【6月議会で日本共産党が提出した意見書】

平成13年第2回定例会
 (提出年月日)平成13年6月19日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団
NO.1

ハンセン病の全面解決を求める意見書

 原告が全面勝訴したハンセン病訴訟で,国が控訴を断念したことは元患者,原告や市民運動と世論の力である。これで全面解決に向け,人間の尊厳の回復の大きな一歩が築かれた。しかし,90余年にわたる強制隔離,そのことからの差別偏見は言葉に言い表せないものであり,解決の第一歩を踏み出したに過ぎない状況である。
 よって,本市議会は国に対し,次の事項を求めるものである。
1 恒久対策として元患者へのきちんとした社会保障を行うこと。
2 差別と偏見をなくすための真相究明を行うこと。
3 再発防止の対策を行うこと。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成13年7月4日
千 葉 市 議 会


平成13年第2回定例会
 (提出年月日)平成13年6月19日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団
NO.2

介護保険制度に関する意見書

 日本の高齢化は急速に進行しており,介護や介助を必要とする高齢者が増え続け,高齢者の介護や介助問題に対する国民の関心が高まっている。このような中,国民生活や地方行財政に極めて重大な影響を及ぼす介護保険制度が,平成12年4月から実施され,介護サービスの質・量等に関して様々な意見も出されている。特に,本年10月からは65歳以上の高齢者からの保険料が本来の額で徴収されるため,改めて,よりきめ細やかな対応が求められているところである。
 よって,本市議会は国に対し,介護保険制度について,より一層,国民の理解と協力が得られるよう広報活動に努めるとともに,地方自治体や要介護者及び家族に過重な負担を生じさせることなく,国の責任において,将来にわたり長期的に安心した運営となるよう求めるものである。特に,施設整備や人材確保など,サービス基盤の早急な整備を図るための国庫補助制度の拡充と,低所得者等の保険料や利用料の減免については,高齢者の所得状況等の実態を踏まえ,介護サービスの利用が制限されることのないよう特段の措置を講ずるよう強く要望する。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成13年7月4日
千 葉 市 議 会


平成13年第2回定例会
 (提出年月日)平成13年6月19日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団
NO.3

郵政事業に関しての意見書

 現在,日本の郵政事業は,全国2万4,000の郵便局をネットワークに,郵便・貯金・簡易保険の3事業を担い,公的サービスとして全国に公平に提供し,国民生活の安定向上と福祉の増進に大きく貢献している。ところが,この郵政3事業が,2003年から郵政公社に移されようとしており,さらに,完全民営化の検討が始まっていると言われている。公社化の段階で,郵便貯金の利息を都市銀行の利息より低くすることや,信書の配達の一部を宅配業者などに委託できるようにするなど,郵便事業の弱体化が進められようとしている。国が運営する郵政事業のもとで,改善すべき点があるにせよ,これまでは国民の貯蓄が守られ,郵貯資金を活用しての社会資本の整備が進められてきた。また,郵便事業では万国共通の全国一律統一料金制の確保や信書の秘密,プライバシーの保護が保たれてきた。仮に,民営化が行われるならば,郵便局においては採算性が重視され,収益の高い都市部に事業者が参入し,現行の料金では,採算の合わない地域に参入する事業者は,料金を上げざるを得なくなるなど,全国一律の統一料金制度の維持は極めて困難になり,地方の切り捨てや廃局が多数出ることは必至である。プライバシーの保護でも,郵便物の中身はともかく,どこの家・どこの会社にどんな郵便物が来ているか,差出人は誰かなどが知られるようになり,家庭や会社の経済状態まで参入する事業者に知られる状況が生じ,プライバシーの保護も危険にさらされることとなる。
 よって,本市議会は国に対し,これら郵政事業の果たしている公共性・社会的役割の重要性にかんがみ,時代にあったサービスの向上を図るとともに,現行経営形態を堅持し,決して分割・民営化を行なわないよう強く要望するものである。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成13年7月4日
千 葉 市 議 会


平成13年第2回定例会
 (提出年月日)平成13年6月19日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団
NO.4

