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日本共産党東京都議会議員団

総事業費が数兆円ともなる新湾岸道路は中止すべき! 佐々木ゆうき議員一般質問〔2025年第4回定例会〕 

佐々木ゆうき議員の一般質問および答弁         2025.12.11

1.平和啓発事業について

佐々木ゆうき議員】

今年は戦後80年。今後は戦後という意味での戦後90年、100年はあるかもしれませんが、被爆者や空襲被害者の方々が戦後90年にご存命であるかはわからない中で、平和啓発事業等の充実が求められていることから、質問します。

私が議員になって、最初に平和行政を取り上げた際に千葉みち子元市議から千葉空襲の惨状を伺いましたが、最近もお話を伺うことができ、「かつての千葉駅から県庁が目の前に見えるほど、木造住宅は焼夷弾により、柱一本も残っていない状態だった。いまの市民には想像できないと思う。母親はどんな思いで子どもを連れて逃げていったのか。黒焦げとなった死体が都川に浮かんでいたことなどの記憶があり、いまも消えない。千葉空襲のことについて、もっと市民に知らせてほしい」とのことでした。そこで伺います。

市が実施した千葉空襲に関するWEBアンケートで「空襲を知らなかった」と答えた人の割合は、2016年度に30.7%であるのに対し、22年度には44.5%に達したとしています。空襲を知らない市民が増えていることに危機を感じていませんか。この課題に対し千葉市の取り組みについて伺います。以降は質問席にて行います。

【市民局長答弁】

 令和4年度実施のWEBアンケートでは、「本市に空襲があったことを知らない」と回答した、世代別別の割合を見ますと、40歳代以下の割合が、いずれも50%を超えており、戦後長い期間が経過し、若い世代において、戦争に対する意識や知識が薄れていることの表れではないかと認識しております。このような状況の中、次世代を担う若い世代に戦災の記憶や資料を風化させないよう、継承していくことは大変重要なことであると考えております。そのため、「千葉空襲写真パネル展」などの既存の平和啓発事業に加え、「千葉市デジタル平和資料館」を開設し、空襲体験談の動画や小学校高等学校を対象とした千葉空襲を伝えるコンテンツなど、特に若い世代に向けて、戦争の悲惨さや平和の大切さへの理解を深めていただけるように取り組んでいるところです。

【佐々木ゆうき議員】

課題に対する取り組みとして、平和コンテンツとしての千葉市デジタル平和資料館が本年6月10日に開設されました。「記憶を風化させてはならない」という空襲体験者や千葉市の思いが伝わります。第2回定例会で、わが会派のあぐい議員が、調べ学習できるようなコーナーの開設に関する質問に対し、「今年度中の開設を目指している」としました。現在、開設の検討を進めているコンテンツのコンセプトや、検討状況について伺います。

【市民局長答弁】

 空襲体験動画などのコンテンツを使って、千葉空襲や戦時中の暮らしについて、小学校高等学校から中学生が、自ら調べ、学習できることをコンセプトとしております。

 現在、コンテンツの掲載内容として、学べるきっかけとなる項目や、その関連ページなどについて、NPOや現場の教職員にご協力をいただきながら、具体化に向けた作業を進めているところです。

【佐々木ゆうき議員】

調査課にお願いし、政令市における平和啓発事業の取り組みを調査しました。児童生徒を対象に平和を題材にしたポスターやメッセージを募集するなどの取り組み、学生を対象にしたフォトコンテストなど、若い世代の戦争と平和への理解を進める事業が実施されています。市としても、「空襲を風化させない」と取り組まれている個人、関係団体や学校関係者などと取り組みを進めていくべきではないですか。

【市民局長答弁】

 「デジタル平和資料館」のコンテンツ作成や、「戦跡めぐりウォーキング」などの各種平和啓発事業において、千葉空襲体験者、現場の教職員、郷土博物館、NPO等複数の市民団体、映像制作系専門学校の学生などの多くの皆様にご協力をいただき、事業を実施してきたところです。今後も、引き続き、関係者の方々と連携を図りながら、平和啓発事業を実施して参ります。

