通学路安全対策や国保料の減額が前進、一層の推進を!—かばさわ洋平市議の討論【2021年第4回定例会】
会派を代表して、議案第132号に反対し、その他議案には賛成の立場から、また、発議第16号が否決され、請願第3号と請願第4号が不採択となったことについて、討論を行います。
はじめに、議案第124号 専決処分新型コロナウイルスワクチン接種推進事業についてです。
まず、3回目接種の2回目接種完了後8カ月から6カ月への前倒しについては、抗体減少による世界での感染拡大やオミクロン株による感染の拡大が懸念されるなか、1日でも早く希望される市民が接種できる体制に向けて、計画の前倒しに適切に対応するよう求めるものです。今後も新たな変異株の影響もゼロではなく、ワクチン接種体制の長期化が想定されるため、担当課職員を大幅に増員して、過重業務解消を図ることを要望します。
また、アレルギー等の体質や事情がありワクチンを接種できない市民も一定数おられるなか、未接種のため職場で不当な差別を受けたとの相談も寄せられています。ワクチン接種の有無に伴い、日々の生活で差別されることがないように、ワクチンハラスメントへの対策や周知の強化、条例制定も合わせて要望しておきます。
次に、議案第126号 千葉市一般会計補正予算中の平和公園拡張建設事業についてです。
日本共産党千葉市議団はかねてから1区画の面積を小さくし数を増やすことと、合わせて合葬式樹木墓地整備を求めてきましたが、新たに平和公園墓地A地区において、一般墓地が4,158区画、合葬式樹木葬墓地が30,400体を整備されることは評価するものであります。墓地に関する市民ニーズが変化しており、桜木霊園合葬墓地の倍率は令和2年度で3.3倍となるなど、一般墓地より高まっています。何度応募しても当たらないという市民の声もあるため、新たに桜木霊園に第2合葬墓整備の検討を求めておきます。
次に、千葉市民会館の基本業務設計についてです。
市民からの声として、市民要望をどのように取り入れるのか、JRへの全面委託で問題はないのか、駐車場の確保は大丈夫か、会議室を確保してほしい、運営の責任は誰がとるのか等の意見が寄せられています。市民のための市民会館となるよう、市民の声を聞く取組みと市民理解を得るための説明責任を果たすことを求めておきます。
次に、交通安全整備事業についてです。
通学路の安全対策として2億9,000万円増額し対策を講じるものですが、このうち2億6,200万円が路肩のカラー化工事の予算です。令和6年度までの「路肩のカラー計画」を2年前倒しし令和4年度までに整備をする約36kmと学校からの要望約6kmの整備を行なうもので、対象箇所が439か所とのことです。路肩のカラー化の効果は期待するものの、今回ガードレールを設置する箇所が1か所だけなど、そのほかの安全対策については不十分であります。路肩のカラー化だけでは危険を回避できない箇所が多数散見されるため、引き続き地域住民からの要望にも応えてガードレール設置や歩道拡幅など、交通安全整備事業の一層の推進を求めます。なお、県警の管轄である信号機設置や横断歩道、停止線の引き直しなども合わせて推進するよう働きかけることを強く要望します。
次に、蘇我スポーツ公園用地取得費及び施設整備費についてです。
平成15年度のフクダ電子アリーナから始まり、約336億円を投じて9つのスポーツ施設の建設・整備を行ってきた事業が、今回のスケートパークとリクレーション広場などの工事完了をもって完了となったもので、都市再生機構が建替えた用地取得費約12億4千万円と、施設整備費約28億7千万円に建設利息約4億円と償還利息約1億9千8百万円を加えた約47億8百万円を令和4年度から20年かけて償還します。千葉市が支払う金額は、年約2億8千4百万円です。今後、経年劣化による施設改修や修繕などが増えてきますが、大規模なものについては千葉市の対応となるため、多額の費用を要することが懸念されます。施設の適切な管理運営に努めるよう求めておきます。
次に、民間保育園給付等業務人材派遣事業についてです。
幼保運営課において業務量が集中する2月から4月の期間に職員の負担軽減を図るために人材派遣を活用する経費を計上するものです。臨時の人員確保については賛成しますが、民間保育園の施設数が毎年増加しており、それに伴った業務量の増大に加え、コロナ対応など新たな業務も増えており、臨時の対応には限界があります。職員の過重負担は、心身の健康を害することにもつながりかねないことから、人員増を行い、年間を通して時間外勤務の縮減が図れるような職員体制構築を要望します。
