小関としゆき議員の討論

2002年6月21日
 日本共産党の小関としゆきです。
 提案された議案15件中、議案第72号、74号、75号、76号、77号に反対するとともに、発議第11号が否決され、請願第1号〜3号が不採択となったので、討論を行います。
 議案第70号〜73号・斎場新築関係工事請負契約について申し上げます。
 斎場建設は、市民の期待の中ですすんでいます。適切な工事と市民・社会ニーズに沿った施設の建設が望まれています。
 議案第70号・斎場新築工事は、予定価格58億9,324万円に対して、落札価格44億2,000万円、落札率75%の低価格でありました。
 入札が競争によって、適正な価格で落札されることについては異論はありません。日本の公共事業は欧米に比べて20〜30%も高いと言われている中で、75%で落札しました。これほど一番札と二番札に差のある入札は、千葉では初めてのことでした。
 問題は、この価格で適正な工事が実施されるかどうかが問われています。日本共産党市議団の本会議での質疑や委員会での発言。また、委員会審査でも各議員から「手抜き工事があってはならない」「下請け業者へのしわ寄せがあってはならない」等の発言が相次ぎ、当局も「万全のチェック体制を取り、契約通り適切な工事遂行」を約束しました。このことは、一般的に公共工事は、受注業者の利益を含めて75%でも仕様書どおりの工事が可能だということを示したものです。
 議案第72号・斎場新築空調設備工事は、事前に談合情報があり、日本共産党の通報によって契約課は、入札日を延期、調査の上、もし「談合が明らかになった時は契約を取り消す」という誓約書を交わしたとのことです。しかし、結果は談合情報通りの業者が落札し、情報は正確だったことが裏付けられました。今後、談合情報後の入札については、市として責任ある誓約書を交わすこと。談合情報どおりの入札結果になったら、改めて入札をやり直すこと。また、他の自治体で指名停止になっている業者については、本市でも排除すべきです。
 次に、議案第74号、75号・新港横戸町線第3工区、第5工区ボックス築造工事請負契約についてです。
 議案第74号の請負工事契約ですが、公募型指名競争入札で、戸田、総電建建設企業が6億7,700万円、落札率96.8%で落札しました。また、議案75号も同様の請負契約ですが、東急、大成建設が19億3,000万円で落札しました。この新港横戸町線道路建設にあたっては、わずか4分の短縮のために700億円もの事業費をかけて実施するものです。地域住民からは「この道路ができることで地域が分断される」「大気汚染が心配」「生活道路の設置はどうなるのか」「緑地帯を作るにあたっての計画はどうなっているのか」「工事車両の出入りは」など、多くの不安が出されているもとで、地域住民に十分な説明がされないまま工事がすすめられています。この道路建設は当初、地域住民の要望や意見を出し合い、協働ですすめることを基本に、「道づくり協議会」「地区別検討会」「緑化検討会」等で協議してきましたが、誰でも自由に参加できるようにはなっておらず、住民が要望する「道づくり」とは程遠いものになっています。事業計画の見直しを求めます。
 次に、議案第76号・中央卸売市場水産棟変電所改修工事請負契約についてです。
 この工事そのものには反対するものではありません。今後も、青果棟やバナナ棟などの変電所改修工事が予定されています。しかし、今回の入札については、談合情報が寄せられていました。契約課は、入札参加企業に対し調査を実施したが、「その事実が確認できなかった」として翌日入札が行われました。そして、談合情報どおりのJV企業が落札しました。これでは、あまりにも安易な対応ではあり、認められません。
 他に、今議会で提案された工事請負契約8件中4件に談合情報が寄せられ、うち3件が情報通りの業者が落札しています。この事は、重大な問題であります。今、市民のみなさんは、国会での鈴木宗男議員の逮捕や鎌ヶ谷市長の逮捕などから、公共事業のあり方に高い関心を示しています。千葉市の公共事業が公正に入札され、適切な工事が執行されるように、当局のより真剣な取組みを求めるものであります。
