やなぎだ清議員の討論

 
やなぎだ清議員
2002年10月4日
 

日本共産党千葉市議団を代表して、決算議案20件中5件に不認定の立場から、以下その理由について申し上げます。
 H13年度決算は、財政危機の中で、市民生活優先の決算だったかどうかが問われるものでした。まず、決算収支を見ますと、実質収支額は一般会計で20億9,570万円ですが、普通会計で見ると7億4,739万円で、前年度比46.9%に落ち込んでいます。実質収支比率は、0.4%で、6年前の2.1%に比べ5分の1となっています。財政力指数もH12年度の1.02を最後に0.98、0.95と下降し、H13年度は0.94にまで下がりました。財政調整基金は、H6年度178億円だったのが18億円と10分の1になっています。
一方、借金は、地方債残高がH6年度の339億円から574億円と1.7倍に増加し、債務負担も含め全会計の残高は、利子も加えると1兆1437億円にもなっています。
 この結果、公債費負担比率は危険ラインすれすれの19.8%、起債制限比率は警戒ラインの15%を超す16.2%となっています。
以上の数値は、千葉市が極めて深刻な財政危機に直面していることを示しています。しかし、市長はじめ当局の答弁には、説明や言い訳はありますが、財政危機を正面から受け止めた緊張感のある発言がないのは遺憾であります。
歳出では、民生費普通会計決算額は644億円余、市民1人あたり73,206円で、12政令市中12位でありました。学校教育関係費は216億円余、1人あたり24,541円で11位。商工費は200億円余、1人あたり23,460円で8位となっています。
 1人あたりの税負担は18万7,000円で政令市中第5位とのことでした。この結果は、市民の税負担は全国5番目に重にもかかわらず、福祉・教育・経済への支出は、最下位もしくは最下位クラスの決算であることが明らかになりました。
大型プロジェクト関係決算は相変わらず多額となっています。いま、国も地方もムダな大型公共事業を抑制し、福祉型に切り換えることが求められていますが、千葉市の決算では、千葉駅西口再開発、中央港地区区画整理、新港横戸町線、蘇我町線、幕張メッセ赤字負担、蘇我臨海部整備計画など170億円余の決算学となっています。土地開発公社が所有する土地は、簿価総額393億円なのに路線価総額はわずか132億円です。このうち、中央第6地区扇屋ジャスコ跡地は、取得価格135億円余に対し、利子が年間6億2,000万円づつ加算され、元利合計184億円を超えています。
 千葉駅西口再開発では、西口ビルの買収に時価3億8,800万円のところを4年前の価格11億8,148万円で購入し、差し引き8億円余の持ち出しとなりました。また、新港横戸町線の用地買収に係る代替地として、土地開発公社所有の稲毛区弥生町地先の元計量検査所用地が売却されました。取得価格3億9,400万円で、簿価は4億6,300万円の土地を約9,000万円で売却、差し引き3億7,000万円の損失が起こりました。
 以上、千葉市の大型プロジェクト優先の決算は、莫大な費用を投じていながら、見通しのない開発が多く、ムダな費用負担がつづいています。そのことが、千葉市の財政危機を一層深刻なものにし、福祉・教育・地域経済など市民生活に直結する事業が、全国最低クラスに追いやられている原因となっています。日本共産党市議団は、大型プロジェクト優先から市民生活優先に切り替えることを改めて求めるものです。

 つづいて、各所管について指摘します。

企画調整局
 合併を議論するための調査資料が作られました。それによると、千葉市にとっては「合併のメリットがほとんどない」と言うことが判明しています。四街道市の合併推進派が出しているチラシの内容は、メリットのみが過大に誇張され、「合併すれば大型開発が行われて素晴らしい街ができる」と書かれているのは問題です。政府が押し付ける市町村合併の目的は、現在の自治体数を1,000程度に減らし、地方交付税は4兆円から5兆円削減することであり、大型開発を効率的に進める体制づくりにあります。合併した場合、「市民の負担は低い方に、行政サービスは高い方に合わせると」言っていますが、これまで合併した市町村では、住民サービスの低下を招いています。このように、地方自治体の根幹を崩しかねない合併の押し付けには、毅然とした態度をとるべきです。

市民局
 「住基ネット」は、個人情報が保護される保障はなく、市民のメリットもありません。「住基ネット」の中止を国に求め、情報漏洩が判明した際には、ただちに切断することが必要です。
PFIの手法で建設された消費生活センターについては、市の公的責任を放棄するものであり、地元中小企業の参加も難しく、PFI事業の情報開示も不充分です。今後、安易なPFIの導入は行わないよう指摘しておきます。平和啓発予算は、年々減少しているのは問題であり、原爆写真パネルの更新などを行うべきです。地震防災システムの構築については、いま整備中のようですが、早期に完成されるよう望みます。