【佐々木ゆうき議員】

広島市は、今年度の平和啓発事業に関する予算は、約24億円と前年度と比べても6億円増となっています。被爆地ということでの予算や取り組みの比較はできませんが、今回の予算の中には「若い世代による被爆地での平和学習に対する支援」として約2,200万円が盛り込まれていて、全国の自治体から、小学生から高校生を平和記念式典に派遣する際に、派遣費用の3分の1を補助する事業を始めました。年間20校程度として、来年度も実施すると思われます。今年度は札幌市が同事業を活用しています。これを機会に、特に中学生を中心に、同事業を活用した派遣を検討してはどうですか。

【市民局長答弁】

 本市では、中学生を含めた若い世代に対しまして、デジタル平和資料館を始めとした平和啓発事業を通じて、身近な場所である本市でも、大変大きな戦争の被害があったことを広く知ってもらい、関心を持っていただくことが、まずは重要であると考えております。子供たちが被爆地を訪れ、原爆被害を実感することは意義あることと考えますが、派遣する人数が限られることでの事業の必要性や効果等を踏まえ、本市では、現在のところ、派遣事業の予定はございません。

【佐々木ゆうき議員】

⑤広島の平和記念式典で「平和への誓い」を読み上げた児童が、英語ガイドボランティアで広島を訪れる外国人の被爆の実相を伝えていることが報道されたのは記憶に新しいと思います。「ユース・ピース・ボランティア」など、若い世代における戦争の悲惨さと平和の尊さを語り継ぐリーダー育成にふみ出せるように、若い世代の「語り部」の募集を今後検討すべきと考えますが、見解を伺います。

【市民局長答弁】

 将来にわたって、戦災の記憶を風化させないための取組みの一つとして、若い世代が自ら語り部として戦争体験を語り継いでいくことは、重要であると認識しております。また、語り部は情報を伝えるだけでなく、自らが平和の尊さなどを真に理解し、語り部としての役割を担っていただくことが大切でありますことから、若い世代の皆様が、戦争の悲惨さと平和の尊さを自発的に語り継ぐ意識を育んでいただけるよう、引き続き、平和啓発事業に取り組んで参ります。

【佐々木ゆうき議員】

先日、広島に訪れた際に伺った爆心地に近い本川小学校では、児童が小学校にかかわる原爆の実相を伝える動画を作成し、本川小学校平和資料館を訪れる方が視聴できる取り組みがなされていました。学校教育の中で千葉空襲に関する学習を行なっていく中で、児童の自主性を尊重しつつ、空襲に関する動画も作成し、広く市民に観てもらう機会をつくってはどうですか。

【市民局長答弁】

 市立小中学校では、各教科等において、副読本の活用や、戦争体験者からの講話などを通して、千葉空襲に関する学習を行い、戦争の悲惨さや平和の大切さについて、実感できるよう努めております。児童生徒の主体性を高めることが必要と認識しておりますが、動画作成については、授業時数等が限られていることから、実施すること難しいと考えております。

【佐々木ゆうき議員】

⑦提案も含めて平和啓発事業について質問を重ねてきました。首都圏の政令市の平和啓発事業の予算額の推移です。政令市全体では前年度よりも増額しているところが多く、戦後80年としての取り組みがなされているところも多くありました。

市長は代表質問の答弁で「今後も引き続き平和啓発事業に注力して参ります」と答えたのであれば、しっかりと予算を組んで、他市で取り組まれている事業も参考に、平和啓発事業の充実をすべきです。お答え下さい。

【市民局長答弁】

 今年度、戦後80年の節目として開設した「デジタル平和資料館」のコンテンツの活用や「千葉空襲写真パネル展」などを通じ、今後とも若い世代を含む多くの市民の皆様に向けて、他都市の事業も必要に応じて参考にしながら、平和啓発事業の取組みを進めて参ります。

