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日本共産党東京都議会議員団

物価高騰で市民生活が厳しい時に公共施設料金値上げやめよ! かばさわ洋平議員討論〔2025年第2回定例会〕

かばさわ洋平議員の討論           2025.6.25

 

 議案第71号一般会計補正予算、議案第73号千葉市市税条例の一部改正、議案第75号千葉市手話言語の普及及び障害者のコミュニケーション手段の利用を促進する条例の制定については賛成の立場から、議案第77号から88号までの公共施設の利用料金値上げについては反対の立場から、発議第6号千葉市動物の愛護及び管理に関する条例の一部改正についての可決、及び請願2号水道・下水道使用料の値上げ中止を求める請願の採択を求め、討論を行います。

はじめに、議案第71号、千葉市一般会計補正予算についてです。22億6,397万円の補正予算でありますが、予算に盛り込まれた保育料の負担軽減については、日本共産党市議団として、保育料無償化の拡充、国基準の小1の壁と言われる年齢制限の見直しを求めてきたものであり、今回は年齢制限と併せて所得制限も撤廃して、第2子半額、第3子無償の対象者を拡充したことは評価するものであります。今後は、子育て世帯の更なる負担軽減策として、第2子無償化への実施を求めるものです。なお、今回の補正予算において、物価高騰で苦しむ市民への支援策が含まれていないことは不十分さが否めません。千葉市中小企業者エネルギー価格等高騰対策支援金が5月支給開始となったことは前進ではありますが、長引く物価高騰で苦しむ市民の生活実態は厳しさを増しており、光熱費高騰の影響でエアコンを我慢し、熱中症で救急搬送される市民がこれ以上増えないよう、市民生活を守るための熱中症対策と物価高騰対策に追加で取組むよう求めるものであります。

次に、プレコンセプションケアについては、本市でも妊娠に関して悩んだ経験のある方が多く、検査にかかる費用の助成には賛意を示すものであります。一方で、国や自治体が推進するプレコンセプションケアに、市民から「産むための健康な体との考え方は、女性を産む機械と見なしていないか」あるいは、「女性ばかりにプレッシャーかけないでほしい」などの声も寄せられています。現時点で大事なことは、リプロダクティブ・ヘルス&ライツいわゆる「性と生殖に関する健康と権利」、子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決める基本的人権であることを広げること、性と生殖に関する健康や、それについての情報を最大限享受できるような取組が並行して必要不可欠であります。その上で、妊婦検診の軽減、ベビー服や哺乳瓶などの育児用品を贈る制度の導入など、妊娠・出産にかかる経済的負担の更なる軽減に取組むよう求めるものです。

次に、議案第73号千葉市市税条例の一部改正については、地方税法の一部改正に伴い、個人市民税の申告書の提出に係る規定を改めるもので、就業調整対策の観点から、大学生年代の19歳以上23歳未満の子どもの合計所得金額が58万円を超え123万円以下の場合、親が段階的に控除を受けられる特定親族特別控除が創設されたことによる条例の改正です。子どもの合計所得金額の上限が123万円まで引き上げられたことにより、控除の対象者が増え恩恵を受けられる枠が拡大することは前進ではあるものの、そもそも大学生の本分は勉学に努めることにあり、学費が高すぎて保護者の収入だけではまかなえないために大学生が年間123万円も働かなければならないというのは本末転倒とも言えます。学生が必死で働いて学費を稼がなければならない状況をなくすため、大学の無償化を多子世帯のみではなく、すべての子どもたちが享受できるよう、国に対して要望するよう求めます。同時に、新たに本市は「こども若者会議」が今後開催予定でありますので、大学生はじめ若者世代から議会請願でも求められている教育費負担の軽減、住まいの支援などにしっかりと耳を傾け、若者が住んで良かったと思える千葉市となるよう、新たな施策に取組むよう求めるものであります。

次に、議案第75号千葉市手話言語の普及及び障害者のコミュニケーション手段の利用を促進する条例の制定についてであります。この条例は、手話が言語であることの理解、普及を促進し、多様な障害特性に応じた支援により円滑なコミュニケーションを図ることで、障害の有無にかかわらず互いに理解しあい、助け合う地域共生社会を構築するために条例制定されるものです。私ども、日本共産党千葉市議団は2024年第1回定例会で手話言語条例を条例提案しておりましたが、新たに提案された条例は手話のみにとどまらず、多様な障害特性に応じた情報提供や支援者の確保を図る内容も追加されたことについては評価し、賛意を示すものであります。

すでに県でも手話言語条例が制定されており、千葉市の条例案では、聴覚障害児への手話言語の普及や教育などに係る規定はありませんが、聴こえの教室で補聴器使用訓練や聞き取りの訓練などの支援強化を行うことや教育委員会と連携し、市内学校での手話教室を積極的に開催するなど、理解促進に取組むよう要望します。

