市民生活支える物価高騰対策に予算を! のじま友介議員一般質問〔2023年第4回定例会〕
2023.12月議会 討論
日本共産党千葉市議会議員団の野島友介です。会派を代表して議案第138号、143号、145号、154号については意見を述べ、議案第139号千葉市職員の給与に関する条例の一部改正について、議案第142号千葉市アイススケート場設置管理条例の一部改正について及び議案第156号千葉市証明書等手数料条例の一部改正についての3議案に反対し、発議9号千葉市公共交通利用促進条例の制定についてが否決され、請願8号「国民健康保険料の引き下げを求める請願」が不採択になったことについて討論を行います。
初めに物価高騰対策について意見を述べます。議案第133号では、中小企業支援金の追加、学校や保育所等の給食費の補助がされました。議案第154号千葉市一般会計補正予算(第7号)については、中小企業支援金は新たに追加し、小中学校・保育所などの光熱費などの負担増に対する支援等、前進があります。価格高騰重点支援給付金は住民税非課税世帯に7万円の給付金を支給するものですが、前回3万円の住民税非課税世帯における支給対象世帯数は約10万7千世帯であり、今回の追加給付については、約10万9千世帯を見込んでおり、約2千世帯の増加が見込まれています。もれなく対象者への支給を求めるとともに、名古屋市が生活保護世帯に対して年内支給、県内でも八街市、四街道市、佐倉市の3市が年内支給を予定しています。1日も早い支給事務に努めていただくよう強く要望しておきます。
また、給付金の対象から外れてしまう年収200万円以下の非正規雇用者などへの支援も必要です。市民生活の厳しい実態に鑑み、国の地方創生臨時交付金だけでなく、財政調整基金の活用も視野に入れて対策を実施するよう求めます。
議案第138号 千葉市公文書等管理条例の制定についてです。市が保有している公文書は、市民共有の知的資源として適正に管理する必要があることから、公文書管理に関する基本的事項を定めるため、条例を制定するものです。
我が党の福永洋前議員が令和2年第4回定例会の一般質問で、公文書条例の制定と公文書館の設置を求めていますが、3年が経過してようやく条例制定が提案されたことになります。
公文書管理制度は、行政に対する市民の理解と協力を得るために必要なものであります。公文書が市民共有の知的資源であることを職員及び市民に周知していくことが必要であり、そのために努力をしていくことが大事です。
また、公文書の情報公開については黒塗りを可能な限りやめることを求めておきます。
公文書館については、高松市は合併で未使用になった町役場を活用しており、千葉市も統廃合で未使用となった学校等の活用を検討するよう求めておきます。
議案第143号 子どもの医療費の助成に関する条例の一部改正については、R6年8月から子どもの医療費の助成対象を中学3年生から高校3年生相当まで拡大するとともに、小学4年生以上の通院にかかる保護者負担額を500円から300円に引き下げるものです。我が会派や市民からの請願等でかねてより求めてきた18歳までの助成対象引き上げが実現することは歓迎するとともに、県内唯一通院時500円の保護者負担であったものが他自治体並みに引き下げられることは保護者負担の軽減につながることから賛意を示すものです。
子どもの医療費助成制度は子どもの命と健康を守るために、本来は国が一律の制度を作り財政支援を行うべきですが、国の制度がない現在、本市の子どもや子育て家庭が安心して医療にかかれる制度を整備していくことが必要です。18歳までの医療費の無料化を進めていくよう求めておきます。
議案第145号・千葉市空家等及び空地の対策の推進に関する条例の一部改正についてです。
国において「空家等対策の推進に関する特別措置法」の一部改正により、空家等のうち、「適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれがある状態」として市が認めるものを「管理不全空家等」と規定し、市が指導・勧告できることになります。
国からガイドラインが13日に示され、今後、具体的に市の基準を設けて、空家の調査等が行われます。空家対策には、所有者自身に空家を放置すれば周辺への悪影響があることを認識してもらうとともに、地域、行政、不動産に関わる関係者、関係機関の連携が欠かせません。
特に、千葉市においては区役所だけでなく、都市局が連携して予算も人員も確保しなければなりません。空家の有効活用も含めて横断的に取り組むことを求めておきます。
議案第139号千葉市職員の給与に関する条例等の一部改正についてです。
これは、千葉市人事委員会の勧告に基づき、一般職の職員の給料及び期末・勤勉手当等を引き上げるとともに、一般職の職員の改正を踏まえ、特別職の職員の期末手当を引き上げるものです。また、会計年度任用職員についても給与改定を行うとともに、新たに勤勉手当が支給され期末・勤勉手当の年間支給月数が2.50月から4.50月に改訂されるものです。
行政職の職員の平均引き上げ額は年間約9万9千円です。期末手当を引き上げたのは26年ぶりとなります。若手の職員の方からは、就職してから給料が上がるどころか下がってばかりと聞いていた中で、ようやく増額となるのは歓迎するものです。職員の方は、市民の福祉増進に尽力されその仕事に見合うだけの給与改定は必要です。
今回一般職と合わせて、特別職の期末手当の引き上げについても提案されていますが、今、物価高騰で、賃金はまともに上がらず、年金は下がる一方であり、市民感情からしても特別職の期末手当の引き上げは、市民理解は得られないと思います。今回は、この特別職の期末手当の引き上げが入っていることから議案には、反対するものです。