【佐々木ゆうき議員】

私は、現在取り組まれている平和啓発事業で取り組まれている事業を否定はしません。ただ、そのスピードと、事業の規模、取り組み方などの工夫がより求められていると考えます。予算の削減でなく、増やし、創意工夫の取り組みを進めるよう求めておきます。

2.戦没者追悼式について

【佐々木ゆうき議員】

平和啓発事業の視点と同様に、戦没者追悼式についても継承していく必要があると考えます。今年度の式典では遺族のみなさんの挨拶では「次世代につなげていくこと」が語られていたのが特徴でした。

追悼式についても遺族の方がいらっしゃるかぎり、継続されていくと思いますが、空襲体験者、遺族の高齢化により、式典等で語り継ぐことは困難になります。戦後70年である2015年の時の一般も含めた参列者は307人であったのに対し、今年度は100人ということで参列者が減少しています。そこで伺います。

戦没者追悼式の継続に向けた課題と、次世代へ継承していくことについての見解を伺います。

【保健福祉局長答弁】

 戦没者追悼式につきましては、ご遺族の高齢化や一般参列者の減少といった状況にありますが、これまでご遺族の皆様の思いを大切にしながら実施してきたところです。 会場選定や式典内容などに配慮しながら引き続き実施するとともに、次世代への継承については、関係団体の意見などを伺い、検討して参ります。

【佐々木ゆうき議員】

今年度は開式前にロビーで開催された戦没者遺族の方の作文朗読が行われ、空襲の状況が詳細に触れられていて、私も想像しながら朗読をお聞きしました。保健福祉局長もお聞きしていたと思います。空襲の実相を聞く良い機会であり、会場内の方々も聞けるように今後工夫してはどうですか。

【保健福祉局長答弁】

 今回の朗読は、戦後80年の節目にあたり、市遺族会の提案を受けて実施したところです。式典内容につきましては、引き続き、関係団体の意見も伺いながら、検討して参ります。

【佐々木ゆうき議員】

③千葉市の式典では、教育委員会を仲介にして市立中学校に参列を依頼して、生徒が青少年代表として戦没者追悼式に参列しています。今年度は椿森中学校の生徒3名が献花をしました。私が2007年12月の第4回定例会で「特に被害の大きかった地域にある小中学校の児童生徒を参加の対象にしてはいかがでしょうか。より身近に戦争のことが子どもたちに伝わるのではないでしょうか」と提案した者として、現在の取り組みに生かされていることについては感慨深いものがあります。

この青少年代表の選考について、あらためて選考基準、地域、平和教育との関係について伺います。

【保健福祉局長答弁】

 次世代への継承の一環として青少年代表の方にも参列いただいており、教育委員会を通じて選出していただいております。式典へ参列し、子ども達が戦争当時の状況や戦争で亡くなった方の話をご遺族から直接聴くことは、当時の状況に思いを馳せ、平和について考える機会になっているものと受け止めております。

【佐々木ゆうき議員】

各政令市での戦没者追悼式や慰霊祭などを調べたところ、相模原市では戦没者慰霊祭に向けて学生ボランティアを募集し、大学生や高校生に式典の運営に参加してもらっているとのことです。相模原市と包括連携協定締結大学へ募集チラシの掲示や、学生ポータルへの募集掲載を依頼し、市ホームページで募集するなど、大学生9名、今年から高校生26名が参加し運営に携わり、献花も行なっています。

相模原市の担当課は、「遺族会会員や参列者の減少により、遺族会の活動の担い手不足が課題となっている。学生ボランティアの参加は運営の一助となるだけでなく、平和の尊さや戦争の悲惨さを次世代に継承する上で重要であり、今後も継続していく」とのことです。大学で戦争や平和問題に取り組む教授に直接伺うなどの努力もされたそうであります。

