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日本共産党東京都議会議員団

子ども医療費薬局負担など子育て支援に逆行した決算は不認定! 中村きみえ議員の決算討論【2021年第3回定例会】

中村きみえ議員の決算討論                2021.10.5

日本共産党千葉市議団の中村きみえです。会派を代表して議案97号、100号、104号、107号、111号、114号について不認定の立場から討論を行います。

 不認定の第1の理由は、国政との関係ではアベ政権からスガ政権に変わりましたが、追随する姿勢がとられているからです。平和首長会議に名を連ねていながら、オスプレイの飛行問題や武器見本市の開催について国への批判や抗議の声も挙げず、後期高齢者医療費2倍化法や病床削減推進法など市民の命を脅かす問題についても反対の声をあげていないからです。

 第2の理由は、子どもの医療費の薬局での窓口負担増を行い、結果コロナの影響もありますが、3割にも及ぶ対象者が受診抑制せざるを得ない状況になり、負担分で子育て支援の費用に使うと言いますが、約6億6千万円の不用額も生じる中で、子育てに逆行した決算だからです。

第3の理由は、大型開発を優先して、市民生活や福祉を削ってきたからです。千葉公園体育館整備、JPFドーム、中央公園・通町公園連結強化、稲毛海浜公園リニューアル、幕張新駅整備、蘇我スポーツ公園整備など急ぐ必要がない開発がすすめられてきました。

消費税増税への景気低迷や、気候変動に伴う環境破壊、新型肺炎コロナウイルス感染症拡大への市民生活への影響をできる限り小さくし、これらの課題へ的確に対応することが求められておりました。しかし、公共料金引上げや心身障害者手当カットなど、住民福祉の切下げを強いており、市独自のコロナ対策は極めて少ないものでした。

急ぐ必要のない開発は見直して、暮らし福祉、コロナ対策最優先で行うべきです。

R2年度決算は、財政健全化を理由に福祉カットで市民生活を苦しめ、一方で大型開発に多額の財源をつぎ込んできた、熊谷市政の最終年度でありいわば総決算です。令和2年度も福祉カットでは、子ども医療費調剤薬局負担をはじめ弱者いじめを続ける一方、千葉公園体育館整備など大型開発9事業の合計は熊谷市政11年間最高額の67億4,000万円になっています。

 H22年度からR2年度までの合計で見ると、福祉カットは事業の見直し155件38億7,000万円、公共料金値上げ184件137億1,000万円、国民健康保険繰り出し見送り27億6,000万円、家庭ごみ有料化90億1,000万円の合計293億5,000万円になります。さらに職員給与カット合計93億1,000万円を加えた合計386億6,000万円のカットであり、市民と職員を犠牲にして財政健全化を進めてきたのが熊谷市政の実態です。

 しかも、熊谷市政後半に行った弱者いじめのうち、在宅高齢者等おむつ給付事業効果額は3,700万円です。この財源を活用して、平成30年度から令和2年度までに、在宅 医療・介護連携支援センター設置など12事業 計2,500万円の事業の拡充等に予算を配分。差引残高は1,200万円です。

心身障害者福祉手当見直し効果額は、2億3,800万円で この財源を活用し、平成30年度から令和2年度までに、発達障害者支援の推進など19事業 計1億5,600万円、差引残高8,200万円になります。

下水道使用料生活保護世帯等減免中止は、 令和2年度から令和3年度にかけての予算ベースの見直し効果額5,500万円に及びます。この財源を活用して、令和2年度から令和3年度までに、生活保護世帯等に対する学習・生活支援など2事業計2,700万円。差引残高2,800万円になるのです。弱者いじめの中止を求める質問に、喫緊の課題に対応するため必要と答えていますが、必要な福祉事業には福祉予算を増額するのが当然であり、まして削った3事業の効果額を1億2,000万円残していることは、質の悪い福祉カットする必要がなかった、場当たり的な措置であることを示しています。

 福祉カットの一方、大型開発H22年度からR2年度まで、千葉駅西口再開発はじめ82件の合計決算額は402億7,000万円となっています。

 財政健全化を理由に福祉カット、職員給与カット合計386億6,000万円余りは、そっくり大型開発402億7,000万円に使われてしまいました。これが熊谷市政の総決算です。神谷市政は、福祉、市民生活優先、コロナ禍対策重点に切り替え、大型開発の大胆な見直しを強く求めるものです。

