ふくなが洋議員の総括質問

2001年10月3日

防災対策について

 9月1日は防災の日でした。三宅島の全島避難は、火山活動の活発化で1年以上が経過しました。日本列島では地震、火山活動、水害など毎年のようにやってきます。内閣府のまとめた「防災白書」2001年版では、世界の活火山のうち約7%の105が日本にあり、マグニチュード6.0以上の地震回数は、1994年から98年までに世界で454回発生し、日本はその2割以上の95回を記録しています。さらに、21世紀の想定される災害は、「防災白書」では東海地震、この千葉市が入る南関東直下型地震の切迫性を指摘しております。また、地球温暖化による台風の強力化、ヒートアイランド現象による大都市の局地的集中豪雨の発生の心配もあります。
 にもかかわらず、国の防災関連予算は97年4兆750億円。2001年は3兆425億円と年々減っています。95年1月の阪神淡路大震災の後、95年7月に施行された「地震防災特別措置法」により、96年から2000年までの「地震防災緊急事業5ヵ年計画」が策定されました。計画の推進は大きく遅れています。こうした中、千葉市は防災システムの導入など独自に防災対策の強化が必要です。災害に強い千葉市のために以下お聞きします。
 第1に、地震防災システムの導入によって被害推定、ヘリテレ映像や監視カメラによる情報収集を行ない適格な対応を行なうべきだが、どうか。
 第2に、南関東地域直下型地震の可能性を国は指摘しています。そのための、市内の建築物の総点検は。
 第3に、レスキュー隊は4隊56人 7人で1組で行動するとのことですが最大何隊、行動出きるのか。増員が必要ではないのか。
 第4に、耐震性防火水槽は阪神淡路大震災の教訓で命を守るために必要とされたものです。その設置状況は。また土地区画整理事業で設置のための指導は。民間の協力で増設をはかるべきだが、どうか。
 第5に、広域避難場所での現場指揮の責任は誰がとるのか。
 第6に、高齢者・障害者など、生活弱者への救援システムについてうかがいます。

福祉行政について

 まず、保健福祉センターについてうかがいます。
 千葉市でも、保健福祉センター構想が具体化されています。少子高齢化社会の中で、市民にとって保健、福祉、介護などのサービスが一体的に効率的に展開されて、充分なサービスが受けられることは必要なことです。各政令市では、すでにスタートしたところ、あるいは移行を前提としながら組織のあり方を検討しているところと様々ですが、おおむねネットワークのイメージ図は同じものと思います。千葉市は「保健福祉センターの整備」方向を保健福祉局が示しています。そこで伺います。
 第1は、保健福祉センターの整備においては、スタッフ、駐車場、交通アクセスなど市民のニーズに充分応えるものにしなければなりません。そのための保障についてうかがいます。
 第2は、年々複雑化する状況の中で、心の病、難病、遺伝子治療など医療の高度化に対する対応はどうか。また、行政の谷間にある市民への援助はどうするのか。うかがいます。

 つぎに、精神障害対策についてうかがいます。
 最近精神障害をめぐる事件が多発しています。こうしたこともあり、精神保健福祉法が再び改正され、2002年4月1日より施行されます。
 精神保健福祉施設にかかわる、精神保健福祉センターや保健所、市町村などの役割分担を見直し、新たな市町村の義務が見直されるようになりました。
 精神障害の歴史は、1900年に「精神病者監護法」がスタートして100年になるわけです。この間、精神障害者への対策としては、「取り締まり」が普通に行われてきました。それが、入院中心のシステムとなり、1960年代には脱施設化が世界の精神医療の流れとなりました。96年から、政令市は県と同じ仕事を担うことになりました。
 93年12月に成立した障害者基本法は、やっと施策の対象に精神障害者を位置付けました。身体障害、知的障害と同様に自立支援の方向性が出されたのです。
 保健所は、福祉サービスの実施主体ではないので、障害福祉サービスは市の福祉保健サービスとして行われるのが当然といわれています。
 このことからも、精神障害者は障害者としてではなく病者としてみてきたことや、精神障害者や家族への偏見は依然として根強く、周囲から理解されにくい特性をもっており、それなりのプライバシーなどを充分配慮しなければなりません。
 そこで伺います
 第1に、障害者として認められ、平成7年から手帳が交付されました。しかし、自立と社会参加の促進のためとはいえ、有料道路、航空運賃の割引制度、NHKの受信料の減免制度がないなど、他の障害者福祉サービスに比べて差別があるのは不自然です。関係方面に改善を求めるべきではないのか。また、社協などの協力で福祉バス、公営住宅への優先入居、アパートの保証人、職場の開拓、社会適応訓練事業への補助、小規模作業所への援助、スポーツ文化活動への支援、グループホームの促進をすすめるべきだが、どうか。
 第2に、市内の精神障害者の生活ニーズを中心として、充分な調査を行ない、実態把握と数値目標をとり入れた精神障害者計画の策定をもとめますが、どうか。
 第3に、啓発事業として、大規模なキャンペーンも必要です。社協などの団体の協力も得ながら、地域社会の理解をどう進めるのか、うかがいます。また、市民との交流の場を提供することを求めるが、どうか。
 第4に、知識の普及だけでは、充分ではありません。精神障害者を地域社会で受け入れていくための福祉教育が必要であり、民生委員、保護司、自治会の研修会が必要ではないか。見解をうかがいます。
 第5に、政令市に精神保健福祉センターを「置くもの」とされ、千葉市でも今年 7月にオープンしました。センターは、精神保健福祉分野で技術的な中枢としての位置付けがあり、センターの陣容や予算を充実させなければなりません。医師、看護婦、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士などを含めたスタッフ体制になっているのでしょうか。