そして、今回の条例制定に併せて、代筆、代読支援事業や筆談用ボードの設置で300万円ほど予算が盛り込まれましたが、各区の保健福祉センターで手話通訳職員は多忙を極めているとの声もあり、条例の基本理念である手話などの使用する権利と理解促進、普及を目指すには、職員への手話研修、手話通訳士の正規職員の採用を増やすなど、人員体制の強化を求めます。さらに、本条例の理解促進を図るために事業者への周知、様々な障害を持つ方の選挙での投票行動に関する支援、人権を尊重したうえで参政権の保障が一層図れるよう要望するものであります。

続いて、議案第77号・千葉市コミュニティセンター設置管理条例から、議案第88号・青葉の森スポーツプラザ管理条例の一部改正について、59施設にも及ぶ一連の公共施設利用料引き上げに関する条例議案について、関連がありますので一括して、反対の立場から意見を申し上げます。

 今回、市民の皆様が、日々利用するコミュニティセンターから、文化ホール、市民会館、スポーツ施設など、59施設もの公共施設利用料金値上げが提案されました。従来の料金と比較すると、土気あすみが丘プラザ集会室1コマ2時間利用は100円値上げし440円に、勤労市民プラザ体育館の全館使用では5,430円値上げし23,840円に、市民会館大ホールでは土日1日つき40,160円の大幅値上げで173,990円となるなど、値上げによる利用減少が危惧されるものです。

今回の公共施設利用料金値上げの影響額は約1億8千万円にも及ぶもので、多くの市民に影響を与える議案であり、より慎重な審議が求められる案件であります。令和5年度の延べ利用者数で申し上げますと、コミュニティセンターでは、約149万人です。文化施設の市民会館大ホールが約18万人、文化センターが約6万5千人、若葉文化ホールが約3万5千人、美浜文化ホールのメインホールが約4万4千人。スポーツ施設では、約143万人の利用があるなど、少なくとものべ、300万人以上の市民に影響を与える議案であるということです。

なお、コミュニティセンターなどは、60歳以上の方が約6割を利用しており、物価高騰下で年金が増えないなか、利用料金値上げに伴い、高齢者の活動、いきがいづくり、健康にも影響を与えるものです。現に、委員会質疑において、市は勤労市民プラザにおいて、前回の料金値上げ時、利用者の減少があったことを認める答弁をしております。

そして、本議案における重要な論点として、今回の料金値上げが指定管理事業者の労働者に届くのか不透明ということであります。確かに人件費が高騰しているのは事実であり、平成23年度と現在の最低賃金で比較しても約45%上昇しているため、対応は必要であります。指定管理料のうち、支出全体の約60%と最も大きな割合を占めるのが人件費だからこそ、今回の料金値上げに伴い、指定管理事業者の労働者の賃金が適切に上がるのかを質しました。しかし、市は「人件費等の上昇を加味しつつ指定管理に必要となる額を上限額として提示し、各事業者から提案を受けることになる。このため、実際に勤務する方の賃金については各事業者の裁量の下、適正に決定していく」と事業者の判断となることを認め、場合によっては思うように賃金が上がらない事業者もあることを認めています。一連の公共施設利用料金値上げによる市民影響額が約1億8千万円と莫大な市民負担を押し付けて、これが指定管理事業者企業の内部留保に積まれては、何のための料金値上げなのかと問われるものであります。

そして、本議案に反対する最大の理由については、物価高騰下で市民生活が厳しいときに、負担を増やすべできはないと考えるからです。総務省が発表した5月の消費者物価指数は総合が111.4となり、前年同月と比べて3.7%も上昇、4月の3.5%を上回り、3カ月連続で伸び率が拡大する事態です。とりわけ、価格の高騰が続くコメ類は上昇率が過去最高を更新し、初めて前の年の2倍を超える水準になっており、経験のない物価高騰が市民生活を脅かしているのは国の統計からも歴然であります。

こうした厳しい市民生活実態があるなかで、1億8千万円もの市民負担を押し付けていいはずがありません。私は委員会質疑において、仮に引き上げを行わなかった場合、運営で支障きたすことがあるのかと質すと、市は「利用料金の引き上げを行わないことで、ただちに運営に支障をきたすことはないと考えます」と重大な答弁をしております。

かつてない物価高騰局面で市民生活が極めて厳しいときに、値上げを強行し市民負担を増やし、利用者を減らすのではなく、今は据え置いて市民利用を確保すること、物価上昇率と賃上げの動向をしっかりと把握し、何よりも市民生活の実態を適切に見極めた判断をすべきであると考えるため、本議案には反対するものであります。

