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日本共産党東京都議会議員団

国保の減免相談に丁寧に応じるよう求める! もりた真弓議員討論〔2022年第4回定例会〕

もりた真弓議員の反対討論                          2022.12.16

 日本共産党千葉市議会議員団のもりた真弓です。会派を代表して、議案第139号、第140号、第150号、第166号の4議案については意見を述べ、議案第146号、第147号、第148号、第149号、第151号、第153号、第168号、第169号については反対の立場から、また発議第11号が否決されたことと、請願第6号、請願第7号、請願第8号、請願第9号、請願第10号が不採択となったことについて討論をおこないます。

議案第139号 令和4年度一般会計補正予算についてです。

民間保育園等運営費については、不足した経費10億7,626万円を計上するものです。延べ入所児童数ですが、花見川区、緑区、美浜区は増え、稲毛区は減少、中央区、若葉区は横ばいとのことで増加人数は4369人です。この間、子どもを預かる保育施設であってはならない事件が相次いでいます。静岡県裾野市の保育園では児童虐待で保育士が逮捕される事態となり、富山市でも保育士による児童虐待が問題になりました。千葉市では、2014年に園児の口に食べ物を詰め込むという問題も起こっており、その他にも大きな声を出す、叩くという声が寄せられて、現場に出向いて対応する事案も報告されています。裾野市で起きた15項目に及ぶ悪質な行為は、千葉市では起こっていないとのことですが、70年来、国は保育士の配置基準を変えておらず、なぜこうした虐待行為が起きるのか、要因となる問題の解決に取り組むことが求められます。千葉市は一部、市独自で対応し、保育士が十分配置されている保育園では保育士が定着し保育の質も上げているとしています。自治体として保育士の配置基準を上回っている園に補助金を出している世田谷区など先進自治体などに倣って対応することを求めておきます。

議案第140号 千葉市国民健康保険事業特別会計補正予算の国民健康保険料督促状の作成、印字及び封入封緘委託について意見を申し上げます。

物価高騰もあり作成費等の上昇の予算については反対するものではありませんが、保険料の徴収対策について目に余る対応がなされていることについて指摘、改善を求めるものです。委員会質疑では、長引くコロナ禍や物価高が市民生活を苦しめるなか、減免認定件数は令和2年度の3,088件だったものが、令和3年度は1,646件と半減する一方で、差押件数は令和2年度1,567件が令和3年度には4,760件と3倍の差押えを行ってきたことが明らかになりました。党市議団には、「保険料減免に応じてもらえない」あるいは「5万円の銀行口座の預金ほぼ全額を差押えられ生活できない」という深刻な相談まで寄せられています。当局は委員会質疑で「丁寧に状況を伺い、納付資力を見極めながら適切に実施する」旨答弁しましたので、今後は納付資力を丁寧に確認するなど、行き過ぎた徴収対策は改善し、減免相談に丁寧に応じるよう強く求めるものです。

議案第150号 千葉市こども基本条例委員会設置条例の制定についてです。

この条例はこども家庭庁設置法、こども基本法にもとづくものです。こども基本法の基本理念に「子どもの養育は家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下云々」と掲げられていますが、市は、養育が困難な家庭など社会全体で対応していくことを強調されました。日本社会における子どもの貧困や児童虐待、不登校、いじめ認知件数などは増加し、子どもの権利委員会からも日本の子どもに対する社会的、経済的支出は低く貧困率が高いことが懸念されています。子どもをめぐる深刻な現状に鑑み、子どもの権利条約に乗っ取って財政的な補償をして、給食費や医療費無料化、児童手当の拡充など予算と人の確保につながるように求めておきます。

つぎに議案第166号 指定管理者制度の指定(花園公民館他46施設)についてです。

公民館の指定管理は引き続き非公募で教育振興財団が行います。災害時の太陽光発電の蓄電池の容量は 13~14kwh 程度で、事務室と通路の照明で4時間、パソコンやテレビなら数時間、電話交換機や防災無線に12時間、冷蔵庫は8時間程度ということでした。停電時に電力供給の可能な公民館は9館のみにとどまっています。災害時に、避難所としての役割が果たせるように充実を求めます。また、教育振興財団の正規職員は13%、非正規職員は87%となっており、職員が安定的に働くためには正規職員を増やし、待遇改善も必要です。地域の特性や市民のニーズに沿った企画についても充実するよう求めておきます。

