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日本共産党東京都議会議員団

討論原稿提供受けた議員は慣習を見直すべき! 佐々木ゆうき議員討論〔2024年第2回定例会〕

佐々木議員の議案に対する討論         2024.6.21

 議案第61号に反対し、委員会で発議第7号が否決され、請願第2号および請願第3号が不採択になったことについて討論を行います。

議案第58号・専決処分について、令和6年度価格高騰重点支援給付金について

これまでの価格高騰重点支援給付金では対象者10万5千世帯中、4,000世帯が未申請と辞退ということで約4%の方が給付金を受け取っていないとのことです。

今回、新たに住民税が非課税または均等割のみ課税となる世帯は約16,500世帯であり、未申請と辞退が仮に約4%では約600世帯程度になります。ぜひ給付金の対象となる市民が未申請とならないように周知徹底をお願いするものです。

新たに住民税が非課税になった市民の方から、「廃業などで収入が無くなって本当に大変」という声が届いています。一日でも早く支給するよう求めておきます。

議案第60号・千葉市一般会計補正予算中、高齢者新型コロナ予防接種事業について

新型コロナウイルスは季節性インフルエンザよりも感染力が強く、他の感染症と同列に扱えません。昨年5月にコロナの感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザと同じ5類に移行しましたが、その後も医療機関や高齢者施設で集団感染が発生しています。

本年4月以降、公費負担が廃止されて、窓口負担3割の場合、重症化リスクのある人向けの「ラゲブリオ」は1回の治療で約2万8千円の自己負担、軽症から中等症向けの「パキロビッド」は3万円、「ゾコーバ」は1万6千円と大変高額になり、治療薬の処方を拒む患者が出ています。新型コロナワクチンも無料から有料になると、さらにワクチン接種率が下がり、診療・治療拒否が発生し、医療のひっ迫につながるのではないかと考えます。

千葉市の高齢者の定期予防接種、インフルエンザでは1,800円、肺炎球菌では3,000円です。新型コロナワクチンは3,300円程度になるとのことですが、インフルエンザワクチンに比べると倍近くになります。今までワクチン接種をしていた方が、今度は控えてしまう可能性があるのではないでしょうか。せめてインフルエンザワクチンなみに自己負担額を下げ、ワクチン接種を希望する市民が、接種できるようにしていく必要があることを指摘しておきます。

議案第60号・令和6年度千葉市一般会計補正予算中、消防庁舎整備事業について

 畑消防出張所建替えに7億5,200万円計上され、整備期間中の待機場所について、日中は花見川区役所、夜間・早朝は花見川消防署ということですが、移動にかなりの距離があります。畑消防出張所での救急隊の出動件数は昨年度3,246件と、1日あたり9件出動しており、迅速な対応ができるのか若干懸念されます。

また建て替えにあたって、女性の消防吏員を2人交代で勤務時間帯に1人の配置となっていますが、今後は複数配置の検討も必要かと考えます。

今後、10年のうちに建て替えが必要となる10か所の検討にあたって、女性の専用仮眠室も増設されれば、女性消防吏員もさらに増やすことが求められます。千葉市の女性消防吏員の割合は現在4.6%です。消防局は5%をめざすとしていますが、将来的に、さらに増員して、きめ細やかな対応ができるようにしていくことを求めておきます。

議案第61号・千葉市市税条例の一部改正について

 この議案は、固定資産税及び都市計画税における「わがまち特例」の新設・延長に伴い、所要の改正を行うほか、規定を整備するものです。

まず滞在快適性等向上区域、いわゆる「まちなかウォーカブル区域」についてです。市町村による公共施設の整備等と一体的に、民間事業者等が、民地のオープンスペース化や建物低層部のオープン化を行った場合に、整備が完了した翌年から5年間、固定資産税・都市計画税の課税標準を3分の1から3分の2の範囲内で、条例で定める割合に軽減する内容です。千葉市は参酌基準2分の1ではなく、3分の1に軽減する特例措置とするものです。

 この対象とする区域は、千葉駅前とその周辺など中心市街地、幕張豊砂駅前としています。個人事業主や個店なども軽減対象としていますが、中央公園・通町公園連結強化事業とその周辺への新たな開発を進めたり、開発事業者や幕張豊砂駅前の一部の企業の税が軽減されることには疑問があります。

 また、再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置は、現時点で対象となる事業者がないことや、経済・雇用効果も見込めない中で、条例改正の必要性が問われることから、本議案には賛成しかねるものです。

