小関としゆき議員の討論 


2003年6月20日
日本共産党の小関寿幸です。
 提案されました議案21件中、議案72号、77号、87号、89号、90号に反対するとともに、発議5号、6号、7号が否決され、請願3号の1、3号の2、4号が不採択となったので討論を行います。

議案第72号一般会計補正予算、総務費住民基本台帳関係費、議案第77号千葉市証明手数料条例の一部改正について
 住民基本台帳ネットワークシステムが8月25日より、第2次稼動することに備えて、住基カードの発行予算3,177万3,000円と、同カード交付及び再交付1枚500円については、住民のプライバシー権、国民の基本的人権が侵害されるおそれがあるために反対をするものです。
 住基ネットワークシステム第一次稼動の際、私どもは個人情報を保護する保障がないので、接続しないように求めてきました。その後、国会で個人情報保護法が可決されましたが、様々な問題や欠陥だらけの法律であることが明らかになりました。まず、法案審議の中で、防衛庁が住民基本台帳法の趣旨を踏みにじり、全国557自治体から自衛官適齢者名簿を提供させていたことや、警察から大手サラ金業者に犯歴データーが流失し、その見帰りに警察へビール券などが届けられていた疑惑など、重大なプライバシー権の侵害が判明しました。これらの個人情報保護の根本にかかわる問題の解明を行わないままに法案が可決されたことは極めて遺憾なことです。
 個人情報保護法自体の欠陥としては、?個人情報を事業者が扱う場合、判断する第三者機関がなく、言論・表現の自由を脅かすおそれがあること、?思想、信条、名誉、信用、秘密に直接かかわるセンシティブ情報収集の原則禁止規定が欠落しているため、千葉市民のセンシティブ情報が収集、漏洩する不安があること、?自己コントロール権が明記されていないことへの市民の不安があること、等です。私どもは、これらの問題点を指摘して、市当局の見解を求めましたが、「安全」だとして、納得できる答弁はなく、プライバシー権侵害のおそれが深まっただけであります。 第2次稼動に当たり、住基カードの交付予定は23,000枚で市民全体から見れば、わずかな数ですし、カードを使いこなせる人も決して多くはありません。そのために、多額の費用を使うことも問題です。また、第2次稼動により住民票の写しの広域交付を受ける市民が何人いるでしょうか。転入転出の特例処理でメリットを受ける人が何人いるでしょうか。通常の市民生活で頻繁に転入転出を繰り返す人は、考えられません。市民サービスを向上させるためなら、6か所ある区役所を土日の休みに輪番制で開いて、市民課に関するセクションを休日サービスする方がよほど喜ばれます。さらに、今後次々と実施されていくセキュリティー対策にも多額な費用がかかります。
 以上申し上げましたように、住基ネット第2次カードについては、個人情報漏洩のおそれ、住民のプライバシー権侵害のおそれがあり、実施は見合わせるべきであります。この際、市民の自由と人権を守るため、千葉市は住基ネットへ接続を中止するか、せめて市民選択制にするよう求めます。

議案87号、89号
 次に議案87号工事請負契約(新港横戸町線橋梁工事)について、及び議案89号工事委託契約(新港横戸町線京成電鉄交差部工事)についてです。87号の事業は、公募型指名競争入札で、横河ブリッジ、川鉄橋梁鉄構共同体が9億6,442万5,000円、落札率94.48%で落札しました。また、89号は委託金額11億5,500万円で京成電鉄株式会社と契約を締結するものです。この新港横戸町線道路建設にあたっては、地域住民から大気汚染、振動、地域の分断、生活道路はどうなるかなど、不安と疑問が寄せられています。ところが、工事にあたっての迂回路の交通渋滞での排ガスなど、多くの不安に十分な説明がないままどんどん工事が進められています。道づくり協議会や緑化検討会があり協議していますが、誰でも自由に参加できません。住民と協働で進める道づくりにはなっていません。事業計画の見直しを求めます。