次に、実質収支57億円についてです。

市税収入が予算を大きく上回ったことが主な理由ですが、決算年度はコロナ禍対策、気候変動、貧困と格差の是正、台風・災害対策、こども医療費調剤薬局負担中止、子どもルームの拡充など多くの事業を補正する必要性があったことを考えれば、市税増収の一部を活用し市民の安心安全、福祉の向上を図るべきです。

 当局は実質収支を確保して、財政調整基金を増やし機動的に活用すると説明していますが、コロナ禍対策に財政調整基金10億円取り崩しましたが、国の交付金が交付されると引っ込めてしまいました。交付金の有効活用は当然ですが、ため込むことが中心ではなく黒字分の一部は、今急がれている事業に有効に活用すべきです。

 なお、公債管理基金200億円の借金を抱えており、実質的には黒字とは言えないことも指摘しておきます。

財政健全化と健全化判断比率、市債の有効活用についてです。

 実質公債費比率は令和2年度決算で11.8%まで低減されました。第3期財政健全化プランの目標14%未満と比較するとその差は2.2%になります。財政健全化プランの14%まで市債を発行した場合の発行額は、1,300億円程度の答弁がありました。また令和2年度の市民一人当たりの投資的経費を、政令市平均まで引き上げその全額を建設事業債として発行すると約900万円になります。

財政健全化プランによって建設事業債は上限が決められたため、道路下水整備などは遅れが目立ち、市内交通渋滞地域は32か所で市民生活及び経済活動などに重大な支障をきたしています。脱財政危機宣言解除後はやや変化が現れ、H30年度から令和2年度の一般会計建設事業債の発行額は187億円から、324億円42%増、うち土木債の発行は、115億円から164億円30%増となり、個別事業では渋滞解消が急がれている大網県道のバイパス塩田町誉田町線事業費は3年間で約2倍に増えています。しかしこの予算では市内32か所の渋滞解消、台風災害対策、市民の公共インフラ整備の先が見えません。この際、市民一人当たりの投資的経費を、政令市平均まで引き上げた分建設事業債約900億円を発行しての、市債の有効活用を強く求めるものです。

「市民に寄り添う」市長の姿勢についてです。

 子ども医療費調剤薬局負担が家計を直撃し、必要な医療を控え、子どもの健康維持に多大な影響を与えている実態を切々と訴えている緑区のお母さんの叫びに対する、神谷市長の言い訳ばかりの答弁にはがっかりし絶望をしました。大変な苦労をしながら懸命に子育てをする母親に労いの一言もありません。負担増を強いたことに「申し訳ない」の言葉もなく当然視する発言であり、少子化の下で6人の子育てをする市民への感謝の気持ちもありません。「市民に寄り添う」という神谷市長の言行不一致に大きな怒りを感じるものです。

次に、改革を継承し新たな創造についてです。

 神谷市長の当選以来今日までの議会答弁や執務は、熊谷市政の継承ばかりで新たな創造は一向に見えません。弱者切り捨てによるたちの悪い福祉カットについて「喫緊の課題への対応」と言い、大型開発の見直しに対しては「街の発展に必要」と答えており、熊谷市長と全く同じ答弁です。新たな創造というのなら、福祉カットを中止して、市民生活福祉を後退させる大型開発の大胆な見直しをすべきです。

次に、新型コロナウイルス対策についてです。

 日本共産党千葉市議団は、19回のコロナ対策申し入れを行うなか、当局としても高齢者施設従事者や教員へのPCR検査、病床確保及びホテル確保、教員や保育士等のワクチン優先接種や集団接種会場の増設、学校オンライン授業実施の取り組みなど、一定評価をするものです。他方、感染拡大時には一時自宅療養者数が3,000名を超え、自宅療養者での死亡事案もあるなど、医療提供体制や保健所体制、検査体制に課題も浮き彫りになりました。