議案第62号・千葉市療育センター設置管理条例の一部改正について

美浜区にある療育センターが大規模改修のために機能を分散し、中央区に仮移転するものです。療育センターは築43年経過し、昨今、障がいのあるお子さんの相談などが増え、待機期間が長くなっていることが問題となっています。

今回の改修にあたって、相談体制など人的な体制は変わらないとのことです。こうした施設は、関東の政令市でも、横浜市は9か所、川崎市は4か所、さいたま市は2か所であり、千葉市の1か所では、あまりに少ないのではないかと考えます。

専門的な医師の派遣も含めて人材育成、人材養成も重要であり、今後、複数の設置に向けての対応を求めるものです。

議案第66号・千葉市新庁舎整備工事に係る工事請負契約に関する議決事件の一部変更について

 この議案は、旧庁舎の解体工事の進捗にあわせ確認されたPタイル等の接着剤に含まれるアスベスト処理費及び脱炭素化に向けた取り組みとして市民駐車場に整備する電動車用急速充電器の費用を追加するものです。

このための変更金額は3億9,905万円で、昨年の第4回定例会で議決された変更前の金額269億5,820万円に加え、変更後は273億5,725万円となります。

 千葉市は脱炭素先行地域に選定され、電動車の普及とそれに伴う充電設備の設置は必要であり、反対するものではありません。しかし、急速充電器の設置に伴うケーブルの配線について耐震設備に影響がないよう本庁舎内を通すため、ケーブル等の距離が長くなるため、設置工事などの費用が増えることについて、総務委員会で各委員から指摘がされました。

また、当局は今回のように、アスベスト処理費と電動車用急速充電器の費用をセットで提案するのではなく、電動車・充電設備の普及を目的として、同設備を単独で予算計上すべきであったと考えます。

設置にあたっては、利用する市民への費用面も含めた説明を行い、新庁舎整備とそれに関連する事業については、情報提供と説明責任を果たすよう求めておきます。

発議第7号・千葉市インターネット上の誹謗中傷等の防止及び被害者支援等に関する条例の制定について

本条例案では、インターネット誹謗中傷により、うつ症状となったことや不登校になるなどの市民からの被害実態の声に対応するため、インターネット上の誹謗中傷等の防止及び被害者の支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、互いに思いやりを持ち、基本的人権を尊重しつつ、インターネットの恩恵を享受できる、安全で安心な地域社会の実現に寄与することを目的として、発議したものであります。

委員会審議では、委員より、「罰則規定がないため」との意見で反対されました。あらためて申し上げますが、本条例は理念条例であり、全国の自治体で制定されているインターネット誹謗中傷防止条例にも罰則規定はありませんし、条例を制定することによる一定の抑止効果や行政側の相談体制の強化などを進めることが可能であるため、罰則を含めた条例は必要ないと考えます。

また、他の委員から、「表現の自由が制限される懸念ある」として反対されましたが、本条例では、誹謗中傷、プライバシーの侵害、不当な差別的言動については、「人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病、性的指向、性自認等の共通の属性を理由とする侮辱、嫌がらせ等の言動または当該属性を理由として不当な差別的取扱いをすることを助長し、若しくは誘発すると判断できる言動をいう。」と規定しております。

現に、他都市で制定して運用しているように、法務局や弁護士とも緊密に連携しながら、表現の自由が制限されるようなことがないよう運用していくことは可能と考えます。

一方で、他の委員から「相談窓口含めた周知をもっと行うべき」という意見も出されたところであります。これについては、まさに発議をした一つの意図でもあるため、専用のページを新たに立ち上げ、例えば、ネットに誹謗中傷事案が発生した際に、投稿削除依頼にはどのように対処すべきか、あるいは法律相談につなげるなど、市民が相談したい時に、適切にフォローできる体制の改善は、執行部に対して改めて強く求めるものであります。

多くの委員からはインターネット誹謗中傷対策条例における必要性の認識は一定表明されたことも事実であるため、今後は、常任委員会における年間調査テーマに設定して、超党派における条例発議の検討に入ることを強く望むものであります。

市民からの声にもとづき、執行部が追いつかない新たな課題への対処において、二元代表制である議会、超党派議員による英知で練り上げ、より良い条例提案を行うことで市政を動かしていくべきではないでしょうか。本発議への賛同とともに、新たに議会発議における政策条例を、ともに進めていこうということを強く呼びかけるものです。