 議案第146号 千葉市個人情報の保護に関する法律施行条例の制定についてです。

 全国自治体の個人情報保護条例は、基本的人権を基調に、個人情報の目的外利用の規制、外部提供もオンライン結合も規制しています。このたびの法律施行条例の制定はこれらの規制を緩和して、個人情報の取り扱いを国と同じ基準の適用を求め、全国にデータを流通させるため、一元化、共通ルールを策定するものです。

 行政機関匿名加工情報提供制度の情報により、行政が国民・市民の個人情報を集積し、そのデータを企業等に開放して、データを活用する企業の利益をはかるものと言われていることについて市の見解を質しました。

 総務部の答弁は、法律施行条例を定める理由は、「個人情報の保護とデータ流通の両立を図る。個人情報の適正かつ効果的な活用により、新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものとされている。」と政府の説明どおりの答弁でした。

 委員会審査ではっきりしたことは、個人情報を匿名加工して企業等に開放することによって、新たな産業の創出で企業にとっては活力ある経済社会が実現するが、豊かな国民生活が実現する保証は無いことです。国の個人情報保護法の改定は、デジタル社会形成法の一環であり、「デジタル社会」とは、多様で大量に蓄積されたビッグデータを「活用する社会」であり、大企業中心の経済成長のためのものであり、基本理念には「個人情報保護」の文言はありません。個人情報の保護に関する法律の一部改正は、行政が保有する個人情報を「もうけのタネ」として、本人の同意もなく目的外利用し、外部提供し、成長戦略、企業利益につなげることを全国の自治体に押し付けるものであり認められません。

また国の法律改正を無批判に受け入れて、市民に不利益な法律施行条例制定を求める千葉市の姿勢を厳しく批判して反対致します。

議案第147号 千葉市個人情報保護審査会設置条例の制定は、法律改正に基づく諮問機関として個人情報保護審査会を設置するものです。議案第146号反対の討論で示した市民に不利益をもたらす法律の諮問機関には反対です。

議案第148号 千葉市情報公開条例及び千葉市情報公開・個人情報保護審議会設置条例の一部を改正する条例についてです。

 法律の一部改正に伴い、行政機関等匿名加工情報等を不開示にする等の所掌事務を改めるものです。先に述べた通り、本来保護されるべき個人情報を匿名加工して開放し、成長戦略、企業利益につなげることは、市民利益に反するものであり、不開示以前に匿名加工すること自体認められません。議案第148号には反対です。

つぎに議案第149号 千葉市職員の給与に関する条例の一部改正についてです。

物価高騰、コロナ禍などで国民生活が疲弊している原因は、働く人の賃金が増えない、年金はカットされる等、国民の収入が減っているためで深刻な事態となっています。人事院の勧告により公務員給与の引き上げは妥当であり一般職員の給与引き上げには賛成です。しかし特別職は市民生活の厳しい実態を考慮して引き上げを辞退すべきであるため反対です。

 議案第151号 千葉市職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の一部改正についてです。
 地方公務員法の改定の人事評価が行われており、55歳からの昇給が評価によって変わります。一般の行政職がすでに行っているとか、県と足並みをそろえるという立場でなく、そもそも教員は長時間労働になっており、残業代が出ない状況から各種手当の充実も求められています。現行よりも昇給できない方を認めることとなり、反対するものです。

つぎに議案第153号 千葉市都市公園条例の一部改正についてです。今議案は、稲毛海浜公園に新たに公衆浴場を設置することと、来年度から花の美術館、稲毛記念館、海星庵、野外音楽堂などの教養施設4施設を有料公園施設及び指定管理施設から除外し、管理許可制度による管理運営を行うものです。

稲毛海浜公園は、H29年8月の千葉市と株式会社ワールドパーク連合体の基本協定により、事業期間を20年間として官民連携の稲毛公園リニューアル整備・運営事業が進められています。事業者の提案により展開されたオーストラリアから輸入した白い砂浜の整備に8億円、海へのびるウッドデッキに6億円などの関連事業に対してのインフラ整備など、これまでの千葉市の費用負担は24億8000万円となっています。今議案の公衆浴場は、現在ビーチセンターのある場所に総事業費約15億円で設置される施設ですが、インフラ整備を伴う千葉市の負担額は明らかにされておらず、さらなる負担増には市民理解が得られません。