 第6波に備え、臨時医療施設整備を県と連携して確保すること、コロナ感染症や新興感染症への対応強化は必要であるため、保健所の2か所化体制の検討を求めます。また、ワクチン接種においては、今後3回目接種が必要となることから、集団接種会場のない区の住民からは交通費の過重負担の声も多く、市民サービスの公平性の観点からも各区の集団接種会場の増設を要望します。なお、ワクチン接種ができない学校や保育園等の子ども達については定期PCR検査を実施することや今後、社会経済活動の推進に向けて検査陰性証明の対応等も検討されていることから、市民が広く検査できるPCRセンターを整備することを強く求めるものであります。

総務局

 危機管理・防災の決算額6億7,904万円は、台風災害対策で前年度比約2倍ですが、今後も決算額と同額の予算を組み、防災対策を充実すること。自然災害からの避難などに住民が対応できるように、詳細なハザードマップを、小学校単位に作成し、配布するよう求めます。

 職員の過重労働と適正配置については、新型コロナ対策で逼迫が明白になった保健所や、医療政策課をはじめ過重労働職場への職員を増員することを求めます。

総合政策局

 県市間協議について 水道問題の解決を急ぐとともに不公平な扱いを受けている千葉県単独事業補助金の是正に真剣に取り組み、とりわけ子ども医療費無料化補助金は他市に比べ3億7,295万円の差額を解消すれば、調剤薬局分2億2,000万円の徴収は不要になるため、神谷市長が先頭に立って緊急に強力に取り組むことを求めておきます。

市民局

 個人番号カード交付業務は直近で42.5%の交付率とのことです。国の指導は令和4年度までに100%にするとのことですが市民はセキュリティの問題、貯金・健康保険などに紐づけすることは不安を感じており交付を強行するべきではありません。パラスポーツ推進は持続的な支援が求められます。併せでデフリンピック・スペシャルオリンピックスへの支援が必要です。

 男女共同参加推進で職員雇用の正規化でスキルアップ図り、LGBTの方たちの生きづらさを解消することです。

保健福祉局

 発達障害者支援についてです。分科会で療育センターの医師増員の効果を質したところ、医師の長期休暇があったほか、件数が年度後半から増加したため、令和2年度相談待機期間は元年度より0.3月増加し、2.7月と改善していないとのことでした。3か月近くも相談できない状態は異常であり、速やかに相談体制の強化に向け人材の確保を進めることと療育センター2か所化を求めるものです。合わせて環境保健研究所の充実も求めておきます。

 特別養護老人ホーム整備についてです。令和3年7月時点で1,880名も待機者がおり、今後さらに超高齢化社会の進展で待機者増加していく見通しであり、これまでの200床整備では、待機者が増加していくため、待機者解消に向けた整備計画に見直すこと、介護職員の処遇改善に向けた実行性ある対策に取り組むよう合わせて求めます。

こども未来局

「子どもルーム待機児童解消のための緊急3か年アクションプラン」が令和2年度で終了し、計画の48か所が90か所整備され目標を上回っていますが、全市的には待機児童は減っているとは言え、地域による偏りがあり、希望する子どもルームに入れない児童が残されている状況があります。引き続き待機児童解消のために整備拡充が急がれます。子どもルームの民営化が進んでいますが、引き継ぎの内容や学校との連携を充実させ、事業者の変更によって子どもたちが戸惑うことがないよう、安心して過ごせる環境作りを求めます。

新型コロナの感染拡大が保育所や子どもルームなどにも広がっています。感染拡大防止対策として物品購入されましたが、施設設備の整備だけでは感染拡大を防ぐことは困難です。高齢者施設でクラスター発生に効果をあげた従事者の定期的なPCR検査を保育施設でも実施するよう求めます。また、長引くコロナの影響で保育以外の消毒や清掃に時間が割かれ、職員は疲弊しています。保育に専念できるよう消毒や清掃に従事する人員を増やすことを求めます。