千葉市においても学生ボランティアを募るなど、次世代に継承する取り組みを検討してはどうですか。

【保健福祉局長答弁】

 次世代への継承は重要であると考えており、ご指摘の相模原市の事例も含め、他市の取組みについて情報収集し、関係団体とも共有して参ります。

【佐々木ゆうき議員】

戦争の実相・実態を次世代に継承し、将来にわたって語り継いでいくことが重要です。「共有していく」とのことでしたので、若い世代につないでいくことを求めておきます。

3.美浜区の諸問題について

【佐々木ゆうき議員】

(1)いなげの浜の磯の松原について

稲毛海浜公園の「いなげの浜」には、市制60周年をむかえた1980年、記念事業として、市が市民に1本1,000円で献木を呼びかけ、約6千人の市民が応募し6万本のクロマツの苗木を植えられてできた「磯の松原」があり、1981年3月には市政施行60年記念事業として行われた、磯の松原造成事業の完成を記念して碑が立てられました。稲毛海浜公園リニューアルにともない、新たな碑が立てられています。

いまマツノザイセンチュウによる水分輸送や樹脂の分泌機能を阻害して、短期間で枯死させる「松枯れ病」となったクロマツが増えています。クロマツを植えた方などから心配の声が寄せられています。10月末までに枯れたクロマツが伐採されました。そこで伺います。

「松枯れ病」についての「磯の松原」への影響と、拡大させないための稲毛海浜公園での取り組みについて伺います。

【都市局長答弁】

 本年の6月に、磯の松原を構成するクロマツの一部のエリアの葉が茶色く変色し恵いる状況を確認したため、樹木から樹液を採取し検査を行ったところ、マツノザイセンチュウが検出され、松枯れと判明しました。これらのマツはいずれ枯れ木となるとともに、マツノザイセンチュウを媒介するカミキリムシの幼虫のすみかとなって被害を拡大させる原因ともなるため、葉が変色した21本をすべて伐採し、搬出処分を行っております。

【佐々木ゆうき議員】

②「磯の松原」は散歩するための小径にもなっており、多くの方にも親しまれてきました。被害はまだ限定的なものではありますが、先ほど述べたような歴史もある松原であり、市民の協力も含めて「磯の松原」を再生する取り組みが必要ではないでしょうか。

【都市局長答弁】

 松枯れはごく一部の範囲に限られ、その後、被害拡大は見られません。まずは、磯の松原のほか、園内のマツについて、葉の変色が発生していないかを継続して観察していくとともに、公園の周辺地域の松枯れの状況も把握しながら、松枯れ予防のため毎年6月に実施している薬剤散布の回数を必要に応じて増やすなどの対策を図り、磯の松原の健全な維持保全に努めて参ります。

【佐々木ゆうき議員】

(2)稲毛海浜公園リニューアル事業について

次に、稲毛海浜公園リニューアル事業についてです。同事業が実施をされてから、丸8年となろうとしています。税抜で24億8千万円の事業費が投入され、トイレやビーチセンターのリニューアル、事業のためのインフラ整備が実施されてきました。

昨年度末に公表された稲毛海浜公園施設リニューアル整備・運営事業実施状況・事業評価報告書の「今後に向けて」について、市の見解を伺いたいと思います。

①「各施設の収支を改善し、安定的な運営につなげるとともに、プール事業などの収益を、広く利用者に還元する取組を行う」などとし、「公園全体の利用者増と収益増の好循環をつくりだすことを期待したい」としていますが、実際の千葉市の収入となる使用料収入は、当初の計画との関係でどのようになっていますか。

【都市長答弁】

 民間事業者からの提案では、事業開始初年度の平成30年度から昨年度までの7年間の公園使用料は、累計で約4億4,000万円の増加を見込んでおりました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大による社会情勢の変化などに伴い、施設設備のスケジュールに遅れが生じており、実績は約3,000万円の増加となっております。なお、本市の財政の効果は、公園使用料収入の増加に加え、本市が費用を支出していた花の美術館などの施設管理を、民間事業者が自ら担うことによる、本市の歳出削減の効果もあります。昨年度までの7年間の削減額は、提案では累計約7億2,000万円を見込んでいたのに対して、実績は約7億8,000万円の削減となっております。

