません。

 指定管理者の評価についても事業にそった形で審査するべきです。利用人数中心の評価ではなく、事業の質や施設のあり方などで事業形態にあった評価が求められます。

 また、未払い賃金問題や労働条件が守られていない指定管理者についてはグループ全体の責任が問われます。働く人の待遇改善・労働条件改善でサービスの向上を目指すことを求めておきます。

こうした視点から、議案第187号指定管理者の指定(千葉マリンスタジアム)についてです。株式会社千葉ロッテマリーンズが、 千葉マリンスタジアムの賑わいづくりに貢献できる管理を適切かつ確実にできるとして指定をされました。

 指定管理者になることに今回問題はありませんが、市民に対して透明性や公平性の確保が求められます。

 マスコミ報道では、「札幌ドーム、日ハムの要求を無視し続け「見捨てられ移転」札幌市天下り職員たちの暴挙」と札幌市と日ハムの軋轢が報じられています。日ハムは札幌ドームから隣の北広島市に移転し、建設費600億円収容人数3万5,000人の「北海道ボールパーク」を建設します。

 この件では地元日ハムファンは大きな怒りになり、特に札幌市への批判は大変なものがあるようです。市民からは札幌市がもっと丁寧に日ハムと話し合うべきだったとの声もあると伝えられています。

 千葉市と同じ指定管理制度で運営される札幌ドームです。日ハムの移転により札幌ドームの経営は大打撃を受けるとされます。これまで札幌市と日ハムの対立はあったようですがスタジアム経営の難しさを浮き彫りにしました。この件は千葉市にとって人ごとでありません。千葉市も参考にすべき問題ではないでしょうか。

 なお、議案第165号、第169号、第177号及び183号の4議案については、従業員への割増賃金の未払いの件で指定管理予定候補者が、今年8月に千葉労働基準監督署から是正勧告を受け、その後、是正対応をしているとのことでしたが、検討の結果、今回は賛成できない旨申し上げます。

 次に、発議第19号・「千葉市認知症施策推進条例の制定について」は、国の認知症基本法を注視していくべきなどの理由から、否決されたことは極めて遺憾です。コロナ禍で、認知症状の悪化が深刻化するなかで、今こそ、市、市民、事業者、地域で認知症の方を支え、希望を持って生きられるよう対策を強化すべきであります。

なお、当局においては認知症の人が起こした事故に対する保険制度を創設すること、成年後見制度の相談体制の強化、及び若年性認知症における無料診断・相談体制を強化することなど、実効性ある取り組みを強く求めておきます。

次に、請願第5号「千葉市の教育に関する請願について」は、遅れているトイレの改修やエレベーターの設置など学校の環境改善とともに、子どもたちの健やかな成長のために新規採用職員の増員や養護教諭の複数配置、少人数担教諭や特別支援員増員を求めるものです。

トイレ改修については、令和8年度までに改修を完了する計画が示されましたが、子どもや教職員の切実な要望を実現するために、前倒しをして至急改修する必要があります。エレベーターの設置は必要度の高い順から設置が進められていますが、設置率は46.5%であり、けがをした子どもや足の不自由な保護者や地域の方も利用できるよう、早急に全校への整備を行うべきです。

教職員の増員については、講師は正規職員に比べて給与に200万円の差があることや教職員の長時間労働の実態、特別支援員は年度の前半後半でしか配置されないため支援が途切れてしまう実態などが明らかになり、「教育は人」であり、少人数学級実現のためにも教職員の増員が必要だと強調し、賛同を求めました。

他の委員からは請願の願意に異論はないが、教育委員会は学校の環境整備に計画的に取り組み、学校の実情に応じて教職員の配置を行っており、請願の願意は満たされているとして不採択になったことは誠に遺憾です。

子どもたちが快適に過ごせるように、一日も早く学校の環境整備を進めるとともに、子どもたち一人一人の多様性を大切にし、一人一人を尊重する教育を保障するため、教職員の増員と少人数学級の速やかな実現を求めるものです。  最後に、市長の政治倫理に関する問題、災害時のラグビーワールドカップ観戦問題について一言申し上げます。日本共産党の代表質問で市長は「不謹慎と思われる方がいたら真摯に受け止めたい」と答弁されました。市民の信頼があってこそ適切な災害対応や市政運営が可能であります。「信なくば立たず」の姿勢に市長自らが立ち返り、今後の適切な市政運営のためにも不謹慎と思う市民だけにSNSだけで釈明するのではなく、市長自らが記者会見等公式な場で市民への丁寧な説明を果たすことを強く求め、日本共産党千葉市議団を代表しての討論を終わります。

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