中村きみえ議員の反対討論

2001年12月14日
 日本共産党の中村公江です。提案された議案13件中3件と発議37号が否決されましたので反対討論を行います。
 まず、議案137号市街地再開発事業特別会計補正予算および議案148号和解についてです。この議案は、千葉地方裁判所の和解勧告を受けて、JR千葉駅西口再開発事業用地内にある石橋不動産所有の土地建物を14億4,623万円で買収するものです。このうち土地は面積360.70平方メートルで買収価格は11億8,148万円1平方メートルあたりの単価は3,275,523 円です。土地の価格は債権者が土地収用法による裁決申請書を提出しましたが千葉県収用委員会が委員空席のため裁決されなかった理由を考慮して平成9年3月の時価としたため現在価格と3倍あまりの差があります。現在価格で買収すれば1平方メートルあたり単価1,078,000円合計3億8,800万円ですからその差額は7億9,300万円で千葉市はこれだけ高い買い物をすることになります。
 この他、千葉市はこれまで石橋不動産に対して、家賃欠収補償として合計4億7,000万円も支払ってきました。今回、土地建物買収費14億4,623万円と合計すれば19億1,623万円となります。このうち、平成9年3月以後の家賃欠収補償分2億2,101万円は返還されますからこれを差し引いても17億円あまりの支払いとなります。
 千葉駅西口再開発の今日までの用地買収は、8,911平方メートルを超えています。このうち最も高い価格で買収した土地は平成4年1平方メートルあたり1,026万円でした。これが平成13年11月の価格では1平方メートルあたり104万円ですから10倍あまり高い買い物をしたことになり、しかも今後土地開発公社に手数料や利子まで払って買い戻しをしなければなりません。西口再開発で平成12年度末まで用地買収に支出された費用は359億円あまりということですがこれらの土地が現時点で買収したとすれば3分の1から5分の1くらいの費用で済むことになります。
 千葉駅西口再開発事業について、今回の議案の審議を通じてあきらかになったことは、バブル経済にのって計画を実施されてきた再開発事業が千葉市財政に多大な被害を与えている事であります。事業手法も、第2種再開発事業のため公共の側が全面的に費用負担するため、多額の支出が続いています。都市消防委員会で、他会派の委員からも今回の議案について、「市民感情と現在の地価状況を考慮しても今回の和解には納得しがたいが」という主旨の発言もされています。日本共産党市議団は、千葉駅西口再開発事業について、A1棟と駅前広場にとどめる事を基本に思い切った見直しを提案してきましたが、改めてその実施を求めるものです。
 次に、議案第140号千葉市公益法人等への職員派遣等に関する条例の制定についてです。
 条例制定に伴う背景は、地方公務員が公益法人や営利法人等へ職務命令で派遣されたことに対して、最高裁判所の判決によって違法とされたため法律が制定されたことを受けて行うものです。この法律では、地方公務員を派遣する先が公務と同一視できることに密接な関連を有する事務であること。本人の同意が必要であることなどが明記されています。現在、千葉市が職員を派遣している団体は、公益法人26団体258人営利法人3団体5人です。
 議案質疑、常任委員会審査を通じて明らかになった主な問題点は次の通りです。
 第1に、市職員は、地方公務員法15条任用の基準に示されているとおり、任命権者が特定の職に人を就けることが任用と規定されています。また、地方公務員法35条職員専念の義務は「法律、条例の特別の定めがある場合を除き当該地方公共団体がなすべき責を有する職務のみに従事しなければならない」と規定されています。
 今回、法律で派遣についてルール化されたわけですが私たちは「最高裁判所の判決や法律制定の主旨、地方公務員法からみれば条例制定にあたって、派遣する人員を極力少なくして、外郭団体などはプロパー職員を中心に運営していくこと」を提案しました。にもかかわらず、今まで通り263人を変更しないことは問題です。
 第2に、派遣団体の厳密な精査見直しをしないことについてです。私たちは法律の趣旨に沿って、今までは派遣してきた団体が公務上密接な関連する団体であるかどうか精査し、派遣先の見直しを行うよう求めました。しかし、答弁は現行通りで一切の変更をしないということで、納得の出来るものではありません。
 第3に、派遣される職員の身分や権利処遇の不利益是正が明確になっていない点です。派遣職員には、政府官掌保険に加入するため、地方公務員等共済組合法の短期給付や福祉事業が適用されず、厚生面で大きな格差が生じてきて保険料も高くなります。営利団体への派遣は、退職をするためさらに不利益が増してきます。これら不利益の是正が、どのようにされていくのかに対しての答弁は、「検討中」ということでした。職員の大切な身分や権利、処遇の不利益について条例を提案しておきながら「検討中」ということでは、職員は不安を募らせることになります。本当に不利益が是正されるのなら、その結論を経て整備されてから条例提案すべきです。そうなっていないのは重大な問題です。
 第4に、派遣前の手続きとして、本人の同意が必要なことについて制度的に補償されていない点です。私たちは「当局が必要だと言っている派遣職員数263人に対して、仮に同意した職員が200人で63人不足した場合はどうするのか。職員の同意を保障するのなら、不足人員は派遣をあきらめるのが法律の立場だ」と質問しました。しかし、当局は「十分な説明を行い、理解を求めてまいりたい」と答弁しています。これでは、押しつけになるものであり同意とはいえません。職員の同意を無条件に補償すべきです。
 最後に発議37号千葉市ハーモニープラザ設置管理条例の一部改正についてです。
 この管理条例9条に、使用料の減免についての規定があります。これは、市長が「特に必要があると認めた時には使用料を減額し又は免除することができる」ことになっています。しかし、実際には障害者団体は使用料の減額や免除がされていないのです。そこで、条例に障害者への減免条項を入れ、市民や関係者の要望に応えるための発議です。
 委員会では、現行の規定の運用で対応できるとの意見、明記するとかえって認定に困難さを生じ、現行の規定の方が柔軟に対応できる等々、意見があったようですが、実際に、現行の規定では、これまで障害者の使用料の減免や免除が行われてこなかったのは事実です。重ねて申し上げますが、障害者基本法第23条では「国および地方公共団体は障害者及び障害者を扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料の減免、その他の必要な施策を講じなければならない」と規定されています。この観点からも、障害者に対する減免軽減を図るべきです。
 総務委員会の討議で否決されたことは、障害者の社会参加の機会を少なくすることにつながるものでバリアフリー化に逆行するものです。すなわち、法律で規定されている減免制度の提案が、わが党以外のすべて反対というのは大変残念です。
 以上で討論を終わります。