地方交付税の削減反対等に関する意見書

 国会論議の中で,来年度の政府予算編成をめぐって,政府から地方交付税の削減や制度見直しが表明されている。また,経済財政諮問会議の「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(原案)においては,地方財政にかかる「財源保障を縮小」するとともに,「年限を限った市町村の再編」とあわせた「段階補正(団体規模に応じた交付税の割増し)の縮小」が示されている。しかしながら,地方財政の現状は,景気の低迷に伴う税収の慢性的な落ち込み,国の経済対策に伴なう公共負担の増加など,厳しいものとなっている。こうした状況のもとで,地方交付税の総額が削減されるようなことになれば,公共サービスの維持に著しい困難が生じかねない。そもそも地方交付税は,地方公共団体の財源の不均等を調整し,どの地域においても一定のサービスを提供できるよう,財源を保障するための地方共有の固有財源であり,地方自治の本旨の実現に資するとともに,地方公共団体の独立性を強化するものである。現にその多くは,国の法及び制度による義務的な歳出に要する財源の保障に充てられている。いわんや,地方交付税の削減や段階補正の縮小などの一方的な財政措置によって,市町村合併へと誘導しようとすることは,本末転倒である。
 よって,本市議会は国に対し,次の事項を強く求めるものである。
1 地方交付税総額の削減先にありきの予算編成は行わないこと。
2 政府の経済対策の多くを地方単独の公共事業に求め,その財源を地方債の発行とその償還のための地方交付税措置に担わせる従来の方法を改め,公共サービス充実のために十分な基準財政需要額の算定を行うよう見直すこと。
3 「段階補正の縮小」など,小規模な市町村に不利になるような一方的な財政措置や交付税算定は行わないこと。
4 地方交付税制度のあり方の検討に当たっては,国から地方への税財源移譲と一体で論議すること。その際,地方税の充実は「地方消費税の拡大」など,新たな住民負担となる方法は避けること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成13年7月4日
千 葉 市 議 会


平成13年第2回定例会
 (提出年月日)平成13年6月19日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団
NO.5

「緊急地域雇用特別交付金事業」の改善と継続を求める意見書

 総務省が,5月29日に発表した本年4月の労働力調査結果では,長引く不況と企業の倒産やリストラ等によって,完全失業率が4.8%,完全失業者数は過去2番目の348万人となっている。こうした中で,労働者・国民の収入と可処分所得が激減し,消費支出が落ち込み,そのことがまた長期不況から抜け出せない最大の原因となっている。この長期不況を打開し,景気を回復するためにも,失業者・高齢者の就労要求に応えることは重要な課題である。厚生労働省が発表した全国の4月の有効求人倍率は,0.62倍と依然として低く,失業者・就労希望者が職業安定所に行ってもなかなか職に就けない状況が続いている。とりわけ,高齢者の働く場の確保は困難を極めている。
 よって,本市議会は国に対し,次の事項についての対策を講じるよう強く求めるものである。
1 緊急地域雇用特別交付金を大幅に増額するとともに,対象職種の限定や就労期間など事業内容の改善と運用の緩和によって,各自治体が有効かつ効果的に活用できるよう改善すること。
2 緊急地域雇用対策事業を2002年度以降も継続すること。
3 失業者・高齢者に対する緊急の就労事業をつくること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成13年7月4日
千 葉 市 議 会


平成13年第2回定例会
 (提出年月日)平成13年6月19日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団
NO.6

乳幼児医療費の無料化を国として行うことを求める意見書

 子どもは,「社会の宝」である。子どもの健やかな成長を社会的に保障し,若い父母が安心して子育てできるよう,乳幼児医療費を国の責任で無料にすることが,いま急いで求められている。一人の女性が生涯に産む子どもの数は,1.34人と低下し,過去最低を更新しており,「少子化」対策,子育て支援は急務となっている。
 リストラや不況・就職難のもとで,若い世代の家計はますます厳しさを増し,乳幼児医療費の無料化の願いは一層切実になっている。参議院の「国民生活・経済調査報告」の中でも,急速な少子化に歯止めをかけるための提言を全会一致で決め,その冒頭に「国による乳幼児医療の負担の軽減」を掲げている。日本医師会も,15歳以下の医療費無料化を少子化対策として政府への要望事項として掲げている。
 多くの自治体での拡充が進んでいるものの,自治体の努力に任されているため,対象年齢や給付条件などの格差は大きく,また,「現物給付」を自治体で実施する場合,国が国民健康保険に対する国庫補助を減額する「ペナルティー」が障害となっている。どの子も平等であり,少子化は国の将来にかかわる重大問題である。国でこそ,乳幼児医療費無料化を行い,自治体の事業を励まし,底上げを図るべきである。
 よって,本市議会は国に対し,乳幼児医療費無料化を一日も早く実現するよう強く求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成13年7月4日
千 葉 市 議 会