次に、発議第6号 千葉市動物の愛護及び管理に関する条例の一部改正についてです。本改正は動物愛護管理法第九条の規定に基づき、多頭飼育の管理状況を早期に把握し、適切なアドバイスや指導の下、多頭飼育崩壊のような事態を未然に防ぐ目的で、一定数以上の動物を飼育する場合には届出が必要となる制度を定めるものであります。

保健消防委員会の審議では、「既存の取組を十分生かし、改善や強化、充実させることで多頭飼養に関する課題は十分対応可能である」との理由で否決されたことは大変遺憾であります。5月に本市で発生した50頭の猫の多頭飼育崩壊が起きた事案は、本市はまさに事前把握できなかったものであり、条例制定により事前に多頭飼育状況を把握していたら、フォローアップによりここまで大規模な多頭飼育崩壊は防げたのではないでしょうか。ひとたび、多頭飼育崩壊が起きると、多くの人を巻き込んだ労力、場所、資金が必要になり、社会的な負担は想像以上に大きなものがあります。当然ながら動物保護指導センターは、動物の収容可能数に限界があり、動物の預かり先を確保することさえ難しく、さらに、劣悪な環境下で置かれていたペットは、健康状態が悪いだけでなく、人になれていないため、検査や治療、訓練を行う必要があるなど多大な負担がかかるため、新しい飼い主を見つけるのも困難を極めることを考えると、条例効果は大きいものと考えます。当局に要望したいのは、非課税世帯等の多頭飼育崩壊が多い傾向にあるため、避妊去勢手術の支援拡充を求めるものです。

先般、船橋市が新たに多頭飼育に関する届出を新たに実施したところ、ケアマネージャー等から該当者に条例をお伝えするなかで届出が増えており、市の職員も指導に入りやすくなったとの評価もなされております。人と動物の共生社会をさらに前へ進めていくためにも、改めて本発議への賛同を強く求めるものであります。

最後に、請願第2号 水道・下水道使用料の値上げ中止を求める請願についてであります。県水道600円、本市下水道使用料288円、合計で約900円の負担増、年間では1万円以上負担が増える見通しが示されているなか、請願者からは「食事は2食に切り詰めている」「子どものおやつを減らしている」「もう節約するところがない」といった市民の切実な声や実態とともに、「地方自治法の本旨にもとづけば、上下水道料金の値上げはするべきではない」との陳述が行われました。

反対した会派の委員からは「市民生活が厳しい、苦しいことは理解するが、インフラの維持と老朽化対策を円滑に進めるためには、今回の使用料改定はやむを得ない」や「値上げの抑制を求める請願項目であれば賛成できる」と述べられました。また一部の委員からは「値上げしないためにどうするかの代替案を示すことが必要だ」とする意見が出されました。請願者は市民生活の実態から値上げを中止することを願い、千葉市が一般会計から手当し、また国に対して修繕などへの補助を求めるよう提案しているのであり、「代替案を示せ」ということを請願者に求めるのは、市民の請願権の観点に照らしても筋違いの反論であると指摘しておきます。

そもそも、上下水道料金の値上げにより、市民生活だけでなく、水の使用量や排出量の多い病院・診療所などの医療機関、特別養護老人ホームなどの介護事業所にも大きな影響があるため、値上げは見直すべきであります。あわせて、下水道というのは普段の生活からは見えない部分であり、市民生活になくてはならない事業であることや下水道管の老朽化対策への取組など、市民への周知を強化すべきということも申し上げておきます。

今回、代表質問でも本件について質疑しましたが、当初、独立採算制のため一般会計からの繰入について困難な姿勢を示していた千葉県は、先の千葉知事選挙で水道料値上げは大きな争点になり、県民世論や運動もあって、料金改定率を抑えるために令和8年から12年度計324億円を一般会計から繰入れ、水道料金値上げ抑制を図る計画を示しました。

しかしながら、本市は県に値上げ抑制を求める一方で、下水道使用料の値上げ抑制のための一般会計からの繰入を拒否する姿勢は市民の願いに反するものではないでしょうか。令和6年度の下水道使用料の料金改定時に一般会計から約4億円を繰入れした理由は「ウクライナ情勢に伴う世界的な電力価格の急激な高騰による、市民生活への影響を考慮した」と答弁しましたが、当時と比較しても今はお米が2倍に値上げするなど、かつてない物価高騰による市民生活の厳しさは増しているのは明らかではないでしょうか。

日本共産党千葉市議団は市長宛に市民団体と集めた上下水道料金値上げ中止を求める署名7千筆を先ごろ提出しました。このように多くの市民がこれ以上の負担増はやめてほしいと願っております。市民の生活実態に最も身近で、市民意見を代弁する我々議員こそが市民生活に寄り添い市民生活を守る判断をしようではありませんか。二元代表制の議会として、市民の暮らしを守るために上下水道料金値上げ中止・抑制をという意思を多くの議員に示していただくよう重ねて申し上げて、日本共産党千葉市議団を代表しての討論を終わります。

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