野本信正議員の議案質疑(要旨)


2003年6月11日
日本共産党市議団の野本です。議案質疑を行います。

第72号一般会計補正予算
 最初に、緊急地域雇用創出特別基金事業についてです。
第1に、緊急地域雇用創出特別基金事業開始がH11年から3年間続いて、H14年から16年までとなっています。今回H15年度分の事業が提案されたが当初からの年間ごとの事業費総額と実雇用人数についてうかがいます。
第2に、H15年度の事業に当たり過去の経験を踏まえてどんなことに留意したのか。市民の声や失業者のニーズ掴んだか。新しい事業はなにか、お答えください。
第3に、総務費県補助金の中に公共施設落書き防止事業が、中小企業特別委託事業として提案されているが、委託先についてどんな方法で選んでいくのか。
第4に、提案された13事業1億8708万円実雇用195人の中に、女性や障害者を対象とした事業数と実雇用人数についてうかがいます。

議案第72号一般会計補正予算・総務費住民基本台帳関係経費
 住民基本台帳ネットワークシステムがH15年8月25日から第2次稼働して、広域処理が始まる。このことにより、1つに住民票写しの広域交付すること。2つにカードの交付を受けた場合、転入転出特例処理活用など住民サービスが向上する。と説明されている。その一方で、個人情報の漏洩がより一段と懸念されています。セキュリティー対策が不十分だとされています。
 1番目は、住基ネットの第2次稼働にあたり個人情報保護について、千葉市として独自に新たな対策を取ったのか。千葉市個人情報保護条例や規則の改正は考えなかったのか。また「ネット管理者」は何人いるのか。うかがいます。
 2番目に、全国では4自治体が住民基本台帳ネットワークシステムから離脱している。先に開かれた長野県本人確認情報保護審議会は、田中知事に対して「住基ネットから離脱を決断すべきだ」とする第一次報告をまとめた。その理由は、
 1つは、住基ネットとインターネットが利用できる庁内LANとが、物理的接続されていた管理体制のズサンな自治体が多数あった。また、「インターネット経由で情報が流出する恐れがある」と指摘している。
 2つに、安全管理や8月に発行が予定されている「住基カード」の発行に莫大な費用がかかるとされている。
 第1に、千葉市は「インターネット経由で情報が流出する恐れがある」ようなことはないか。
 第2に、安全管理や8月に発行が予定されている「住基カード」の発行に、千葉市がかかる費用について。「住基カード」の希望者数を最大に見積もった場合の費用は。
 3番目に、当局は、国会で個人情報保護法が成立したので、住基ネットによるプライバシー権侵害は心配ないと思っているのではないかと思うが大変な問題がある。
 個人情報保護法の国会審議の中では、自衛官適例者名簿を防衛庁に対して、住所・氏名・生年月日・性別の4情報以外の、本籍や親の職業などの個人情報を住民基本台帳法の趣旨を踏みにじり提供させていたことが問題となった。さらに警察から大手サラ金業者への犯罪データーの流出、その見返りとして業者から警察へビール券や時計などが届けられた贈収賄疑惑などがつぎつぎと明らかになった。これら個人情報保護の根本にかかわる問題の解明が、まともに行われないまま個人情報保護法が多数で採択されている。
 第1に、こんな重要な問題が解明されないまま採決された個人情報保護法が、住基ネットによるプライバシー権侵害から住民を守ることができると考えているのか。
 第2に、住基ネットの発足後全国てきに自衛隊募集事務に対して、特別な便宜を図った自治体が557もあり問題となった。千葉市はどうだったのか。住基ネットの第2次稼働以後、防衛庁から要請があった場合どうするのか。
 第3に、法律は事業者の取り扱う個人情報が報道目的か著実目的なのかの判断を主務大臣にゆだねている欠陥がある。これに対して野党は行政から独立した個人情報保護委員会という第3者機関を設置して、公正中立の立場から個人情報を取り扱うように修正案を提案しましたが、政府は拒否をしました。法律はこのように表現・言論の自由を脅かす恐れがある。千葉市では市民の表現・言論の自由などを守る用意があるか。仮に千葉市で守れたとしても住基ネットにつないでいるので漏洩する心配があるがどうか。
 第4に、個人情報保護法の問題点は、思想・信条など個人の名誉・信用・秘密に直接かかわるセンシティブ情報収集の原則禁止規定が欠落している。千葉市が住基ネットにつないでいる限り、市民のセンシティブ情報が収集され漏洩する不安があるがどうか。
 第5に、個人情報保護法は、自分の情報の取り扱いに本人が関与して選択するという自己情報コントロール権が明記されていないため、企業や行政機関の運営が優先され、プライバシー保護を中心とした個人の権利が後景に追いやられている。
行政の都合や利便性に偏った判断で、個人情報が国の機関から地方公共団体まで全国の行政機関で使い回しされる恐れが払拭できないと思う。千葉市は市民の心配にどのように応えるのか。
 4番目は、以上のように、問題だらけの個人情報保護法ではプライバシー権は守れない。それなのに千葉市は、住民基本台帳ネットワークシステムの第2次稼働に合わせて、広域処理とカードの交付を行うための予算を提案しているが、市民の個人情報を保護して、人権を守るためには見合わせるべきではないか。