 つぎに、感染症対策についてうかがいます。
 感染症とくにHIV、結核、腸管出血性大腸菌感染症O−157、ハンセン病について、それそれ伺います。
 第1に、HIVについてです。
 世界で初の、エイズ症例がアメリカで発表されて、今年で20年目になります。HIV感染は世界で5,800万人、うち約2,200万人が死亡し「危機的状態」と、国連アナン事務総長の発言にもあるように深刻な状態です。アメリカやタイでは、新規感染者が減少しているとのことですが、油断大敵です。感染防止の努力が一層必要です。私は、92年6月議会で市内のHIV感染の実態について質問しました。以来、ずっと対応を求めてきました。
 まず、HIV感染の実態の公表以来、今日までの動向についてうかがいます。
 また、市としての独自のHIV感染症対策についてうかがいます。
 匿名の検査や相談、治療やプライバシーの保護については、どうなっているのか。
 第2は、結核についてです。
 かっては、国民病と言われた結核は過去の病気と思われていましたが、近年教育現場などで多発しています。97年には、新規患者が38年ぶりに増加し、罹患率も43年ぶりに増加傾向に転じて、3年連続している状況です。先にも、千葉大で集団感染のケースが報道されました。
 千葉市は「拡大の恐れはない」としていますが、改めて結核の怖さを感じるところです。
そこでまず、市内における結核の発生と早期発見、診断、治療の現況について、うかがいます。
 また、高齢者など感染率の高い市民への対応はどうか。ホームレスの人たちの検診についてはどうか。市民への啓発活動についてはどうか。お答えください。
 第3は、腸管出血性大腸菌感染症についてです。
 O−157の集団感染も、食品流通ルートの多様化に伴い、広域感染の危険が増大しています。
 そして、首都圏内であいついで腸管出血性大腸菌感染症の感染が報告されています。
 そこで伺います。市内での腸管出血性大腸菌感染症状況と対応について。また、根絶に向けての取り組みについてうかがいます。
 第4は、ハンセン病についてです。
 ハンセン病の全面解決が求められています。原告が全面勝訴したハンセン病訴訟。政府は、熊本地裁判決の控訴を断念して3ヶ月が経過しました。しかしこれで、ハンセン病が解決したわけではありません。特に医療関係者からは、ハンセン病を人権問題として、また医学的にもきちんと捉えなかったと、反省を示す方もあります。今後、行政に問われることは、地域にある差別と偏見を、どう取り除くのかにあり、真相を究明することが求められています。故郷に帰って平穏に暮らせるようにすることの責任があると思います。そこで伺います。
 差別と偏見を無くすための市としての取り組み。また、市内で平穏に暮らすための支援体制についてうかがいます。

 つぎに、人権を守る福祉行政についてうかがいます。
 第1は、高次脳機能障害や若年痴呆についてです。
 以前質問しましたが、急増する交通事故や病気による損傷で、記憶や思考に障害が表われる障害者がその後も増加しています。病気や交通事で、脳にダメージを受け記憶障害や思考能力・言語などに障害が出たり、50歳前から痴呆が出現し、日常生活に支障をきたしている方は、現行の福祉制度や保険制度の対象にされていないケースがほとんどです。
 複雑な症状から判断が難しく、各種保健の対象外になり、福祉の谷間に置かれている高次脳機能障害や若年痴呆について伺います。
 まず、の全国的な状況と千葉市の実態を把握しているのかうかがいます。
 高次脳機能障害や若年痴呆を、市の福祉制度に取り入れていくことが必要です。病気に対応した入所・入院施設の確保、リハビリの実現を求めるが、どうか。
 第2は、痴呆の高齢者、障害者の入所施設での事故防止の問題です。
 高齢者の手足を縛ることが昨年の介護保険のスタートで原則禁止になりました。しかし、施設での人手不足は深刻で、高齢者・障害者の施設での転倒・転落の事故は多発していと思われます。
 これらの事故は日頃お世話になっているという意識から、なかなか表に出にくいものです。
 市内の各施設での実態把握はどうなっているか。人権を守る上でスタッフの充実。相談窓口などを設け、施設、利用者、保護者一体となっての改善が必要ではないのか。うかがいます。