保健福祉局
 介護保険については、認定を受けてもサービスを利用しなかった人が24%おり、利用されている方でも利用料が高いため、受けられるサービスの43.6%しか受けていない実態があります。825自治体で行っているように、利用料の減免を実施することが求められています。また、特養ホームの入所希望者が約1,500名になっている中、計画を前倒して整備すべきです。子育て支援では、保育所の待機児童解消のためには、必要な地域に保育所を新設することが求められています。ファミリーアンケートでは、高齢者福祉・保健予防の充実などが常にトップの要望となっています。国の社会保障切り捨ての中で、自治体独自に市民福祉の向上を図るため、民生費の大幅な増額をはかるべきです。

環境局
 「資源循環型社会をめざす」として進められている千葉市の一般廃棄物処理では、家庭ごみと事業所ごみの収集で、資源化率をアップさせるために、市民や事業所に協力を求めるとともに、市のシステムの拡充を急ぐ必要があります。また、企業の廃棄物については、なんでも焼却できるとされている川鉄の「ガス化溶融炉」は、脱焼却の世界的な流れに逆行するものです。さらに、安全性をチェックする体制を持たないまま、認めていることは大きな問題です。
自動車排気ガス対策については、国の動向を見守るだけでなく、市独自の積極的な対策を講ずることが必要です。

経済農政局
 市は、幕張メッセは幕張新都心の先導的役割を果たし、計り知れない影響を与えていると高く評価していますが、幕張メッセは毎年赤字が続き、市の負担金は、今年度も6億8,000万円支出され、これまでの累計で63億6,000万円にものぼるもので、今後2028年までに合計164億4,000万円も市が負担することになっています。
 幕張新都心に進出した、カルフールやコストコ、アウトレットモールなど外国資本の大型店の出店は、市内の先行店舗に影響を与え、中心商店街をはじめ、市内中小商店街に大きな打撃を与えていることは、市民本位の街づくりの観点から見ても問題であります。
 中小企業資金融資貸付制度は、これまでの中小企業相談センターから産業振興財団に移行されましたが、長引く不況のもとで、本来借入れしたい中小企業が、融資を受けられず、資金繰りに困ってことの実態を認識し、東京都江戸川区が進めている、信用保証協会の保障が得られない企業に区が保障する特別措置などに学んで、それらに役立つ融資制度をつくるべきであります。農政については、米をはじめ野菜の輸入が増大する中、市内の農業に与える影響も少なくありません。農家の経営を守る立場から野菜の価格補償の充実や農業後継者の育成などに力を入れなければ、ますます厳しくなることは明らかであり、千葉市農業を守り、中央卸売市場への野菜などの出荷をさらに増やすことが求められています。

都市局
 特定優良賃貸住宅の空家は233戸になり、これまで約10億円の家賃を補償してきました。障害者・母子家庭など住宅に困る市民に、入居させるなど改善が必要です。市営住宅に、重度障害者に入居がないのは問題です。精神・知的障害者の入居も認めていくべきです。

建設局
 蘇我臨海部開発にあわせたように進めている蘇我町線は、H15年には供用したいと急ピッチで進められ、昨年度だけで33億4,600万円が投入されました。また、総額700億円投入する新港横戸町線は、周辺住民への情報提供が徹底されないまま進められていることは問題です。こうした中、市内の生活道路は、歩道の段差解消が2,298か所残されていることや点字ブロックの改善計画を持っていないこと。歩道の照明設置基準が未整備のままなど、市民の暮らしに直結する道路の予算が低く抑えられていることは、問題です。これらは、地元の中小業者への仕事確保にもつながるものであり、計画の前倒しで進めることが必要です。

下水道局
 新都市サービスセンターの脱税について、一般新聞の報道で市は初めて事実を知ったと言うのは問題です。すでに、県議会では問題になっていました。市民の利益を守るうえでも市の道義的責任は厳しく問われます。結果として、市民の公金が一部政治家に渡っていたわけですから、事実経過を市として公表すべきです。公共料金の徴収で、今後このようなことは絶対あってはなりません。

消防局
 基準消防力は、はしご車については100%充足されましたが、職員は不足し、署所も1か所不足です。耐震貯水槽の各区のバラツキをなくすこと、救急車に救急救命士の配置が望まれます。天然痘をはじめ、テロ対策についての認識の低さは問題です。防災時の弱者対策では、緊急通報システムを利用している人のみでなく、高齢者・障害者世帯も対象にすることが必要です。

教育委員会
 昨年度、「わかる授業、楽しい教室」を掲げ、1年生では少人数学習指導が実施されました。「生活指導も含めた学力向上の効果があった」と、当局は答弁されているわけですから、2年生以上についても実施すべきです。快適なトイレ、学校の耐震工事、エアコン設置など施設の改善が早急に求められています。また、免許外教員の解消のためには、市独自で常勤講師を採用することが必要です。21世紀をになう子どもたちのために、政令市の中で11位の学校教育費を大幅に増額するよう求めるものです。

選挙管理委員会
 市議選の投票用紙に点字を導入することにしたのは一歩前進です。さらに、障害者・高齢者が安心して選挙権を行使できるように、各種選挙では、点字版・大活字版・テープ版の公報を作成することや投票所のバリアフリー化を進めることが必要です。