請願第2号・公立小中学校・特別支援学校の給食費無償化と安心安全な地元農産物の活用を求める請願について

 千葉市が令和4年1月から実施している学校給食費の無償化は、第3子以降を対象としています。1つに、3人以上の子どもを扶養していること。2つに、上から3番目以降の子が義務教育期間の千葉市立学校で給食の提供を受けていること。3つに、生活保護・就学援助制度で学校給食費の支援を受けていないこと。4つに、学校給食費の滞納がないこと。この4条件を全て満たす保護者が対象で、しかも申請方式となっています。

 学校給食費の無償化は、昨今の物価高騰の中、保護者負担の軽減にとっても、また、子どもたちの成長を保障するうえでも必要な施策となっています。政令市20市中、14市で取り組まれ、千葉県内54自治体のうち22市で、完全無償化をする自治体がいくつもある中で、千葉市の対象となる児童・生徒の人数があまりにも少なすぎます。

請願に反対した会派は「国へ要望している」ことや、すべての小中学生を対象にした場合の「費用負担を理由」にしていますが、約37億円の負担額は、千葉市の今年度の一般会計予算の0.7%です。予算の使い方を変え、基本的人権の生存権と、子どもの権利条約にある成長発達権につながる千葉市の児童・生徒の給食を食べる権利、食の権利を保障していくことが、いま千葉市に問われているのではないでしょうか。

請願の文中にもあるように、「東京23区では2024年4月から全区で実施され、杉並区では公立小中学校だけでなく国・私立小中学校にも拡大」されることになったように、全国の自治体で学校給食費の無償化は大きな流れになっています。自治体のトップがリーダーシップを発揮するべき時です。

また「安心・安全な地元農産物を使用した学校給食の提供を促進すること」についても、地域農業の活性化にも寄与し、食育と位置づけた子どもの育ちを支える取り組みとして、反対する内容ではないにも関わらず、千葉市の学校給食では市内産・県内産品の野菜約30%、米は約100%使用されており、すでに上限値に近いなどの意見が出され、不採択となったことは大変遺憾です。

請願第3号・市議会への討論原稿案の提供問題に関する請願について

本請願は、本年3月の朝日新聞の報道により明らかになった千葉市が提出した議案に対し、議員が賛成意見を表明する賛成討論の原稿案を市側が作成し、過去2年間、自民党と立憲民主党・無所属の2会派の計13議員に計15件の原稿案を提供していた問題を「改善してほしい」と願う市民の切実な請願であります。

 あらためて申し上げますが、二元代表制である議員は、市から提出される議案や予算を市民目線でチェックすることが仕事であるにも関わらず、執行部から提供される原稿をほぼ丸読みして議案や予算のチェック監視機能を果たせていないことは議会の機能不全とも言うべき恥ずべき事態であります。

 委員会審査においては、維新の会・無所属の会は、「新聞報道のような悪しき慣習があるのであれば、議会として請願事項を真摯に受け止めるべき」と賛成を表明しました。

しかしながら、公明党からは「市民から『議会は二元代表制の一翼を担うものなので、しっかりして』との声に対し、真摯に受け止めなればならない」と表明したものの、「所管外」「権限外」として「不採択にすべきもの」と反対しました。討論原稿の提出を受けてきたとされる自民党や立憲民主党・無所属の会派から、提供を受けてきたことに関しての真摯な反省には程遠く、改善に向けた意見を述べることもなく、「議会として討論原稿に関する事務を行っていないため本請願は不採択とすべき」と論点をすり替えた手続き論で、請願に反対した姿勢は二重に恥ずべき対応であると厳しく指摘するものであります。議会運営委員会を傍聴した市民からも「こんな議会ではあきれる」などの怒りの声が寄せられています。

日本共産党千葉市議団は、新聞報道後、4月10日に市長に対して、今後は議案賛成討論原稿の提供をとりやめるべきと申し入れを行いました。同日、議長に対しても二元代表制の一翼を担う議会の役割を果たすよう申し入れました。後日、市からは今後は議案の賛成討論原稿の提供はとりやめる旨の回答を受けました。

最後に、市の対応を是正させた今、提供を受けてきた議員は請願の内容を真摯に受け止め、慣習を見直すよう強く求めておきます。そして、市民から負託を受けた議員として、二元代表制である議会の役割を果たし、市民から信頼される健全な千葉市議会に改革しようではありませんか。改めて、すべての議員のみなさまに請願への採択を呼びかけるものであります。

 以上で、日本共産党千葉市議団を代表しての討論を終わります。

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