環境行政について

 二酸化炭素の削減についてうかがいます。
 地球温暖化対策は一刻の猶予もありません。どうしても二酸化炭素を削減しなくてはなりません。日本のCO2の排出量は年間、約10億トン、その半分が産業部門です。高性能の工業炉や廃熱の再利用で、大幅にCO2の削減効果を示さなければなりません。
 市では、公用車へのDPFの着用をはじめ、低公害車の導入を図っています。全ての分野での温暖化防止が必要です。環境保全に向けて質問します。
 第1に、太陽エネルギーが、植物により変換されたもので、材木や生ゴミなど多様で、永続的なエネルギーのバイオマス発電など温暖化対策になるものへの実施と援助についてうかがいます。
 第2に、発ガン性があるとされるベンゼンの調査結果が、先に県環境部から発表されました。市原市では環境基準の2倍以上となっています。千葉市は97年に、全国最高濃度を記録し問題となりましたが、今回も環境基準を超えています。その原因と明確な対策を求めます。
 第3に、光化学スモッグ(OX)についてです。昨年は光化学オキシダントの環境基準を守れず、健康被害が1人出ているとのことですが、その原因と対策、市の対応についてうかがいます。
 第4に、車の排ガス対策が、国土交通省、東京都や道路公団によって、東京・板橋区の大和町交差点で行われています。汚染された空気を土壌中で浄化させるシステムです。NO2、NOX、SPMの除去に効果があるといわれています。これらの研究を千葉市も進めて大気浄化システムの実施を求めます。

 つぎに、ヒートアイランド現象についてうかがいます。
 都市部での気温が郊外より高くなるヒートアイランド現象は、川鉄公害訴訟「青空裁判」でも、被害の実証にもちいられました。この間、東京都23区では夏の平均気温が20年間で、1.2℃上昇していることが環境省の報告で明らかになりました。ヒートアイランド現象は、集中豪雨の増加、植生の変化、感染症の多発など様々な悪影響をもたらします。
 「抑制の難しい最後の公害」とも言われていますが、手をこまねいているわけには行きません。ヒートアイランド現象は、都市部でのエアコンの利用、コンクリート化、緑の減少などが原因です。そこで伺います。
 第1は、千葉市におけるヒートアイランド現象についてですが、この間の、夏の気温の変化について、うかがいます。
 第2は、その原因は明らかですが、対処の難しい公害でもあります。対策として、屋上の緑化、二酸化炭素(CO2)の削減、業務ビルの規制についてうかがいます。

 つぎに、化学物質に関する事業者の排出量の報告義務を定める法律(PRTR法)について伺います。
 「身近にある工場の排水、煙」について、また「新建材のシックハウス症候群などの化学物質」「添加物の食品」「自動車の排ガス」などについての、市民の不安が多くあります。
 今年の4月1日より測定義務が課せられ、来年6月までに県を通じて国に報告することが定められています。環境省も「国民の関心は高く、事業者には透明性の高い報告が求められています」としています。そこで伺います
 PRTR法に基づき、事業者が排出量・移動量の測定をしなければならないが、千葉市の状況はどうか。また、千葉市自身で行なう必要のあるものについてうかがいます。

 つぎに、地下水汚染についてうかがいます。
 今年の8月19日、TBSの「東京マガジン」で報道された「土壌汚染の三都物語」は大きな反響を呼んでいます。東京・名古屋・大阪の大都市でのマンション用地を中心に、汚染が深刻になっていることをリアルに報告しています。大阪府豊中市では、マンション業者が土地を約10億円で購入したが、用地が産業廃棄物で汚染されており、浄化に約40億円かかると言われています。
 名古屋市では、企業からの汚染報告データ―を公表せず、住民の怒りが爆発しました。これらのことに見られるように、土壌・地下水汚染の診断が望まれる事業所、跡地数は約44万か所推定されています。なお、リスクの高い学校・病院・港湾・鉄道施設は含まれていないもので、これらを加えればもっと多くなると言われています。こうした、日本列島の土壌や地下水の汚染浄化費用は、13兆3000億円も必要とされています。21世紀最大の公害とも言われ、深刻な問題が続発すると考えられています。これらにかかわり、うかがいます。
 第1は、千葉市における土壌・地下水汚染マップの作成とその対策について。
 第2は、ディーゼル車の排ガスやタイヤによる土壌汚染について。
 第3は、安定型、管理型処分場の安全性に問題はないのか。市内には何か所あるのか、うかがいます。

