ゆうき房江議員の討論

2002年3月14日
ゆうき房江議員
 日本共産党を代表して討論を行います。
 わが党が提出しております、予算の組替え動議に賛成し、市長提案の60議案のうち、お手元に配布されております通り、14議案について反対を表明いたします。
 まず、議案第1号平成13年度補正予算につきましては、幕張メッセ建設や千葉港負担金、道路直轄負担金、蘇我特定地区整備事業など、負担義務の無いものや、見込みのない大型開発でありますので賛成できません。それでは、議案第2号からH14年新年度予算はじめ、13議案について反対の根拠を申し上げます。新年度予算は、小泉改革の下で、苦しめられている市民にとって優しい予算になることが望まれ、鶴岡市長の初めての予算を注目した市民が多かったと思います。
 市長は、所信表明で「国の構造改革の荒波は地方自治体にも大きな影響を及ぼす。その中で市民一人一人の生活を第一に考えた行財政運営を行っていく」とのべ、市政運営の基本的な考え方として「新5か年計画の推進は少子化、 高齢化社会への対応など、7分野に重点的に取り組むこと、行政改革を推進する」ことを強調されました。日本共産党市議団は、新年度予算を90万市民の立場から質問を行い、検討をしてまいりました。予算の中には、鶴岡市長が重点とする子育て支援の対策や環境の里山保全、 また、日本共産党市議団が、市民と共に要求してきた情報公開閲覧手数料の無料化や障害者用IT機材・ソフト購入経費の助成、小中学校体育館の耐震診断の実施など、新規拡充事業等に前進がみられます。しかし、予算議会全体を通じて明らかになったことは、1つに、90万市民が今切実に願っている施策への予算配分が少ないこと。その結果 小泉改革による長期不況、失業、生活苦、先行不安などを解消し、市民が安心して暮らせる予算になっていないことであります。2つは、市長の基本方針、新5か年計画の推進重点7分野のうち「花の都千葉」と「蘇我特定地区整備」が突出している予算であります。このことについて、少し解明してみます。第1に、市民の命と健康を守る国民健康保険料の値上げは平均4.3%で, 年金暮らしのケースで3,600円とか、自営業のケースで18,740円の値上げと大幅な負担増となります。また、政府の改定にあわせて老人医療費助成を68歳、69歳の所得制限をつけてしまうものです。70歳以上の方への対応もしないことは、高齢者層に冷たい仕打ちになります。これは、小泉改革で社会保険の3割負担や老人医療費助成の改悪など、国民に極めて深刻な打撃を与えている中で、病気になっても医者にかかれない深刻な事態をきたします。第2に、子育て支援は、市長の目玉であった乳幼児医療費無料現物給付を「千葉県に先がけて実施」と言っていた方針を、あっさりと見送ってしまいました。保育所では、延長保育料を7時まで1,500円を3,000円に値上げし、8時までは6,000円にする訳ですが、これでは市長の言う「安心して子育て」とは逆行するものと言わざるを得ません。第3に、「行革」で身体障害者への、結婚祝金の予算10万円もカットされてしまいますが、市長は財政の節約のためだと本当に思っているのでしょうか。第4に、環境の世紀だと言うのに、蘇我特定地区の大規模開発に対してアセスメントを行わないことは、環境省の方向にも反するものです。第5に、冷え切った地域経済とセントラルプラザ等老舗が姿を消した中央地区はじめ、市内商店街や中小事業者などに対する効果的な施策も、予算は少なく「活性化」の言葉だけが空しくひびいています。指摘することはまだまだたくさんありますが、各局毎の指摘で述べる事とします。
