小関としゆき議員の討論

 
2002年12月13日
提案された13議案中、5議案に反対すると共に、発議第33号、34号、35号が否決され、請願第4号が不採択となったので討論を行います。

議案第136号一般会計補正予算、都市計画費、蘇我特定地区整備事業費について

 この事業は、川鉄工場跡地、区画整理内の工場建物の解体・撤去費用26億円余のうち、都市再生法や区画整理法で公共が20億円余を負担するものです。また、新5か年計画に入っていなかった球技場が、急きょ浮上した事業でもあります。この球技場建設費80億円、土地代・スポーツゾーン全体230億円、合計310億円。その他、土地造成費は不明、蘇我駅からの道路やライフライン経費20億円など含めると、H17年オープンまでに約400億円にもなると思われます。日本共産党市議団は、市政に対するアンケート調査を行いました。蘇我特定地区整備事業については、賛成10.1%、反対51.1%、わからない38.8%で、多数が反対であると寄せられています。また、球技場建設についても、市の財政状況を考えるなら、「いま必要ない」の声もたくさん寄せられています。市長は、球技場建設を急ぐ理由について、「正直にいいますと、これはひとつは人助けです。ジェフ市原が今の状態では千葉県から出て行く話まで出てきた」「市原市長が年が明けて、千葉市に協力して欲しいと言ってきたことからスタートしたのは事実」と答えています。千葉市は、人助けできるほどの財政状況でしょうか。Jリーグのホームタウンでの年間試合数は、わずか15試合しかなく、他の球技に利用しても採算の見通しはありません。他市のサッカー場が、多額の赤字を生みだす施設になっていることから見ても、この事業は、まったく安易な計画だといわなければなりません。
 また、商業ゾーンに「イトーヨーカ堂」「島忠」等を誘致すると発表されています。そのもとで、蘇我駅周辺や中心街の地盤沈下に拍車をかけると指摘しましたが、「相乗効果で発展」すると無責任な答弁です。蘇我特定地区の計画では、蘇我駅周辺の整備はH18年以後に着手し、H28年ごろとの答弁でした。誰のための開発でしょうか。今、市民が望んでいるのは310億円もかけてサッカー場建設を急ぐのでなく、乳幼児医療費助成の自己負担の中止、敬老祝い金の継続、国民健康保険料引き下げ、30人学級の実現、地域経済活性化など、くらし・福祉を優先することです。したがって、球技場実施設計、蘇我特定地区整備事業には反対するものです。

議案第136号補正予算及び議案140号乳幼児医療費助成について

私ども日本共産党とお母さんたちとの長い年月の運動で、乳幼児医療費助成現物給付が来年4月1日より実施されることになりました。提案されている条例改正は、現在3歳以上児にたいする入院7日以上、無料化の制度に適用している所得制限を撤廃することは前進で、本議案は了とします。しかし、1診療あたり住民税所得割課税世帯に200円の自己負担を新設しました。1日に、2つの科を受診すると400円になります。せっかくの現物給付ですから、浦安市のように自己負担なしにすべきです。

議案139号H14年度千葉市市街地再開発事業特別会計予算について

 今回、特別補正予算は1億8,970万円です。西口再開発事業は、バブル経済に乗って実施されてきた再開発事業で、千葉市の財政に多大な負担となっています。事業手法も第2種再開発事業のため、多額の支出が続いています。日本共産党市議団は、この西口再開発事業について、A1棟と駅前広場に留めることを基本に、思いきった見直しを提案してきました。改めてその実施を求めるものです。

議案第142号千葉市建築関係手数料条例の一部改正について

 市当局は、この改正によって今後も変わらないとしていますが、都市再生特別地区における許可申請手数料を新設するもので、都市再生法により、緊急整備地域の指定を受けた地域(千葉市では千葉駅周辺、千葉みなと駅西口、蘇我臨海地域)の施行者が許可申請し、都市計画決定されると、都市再生特別地区になります。その結果、建ぺい率、容積率、金融支援など、さまざまな規制が緩和され、大企業の開発を進めやすくし、また事業者と住民の紛争が今まで以上に広がり、「都市再生で歪んだまちづくりの推進」になります。したがって反対するものです。

