ふくなが洋議員が日本共産党を代表し質疑

(代表質疑の大要)  (2001.3.1)

1、市長の基本姿勢

 森内閣の支持率は、6.5%、不支持率は実に82.1%になっている。その原因は、ハワイ沖での米原潜と水産高校実習船の衝突事件とその対応のまずさ。危機管理能力の欠如。ゴルフ会員権の不明朗な取得。KSD・機密費問題など、国民の信頼を裏切る不祥事が相次いでいるから。

 この森政権のもとで、2001年度予算が提案されている。この予算は、財政危機を深刻化させるだけで、国民生活の安定や景気打開の展望を示せないものだ。国と地方の借金は666兆円、国民1人当たり約530万円に膨らみ、財政も経済も破綻に向かっているのに、歯止めをかける気がない。その影響は、地方自治体も直撃し、財政破綻が進行している。いま必要なことは、社会保障優先へ財政を転換し、浪費的な公共事業のばらまきに終止符を打ち、財政崩壊を食い止めると同時に、雇用と家計を支える政治の転換をはかるべきだ。市長は、国の予算案が「国と地方の財政破綻をさらに深刻化させるもの」とは思わないか。不祥事続きの森内閣になにを期待しているのか。

2、新年度予算の特徴

 松井市長が「バランスの取れた市民生活重視の施策を展開」「新5か年計画の初年度となる重要な年」「計画事業の着実な推進を図る」としてかかげた重点施策を分析した。

(1)「新5か年計画」での新年度の事業について日本共産党は、「3つの都心づくりを中心とした開発優先の『新5か年計画』と、福祉・くらしの充実とは両立できない」と指摘してきた。新年度予算では、介護保険の保険料や利用料の減免に応えず、乳幼児医療費無料化の年齢拡大や現物給付もすすまない。
 一方、保育料はまた値上げだ。教育費は前年より構成比がダウンしている。千葉市は、民生費が政令市の中でも最下位クラスで、1999年度決算でも12市中11位。新年度当初予算でも、構成比で19.7%と11位だ。千葉市もあと3%増やし、土木費と同じ22.7%にすれば、新たに100億円を市民のために使うことができる。民生費に思い切って予算を投入し、地域を暖めていくべきだ。特別養護老人ホーム、児童養護施設、乳児院、保育所、障害者施設建設の発注を地元中小業者に行なえ。雇用を増やし、少子高齢化対策を本気で行なうなど、保健・医療・環境・教育の予算を思い切って拡充するよう求める。

(2)地域経済の活性化について、千葉市の中小企業への官公需に対する受注比率は49.5%と、大企業優先の仕事発注となっている。中小企業に1995年並みの63.4%にすれば、180億円分の仕事が地元の中小企業にまわる。新年度予算では、中小企業を支える方向へ官公需の仕事をまわすよう求める。

(3)行政改革について、ムダと浪費を省き、簡素で効率的な行財政運営を行なうのが真の行革だ。しかし、松井市長が行なう行革は、市民サービスの低下を招くもので、本当のムダにメスを入れるものとなっていない。事務事業の整理合理化で、31項目・11億8,500万円削減するとしている。ムダなものの削減や廃止は当然だ。しかし、予算書印刷部数の削減、成人式の記念品廃止などは、市民の「知る権利」や地域経済に影響を与えるものだ。職員定員の見直し、公共料金の値上げなど住民サービスの低下をまねき、住民負担を求める行革はやるべきではない。県事業費負担金、市町村合併についての支出は見合わせ、その分を市民生活に振り向けるべきだ。

3、松井市政の24年

 松井市長の24年間は「大型開発日本一」と言われ、全国のトップを切って大型プロジェクト優先の市政を、推進してきたのが最大の特徴だ。その結果、借金は市債・債務負担行為、利子をあわせた総額は1兆1,888億円、市民1人当たり132万6,000円。借金返済は利子だけで毎年396億2,800万円、1日1億800万円返済することになる。21世紀最初の予算は、24年間続けてきた「開発主役」「福祉脇役」の流れで、深刻な財政危機をおしすすめる予算だ。これでは、地域の雇用も景気対策にもならない。いま求められているのは、地域経済の活性化・家計を支える予算に組み替えることだ。

 954億円の予算ですすめられている千葉駅西口再開発、事業費553億円の中央港地区区画整理事業、調査費が4,803万円の予算がついた蘇我臨海開発事業などは、事業の必要性や採算性、環境への影響等を計画段階・中間・事後で検討する、住民参加の「事業評価制度」をつくり、凍結・見直しを実行すべきだ。また、塩漬け土地は、必要のない土地を購入し、借金を膨らませただけとなっている。

4、千葉市財政見通し

 千葉市の財政状況を明らかにしながら、予算の提案を行なう。千葉市の財政は、単年度収支の赤字が続いていて、財政運営は危機的な段階に入りつつある。財政指標で見ると、財政力指数は政令市で1番高い水準にあるが、千葉市の財政力は低下してきている。地方債は、10年間で2.57倍に膨れあがり、地方債の元利償還経費が急増し、歳出を圧迫している。公債費負担比率は「警戒ライン」の15%を超えて18.7%となり、地方債発行を抑制する財政運営が求められている段階である。財政危機は、税収の低迷にもかかわらず公共事業を推進し、地方債を増発させ、多額の債務を累積させたことが大きな要因である。今後、大きな財源の拡大が見込めないもとでは、歳出を吟味し調整することが不可欠だ。そのため、「大型プロジェクト優先から市民のくらし・福祉第1の予算への転換」をあらためて提案する。いま転換しなければ、千葉市の財政は大きな行き詰まりの中で破綻を迎えることになる。