次に、学校施設の各種改修等のエレベータの設置やトイレ改修に係る工事については、子どもたちが毎日の学校生活を快適に送るために早急な整備が求められており、エレベータは災害時にも必要になるため、全校整備を早急に進めることを要望します。また、トイレ改修は前倒しの予算対応は評価するものの、学校のトイレに安心して入ることができずに我慢して家まで急いで帰る子どもがいる状況を1日でも早く解消するために、さらなる計画の前倒しを要望するものであります。
次に、高等学校及び特別支援学校高等部GIGAスクール構想の実現についてです。高等学校段階の低所得世帯の生徒に端末整備を行うものですが、端末を貸与される子どもが差別されたりいじめを受けたりしないよう、多感な年代である子どもたちの目線に立った十分な配慮を要望すると共に高校でのGIGAスクール実施に当たっては保護者に新たな費用負担が生じることから、保護者の理解が得られるよう丁寧な説明も求めておきます。
続いて、議案第132号、千葉市道路占用料条例の一部改正についてです。
道路占用料については、千葉市でも固定資産税評価額などを基に試算を行ない、3年に一度改定していますが、今回の議案には占用物件として「自動運行補助施設」の新設が提案されました。「自動運行補助施設」は自動運転車の運行を補助する磁気マーカーやGPSによる位置情報を表示する施設で、自動運転車の運行を進めることも視野に設置されるものです。自動運転車は将来的には運転手なしの無人運行が目指されていますが、まだまだ安全性の確立には程遠い状況です。他自治体の実証実験でも事故が発生し、安全対策や事故、トラブルの際の責任の所在など課題が明らかになったとのことです。千葉市内での具体的な動きのない中、自動運転を行う事業者の参入を前提とする条例の制定は、急ぐ必要があるものなのか疑問が残ります。道路占用料の単価の改正には異論はないものの、新設される「自動運行補助施設」については、現時点では時期尚早であると考えるため賛成しかねるものであります。
次に、議案136号、議案137号指定管理者の指定管理について、千葉市民活動支援センターと千葉市富田都市交流センターについてです。
指定管理制度の評価ではこれらの団体の評価は難しいものがあり、実態に即した現実的な評価や判断が求められます。根本的に、指定管理制度や手法のあり方を再検討する時に来ていると考えます。
次に、議案第138号・139号・140号、指定管理者の指定について、千葉市子ども交流館、千葉市子育て支援館、千葉市科学館についてです。
3議案の共通する点として、企業努力による指定管理委託料の節減の際に人件費の抑制を行わないように求めるものです。教育や子育てなど人にかかわる部門についてはそこに働く職員の意欲が利用者に伝わるため人材育成が重要になっています。職員が長く働ける条件を整えることで、知識や経験が積み重なり、利用者の利益にもつながっていくものと考えます。市は、指定管理者が人件費引き上げ等適切な処遇改善が図られているかについて、指導監督を行うよう要望します。
続いて、発議16号「千葉市民自治によるまちづくり条例の一部改正について」否決されたことへ対し、採択を求めて討論を行います。
今回の条例発議は市民自治のまちづくり条例のなかで市民の多様な思いをいかしたまちづくりの実現に向けて「市民と市が対等な立場」で活動することを求めた改正提案です。他市の規定では「対等な立場」との文言が含まれており、このことが市民活動をやりやすくしているものです。委員会では十分な議論なく否決されたことは実に残念であります。市民の活動に対して議会が介入することではありませんが、市民と市の関係を明らかにすることは議会の責任でもあると考え、引き続き、市民自治の推進の立場から改善を求めていきます。
次に、請願第3号「投票しやすい環境を求める請願」についてです。
請願は近年投票率が低下している下、投票しやすい環境を整備するため提出されたものであり、投票率は、直近の衆議院選挙53.4%、春の市長選挙45.03%、H31年度市議会議員選挙38.77%であります。投票率向上には様々な原因の改善が必要でありますが、投票所環境の改善はその一つです。
超高齢社会の下、投票に行きたくてもいけない有権者が増えており、日曜日の投票所まで出かけることが困難な有権者もいる、若者の投票参加をも課題であり、必要な改善の努力は当然であると考えます。
提出された請願は、5項目に分かれおり、請願項目1は、すべての投票所に車いすを配備し、座って記載できるように充実することであり、車いすは現在、市内158ケ所中113ヶ所に配置されているが残りの45の投票所に配置を求めています。