 このように、切実な市民要求に応えられない予算の中で、突出して目立っているのが「蘇我特定地区整備」であります。市長は、「千葉市の更なる発展のために重要なプロジェクトであり、リクリエーションの場、防災対策、雇用の場の創出、税源の涵養をもたらし87億円の税収が見込める」と良いことずくめの答弁をしています。根拠となっている「千葉銀総研」の分析は、以前メッセの入場者や経済波及効果について、大黒字になると発表しましたが、ふたを開けたら大赤字なように、この分析は信頼の点で大いに問題があります。この開発の問題点は、第1に、事業費1,520億円を国と市が60%、川鉄が40% 615億円を分担するとしていますが、その中身は川鉄の古い工場を壊すのに、国と市が2/3を負担させられる費用が入っていたり、エコロジーパークゾーン等に建設する道路用地は、市が買収する代金等が算入されています。これらは、蘇我特定開発の事業がなければ、全く価値のない建物や土地であります。さらに、スポーツ公園用地を市が購入して川鉄に230億円支払います。それを差し引くと川鉄が現金で支出するのは、分担するとしている615億円ではなく、約120億円なのであります。第2に、商業ゾーンについては、蘇我に新しい商業施設ができても市内消費者の取り合いをするだけで、冷え切っている市内経済の活性化にはつながらないのではないでしょうか。第3に、雇用の創出も、すでに基盤整備ができている中央港地区区画整理に進出する企業が皆無の状態であり、幕張新都心も拡大地区はほとんど空き地であります。それなのに、蘇我にだけ企業が進出するとは考えられないのであります。第4に、スポーツ公園はジェフ市原のために急に合わせた計画のようですし、防災施設と言うのなら、災害に強い街作りこそ急ぐべきです。第5に、これだけの大開発なのに住民参加の計画ではなく、小泉内閣の「都市再生」に乗った、川鉄救済のための開発であります。その開発に国と市が903億円も支出し、さらに、市は債務負担391億円を発生させ、その利息を60億円も支出する事は、財政危機の千葉市財政をさらに深刻にしてしまいます。市長は、蘇我と合わせて3つの都心開発を進めると言いますが、千葉都心の1つである千葉駅西口再開発は、事業の大幅な遅れで、当初予定したB棟の建設などは見通しが全くありません。市が今まで買収した用地費は、合計359億円も使っています。鶴岡市長になってからも、時価4億円余りの土地を3倍の12億円で買収するなど、市民の税金の無駄使いがありました。また、中央港地区区画整理事業は、造成された空き地に春風がふいて砂埃が舞うだけ。もう1つの幕張新都心では、今年も6億8,000万円のメッセ負担金が支払われようとしています。今、全国で無駄な大型公共事業の抑制や見直しが行われている時に、千葉市だけが3つの都心開発を進める事は、まさに異常であります。このことが、市民の福祉や暮らしの切実な願いに応えられない予算となっている最大の原因です。新年度予算の財政を分析してみますと、5年前と比べた場合, 一般会計は124億円増額しています。市税収入は、102億円、自主財源も67億円減額です。一般財源は50億円増額です。このように市財政の歳入は5年前と比べて、市税収入、自主財源がマイナスとなっていて、一般会計と一般財源がプラスですが、それも10%程度の伸びであります。これに対して、H14年度の公債管理費は832億円で、5年前に比べて253億円増で、伸び率は143%になります。このことは、歳入がマイナスや低い伸率であるのに対して、債金の元利合計の償還金は43%も増えているという事です。ちなみに、自主財源にしめる公債管理費の割合は38%、一般財源にしめる割合は34%でありますから、企業会計の関係を精査しても、千葉市は自由に使える収入を100として、その中から借金を返済する割合が30%以上にもなっている事を示すひとつの指標であります。もうひとつの指標は、借金の残高です。全会計で新年度の市債と債務負担の元本の残高見込みは1兆288億円です。償還に伴う利子額は、H12年度分まで明らかになっているのが2,225億円です。