【佐々木ゆうき議員】

「今後の事業計画においては、広く市民に親しまれ、収益性に十分留意した検討を行い、 計画の見直しを含めた具体的な整備予定の明示を求めたい」としていますが、今後の事業計画は、「温浴施設」、「グランピング」、稲毛記念館を改修した「宿泊施設」であり、大規模な投資と収入を確保することができるのか疑問です。見通しがなければ、これ以上のリニューアルは中止も含め、考え直すことが必要ではないですか。

【都市局長答弁】

 リニューアル事業の推進にあたっては、整備内容はもとより、安定して施設運営が見込める計画であることなども重要と考えており、現在、計画を進めている温浴施設の整備や稲毛記念館の改修についても、これらを確認しながら、民間事業者と協議を重ねているところです。公園が持つ魅力を最大限に生かしながら、市民の皆様をはじめ、より多くの方々にご利用いただけるよう、今後も取組を進めて参ります。

【佐々木ゆうき議員】

報告書の最後に、市は「老朽化したベンチ等の更新を積極的に行うなど、さらなる利用者サービスの向上に取組んでいきたい」としていますが、ベンチなどの更新については、これまでも求められていることから、早期の実施を求めます。お答え下さい。

【都市局長答弁】

 園内に設置されているベンチのうち、劣化により修繕が必要な14基全ての座板について、今年度中の交換を予定しております。

【佐々木ゆうき議員】

(3)市道新港1号線の歩道について

市道新港1号線の歩道については、同僚議員の質問などでマルチテナント型物流施設の整備に伴い、一部を除き、商業施設までの歩道が整備されました。一方の反対側の歩道については、いわゆる歩道と車道を分離する縁石があり、また一部に電柱が存在し、歩行者や自転車が通りづらいとの声も寄せられています。そこで伺います。

市道新港1号線の海側の歩道の課題は把握されていますか。

【建設局長答弁】

 これまで、市道新港穴川線から商業施設跡地までは、歩道が海側のみという課題があったことから、歩道幅員を最大限活用するため、令和元年から5年度にかけて、歩道内の電柱12本を民間敷地内に移設したところです。

【佐々木ゆうき議員】

電柱の民間敷地内への移設の取り組みの必要性について伺います。

【建設局長答弁】

 商業施設が物流施設に変わり、歩行者の利用状況が変化したことに加え、山側の歩道を拡幅整備したことから、現状では、電柱移設の緊急性は低いものと考えております。

4.新湾岸道路について

【佐々木ゆうき議員】

今回も新湾岸道路に関する質問を行ないます。ルート案及び構造案も示され、10月5日までの第2回コミュニケーション活動を経て、11月21日に意見の詳細が公表されました。

これに参加した市民や団体等からの参加者数およびアンケートと意見数について、前回の代表質疑で「取りまとめている段階であるため、具体的なコメントは差し控えさせていただく」とした主な要望や意見について示していただき、それに対する千葉国道事務所や新湾岸道路プロジェクトの運営主体である千葉市の評価について伺います。

【建設局長答弁】

 いただいたご意見ですが、概略ルート案については、「道路新設案であれば、交通の分散が図られ、渋滞の改善が期待できる」、「現在の国道や京葉道路などの被災した時の代替ルートとして有効な道路を整備してほしい」、「海岸沿いに道路を造ると、液状化の影響を受けるので現道拡幅案が良い」などがありました。構造案につては、 「千葉市の魅力が向上するようなデザイン性の高い高架構造にしてほしい」、「住宅地は景観や騒音に配慮した地下構造にしてほしい」などがありました。国・本市ともに、整備に期待する声から懸念を示す声まで、幅広いご意見をいただいたものと受け止めております。これらのご意見をしっかりと踏まえながら、本市にとってより整備効果の高い計画となるよう、引き続き、国に働きかけて参ります。