 次に、議案第77号・都市計画道路蘇我町線JR内房線・京葉臨海部鉄道交差部工事についてです。この都市計画道路蘇我町線は、「蘇我臨海開発」つまり川鉄のための道路である事を、くり返し指摘してきたところです。この道路工事にあたって、道路近隣住民への地盤沈下、騒音、振動、大気汚染など環境への影響が深刻です。また、「蘇我特定地区」開発との関連で、地元からは「蘇我町線への道路アクセスには問題がある」とされています。再度、見直しを求めます。
 発議11号・千葉市後見的支援を要する障害者支援条例の制定について申し上げます。
 近年、障害者に対する人権侵害が蔓延している現状や、措置制度から利用契約制度に移行される中で、福祉サービスの整備が急がれています。1999年12月、法律改正による成年後見制度が法制化し、判断能力の不十分な成年者(痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者等)を保護する制度がスタートしました。
 しかし、この制度の対象となる市民が、制度を知り、理解し、利用するまでにはさまざまな困難な問題があります。今回の条例提案は、せっかくできた制度を関係者が利用しやすいよう支援するため、千葉市の責務を定めるとともに、市民の責務も明らかにして、後見的支援を要する障害者が安心して生活し、養護にあたる親等の安心を実現することを目的としたものです。発議を審査した「保健下水常任委員会」で、委員からの質問に対して保健福祉局からの答弁は、「後見的支援を要する障害者への支援は、現行の各種施策で対応している」と述べて、条例の必要性を認めませんでした。しかし、法的手続きを必要とする「成年後見制度」への施策には、まったく手がつけられていません。
 各委員から私どもへの質問は、「なぜ、条例が必要なのか」「支援策が具体的でない」「現行施策と大差ない」などがありました。これに対して私どもは、法律はできたが、実際利用する時の困難な問題。それを支援するための市の責務、各区役所に相談窓口をつくり、1か所で相談すればすべて分かるようにすること。裁判所への審判請求の費用が高額なので、補助が必要なこと。制度の関係者に広くPRして知らせること。等々説明しました。また、成年後見制度は新たな法律行為を伴うものであり、現行制度の中では対応できないので、「日弁連」の提案にもとづいて、条例を制定することにより、厳しい環境のもとで必死に頑張っている障害者や親達の期待に応えるべきです。しかし結果は、賛成を頂いた市民ネットワーク以外の会派が、「現行制度で対応できている」「時期尚早」などの理由で反対したことは、遺憾であります。
 日本共産党市議団は、市民の実態を把握し、法律が整備されてもそれを具体化するためには、市の必要な努力が求められている時、議会がその権能を生かして条例を提案していくことが、市民から負託された責任であると自覚し、障害者や痴呆性高齢者等の権利を守るため、全力をつくすものであります。
 つぎに、請願1号・第13花園ビル建設計画に関する請願です。
 これは、準工業地域のマンション建設で、北側斜線や日照が考慮されていないため、現状では、住民の環境悪化のおそれがあったわけです。住民サイドに立った街づくり計画と指導を、市に要望していたにもかかわらず、実際には行政指導による効果は得られていません。
 住民の立場に立った委員の発言もありましたが、街づくりについて、昨今のマンション建設ラッシュでの紛争の経過を踏まえ、さらに行政のリーダーシップが求められています。請願が不採択となったのは大変残念な結果であります。
 つぎに、請願2号障害者の福祉の充実をもとめる請願についてです。
 この請願は、障害者やその家族が人間らしく豊かに暮らしていくために、障害者の施設整備や医療費助成の充実などをもとめる内容でした。委員会では、身体障害者の施設入所待機者は61名、知的障害者の入所待機者は64名とされています。今年度解消する目途がないほか、「介護保険においては障害者が、保険料の減免制度を利用しているかどうか把握していない」との答弁がありました。今、福祉の充実が求められています。なのに、現状の打開策がとられないまま、請願が不採択されたのは遺憾であります。
 つぎに、請願3号・乳幼児医療費無料化の年齢引き上げについての請願です。
 年齢を3歳から4歳に引き上げを求めるものでした。合計特殊出生率がさらに減少しており、少子化対策は重要な政策の柱です。ある委員から「1人のこどもも育てられないのは親の責任」と、親の現状と実態を見ないような発言や「所得制限を3歳未満までしている自治体は少ない」から「時期尚早」との理由で不採択にされたことは、大変残念です。