この元利合計は1兆2,513億円で、昨年度よりも625億円増加していて、市民一人当たりの借金残高は140万円にもなっています。蘇我特定地区など、大型開発の推進はこの財政危機を一層深刻にする事は万人が認める事でありましょう。次に、歳出予算款別内訳のうち、民生費は721億1,200万円ですが、市民一人当たりの金額は81,000円です。政令市平均は市民1人当たり107,000円ですから、その差は26,000円もあります。千葉市の民生費を、政令市平均並みに引き上げれば、あと242億円増える事になります。すぐに追いつくのは無理だとしても、政令市平均の1/2まで頑張れば、あと121億円増やす事になり、市民の切実な願いに応える予算を組むことができるのではないでしょうか。市民福祉向上の予算を増やすためにも,見通しのない千葉駅西口再開発事業や中央港地区区域整理事業、これに加えて中央第六地区再開発、蘇我特定地区整備など大型プロジェクトを思い切って見直し、抑制、変更などを行う事であります。予算分科会で,市民自由クラブ所属の委員からも「セントラルプラザやメディアパークの閉店で中心市街地が地盤沈下している時、蘇我特定地区整備よりも,今ある地域への対策が急がれるのではないか」というような発言がありました。多くの市民が疑問に思っていることを真剣に受け止め、川鉄の利益よりも市民の利益を優先すべきであることを重ねて求めるものです。次に、行政改革についてでありますが、市長は「行革」で約30億円を反映したと報告していますが、その1/3は国民健康保険など公共料金値上げで市民負担を増やしたものです。また、保育士はじめ、増員が必要な職員を5年間に250人減らす計画となっています。その一方で、塩漬土地は簿価で439億9,400万円、利息58億7,600万円を抱える土地開発公社には手もつけない等、市長のやっている「行革」は、本当の無駄には手をつけず、市民サービスを低下させる自治体リストラであります。この時期に、採算不明な市民ゴルフ場建設に約37億円かけることも、おおいに疑問があります。私共は、大型開発はじめ無駄と浪費をなくして、市民本意の行政改革の実現を強く求めるものです。続いて、市長の政治姿勢についてであります。日本共産党市議団は、小泉改革について質問しましたが、市長の政治姿勢がはっきりしてきたと思います。その1は、小泉改革の評価について市長は「14年度の国家予算は改革断行予算」と銘打ち、重点分野への配分が図られ、経済再生への取り組みで効果が現れることを期待する」と述べました。 今まで、国民生活と経済を停滞させ、地方自治をないがしろにしてきた小泉改革に期待する立場は、市民の願いに沿わないものと言わざるを得ません。政治姿勢の、その2は、市町村合併についてであります。市長の答弁は、質問の趣旨をそらし、一般的な内容しかありませんでした。 しかし、12月議会で私に答弁したのは、「市町村の数を少なくしないと地方分権は進まない、合併は大きな流れだ」「そんな時、千葉市だけ自立するから周りのことは知らないと言うわけにはいかない」と言うものでした。この発言では、鶴岡市長は、政府の方針通り、上からの合併を押しつけるものであるわけですが、今回答弁のように、「自立的に治めるもの」とおっしゃるのでしたら、12月議会の発言の撤回を今議会で行うべきであります。その3は、平和行政については、市長の専管事項であります。また、「有事法制」は地方自治体を強制的に従わせる等、憲法と地方自治法に反する重大事態であるのに、市長は答弁に立ちませんでした。平和問題に熱心でない鶴岡市長の一面をうかがう思いです。その4は、上下水道検針業務に関する新都市サービスセンターとの関係で、市長選挙の際、新都市サービスセンターの代表から5万円の寄付金を市長が受け取った問題は、道義的責任をハッキリさせるよう重ねて申し上げておきます。
 次に、各局の問題点について指摘します。