【佐々木ゆうき議員】

コミュニケーション活動期間中に、沿線市の教育委員会の総務担当課長あてに千葉県教育庁企画管理部教育総務課長名で、9月19日付け「新湾岸道路に関する子供向けチラシの配布について」の依頼文書があり、「将来を担う県内の小・中学生にも新湾岸道路に関する理解醸成を図るため、本事業の取り組みの一環として、別添のチラシを作成しました」として、「チラシの配布についても御協力いただきますようお願いします」とありました。このチラシというのが、キッズチラシというものです。

千葉市教育委員会では、学校・家庭・地域をつなぐ連絡システム「すぐーる」で配信されましたが、実際に配信されたのは子どもの通う中学校では10月6日であったため、それを見てアンケートに答えることはできませんでした。

「すぐーる」での配信がアンケート締め切り後になってしまったのは何故なのか。「子供向け」としながらも、配信を見るのは保護者であり、各家庭で新湾岸道路に関する会話がされたのかなど把握できていますか。

【建設局長答弁】

 昨年度、県から依頼のあったチラシについては、紙面での校内掲示や、印刷したものを児童生徒に配布することにより、周知を行いました。今年度は、昨年度の周知方法や状況を踏まえるとともに、他自治体の周知方法についての情報を収集把握するなど、チラシ配布方法について、検討を重ねたことによる周知の遅れがありました。

 チラシには保護者向けの内容もあることから、各市立小中学校から「すぐーる」により配信しました。各家庭で新湾岸道路に関する会話がされたかどうかについては、把握をしておりません。

【佐々木ゆうき議員】

単なる情報発信になってしまったことは否めないと思います。

このいわゆる「キッズチラシ」には、「新湾岸道路のルート案が出てきたよ!みんなでいっしょに考えてみよう!」とあります。具体的な湾岸エリアに関する課題は、2面のQ&Aコーナーの一部に「湾岸地域を自動車で移動している時間のうち、渋滞で余計にかかってしまっている時間の割合はどのくらい?」と問いかける渋滞に関するものしか示されておらず、なぜ必要なのかも示されていません。新湾岸道路建設ありきではないのか、見解を伺います。

【建設局長答弁】

 コミュニケーション活動の結果などを踏まえて設定した、「高速道路・幹線道路の適切な機能分担による交通混雑の緩和」や「地域経済の発展を支える産業拠点・観光拠点への速達性とアクセス性の向上」などの目標を達成するためには、新たな道路計画が必要であることから、現在、コミュニケーション活動において、地域の皆様からいただいたご意見を踏まえながら、概略ルート・構造案の検討が進められているところです。

【佐々木ゆうき議員】

④新湾岸道路の必要性について、今後も港湾機能の強化等にともなう交通需要の増大が見込まれることや、渋滞解消、防災対策といった理由で新湾岸道路を進めようとしていますが、道路整備によって、どの程度の、どの箇所の交通量が減るのか、どのような効果があるのか、数値的な根拠がなぜ示されないのですか。

【建設局長答弁】

 新湾岸道路の検討にあたっては、「知らないうちに概略計画が決まったという事がないように、透明性、客観性、合理性、公正性の向上を図るため、技術・専門的な検討を踏まえつつ、皆様との密接なコミュニケーションを通じ、皆様の理解や協力を得ながら進めていく」こととされております。現在、概略計画の検討段階であり、数値的な根拠をお示しする段階ではないと伺っております。

【佐々木ゆうき議員】

6月27日に示された有識者委員会懇談会資料では、国において「複数案と評価にあたっての留意点」が追加・修正され、「現道拡幅案(一部道路新設)」について、「経済性に優れ、慢性的な渋滞が緩和し速達性の向上が期待できること」などが示されていますが、追加・修正前には「速達性が期待できない」などとしていたものが、なぜ「期待できる」などの評価に変わったのか、変更の検討経過を示して下さい。