議案第90号
 千葉市総合スポーツ公園市民球技場新築工事、工事委託契約についてです。全体事業費が81億円、その内訳は国費9億円、市債48億700万円、一般財源が23億円3,000万とのことです。工事は都市基盤整備公団に委託するというもので、その理由に周辺整備を公団が行い、一連の工事を1か所が管理すれば、円滑で迅速に進められるとのことです。しかし、公団に委託されれば、地元の中小業者の参入が困難になることや工事内容等の情報公開が不透明になることが危惧されます。また、公団は、現在進めている中央港地区区画整理事業も合わせると、847億円にもなり、公団が千葉市の大型公共事業を一手に引き受けることになります。都市基盤整備公団は、2004年7月より「都市再生機構」へと変更されます。その中身は、これまでの良質の低家賃の公共賃貸住宅を供給する役割から、民間による賃貸住宅供給の「支援」、大企業の工場跡地や遊休地などを利用した民間都市開発の「誘導」が業務の中心になると言われています。いわばゼネコンや開発業者の利益のための業務を行う訳ですから、千葉市の大型公共事業を委託していくことは、問題があります。サッカー場そのものについては、年間維持管理費や収容人数、年間利用日数が、何ら明らかにされておりません。ワールドカップ時に建設された全国のサッカー場が大赤字に苦しんでいる時、見通しも示せないままの建設強行は無責任であります。また、建設の場所から工場まで22mの近距離で、コークス炉はH30年まで稼動するとのことです。大気汚染の測定を市独自で行うべきですが、これもJFEスチールまかせにしています。市の税金を投入しているのに、企業に遠慮していては、市民の利益を守ることはできません。新5か年計画に位置付けられていなかったサッカー場を急ぐ理由に、「一刻も早く市民の利用が求められる」または「災害時の対応に備える」と言っていますが、そもそも防災計画にもなかったもので不自然です。液状化対策を行うとされていますが、そもそもこうした対策が必要な場所を広域避難場所と指定するのは本末転倒です。全体事業費については、サッカー場本体は81億円で、H17年供用開始までの投資額は総合スポーツ公園含む土地代230億円、蘇我駅からの進入路整備費など合わせて335億円にもなります。財政危機で市民生活をおさえこむ一方、川鉄救済の大型開発に巨額な投資をすることは中止すべきです。また、委員会の中で賛

発議第5号
 乳幼児の医療費助成に関する条例の一部を改正する条例についてです。乳幼児医療費窓口無料化は今年4月から実施されていますが、手数料として通院1回および入院1日につき、200円の保護者負担になってしまいました。今までの償還払いでは、事務手続き上は煩雑でしたが負担はありませんでした。1回200円の負担は月に5回、通院すれば1,000円の支払いとなり、実質負担増となりました。政令市の多くが全額助成しているわけですから、200円の負担をなくし窓口での手続きを簡素化すれば、市民の経済負担や時間の無駄もなくなり、市民生活向上に役立つとともに、少子化が進むもとで、子育て支援策としても効果があると考えます。他の会派の委員からも、必要性は理解できるなどの意見もありました。他の先進都市にならって窓口での負担をなくし、早急に全額助成するよう求めるものであります。

発議第6号
 母子等の家庭の医療費助成に関する条例の一部を改正する条例についてです。この制度は、昭和55年に千葉市でも開始され、母子家庭5,030世帯、父子家庭36世帯などの関係者から大変喜ばれている制度です。現物給付は、制度発足以来、利用者の強い願いです。常任委員会でも、「現物給付が望ましい」「現物給付を考えるべき」との意見が出されました。母子家庭など困難な事情のある世帯にこそ、現物給付を実施すべきです。

発議7号
 心身障害者の医療助成に関する条例の一部を改正する条例について、私どもは制度発足以来現物給付を求めてきました。また、障害者団体からも一亥も早い実施を強く願っています。心身障害者の医療費負担は診療が特殊な場合には、費用が大きくなります。1回の負担が1万円にも、2万円にもなり、現金を持たないと医療にかかれないことになります。この制度も、政令市では千葉市と仙台市だけが償還払いで、他はすべて現物給付です。これまで国保連合会の「全県一斉での事業に」とのことから障害者の要望は見送られてきました。現物給付を1日も早く実施して安心して医療を受けられるようにすべきです。日本共産党市議団は、子育て最中の家庭のみなさんや母子家庭のみなさん、心身障害者の保護者のみなさんなどの強い願いの実現を求めて、3件の条例提案をしました。しかし、賛成した会派は市民ネットワークだけで、自由民主党、新政五月会、公明党、21世紀クラブの反対で否決されたことは極めて遺憾であります。

請願第3号の1
 請願第3号の1は、障害者の切実な願いの実現を求める請願で、障害者団体から17,436名の署名が添付されて請願されたもので、支援費制度の基盤整備を充実させるために、障害者の施設の増設や小規模施設作業所等の助成の拡大、また、障害者医療費助成の現物給付、JR運賃割引の充実を国に働きかけることを求めたものです。保険下水委員会の審議で「市当局は一生懸命やっているから」と多くの障害者の切実な願いを認めずに、不採択にしたことは遺憾であります。

請願3号の2
次に、請願3号の2は、障害者の切実な願いである教員配置に関する請願です。この請願の願意は、障害児教育において正規職員についての配置を求めるものでした。千葉市においては、市立養護学校の中学部、高等部の3名が常勤の講師ということで、任期が1年になっています。教員の正規採用ではないわけです。請願者の願意を受けとめて、採択送付にすべきですが、「指導の継続性が保たれているから問題ない」などと発言し、不採択となったことは大変残念です。

請願第4号
 次に請願第4号は、乳幼児医療費無料制度の拡充と制度の見直しを求めるものですが、請願の願意を認めながら、時期尚早などとしたことは、誠に残念であります。