企画調査局
 PFI事業についてはっきりしてきたことは、事業内容について民間委託で公共が関与できない事態が部分的に発生したり、PFI企業が責任を持つ期間が30年から15年に縮小されることなど、PFI企業が破綻した場合は、公共の側が全責任を負うことになる等であります。これでは第3セクターの二の舞であり安易に進めることはやめるべきであります。中央第六地区再開発について、当局は中心地域活性化の事業だと言います。しかし過去にツインビル建設の再開発、そごうデパート建設の新町・新田町再開発の時も、みんなこれで活性化すると当局は説明してきましたが、 結果は無惨なものです。中心市街地の活性化には新しい開発よりも既存の市街地の商店街をいかに盛り上げていくか、市民参画で取り組む態度など知恵と力を結集すべきではないでしょうか。

財政局
 ペイオフについて、公金、準公金は除外することを政府に求めるべきであります。また、官公需の中小企業への発注は75%以上の数値目標を持って地元経済活性化に全力をあげるべきであります。

保健福祉局
 前段でも申し上げましたので、ここでは高齢者福祉についてふれます。特別擁護老人ホームの入所希望者は1,253名にもなっており、早急な建設が望まれています。また、神戸市で検討している入所の際の基準作りも必要です。介護保険料の減免制度のお知らせをもっと分かりやすいものにして、個別に行うことを求めます。全国的にも実施自治体が増えている、利用料の減免が少しも検討されていないのは問題です。

環境建設局
 市内で、アレルギーや喘息患者が増え続け、環境汚染対策が焦眉の課題になっています。新年度予算では、ディーゼル車排ガス対策が、DPF装着は公用車3台、民間バスは5台に助成では、市内保有台数51万台からみても不十分です。公用車の低公害車導入は18台ですが、もっと増やすことをはじめ、抜本的な対策を講ずるべきです。 ごみ問題では、ごみ減量化計画の年度毎の数値を設けていない事や、ごみ有料化の検討を行うことは問題です。焼却灰をエコセメントに製造し無害化するとしていますが、本当に無害化できるのかと不安が出ています。

経済・農政
 商店街活性化の予算をもっとふやし、リーダー育成、行って見たい商店街を作るため、市は商店街の皆さんと共に考え、活性化の政策を進めるべきです。農業予算が1.7%も減額されたことは問題です。輸入農産物の影響で価格が低迷しており農業に未来が見えません。これでは後継者のなり手がなくなるのは当然です。予算をふやし環境保全型農業の推進、学校などの給食は地元の野菜や米を使う事の徹底、価格保障制度を充実させること、後継者対策の強化が必要です。BSE対策は、国会でも肉骨紛の輸入に対し、責任を認めているのですから、市は、抽出調査などと言わないで、全ての畜産関係者に対し実態調査を行い、その損害を国に求めるべきです。また市としてもお見舞金を支給すべきです。

市民局
 緊急地域雇用対策事業は約2億9,000万円の予算で、12業種374人の雇用ですが、千葉市内で約2万人の失業者からみれば、もっと大胆に事業を増やし、高齢者も中年・若年層も雇用の機会が増えるように全力をあげるべきです。男女共同参画行政は、DVへの対応、相談窓口の増設、シェルターの設置や自立支援をきちんと行える体制づくりが必要です。そして、まず市役所自体が女性の管理職への登用やジェンダーフリーに取り組み、市民の先頭にたつことが必要です。

下水道局
 検針業務に関する千葉新都市サービスセンターの脱税事件は許せないことであり、今後の業務委託を公共が責任を持てるシステムにすることを求めます。

道路
 蘇我町線は、平成16年度には完成するなど大型道路建設が優先的に行われています。一方、福祉型公共事業の予算は横ばいです。例えば点字ブロック敷設は新年度は4.1キロ行いますが、まだ23.9キロも残っています。予算を大幅に増やせばさらに事業が進み、高齢者や障害者などが安心して外出でき、地元の中小企業の活性化につながります。歩道の照明は、1機40万から50万円で出来るのですから、要望の高いところから設置する事を求めます。

消防局
 職員の平均年齢が44.2歳と高くなっていて第一線での活動には若い職員をもっと増やすことが急がれています。

教育
 新年度から新学習指導要領が完全実施され、週5日制になります。子どもも親からも不安の声がひろがっており、新年度予算と公民館やコミュニティセンターなどの政策では、十分な環境整備とは言えないとおもいます。関係者の声をもっと聞き必要な手立てを早急に取る事が求められています。またわかる授業、楽しい学校にするため、全国的に広がっている少人数学級を市独自で行う考えのないのは、大変残念です。さらに、免許外教科担任の解消についても政令市の多くが、市独自で対策を講じているのに、千葉市が実施しないのは問題です。
 以上、色々な角度から申し上げてまいりましたが、本当に「市民生活優先」と言うのならば、私どもの提出した「動議」を受け止めていただき、ムダと浪費の大型開発優先の市政を、市民本位に転換することを求め、討論を終わります。