若者への学費負担軽減・家賃支援などに取組むべき! 佐々木ゆうき議員の討論〔2024年第3回定例会〕
佐々木議員の議案に対する討論 2024.9.17
議案第80号、議案第84号に反対し、委員会で発議第9号が否決され、請願第4号が不採択になったことについて討論を行います。
議案第80号・千葉市国民健康保険条例の一部改正について、および議案第84号・千葉県後期高齢者医療広域連合規約の一部改正に関する協議についてです。
どちらもマイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けてのものであり、国民健康保険条例の一部改正では被保険者証を廃止することが示されています。
千葉市におけるマイナ保険証の利用率について、国民健康保険は約13%、後期高齢者医療は約9%と極めて低くなっています。
12月2日から健康保険証が廃止となる代わりにマイナ保険証へと誘導していますが、今後5年間は資格確認書で、現行の健康保険証と同様に受診できることが明らかになっています。また現在、マイナ保険証による1回の受診で20円、医療費が安くなりますが、12月2日以降の医療費負担は現行の健康保険証と変わりません。
停電時や災害の際にシステムダウンによってマイナ保険証は使えず、医療機関と患者への負担が増すばかりです。直近1か月分の薬剤の情報が反映されるまでにタイムラグがあることを当局は認めていますが、現在のおくすり手帳があれば、「医療の面でも助かる」との医療現場の声もあります。認知症の方や特別養護老人ホームの入所者などでは管理も課題であり、トラブルの増加が懸念されます。
本年2月の短期被保険者証の交付は6,450世帯、資格証明書交付は約150世帯です。今後、資格証明書の発行はなくなるということで10割負担をすることがないことは、保健消防委員会でも確認しましたので、医療の受診抑制とならないよう求めるものです。
全国保険医団体連合会のアンケート調査結果によれば、マイナ保険証における資格認証エラーなどトラブルがあった医療機関は6割にのぼっており、政府に健康保険証の存続を求めて、全国で145万人が署名しています。
マイナ保険証に関するパブリックコメントは約5万件にも上り、「保険診療が受けられなくなる懸念がある」「個人情報が漏えいするのではないか」など、大半が反対の意見です。
厚生労働省も「マイナ保険証を使う方も念のため健康保険証も一緒に持っていてください」と呼びかけていることなどからすれば、トラブルが続き、不安がひろがっていることの反映ではないでしょうか。
千葉市では、マイナンバーカードと健康保険証を一体化していない方でも、保険者から送付されてくる資格確認書で医療機関での受診が可能であることを市民に情報発信すべきであります。
発議第9号・千葉市公契約条例制定検討委員会設置条例の制定についてです。
本条例案は、千葉市が行う契約において労働者の適正な労働環境及び公共事業の品質を確保し、市民サービスの向上及び地域経済活性化を図ることを目的とする「公契約条例」の制定についての調査・検討を行うための検討委員会を設置する内容です。
委員からは「国の労務費の確保の取り組みを注視していく」「企業経営については法律を守りながらやっている」「最低賃金法等により、労使間で自主的に決定するものである」などの意見、また「中小企業に関する問題意識は共有できる」ものの「国が労務費について担保するのであれば条例の必要性は乏しい。条例の効果の判断が難しいのでは」とする意見が出されました。
令和5年度の公共工事における入札執行件数は685件で、このうち入札不調件数が133件と全体の約2割を占めています。建設業界の慢性的な人手不足などが要因とされていることについては当局も認めています。
今回の条例案では指定管理者についても触れているように、入札競争で人件費を抑えることにより、人材不足やサービスの低下に関する相談も私どもに寄せられています。公契約条例を制定することにより、指定管理者における労働者の適正な労働環境を守ることができますし、ひいては市民サービスの向上、地域経済活性化につながるものと考えます。
無所属の委員からは「労使の関係で訴えるのは難しい。公園管理や公民館などを請け負ったところではお金は稼げない中で、人件費・賃金カットに流れてしまう」とし、「公契約条例制定検討委員会は必要」との意見が出されましたが、総務委員会では自民党、立憲民主・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会の反対により否決されました。
委員会審議の中で、反対した委員からも他の議会の状況にも触れて「各会派での話し合いが必要ではないか。市議会の中で条例案を調査・検討し、全体でやるべきではないか」との意見もありました。
千葉市の公共事業を受注した企業や、指定管理者となった事業者で働く労働者への適正な賃金の支払いを進めていくためにも、議員間の協議を実施し、千葉市にとってより良い公契約条例を検討することを呼びかけるものであります。
請願第4号・学費負担軽減を求める請願についてです。
千葉市独自の給付型奨学金制度の創設及び、学生向け家賃補助制度の創設を求めるとともに、学生への食料や日用品等の物資による支援、また、国や県に学費無償化と負担軽減を要請する請願が、日本共産党千葉市議団以外の会派の反対によって不採択になりました。
委員会では、請願者からの意見陳述で、食料支援活動を通じて1500人を超える学生から生の声を聞き取り、高い学費により困窮する千葉市内の大学に通う学生の実態について紹介がありました。
実習中にアルバイトができず、生活費のために60万円の借金をして、その返済のために大学を半年間休学し、深夜バイトを詰め込んでいる学生の話や、親御さんが亡くなられて、本人も心臓に病気があるのか急に倒れて病院に運ばれたという学生は、検査や治療を受ける経済力もなく、大学を退学した話など、深刻な例も示されました。
現在、入学する年の納入金は、国立大学で平均81万円、私立大学では平均135万円を超える額とのことですが、この間国が進めてきた「高等教育の修学支援新制度」では、給付型の奨学金の対象者については、世帯の年収で270万円以下、300万円以下、380万円以下など厳しい条件が設けられています。
また、多子世帯向けに拡充した600万円未満の世帯や、今後拡充する「所得制限なし」で受ける場合も、第一子が就職などで世帯の扶養から外れていれば第2子や第3子であっても、無償化の対象外になります。無償化=(イコール)ゼロ円ではないとして、入学金や授業料の一部または全部の免除についても、私立大学の場合、入学金で約26万円、授業料で約70万円が限度であり、上限を超えた金額は支払わなければならず、分野によっては実習費などがかかります。家賃補助については、そもそも奨学金の対象者のみが使える制度です。
学生への食料等支援については、令和3年度に3回、令和4年度に6回、令和5年度に4回行われたとのことですが、私立大学や短期大学に加盟している団体任せで、支援を必要とする学生に情報が届いていない実態があります。
何より、当局の説明も他会派の委員も「国が対応すべき課題として動向を注視する」との旨を述べて、請願の採択に反対の姿勢が示されたことは、大変残念であり、学生のおかれた過酷な現実を見ないものであると強く指摘するものです。
そもそも学ぶことは基本的人権で、憲法第26条に定められた民主主義的原則で、お金のあるなしで差別されてはならず、1985年のユネスコ「学習権宣言」でも高らかにうたわれています。教養や専門を身につけた学生が社会の様々な分野で担い手となります。学生が学んで利益を受けるのは社会全体であり、政府のいう受益者負担ではなく、社会全体で学生の学びを支えるのは当然のことです。
国待ちではなく、千葉市議会として、請願が出された背景と青年・学生の置かれた現実に思いを寄せ、地方自治体として高学費で苦しむ若者の困難解消のために制度を作ることが求められており、引き続き取り組むことが求められていることを申し上げておきます。
以上で、日本共産党千葉市議団を代表しての討論を終わります。