請願項目2は、各区における期日前投票所を増設することです。最近の選挙での期日前投票はおおむね30%台です。10月の衆議院選挙で千葉市は33.10%であり、商業施設を含む期日前投票所が投票率向上に大きな役割を果たしています。先進自治体では、大学での期日前投票所設置や共通投票のできる期日前投票所も設置されている下で、千葉市も期日前投票所の増設は投票率向上に必要であります。
請願項目3は、交通不便地域では投票日当日の投票所を増設することです。 超高齢社会のもと、投票に行きたくとも行けなくなっている高齢者が多いので、身近な場所に投票所を増設することは、有権者の権利を保障する上で必要です。
請願項目4は、投票をする権利を保障するため、病院や介護施設等での投票個所を増設することです。不在者投票のできる施設は国の基準で、病院50床以上、老人ホーム等では50人以上とされていますが、県選管が判断した場合は50床、50人以下でも認められます。市内には50人以下の介護施設は多数あり、入所している沢山の有権者の投票機会を保障するため、可能性を追求する必要があります。
請願項目5は、選挙に熟達した正規職員を増員して、適切に配置することです。最近の選挙で、選挙事務における不適切な事例、トラブルが発生しており、先の衆議院選挙で3件、3月の千葉県知事選挙・市長選挙で4件、令和元年7月の参院選挙で3件あり、中身は投票用紙の交付誤り、投票用紙の残数の不足、投票開始時刻の遅延など初歩的なミスが多く、選挙に熟達した正規職員がいれば防げたであろうとも言われています。
10月の衆院選挙で開票事務への正規職員の従事者数の合計は1,059人で、総務局が目安としている、選挙事務などに参加できる市職員数の40数%であり、民主主義の土台である選挙開票従事者の比率を高めることは検討が必要であります。以上提出された請願項目はいずれも前向きな提案であり、実施期間を特に求めておらず、今後検討していくことも促していて、願意は適切と考えます。
総務委員会では、市民ネットワーク以外の会派から反対が表明されました。反対理由として、公明党は「請願の趣旨には賛同するものの一部に既に願意を満たしているものや考え方の異なる部分もあるため、賛成しかねる」と述べられましたが、何が賛成しかねるのか理由が定かでなく、なぜ投票率向上と有権者の投票権を保障する請願に反対するのかが不明であります。
未来立憲民主千葉の反対理由は、「費用対効果等を考慮すると当面は実現困難な内容も見受けられることから賛成しかねる」と述べられました。費用対効果では、期日前投票所を増やせば費用は増加しますが、投票率向上に効果があると考えます。
自民党・無所属の会の反対理由は「選挙に熟達した職員を増員し、適切に配置することは、ある程度熟達した職員が回っていると思っている。さらに増員というのなら、当日若い方たちがもっと投票しやすい環境になるように、そういう形をとったほうが良いとの考えから賛成しかねる」と述べられました。
自民党の反対理由は、「期日前投票所増設について、各区に2か所あるので、これ以上必要ないと思う」と述べられました。しかし自民党市議団が代表質問で、共通投票のできる期日前投票所の設置を強く求めたことと、整合性があるのかが問われます。我が会派としては、共通投票のできる期日前投票所設置は賛成で推進の立場であります。
議会制民市主義の土台である選挙の投票率を高める努力は、行政も市議会も共に考え、改善に向けた努力が求められています。低投票率向上と、超高齢化社会、多様な仕事の状態、若者の投票参加など勘案し、投票しやすい環境を求める請願は適切な提案であると思います。市民ネットワークの賛成をいただきましたが、他の会派の反対で不採択となったことは大変残念であります。
最後に、請願第4号 国民健康保険制度の充実を求める請願についてです。
一般会計繰り入れを行い、加入世帯の負担軽減のために国民保険料を引き下げることを求める請願でありますが、保健消防委員会での質疑では、「減免などの措置が適切に取られている」「一般会計の繰り入れの妥当性は低い」などの理由から、日本共産党千葉市議団以外の反対で不採択となったことは極めて遺憾です。既に所得の1割を超える保険料が重く、さらにコロナ禍における影響が広がるなか、差押え件数は令和2年度で1,567件にも及んでいます。
今議会で、日本共産党千葉市議団が2018年に条例提案もしてきた均等割の減免が、国制度として未就学児で拡充されたことは大きな前進であります。他方で、政令市でも5市が独自に18歳までなどの均等割減免を行っております。本市が18歳までの均等割を独自で5割減額した場合、追加で必要となる財源は約8千万円とされており、本市としても独自に一般会計からの繰り入れを行い、まずは18歳までの均等割減免を拡充することを強く要望しまして、会派を代表しての討論を終わります。