5、総務行政

 千葉市には多くの審議会があるが、街づくりの策定などへ未来を担う若者に積極的な参加を保障すべきだ。学校建設でも、その主体である子どもたちの意見を取り入れる考えはないか。

6、企画行政

 新年度予算で、31件の計画が約3億円の予算でコンサルタントに委託されている。その結果を内部資料にとどめ、市民や議会に公開されないものもある。市民の税金が使われた共有の財産だ。これまで実施した、情報やデータは公開すべきだ。

7、市民行政

 男女共同参画基本計画について、発表された「ハーモニープラン21」の素案は、男女共同参画社会実現に向けた積極的な「提言」より大きく後退している。目標値の設定が入らないのはなぜか。ジェンダーフリー教育やモデル校の設定、男女混合名簿の活用、男女共同参画推進月間の設定など、効果的な施策が盛り込まれていないのはなぜか。男女がともに働きながら育児・介護に参加できる条件づくりや必要な財政措置の確立、オンブズ制度の設置などを明記した実効性のある条例制定を求める。

 地震情報ネットワークシステムについて、千葉市も各政令市が導入している地震情報ネットワークシステムを前倒ししてでも確立すべきだ。

 住民基本台帳ネットワークシステムについて、1億9,400万円もの予算が計上されたが、なぜこんなに費用が必要なのか。市民にはどのように知らせるのか。個人情報の保護はどのように守られるのか。

8、保健福祉行政

 介護保険料・利用料の減免制度について、千葉市で実施した介護保険の実施状況調査でも、47.6%が「利用限度額の5割未満」しか利用せず、その理由は「もっと利用したいが1割負担が高い」「もっと利用したいが受けたいサービスがない」と報告されている。保険料については、52.2%が「高い」と回答。「10月から保険料が2倍になると大変だ」との悲鳴は、すでに多数出ている。「千葉市の保険料収納率は算定できない」と言うが、他の政令市と同様収納率が低くなっていると思われる。住民税非課税世帯には、保険料の減免制度を実施するよう求める。子育て支援については、乳幼児の医療費無料化を、市独自で新年度中に現物給付を実施するよう求める。また、新年度予算で年齢を4歳未満児まで計上することを求める。保育所の拡充について、「5か年計画」での保育所建設は2か所のみ。これでは、真の子育て支援にはつながない。待機児童の多い地域にもっと増設するべきだ。

9、環境行政

 PCB対策について、国会でもPCBに関する特別措置法が提出されているが、千葉市はどのように対応するのか。市の施設のPCBは、処理まで清掃工場などで安全管理を行なうべきだ。

 排ガス対策について、ディーゼル車排気微粒子実態調査が新規事業として行なわれ、DPF(ディーゼル微粒子除去装置)の装着が実現することになった。

 今日の大気汚染の状況は、排ガス対策は緊急課題だ。実態調査と有効な規制を行ない、道路公害を根絶しなければならない。自動車交通の総量規制やロードプライシング、ディーゼル車の規制を取り入れた「環境保全条例」にすべきだ。

10、経済農政

 大型店の問題について、幕張新都心に「カルフール幕張店」「コストコホールセール」「ガーデンウォーク幕張」「ハイパーモールメルクス新習志野」も含め、4店の売り場面積は、千葉市内の小売店面積の44%を占める規模になっている。一方、中心街の老舗・セントラルプラザの閉鎖、5月にはダイエー千葉店が撤退する。地元商店のみならずスーパーも大きな痛手を受けている。規制緩和・市場開放がこうした異常な事態を招いている。対応策をどのように考えているのか。

11、都市行政

 田中長野県知事は「脱ダム宣言」を行なった。公共事業の見直しとあいまって、環境問題の観点からもダム脱却は世界の流れになりつつある。「洪水を想定した水害に強い街づくり」「川はあふれると言う前提にたって、堤防に頼らない対策」が求められている。川を自然の流れに戻すことが環境保全とコスト削減につながる。千葉市でも、新年度からの治水対策にどう生かしていくのか。

12、建設行政

 新年度も、蘇我町線や新港横戸町線などの大型道路には、多額の予算がついている。一方、市民の安全と生活環境を整える舗装および側溝の改良の予算は、市民の願いに反して大幅にダウンしている。2000年度と比較した一般会計予算と債務負担を含めた舗装改良は、金額で6億5,832万円減額、事業量で延長5,230m減っている。

 側溝の改良は、金額で5億1,903万円、事業量で延長6,040mに減っている。「人間尊重」「市民生活優先」を言葉だけでなく、本当に実行するつもりがあるのなら、これらの事業こそ促進すべきだ。予算の大幅な増額を求める。

13、教育行政

 少人数学級について、今「学力の危機」とも言うべき深刻な事態が広がっている。千葉県が実施した小・中学生への調査でも、「算数・数学がわからない」小学生が63%、中学生では71%。「英語が分からない」中学生は68%となっている。わかる授業・楽しい勉強にするために、学習内容を子供の発達段階にそくした系統的なものにするとともに、基礎・基本的な事項については、十分に時間をとって、すべての子どもがわかるまで教える教育への改革が必要だ。そのためにも30人学級・少人数学級が求められている。国や県に実施を要求すべきだ。市独自で実施した場合予算はどのくらいなのか。子供たちが本当にわかる教育にするためにこそ予算は使うべきだ。学習指導要領と新教育課程については、授業時間が減らされたり小学校から英語を取り入れたり、時間は減っているのに指導内容は減っていないなど、多くの疑問が出されている。この新指導要領や新教育課程には問題があるのではないか。