ゆうき房江議員の一般質問(大要)

 (2001.7.3)

1、介護保険について

 介護保険が始まり1年が経過した。介護保険制度の問題点と今後の課題についてうかがう。

(1)制度について
 この制度は1年立たったが、市当局は順調に進んでいると見ているのか、それとも問題点があると思っているのか。

(2)保険料について
 昨年半額徴収し、新年度は10月から本来の額となる。いまの2倍だ。現在の半額の保険料ですら払えない人が出ている。月額1,5000円以上の年金の人は天引きなので、否応なく取られている。
 (1)普通徴収で未納になっている人はどのくらいいるのか。また、未納の理由も調査しているのか。督促状は出しているのか。
 (2)2001年3月8日「朝日新聞」によると、低所得者の1号保険料を減免する、自治体独自に施策を実施しているのは97自治体程度。今後実施する予定68自治体程度と報道している。これまで保険料の減免を求めてきたが、市当局はこの実態をどう見るのか。千葉市も、低所得者の保険料を第一段階と第2段階を減額・免除すべきと考えるが、どうか。

(3)制度の利用実態と利用料について
 (1)千葉市の利用状況は、平均38.4%と低いが、この状況をどう考えるのか。また、要介護度の高い人の利用が低いのはどんな理由なのか。
 (2)介護保険認定者で、サービスを利用していない人は何人いるのか。その理由と、介護度別の利用率はどうか。
 (3)全日本民主医療機関連合会が、サービスを利用している人を対象に実施した介護実態調査では、75%の人が負担が増え、負担額は2.6倍になったことが明らかになった。利用料の減免を実施、検討している自治体は全市町村の2割を上回ったが、千葉市は減免の考えはないのか。
 (4)平成12年度の給付費予算約184億円なのに対し、支出額は131億円余で、53億円以上あまる事になる。なぜ、あまるのか。利用率が低いからか。そして、この金額は新年度はどう使われるのか。

(4)特別養護老人ホームについて
 入所希望者は5月1日現在で912人と言われている。H13年度に開所されるのは2施設100人分だ。H14年度も100人だから絶対量が不足している。保健福祉計画を見直し早急な整備が必要だ。市が用地を求めて、貸与すべきだ。

2、児童虐待について

 「児童虐待防止法」が昨年11月20日施行された。虐待からこどもの命と人権を守る立場を明確にしたはじめての法律だ。この法律は、保護者が看護する児童に対し、(1)身体的暴行、(2)性的虐待、(3)保護の怠慢、(4)心理的虐待を行なう4つの行為を児童虐待と定義した。保護者には、児童福祉施設の施設長も該当する。虐待を発見したものは、速やかに通告しなければならない。通告を受けた児童相談所は虐待の恐れがある場合も含めて立ち入り調査できる。
 千葉市でも年々増え続けている。虐待の背景として、核家族化、地域コミュニティや家族基盤の脆弱化、長引く不況、企業リストラ、夫婦間のトラブル、育児不安、親子の愛着形成障害、貧困、親の病気、大人の価値観の押しつけ、若者の自立時期の遅れなど様々な要因がある。今回は特に児童相談所の役割、支援体制の強化など中心に、質問する。
(1)児童相談所について
 (1)現在の児童相談所の対応は充分だと考えているのか。また、児童相談所の機能は果たせているのか。
 (2)一時保護を打ち切るのは、どんな判断で行なうのか。
 (3)児童福祉司など専門職員が不足しているのではないか。
 (4)カウンセリングを受けるほど悩む養護教員もいると聞くが、こんな状況を教育委員会は把握しているのか。また、どう対応するのか。
 (5)児童相談所と保健所が対立する事があるようだが、どう子供の立場に立って解決するのか。 
 (6)支援体制は充分なのか。妊娠したときから、保健所・保健センターでの教育、相談活動が大切だ。育児ノイロ−ゼなどの対策、施設の充実などどこまで進んでいるのか。千葉市で積極的に支援施設を作る考えはないのか。 

3、わかる授業・楽しい学校にするために

(1)新学習指導要領について
 いじめや不登校、学力問題、ひきこもりや、児童虐待など子どもと教育をめぐる状況は深刻だ。旧文部省調査の国際比較を見ても、日本は「学校の勉強が嫌い」な子どもが多い。中2では、理科でも数学でも世界で1・2番目に「嫌い」なのだ。学校の勉強が「わからない」「嫌い」と答える子どもは、高学年になるほど増えている。これは深刻だ。長年、管理主義・競争主義がつづいた結果ではないか。新学習指導要領は、来年から完全実施される。授業時間は減少するが、教える中身は変わらないため、さらに過密となる。大変な詰め込みが行われることになる。また、新学習指導要領の教科書は今年採択されたものが使われる。その中で歴史・公民の教科書が今問題になっている。それは、これまでの歴史教科書を「反日的、自虐的」と攻撃してきた「新しい歴史教科書をつくる会」が、中学校社会科の歴史分野と公民分野の教科書を作成し、検定を通ったからだ。この教科書の発行は産経新聞社で発売は扶桑社だが、実質的には「つくる会」が事実上の発行者となって編集したものだ。文部科学省は歴史教科書137箇所、公民教科書99箇所の検定意見を部分的な修正を行ない合格させた。
 (1)新学習指導要領は、憲法第26条、教育基本法第1条、学校基本法第18条から見て、すべての子どもにわかる授業、たのしい学校を保障するものなのか。それぞれの条文をあげ説明頂きたい。
 (2)「学力の危機」をより深刻にするとして、実施前から中止の声が上がっている新学習指導要領を見直し、基礎・基本とは何かを含め、英知を集め国民的合意形成を図る事を提案する。
 (3)「つくる会」の歴史・公民の教科書について、教育委員会は実際に見ているか。また、この教科書をどうに考えているのか。
 (4)この「あぶない教科書」は採択すべきではないが、どういう立場で教科書を選定するのか。見解をうかがう。