議案143号千葉市四街道市合併協議会の設置協議について

 市長は議案説明で、四街道市で行われた直接請求署名が有権者の22%、15,000名近くに達したことを評価しているようですが、「千葉市民の声はどうするのか」の質問に、「重要な問題なので千葉市民の声を聞くのは合併協議会で十分審議し、両市の将来のあるべき姿を明らかにして是非を問う」と主張しました。合併問題は、あくまでも住民の声を聞き、圧倒的多数の意思を尊重して決めるべきです。それを、合併協議会をつくり、40人位の委員で結論を出してから市民の是非を問うのでは、情報公開、住民参画、説明責任に反します。
「平成の大合併」は、「H15年までに合併すれば財政特例」の「アメとムチ」で地方自治体のリストラを進め、中長期的には国の地方への財政を大幅に削減をしつつ、一方大型開発をより効率的に進められる体制づくりをねらっていることと、安上がりで国や財界などに都合のよい自治体づくりです。先日行われた全国町村長会決議でも、「地方自治体つぶし」だと批判しています。また、千葉市・四街道市の合併は、「千葉市の第4の都心開発」を目的としているのは明らかです。今でさえ、大型開発による借金が1兆円を超え、財政危機だと「敬老祝い金の廃止」を打ち出そうとしているのに、さらに、福祉後退につながるおそれの合併は認められません。このような合併は、政府の押し付けを受け入れて推進するので、地方分権に反しており、反対するものです。

議案148号特定事業契約について(千葉市少年自然の家PFI特定事業)

 PFI導入により、1つは、17%のコストダウン、2つは民間の能力を活用して、より高い水準の教育サービスができると当局は説明しました。その具体的な説明として、5項目記されていますが、いずれもPFI方式でなくとも実現可能なものです。「自然の家」を利用する小、中学生や関係者の意見や要望は10年前に聞いたが、最近の声は聞いていないこと、民営の施設であり今後の運営は、すべてSPCに任され、市民参画が保証されません。入札に参加したのは8グループで、そのうち伊藤忠グループが117億円で落札しました。他のグループ名を公開しないのは、きわめて閉鎖的です。千葉市の他の入札はすべて公開にしているのに、多額の市民の税金が投入される事業なのに、公開を拒否するのは議会と市民を軽視するものであります。SPCは民間だから行政のように市民への情報公開の義務はありません。公共事業は、地元経済活性化につながることが前提ですが、PFIはその保証がありません。
消費者センターの際も、多くは大手企業の千葉支社であり、本当の地元業者は数社しかなく、請負額も非公開のため不明です。「少年自然の家」の場合も工事量や請負額はまったく示されていません。これまでの、生活体験や自然体験学習は、多少の不便があっても立派な成果をあげています。しかし、今回のPFIによる「少年自然の家」に事業は、これら教育カリキュラム自体も民間に「丸投げ」するもので、子どもたちの学習・教育の立場から見ても、教育委員会の本来の責任が問われるものです。基盤整備46億円、利子20億円、消費税含めて約200億円もの多額の費用で、いま、なぜ「少年自然の家」なのか、急ぐ理由はありません。

発議第33号「千葉市市民参画条例」について

否決されたことは残念です。情報公開・住民参画・説明責任は、21世紀の、地方自治体のあり方の基本だと思います。「策定委員会」や市民自らが策定すべきとの反対意見がありました。先日の選挙で、無党派で当選した熊本市長は、情報公開と市民参加を基本姿勢として、住民投票条例に取り組むことを表明しています。この条例は、誰がつくるかではなく、市民の意思がどう生かされるのかが問われるのではないでしょうか。市民が日常的に市政にコメントをして、より公平、透明な市政のために必要な条例です。様々な議論を通じて、住民自治のあり方を問うものであります。今後もあらゆる形で住民参画を前進させて頂きたいと思います。

発議第34号「千葉市個人情報保護条例の一部を改正する条例」について

市民ネットワークから、必要な条例と賛同をいただきました。個人情報保護が検討中であり、制定されれば個人情報が保護されるので反対との意見がありました。それは、国の法制化の公約違反を認め、市民の個人情報が保証されていないことを認めるものであり、矛盾した話しです。また、「住基ネット」の情報は、漏れていないとの声もありましたが、以前にも盗聴や不正アクセス等が、自衛隊・警察など国の機関や地方自治体で情報の流失が相次いでいます。
「住基ネットだから安全だ」との保障はありません。ですから、市民のプライバシーを保護する上で、不正使用の恐れの段階でも規制が必要とされているのです。地方自治権にもとづき、個人情報の保護を改めて訴えるものです。

発議第35号老人の医療費の助成に関する条例の一部改正について

この条例案は、千葉市独自に数10年間続けてきた、68歳・69歳への医療費助成を、非課税世帯だけではなく、課税世帯にも適用するよう求めるものです。医療費の影響を受けている厳しい実態からすると、否決されたのは大変遺憾です。

請願第4号乳幼児医療費無料化の年齢引上げについての請願について

不採択にされたことは大変残念です。以上申し上げて、討論を終わります。