【建設局長答弁】

 当初、複数の概略ルート・構造案同士を比較評価していましたが、有識者委員会の助言を受け、現状と複数案を比較し、評価することとなったものです。

【佐々木ゆうき議員】

一方、拡幅や立体化部分的改良による渋滞緩和効果を質問で求めても、「将来を見据えた交通課題を抜本的に解消するには新湾岸道路が必要」と、県と千葉市も含めた関係6市は、どこも同じような答弁になっています。20年またはそれ以上もかかるような事業に、渋滞解消や防災対策を委ねて良いのですか。それまで何もやらないということではないはずです。賛否はありますが、湾岸千葉地区改良の蘇我地区や、スマートインターチェンジの具体化が始まって、これらを講じても渋滞解消等の取り組みによる効果は「ない」ということなのか、お答えください。

【建設局長答弁】

 交通混雑の緩和、防災機能の強化を図るためには、千葉県湾岸地域の交通容量不足を解消させる抜本的な対策となる新湾岸道路のほか、ボトルネックの解消につながる国道357号の湾岸千葉地区改良(蘇我地区)や検見川立体、広域道路ネットワークのアクセスが向上する(仮称)検見川・真砂スマートインターチェンジなど、様々な事業を組み合わせて進めていく必要があると考えております。

【佐々木ゆうき議員】

アンケートの問題も前回指摘しましたが、「反対」意見を書く項目も設定されていませんでした。先日公表された意見内容を見ると、「企業等からいただいた、自由回答意見」では、「自然環境との調和」や「住環境への配慮」に触れられ、「新湾岸道路は必要ない。理由は都市部の分散化を考えるなら湾岸ではないし、その予算を既存のインフラ整備に回すべき」など、推進を望まない意見もあることも特徴的でした。個人の方からいただいた意見も同様です。

しかし、県や沿線6市は新湾岸道路プロジェクトの運営主体であり、推進する立場です。市民からの意見や要望などを聴くアンケートは必要ですが、意見聴取の取り組みが「アリバイ」づくりとなってしまうのではないですか。お答え下さい。

【建設局長答弁】

 新湾岸道路の検討にあたっては、「知らないうちに概略計画が決まったという事がないように、透明性、客観性、合理性、公正性の向上を図るため、技術・専門的な検討を踏まえつつ、皆様との密接なコミュニケーションを通じ、皆様の理解や協力を得ながら進めていく」こととされております。本市としても、その趣旨に則って、進めていかなければならないと考えており、引き続き、地域の皆様などとのコミュニティ活動を丁寧に行っていくとともに、皆様からいただいたご意見を踏まえながら、本市にとって、より整備効果の高い計画となるよう、国に働きかけて参ります。

【佐々木ゆうき議員】

11月20日に千葉県道路協議会が開かれました。千葉県、千葉市、ネクスコ東日本、首都高速道路株式会社、国土交通省関東地方整備局が参加し、「新しい成田空港を支える高規格道路ネットワーク構築の基本方針」を策定しました。

この中に、新湾岸道路が記載されています。方針通り読めば、成田と羽田は東関道・首都高の1本の高速道路で結ぶだけでは脆弱で、新湾岸道路も必要との位置づけです。

方針では「広く関係する方々の意見を把握しながら、丁寧に合意形成を図る」としていますが、すでに道路会社等と具体化に向け、力を入れて推進しようという姿勢が明らかです。この方針にもとづき、11月25日に国交省への要望活動も実施されています。

11月11日には、千葉県道路整備促進協議会が、国に道路の整備促進に関する要望活動を行い、「新湾岸道路の計画の早期具体化」が入っています。あらゆるチャネルを使い、新湾岸道路整備を求める姿勢では、住民が置いて行かれているように感じます。「アリバイづくり」と見られても仕方がないと思います。

先ほど渋滞解消の数値的な根拠を求めても、「示せる段階にない」とのことでした。これではルート案上に住まわれている市民の不安は増すばかりです。総事業費が何兆円になるかもわからない新湾岸道路は中止すべきと求め、私の一般質問を終わります。

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