平成13年第2回定例会
 (提出年月日)平成13年6月19日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団
NO.7

トラック輸送における安全確保と公正取引の確立及び排ガス防止に関する意見書

 トラック運送業は,長引く不況と規制緩和による過当競争のもと,重大な事態に直面している。大手荷主による「運賃の買いたたき」など,優先的地位の濫用によって公正な取引が行われず,原価割れをする極めて低い運賃単価で仕事を余儀なくされ,これが売り上げを量で確保しようとする過積載運行や長時間・過労運転等に連動し,重大事故につながっている。輸送の安全確保のためにも,トラック運送業者と荷主との公正な取引関係の確立と適正な運賃・料金の収受が必要不可欠となっている。そのためにも,昨年2月8日に運輸省が97荷主団体に出した通達や同年3月17日に近畿運輸局が2,345の荷主団体と3,674の荷主に出した通達,さらには同年11月21日に大阪労働局が1,500の荷主団体の長あてに出した通達を早急に実効あるものにすることが求められている。また,ディーゼル車の排ガスも大きな環境・公害問題となっているが,中小トラック運送会社などは排ガス規制の措置を講じるに当たっては大きな負担となり,その分の経費を運賃などに転嫁できないため,経営悪化にますます拍車をかけることとなっている。トラック運送企業負担分に対して,政府による適切な助成が求められている。
 よって,本市議会は国に対し,公正な取引関係が確立されるよう荷主による不当な「運賃・料金引下げ」の強要に対する適切な指導,届出運賃・料金の厳守を図るよう指導・通達の徹底,ディーゼル車の排ガス規制のための政府・メーカー責任による低公害車の開発,排ガスを抑制する装置を設置するための費用助成など,必要な措置を講じてトラック輸送における安全確保,公正な取引関係の確立や排ガス防止に努めるよう求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成13年7月4日
千 葉 市 議 会


<以下は、日本共産党提出の意見書と他会派の意見書を調整し、全会一致で採択されたものです>

幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理の徹底を求める意見書

 去る6月8日,大阪教育大学教育学部附属池田小学校内において,多数の児童や教師が殺傷されるという事件が発生した。子供たちにとって,安全で楽しく学べる場であるはずの学校で,このような痛ましい事件が発生したことは,誠に遺憾であり,被害に遭われた皆様に対し,心からご冥福とお見舞を申し上げます。新聞報道によれば,犯人は学校通用門から校内に侵入し,全く学校関係者に気付かれることなく,教室での凶行に及んでいる。以前にも,小学校の校庭において,不審者により児童が刺殺されるという事件が発生しており,国においては,事件の再発防止に向けての諸施策を講じたところではあるが,結果として,今回の事件が発生したことは極めて残念である。今日,学校開放等,地域に開かれた学校づくりを推進し,学校,家庭,地域の連携のもとで,子供たちを育成することが強く求められており,今回の事件の発生は,教育関係者のみならず,大きな衝撃を受けたところである。今後は,子供を学校などに通わせる市民の不安解消に応えるため,保護者や地域の関係団体等の協力のもと,学校(保育園,幼稚園を含む),家庭,地域一体となっての取り組みや警察関係機関との連携を進め,幼児児童生徒の安全確保に係る一層有効な施策を講ずる必要がある。しかしながら,広い敷地を有し,極めて開放的な学校施設の現状から見ると,教職員,保護者等の努力のみでは,万全の対応策をとることは困難と考えられる。
 よって,本市議会は国に対し,学校警備員の配置といった人員配置にかかる予算措置等を含め,幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理の徹底に関し,万全の対応策を早急に講ずるとともに,被害を受けた児童等に対する十分なケアを行うことを求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成13年7月4日
千 葉 市 議 会