また、指定管理制度を管理許可制度に変えることで、都市公園条例から「稲毛海浜公園教養施設」の営業時間や利用料金などが除外され、事業者の都合で料金変更等が可能になります。事業収入は事業者に入りますが、市の指定管理料がなくなったうえ管理手数料を千葉市に支払う必要があり、事業収益をあげなければ経営が成り立ちません。稲毛記念館を宿泊可能な「便益施設」にする計画もあるとの事ですが、4施設はそれぞれ設置目的や歴史的背景を持つ施設であり、管理許可制度になる今後も「教養施設」としての役割を果たせるのか疑問です。市民の共有の財産である公共公園施設の管理運営を収益事業として事業者に委ねることには慎重であるべきです。以上の理由から今議案には賛成できません。

つぎに議案第168号 議決事件の一部変更、千葉市新庁舎整備工事請負契約についてです。

わが党は現在の庁舎を耐震補強してあと10年~15年使い、新庁舎建設に使う予算を市民生活向上に回すよう求めてきたので、議案第168号には賛成できないことを表明します。

つぎに議案第169号 議決事件の一部変更については、幕張新都心拡大地区新駅駅前広場等整備工事に係る工事請負契約において週休2日制工事に係る費用や舗装材料の変更、アスファルト舗装の処分費の増加などにより契約金額を変更するものです。

建設業における働き方改革の一環として、公共事業において週休二日制を実施していくことは、現在従事している労働者の休日を増加し長時間労働を短縮していくだけでなく、労働環境整備によって建設業で働こうとする若い労働者を増やす契機にもなると考えられ、この取り組みは大変意義があり、すべての公共事業で実現していくべきものです。

しかし、幕張新駅の建設及び新駅に伴う駅前広場の整備については、イオンの利益誘導に資するものであり、そこに多額の税金を投入することは市民理解を得られないとこれまでの議案にも反対をしてきたことから、幕張新駅関連の本議案については賛成をすることはできません。

つぎに発議第11号 千葉市適正な再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例の制定についてです。

 脱炭素社会の構築は世界の大きな流れであり、持続可能な社会のための提案については理解をいただきました。議員間討論が一応できたことは前進です。そのなかで「市において関係法令やガイドラインで指導しており、さらに国において法制化が検討されているので条例は必要ないのでは」との議論がありました。これまで環境問題の法制化は地方自治体で条例化を積み重ねて法制化に至った経過があります。その歴史的な背景を無視することになります。また「強制力に問題があると考えられるので賛成できない」との意見もありましたが、国の法制化を待つ姿勢は「環境問題は地球規模で考え、足もとから行動する」理念に反します。行動することでこそ強制力が生まれるものであり、住民の力で地域から温暖化対策を進める時ではないでしょうか。

 採決ではベテラン議員から「勉強することが必要」とのことから継続の提案がありました。これは一つの見識だと思います。賛成少数で否決されたことは実に残念ですが、温暖化対策は喫緊の課題であり、脱炭素地域に指定された千葉市の責任も問われます。再生可能エネルギー社会の実現は待ったなしです。世界的にも条例提案の流れは至極当然です。このことを申し上げて早期の条例化を求めるものです。

請願第6号「千葉市の教育に関する請願」及び請願第7号「第2子の学校給食費無償化を求める請願」についてです。

学校生活環境の改善についてです。トイレの改修は令和4年度までに74校、令和5年度~6年度で51校を整備する予定で、大規模改造は21校で完了しているとのことです。学校施設の8割が建築後30年以上を経過し老朽化が進んでいるため、国や県の補助率を引き上げて学校生活環境改善の整備を前倒しで行うよう求めます。校庭整備については、芝生化の検討を求めましたがコストや維持管理の課題があるとしています。近隣住宅に砂が飛ぶなどの影響もあるため検討を求めます。また、エレベーター設置は、障害のあるお子さん以外にも教員や地域の方の利用も考慮し、前倒しして整備するよう求めます。