環境局

不十分な地球温暖化対策の強化を進め、省エネ・再エネの具体化を図ることです。残土処理対策,急傾斜地対策については国に法制化を求め抜本的な規制を行うべきです。

 新清掃工場の整備は環境に十分配慮したものにするべきであり地元住民の理解が求められます。

 食品ロス対策・プラごみ対策はさらに排出抑制や再利用、再資源化を求めます。

経済局

新型コロナウイルス対策については成果のあったもの、反省すべき点など検証をさらに深めて今後の地域活性化に活かすことを求めます。

 産業振興財団はコロナ禍で市の責任で市内企業への支援や今後の方向性を明らかにしていくべきです。

 観光行政では、観光の目玉を明らかにして遅れている観光行政に光をあてる時です。

市場の運営は、流通が激変するなか市民の願いに応えた存在意義のある市場形成が求められます。

有害鳥獣の被害が深刻になっています。自然の生態系を維持しながら共生できるように有効な手立てをとるべきです。

都市局について

 地域公共交通支援事業の運転手養成事業は、コロナ禍の失業対策と深刻な運転手不足解消等、交通事業者のマッチングを狙った事業でした。

タクシー事業者においては、コロナ禍による転職で活用が見られたものの、路線バス事業においては、運転希望者が物流業界に流れ、本事業の活用機会がないなど、十分な効果を得ることになりませんでした。引き続きバス交通の課題解決に取り組むとともに、地域住民の生活を支えるデマンドタクシー等の実現に尽力していただくよう求めます。

 千葉駅周辺の活性化推進では、通町公園再整備の用地取得や公園の暫定整備に合計約2億4,000万円を拠出し、令和2年7月に完成したとのことです。今後も引き続き、千葉開府900年となる令和8年に向けて、用地取得や整備を進めるために約30億円を注ぎ込むとしていますが、コロナ禍で税収減が懸念される中で緊急性のない事業については、市民の理解が得られないため見直しすべきです。

建設局について

 通行上支障がある樹木の剪定や道路反射鏡等の修繕のために運用している高所作業車は、8月までの5か月間で54回活用されています。そのうち中央・美浜土木所管内での活用が39回と多くを占めており、今後は各土木事務所においても平均的な活用を求めるとともに、公園や学校施設等での活用へと用途を広げるよう求めます。

 雨水対策については、現在13地区を重点地区と定め、整備水準を1時間当たり、65.1mmに引き上げて整備を行うとしています。令和19年度までの20年間を計画期間としていますが、今後も予測を超える降雨量による被害も想定され、環境問題も視野にさらなる整備水準等の検討を求めます。

消防局

新型コロナウイルスの感染者増加に伴い、本市の救急困難事例は令和3年8月末時点で47件も発生し、現場滞在時間が最長となったものは、8時間17分で、医療機関照会が最多となったものは、99回とされています。過酷な状況に置かれた救急隊員への専門家を活用したメンタルサポートに取り組むことや消防署内の感染を抑止していくためにも定期PCR検査など対応を求めるものです。

水道事業

 千葉県との水道事業の統合において、統合後の千葉市の負担が現行より、2億円程度削減できるとの見通しが明らかになりました。千葉市負担の縮減を実現するため早期の統合求めるとともに、安全な水の供給のため、井戸水利用の地域の事業促進を求めておきます。

病院局

 本業である診療収入は、減少したものの、新型コロナウイルス患者の受け入れに伴う補助金もあり、11億円もの純利益となりました。引き続き、第6波の感染爆発に備えた病床確保に取り組むこと、ワクチン接種の対応図れる体制を求めます。

 また、令和2年度の救急受入不可件数が、青葉病院は3,161件、海浜病院で2,638件となり、特に青葉病院の応需率は54%と低下したことは深刻です。

救急医の減員1名が大きく、市民の命を守る救急体制は急務であり、救急医の確保に速やかに取り組み、一層の体制強化を強く求めるものです。

教育委員会

 専科指導のための非常勤講師の配置により、児童の学習意欲が高まり、学級担任の負担軽減にもつながったことは効果が得られたと評価します。現場からの要望が高いことから、今後も拡充を要望します。その際、非常勤講師の処遇改善や研修機会の確保についても求めておきます。本来は、わかる授業、子どもたち一人一人に合った授業をするには、少人数学級を進めていくことが必要であり、国待ちの姿勢にならず、教員確保をしていくことも求めておきます。

 就学援助の認定率は、増加傾向にあるとのことですが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって経済状況が悪化した家庭が増えているなかで、要保護・準要保護児童生徒就学援助の周知を行い、支援につなげることが必要です。義務教育の無償化を補う上でも、コロナ感染拡大で困窮する低所得者世帯への支援としても、就学援助の充実は必要です。認定基準の引き上げや支給費目の拡大をして、保護者の経済的な格差が子どもの教育に及ばないよう支援の充実を求めます。

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