(2)少人数学級について
 (1)千葉市は今年度、独自の予算で、1年生で36人以上の学級に、非常勤講師を26人配置したが、その成果はどうか。
 (2)小学1年生で36人以上の学級には全クラス配置すべきだが、配置しない理由はなにか。
 (3)今後、少人数学級を積極的に進めるべきだが、どうか。

(3)免許外教科担任について
 減少しているとはいえ、免許外教科を教える先生が84人いる。初めて取り上げた当時は、政令市でもあまり取り組まれていなかったが、現在は積極的に解消策を立てている。東京都、京都市、広島市はゼロ。福岡市4人、川崎市6人、北九州市14人と、市独自に非常勤講師を配置して免許外教科担任を解消している。
 (1)千葉市でも免許外担任を解消するため、非常勤講師を積極的に採用すべきだが、どうか。また、予算はどれだけ必要か。
 (2)緊急雇用対策の運用で解消できないか。

(4)安全な学校づくりについて
 大阪教育大学付属池田小学校で、児童8人が死亡、教師2人を含め15人が重軽傷をおった児童殺傷事件は、学校関係者を震撼させ、大きな衝撃を与えた。安全な学校にし再びこのような事件が起こらないようにしなければならない。
千葉市でも、緊急安全対策が取られたが限界がある。子どもを守る専任の警備員配置が必要だ。低学年の教室が襲われないよう2階に移動するなど教室の配置、校舎建築の再検討が必要ではないか。父母や地域の人々が学校づくりに参加でき、学校が地域によって守られることが、学校の安全を確保する道と考えるが、どうか。

4、川鉄とNKKの合併問題について

 4月13日、川鉄とNKKとの経営統合が発表された。報道によると、鉄鋼業界国内で2位のNKKと3位の川鉄は、来年10月に共同持ち株会社を設立する。粗鋼生産量の合計は3,357万トンで、新日鉄の2,907万トンを抜き、世界で第2位の鉄鋼メーカー誕生になる。さらに、H14年4月に両社を解体し、鉄鋼・エンジニアリングなどの事業会社と社内システムなどの機能サービス会社に再編するというものだ。この経営統合について経済産業省は、必要なら産業再生法の適応など通じて支援する方針だ。
 (1)この統合について市はどこまで関与しているのか。
 (2)NKK京浜(川崎)・福山(広島県)、川鉄水島(岡山県)・千葉の4製鉄所は堅持すると言っているが、人員削減を考えていると発言している。このことは川鉄の従業員にとって重大な問題だ。市としても、市民のくらしや市内経済に与える影響、街づくりの観点から重大な影響が出てくると思うが、どんな影響があると考えているのか。
 (3)経済産業省は、この経営統合を歓迎している。必要なら産業再生法の適用で支援するとしている。産業再生法とは、どんなものか明らかにしていただきたい。千葉市は、この適用に賛成するのか。
 (4)報道によると、島田助役はこの経営統合に対して「収益基盤が強化される。今後に期待するとともに、遊休地の利用計画もスムーズに進むことを願っている」と期待感をにじませたとしているが、何にどう期待しているのか。また遊休地の活用とは蘇我副都心計画のことなのか。どうスムーズに進むと考えるのか。

5、安全な食品について

 安全でおいしい食品を食べたいというのは当たり前の要求だ。しかし、近年食品添加物や農薬などの問題に加えて、ダイオキシン類による食品汚染や遺伝子組み替え食品、狂牛病など食品の安全をめぐる新たな問題が続出している。
 昨年は、乳製品による大規模な食中毒が発生したり、食品への異物混入などが相次ぎ食品の安全に対する消費者の不安が高まっている。千葉市は、食の安全性確保に関する指針を策定した。この指針がさらに充実し、市民の食の安全を守るよう願って質問する。

(1)遺伝子組み替え食品について
 遺伝子組み替え食品についてだが、1999年7月、「食料・農業・農村基本法」が制定された。食品の品質を見分けるための重要な法律が整備され、2000年3月にはJAS法が食品衛生法に改定された。改定法は新たに(1)生鮮食品(2)玄米及び精米(3)遺伝子組み替え食品(4)有機食品が加わり、その遺伝子組み替え食品の表示が今年4月から義務化された。しかし表示される食品はかぎられたもので、しかも実態があいまいでわかりにくいという印象を多くの人が抱いている。ずさんさを裏付けるように、ハウス食品のスナック菓子「オーザック」から未承認の組替えジャガイモが検出され、波紋を広げている。
 (1)遺伝子組み替え食品に対して、市として安全性の基本的な考えはなにか。
 (2)表示や内容についてチェック機能はあるのか。
 (3)指針では、監視と試験調査がうたわれているが、専門家の増員は行なわれるのか。
 (4)国に対して、遺伝子組み替え食品の表示をEUなみの1%にすることを求めるべきではないか。

(2)消費生活対策審議会について
 消費生活対策審議会は、年間どのくらい行なわれ、その成果はどうか。

(3)食品安全行政について
 食品安全行政には、市民参画をすすめるべきだ。

(4)食品衛生法の改正を求める
 法の目的に「国民の健康のために食品の安全性を確保する」を追加することや、積極的な情報公開と消費者の参画を図ることなど盛り込むことを求めるべきだ。