子どもの権利条約について

 まず、学校の安全についてうかがいます。
 6月8日に大阪府、池田市の池田小の殺傷事件が起きました。その前に京都市の日野小でも男子の刺殺事件がありました。学校の安全が、あらためて問われています。学校管理は学校の努力だけでは守れるものではありません。保護者や地域の目がどうしても必要です。校長室の近くに置く。窓を開放する。など様々な「安全」にむけて取りくまれています。
 とくに学校の開放を行ない、常時地域の人の出入り確保して、不審者から子どもの安全を守ることが効果があると言われています。そこで、子どもの安全を守るために伺います
 第1に、学校の安全のため、警備員の配置以外に校長室の場所。学校の地域開放による安全確保。また、被害者の「心のケア」への対応についてうかがいます。
 第2に、精神医療との関連で、こうした痛ましい事件の再発防止にむけ、精神医療を充分におこなうために、地域での連携、救急システム、退院後のケアシステムを公的にどのように保障していくのか、うかがいます。

 つぎに、学校災害についてうかがいます。
 子どもの数は減少しているにもかかわらず、学校災害は増えています。1999年の学校安全・災害給付は、160万7,000件となっています。センターの給付金は、死亡が2,500万円で自賠責保険の3,000万円より500万円少ないものとなっています。また、7年で給付が打ち切られる問題もあります。学校災害をなくすことは、子供の安全にとって欠くことのできない問題です。
 第1に、千葉市の学校災害の実態についてあらためてうかがいます。
 第2に、再発防止と保障制度を千葉市独自に充実するなど、改善をもとめます。

地域経済活性化について

 まず、市内中小企業対策についてうかがいます。
 地域経済活性化のため、大阪の八尾市では今年の3月30日に「八尾市中小企業地域経済振興基本条例」を全会一致でスタートさせ、街ぐるみで頑張っています。これは、八尾市の中小業者や働く人が安心して住みつづけられる八尾市をめざして条例化されたものでした。そこでうかがいます。産業振興会議を設置して、関係者の政策提言を行なう。ITへの対応や空き店舗の活用化など千葉市にあった施策の展開を求めますが、お答えください。

 つぎに、千葉市勤労者福祉サービスセンターについてうかがいます。
 福祉サービスセンターは、旧労働省が中小企業勤労者の総合福祉事業として進めているものでスタートして14年になります。千葉市は96年に発足しました。政令市では一番新しい福祉センターです。業務内容は、融資斡旋・健康増進・慶弔給付など、中小企業に働く市民の福利厚生事業を担っているものです。福祉サービスセンターの果たす役割は益々大きくなっています。
 各政令市は、それぞれ名称、組織、会費はばらばらですが、厚生労働省が1988年より開始した「中小企業労働者総合推進事業」として一体化されていて、目的、内容は同じです。
 福祉サービスセンターは、中小企業では独自にサービスを提供することが難しい福利厚生事業を、事業主と力を合わせて運営し働く人に豊かな生活を保障し、事業主には雇用の安定と発展を保障するもので、成人・結婚などのお祝・病気災害の見舞金、健康診断への助成、宿泊、旅行への補助、レジャー施設利用の割引き、また退職金共済も行っています。
 政令市では、入会金が無料から500円、会費(掛け金)は月額200円から3,000円となっています。千葉市は、入会金300円、会費は月額1,000円です。事務局はコミニテイセンターの2階にあります。政令市を比較してみても、それぞれ中小企業の数が違いますし、歴史も違いますから単純に比較することは出来ませんが、千葉市の現状は改善される必要があります。千葉市の加入事業者数は、106社1,693人(2000年3月31日現在)です。札幌市では11,737社で82,331人。京都市は3,059社33,152人。北九州市は6,196社で25,861人。福岡市は1,732社で27,700人となっています。
 発足が遅いとしても、他政令市との比較を見れば、規模・人数があまりにも少ないのではないでしょうか。市が本腰を入れている割には、行政効果が上がっていないのではないでしょうか。そこでうかがいます。
 第1は、千葉市勤労者福祉サービスセンターの現状について、政令市との比較でどのような状況にあるのか。
 第2は、予算にこれまでどの位の市費を投入しているのか。その割に加入者数の実情をどのように考えるのか。
 第3は、勤労市民に利用され喜ばれる千葉市勤労者福祉サービスセンターにするために、職員や利用者など関係者を中心としたチームを作り、抜本的に改善改革を進めるべきではないのか。
 以上、お答えください。