地球温暖化防止対策の推進と京都議定書の早期批准・発効を求める意見書

 1997年に京都で行われた気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において,先進国の温室効果ガスの排出削減目標を盛り込んだ京都議定書が採択された。しかしながら,昨年11月にオランダのハーグで開かれたCOP6においても,残念ながら京都メカニズムの具体的なルールづくりなどの問題について,合意には至らなかった。こうした中で,本年3月,米国が京都議定書の不支持を表明したが,このことは,地球温暖化を防止する国際的な取り組みを後退させるものであり,世界各国が強調して温室効果ガスの排出削減対策を進めることは,今や待つことのできない課題である。日本国内においても,強力な温暖化対策,すなわち6%削減を可能にする二酸化炭素排出規制,税財政措置及びエネルギー政策等を確立することが重要であり,特に環境負荷が小さい自然エネルギーの開発を促進するための法制度を図ることが急務である。
 よって,本市議会は国に対し,国内の地球温暖化防止対策をさらに強力に進めることはもとより,COP3の議長国として国際的なリーダーシップを発揮し,今月,ドイツのボンで開かれるCOP6再開会合において,京都議定書のルールの一刻も早い合意を図り,4月の衆参両院の決議に基づき,日本が早期に率先して批准することで,京都議定書の早期発効を実現するよう求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成13年7月4日
千 葉 市 議 会


ふくなが洋議員が行った
「デポジット制導入」に関する意見書への反対討論 (大要)

2001年7月4日
 発議第15号に対して討論を行なう。
 ゴミの減量リサイクルは、緊急な課題だ。資源を大切にし、焼却・埋め立て量を減らして、環境破壊を防止するためにも、リサイクル率を早急に引き上げる必要がある。
 処理困難物については、条例で指定し、製造者の責任で処理させるべきだ。私どもは、家電製品・自動車・自転車メーカーによる引き取り、デポジット化を国に要求している。
 また、デポジット制度は、ヨーロッパではほとんどの国で飲料容器に関して採用していて、オーストリアでは、冷蔵庫や電球も対象となっている。
 デポジットすなわち、商品に一定料金を上乗せし、容器を販売店へ返した時に上乗せ分を返却する制度化や、処理困難物のメーカーによる回収義務を確立させるなど企業責任での資源循環型システムづくりが必要だ。この点をふまえ、家電リサイクル法の評価について、日本共産党は、政令で定める家庭用機器(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の4品目)が、廃棄物として排出された場合に、家電メーカーが引き取ってリサイクル(再商品化)することを義務づけたものの、この法律には「役割分担」として、消費者にリサイクル費用を負担させるなど重大な問題があったため反対した。消費者は、リサイクル料金に加えて、自宅から「指定取引場所」まで使用済み家電製品を運ぶため、小売業者や自治体に収集・運搬料金を払わなければならない。小売店では「メーカーがせめて小売店まで廃家電を引き取りに来てほしい」と要望している。また、「リサイクル費用は製品の販売時に価格を転嫁する方向で家電リサイクル法を見直してほしい」との運動もおきている。廃棄時に、消費者へ費用を負担させるシステムは、消費者はもとより小売業者からも批判の声があがっている。さらに、日本のようなリサイクル費用を消費者に後払いさせるシステムを取っている国は他にはない。
 私どもは、リサイクルなど環境にかかわる全ての分野で、大企業の製造責任・排出責任を厳しく問う、環境保全のためのルールの確立を提案している。
 欧州各国では、メーカーに対する製造責任が徹底していて、リサイクル費用などをメーカーに負担させる考え方になっている。そして、メーカーは、電気・電子製品を廃棄時に無料で引き取ったり、リサイクル費用を新製品価格に組み込ませて販売している。
 いま、家電リサイクル法の矛盾は明白だ。リサイクル費用や回収・運搬費用の負担を含め、「家電メーカーの責任で廃棄物を処理する」という考え方にたって、家電リサイクル法の抜本的見直しを求める立場から、家電リサイクル法を評価する内容には同意できない。よって、反対するものである。


日本共産党提出の意見書に対する各会派の態度(○賛成・×反対)

意見書名 結果 日本
共産党
市民
自由
クラブ
市民
ネット
ワーク
公明党 市政会 民主
新政
クラブ
五月会
地球温暖化防止対策の推進と京都議定書の早期批准・発効を求める意見書
幼児児童生徒の安全確保及び安全管理の徹底を求める意見書
ハンセン病の全面解決を求める意見書

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介護保険制度に関する意見書 × × × × ×
乳幼児医療費の無料化を国として行うことを求める意見書 × × × × ×
地方交付税の削減反対等に関する意見書 × × × × ×
郵政事業に関しての意見書 × × × × × ×
「緊急地域雇用特別交付金事業」の改善と継続を求める意見書 × × × × × ×
トラック輸送における安全確保と公正取引の確立及び排ガス防止に関する意見書 × × × × ×