教職員を増やすことについてです。県は来年度定員よりも294人増員して採用するとしています。一方千葉市では年度途中で欠員が生じた際、教職員課でも講師を採用していますが間に合わず、学校独自でも人を探すなど大変だとの声も多く寄せられています。教員が減って1学級35人が38人となり、クラスが2つから1つになるなどの事例や、児童数の多い学校ではステップルームの部屋が確保できない、児童数の少ない学校では先生が足りないなどの状況です。スクールサポートスタッフがいることで助かる面もあるでしょうが、子ども一人ひとりに寄り添い「人を育てる」教育の仕事は教員にしかできません。現場から切望されている「教員」を増員し配置するべきです。

また、第2子の学校給食の無償化については、市は第3子以降の無償化を今年の1月から実施していますが、第2子以降を無償化とした場合は約14億5,300万円かかることになります。物価高騰のおり子育て支援で給食費無償化をする自治体も増えており、千葉市でも年間5~6万円の給食費負担軽減を実施すべきと求めました。

他の会派は、「施設整備は前倒しで対応している。」「給食費無償化は今年1月からの実施でようやく1年であり効果の検証をすべき。」「給食費助成は就学援助制度や第3子以降、生活保護などで16%が受けている」との発言で、請願者の気持ちはわかるが願意を満たしているなどと反対しました。他会派も子育て支援の充実を唱えるならば、第2子の給食無償化にいまこそ取り組むべきであり、議会で一丸となって賛成するべきです。

請願第8号「千葉市子ども医療費助成、助成対象を18歳まで拡充を求める請願」及び請願第9号「千葉市子ども医療費助成制度の保険調剤について保護者負担の撤回を求める請願」です。

18歳までの医療費無料化は政令市20市中1市、県内では37市中15自治体が実施しています。千葉市で高校卒業まで実施した場合の費用は7億2千万かかるとのことでした。保険調剤の負担見直しは総合的に検討するとし、第3子以降の負担軽減の内容も検討しているようです。県の助成対象である外来で月に6回、入院で月に11日以上への軽減ではあまりにも少なく拡充が必要です。県の補助金の割合を他市のように2分の1に引き上げ、助成対象者を増やす取り組みが求められます。

市民ネットワークは、18歳までの医療費無償化の拡充について「15歳を超えると3割負担となり、こどもにしわ寄せが来る」ため、請願第8号には賛成されました。しかし他の会派は、請願第8号は「財源が課題だ」と反対し、請願第9号については「願意は理解するが賛成しかねる」として反対の立場を表明しました。今議会の代表質問では各会派が、薬局窓口負担が重いなどの主旨で、制度の見直しなど指摘していながら、薬局窓口の保護者負担撤回を求める請願には反対するのは、筋が通っていないのではないでしょうか。お子さんが病気の時にお金の心配なく受診できるように、県内で唯一負担増を課している薬局窓口負担はなくし、18歳までの医療費無料化をすすめていくべきです。

 最後に請願10号 国民健康保険料の引下げを求める請願についてです。

他会派からは「保険料収入での運営が基本」「減免制度がある」などの理由から、引下げについて反対されたことは大変遺憾です。長引くコロナ禍や物価高の影響で自営業者の多くが厳しい生活状況に置かれています。そうしたなか、10年前の本市平均保険料は90,395円だったものが、年々保険料が上がり続け令和4年度平均保険料は104,866円となっています。所得200万円世帯では負担割合は15%ともなるなかで、払いたくても払えない状況にあり、少しでも払いやすい保険料にする努力こそが自治体には求められています。

北海道東川町は市の財政で年間約16,000円の引下げ、または鹿児島県霧島市は5,000円の引下げを実現しています。千葉市でも一般会計繰入額を増やすことで、保険料負担の軽減は可能です。本市の繰入金の推移ですが、平成29年の108億円をピークに令和2年度には61億円まで繰入額が減少しています。本市で国民保険料の世帯5,000円減額する場合の財源は約6億円となりますが、本市の国保基金には20億円も積み立てがあります。当局にはコロナ禍、物価高で苦しむ国保加入者の医療受診権を守るためにも保険料の引下げを行うことを強く求めておきます。

以上で討論を終わります。

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