議案第142号 千葉アイススケート場設置管理条例の一部改正についてです。
新港清掃工場のリニューアル工事が令和8年度からの5年間予定されています。その間、アイススケート場及び、温浴施設への電気・蒸気の供給が停止するため、これらの施設を稼働させるためには自立稼働をする必要があるが、電気代やガス代が多額となることが見込まれるため、開業以来、運営収支の均衡が図られていない「温浴施設」を、千葉市アイススケート場設置管理条例の規定から削除し、廃止するものです。
そもそもアイススケート場も温浴施設も、新港清掃工場を設置する地域において、清掃工場の余熱利用施設として地域住民に利用していただくために設置した施設です。自立稼働には多額のコストがかかるため清掃工場のリニューアル工事中の休止はやむを得ないとしても、設置管理条例から削除し廃止することには納得できません。温浴施設も今後2年間は稼働を続けます。地域住民や利用者の声を聞き、本来設置された目的に鑑み、新港清掃工場のリニューアル後の余熱利用についてコスト優先でなくきちんと位置付けるべきであると考えることから本議案には反対します。
議案第156号 千葉市証明等手数料条例の一部改正についてです。
今回の証明等手数料条例の一部改正の議案は、戸籍証明書の広域交付と戸籍電子証明書提供用識別符号等通知書の交付を行うことによる手数料の規定の追加と整備を行うものです。
行政の事務の効率化のみならず、戸籍証明等を本籍地以外の市町村でも取得できるなど、市民の利便性の向上を図ることを目的とするとしていますが、そもそも、この条例改正の根拠となった「戸籍法の一部を改正する法律」についての概要を示した法務省民事局の資料には、法律の成立までの経緯に「戸籍などの公共性の高い分野を中心にマイナンバーの利用範囲拡大の方向性を明らかにする」などの記載があります。マイナンバー制度は、徴税強化と社会保障給付抑制を目的に、国が国民の情報を厳格に掌握することを狙った仕組みです。
法務省は今回の法改正で「本籍地以外の行政機関でも戸籍情報にアクセス可能となることから個人情報の保護の必要性が高まる」としており、当局からも個人情報を適切に保護する必要があることから、不正利用された場合の罰則措置が設けられ、戸籍の情報はインターネットから切り離され、高度なセキュリティを維持したネットワークで連携するなど対策がなされているとの説明もありました。戸籍などの個人情報の取扱いには細心の注意を要するためです。
戸籍法の改正でマイナンバー制度への参加を柱にした制度設計を行ない、マイナンバーの利用をさらに広げることは問題と考えるため、本議案には反対と致します。
発議第9号・千葉市公共交通利用促進条例の制定についてです。
この条例提案は、県都である千葉市においても、バス事業者による経営判断からバス路線の廃止や減便が実施されています。運転手確保が困難な状況から、バス路線を一時休止するバス事業者もあり、それが市民生活にも深刻な状況がある中で、実効性あるバス事業者支援や、より多くの市民にバス等に乗車してもらう取り組みが求められています。
市民には移動する権利があり、それを守るために千葉市も、市議会も取り組まなければなりません。自民党と立憲民主・無所属、公明党の委員から、「発議の趣旨は理解できるものの、本市において公共交通施策の創設や拡充が図られ、その動向を注視する必要がある」とか、「市民、事業者など関係者と協議をし、条例の必要性の議論が必要であり、制定については現在のところ難しい。賛成しかねる」などとして発議に反対しました。
移動する権利を奪われる市民の状況を鑑みれば、本市においてバス事業者への支援はあまりにも脆弱すぎます。地域を衰退させてはなりません。14の政令市で実施している敬老乗車券の事業や外出支援事業を本市でも実施して、市民の利用促進策を充実すべきです。
請願第8号・国民健康保険料の引き下げを求める請願についてです。
物価高騰が続く中、労働者の実質賃金低下、年金額の引き下げ、インボイス制度による消費税増税策で、市民生活の実態は厳しく深刻化しています。こうした中で国民健康保険料は大変重い負担であり、「払える保険料に引き下げてほしい」という市民の願いは切実さを増していることから、国民健康保険特別会計に一般会計より繰り入れを行い、加入世帯の負担軽減のために、国民健康保険料の引き下げを求めるものです。
長引くコロナ禍や物価高の影響で、自営業者の多くが厳しい生活状況に置かれています。そうした中、滞納者の世帯数は、令和4年度は22,759世帯。差押件数は令和2年度1,541件だったものが令和4年度4,428件と3倍近くになっており、差押金額も、令和2年度4億49百万円が、令和4年度9億87百万円と倍増しております。そもそも、平成25年の平均保険料でいえば7万9,000円ぐらいだったものが、令和2年9万2,000円、令和5年度では約11万円と上昇し続けております。
政令市中7市、県内市37市中11市が法定外繰入を行っています。川崎市では市の財政で年間約1万円の引き下げを実現しています。千葉市でも、一般会計繰入額を増やすことで、保険料負担の軽減は可能です。本市で国民保険料の世帯5,000円を減額する場合の財源は約6億円となりますが、本市の国民健康保険財政調整基金には24億円も積立てがあります。
他会派からは、保険料収入での運営が基本、減免制度があるなどの理由から、引下げについて反対されたことは大変遺憾です。
当局には、コロナ禍、物価高で苦しむ国民健康保険加入者の医療受診権を守るためにも、保険料の引下げを行うことを強く求めておきます。
以上で会派を代表しての討論を終わります。