議案第73号国民健康保険事業特別会計補正予算について
 国民健康保険料金の滞納が増えていることが問題となっていて、この回収のため非常勤の嘱託員によって滞納徴収を行うとしています。滞納整理嘱託員は国民健康保険料を滞納している家庭を訪ねて、滞納料金を回収する仕事をするわけだが、議案研究で説明を受けたところ、各区2人づつ12人で回収金額の目標をもって歩くそうです。給料は基本料金と歩合制で、滞納料金をたくさん集めてくればそれだけ給料をたくさん受け取れる仕組みとのことです。
 第1は、滞納は整理していくことが求められるが、なぜ滞納が増えているのか、その理由をどのように把握しているのか、うかがいます。
 第2は、滞納者の中には回収にいって払える人や、長引く不況と生活苦で国民健康保険料金を、払いたくても払えない市民がたくさんいます。これらの状況を勘案していかなければならないが、非常勤嘱託員にそんな判断ができるのですか。
 第3は、払いたくても払えない市民に、減免制度があることなどを非常勤嘱託員が知らせる役割を果たすことができるのか、お答えください。
 第4は、非常勤嘱託員の給料は基本給と歩合給で、滞納料金をたくさん集めてくればそれだけ給料をたくさん受け取れる仕組みとのことです。
給料の基本給と歩合給の割合は。これでは滞納者に対して強引に集金することになら無いか。1日の目標額と1カ月の目標はいくらか、うかがいます。
 第5は、非常勤嘱託員が滞納者市民のプライパシーを守れるのかどうか。お答えください。

議案第90号工事請負契約
 千葉市総合スポーツ公園市民球技場(仮称)新築工事について、うかがいます。
 第1は、サッカー場なのに、なぜ市民球技場とわざわざ呼称するのか。
 第2に、3月の予算議会で予算化され、6月議会で工事請負契約と急ピッチで進んでいるが、サッカー場・市民球技場が初めて市の計画として具体化されたのは何時だったのか。新5か年計画にも入っていなかったサッカー場を、なぜこんなに急いで進めるのか。
 第3に、工事請負契約を都市基盤整備公団に委託する理由について。なぜ、どんな理由とメリットがあるのか。都市基盤整備公団が工事を発注するので、市役所は関知できなくなると思うが、その場合、市内の業者に仕事が回ってこなくなるのではないか。お答えください。
 第4に、サッカー場の設計については、公団でなく市が行い、コンサルタントに委託するとのことだが、どこのコンサルタントに委託するのか。どんな実績のあるコンサルタントなのか。
 第5に、サッカー場の建設は、総合スポーツ公園の一環として進めているようだが、サッカー場のオープンはいつ頃を予定しているのか。サッカー場以外の総合スポーツ公園の供用開始はいつ頃を予定しているのか。
 第6は、建設費用について改めてうかがいます。
 サッカー場を含めた総合スポーツ公園整備事業費は、当局の説明によれば、用地費230億円、施設整備費120億円、サッカー場建設費81億円、合計431億円となるが、それぞれの財源内訳と利子はいくらか。この他、蘇我駅からの進入路や上下水道整備などの費用と、それを足した総額はこの総額のうち、サッカー場のオープンまでに投資する費用はいくらか。
 第7は、サッカー場運営の見通しについてです。
 サッカー開催の見通し、ジェフ市原は年何回試合をするのか。そのことは、契約が成立しているのか。また、市民利用などその他の利用計画はどうか。
年間の収益見込みはどのくらいで、管理費はどのくらい、差し引きどうなるか。建設に投資した費用は回収できるのか。予算議会では明らかではなかった。最近の新聞報道では、全国W杯開催地の状況、稲毛海浜公園球技場、中田町球技場の状況を紹介している。そこでは大変苦労している様子がわかる。明確な答弁を求めます。
 第8は、環境問題についてうかがいます。
 サッカー場すぐ後ろの工場が稼働中とのことだが、何時まで稼働するのか。何メートルぐらい離れているのか。敷地内のコークス炉は、H30年まで稼働中とのことだが事実か。
 このように工場が稼働中で、大気が汚染されている中で激しいスポーツに、また観戦する市民にも、不適切な環境ではないか。

議案第91号製造請負契約について
 消防艇、100トン・45名乗り・9億1,560万円。一般競争入札し、墨田川造船株式会社が落札しました。
 第1に、現在消防局に配属されている消防艇「まつかぜ」を更新して新しい消防艇を購入するわけだが、財政危機の折、9億1,560万円も支出して新しい消防艇を購入しなければならない理由を市民に説明する責任があると思うが。
 第2に、「まつかぜ」の対用年数は何時までか。今後廃船にするのかどうか。
 第3に、製造請負契約について5社による競争入札が行われたが、落札率は85.33%で低入札基準価格8億6,861万9千円ギリギリとなっている。応札した5社のうち1社は、予定価格を上回っていた落札額との差額が1億9,000万円も開いている。うかがうが、
 1つに、積算価格の開きがこんなに大きいのは、応札した会社の消防艇製造技術に問題があるということはないのか。千葉市当局の入札業者に対する事前の調査が適切であったかどうか。
 2つに、落札価格が低入札制限価格をわずか0.33%上回っているだけだが、今回入札は低入札制限価格の事前公表をしていないのに、なぜこんなにギリギリの落札ができたのか。不自然なことはないのか。お答えください。

<2問目>
緊急地域雇用創出特別基金事業

 第1に、5年間の述べ事業総数90事業・実雇用人数3025人、年平均600人、不況で失業している人達には6カ月でも貴重です。しかし、市内失業者数2万人余を視野に入れれば3%少ないもっと事業量増やすべきですが、お答えください。
 第2に、提案されている事業は国のマニュアル、県事業だけ。千葉市独自の事業開拓して県の承認を得て実行する努力が必要です。
 第3に、女性の雇用を大きく増やす努力をすべきです。また、障害者の雇用は深刻です。門戸を開いているといっても、今までの事業には参加が難しい障害者の雇用を真剣に実施するよう求めます。

住民基本台帳関係経費について
 第1に、住基ネット第2次稼働にあたって独自の対策を訪ねたところ、「住民基本台帳法の関係規定等により十分な個人情報保護措置が講じられていると考えている」と答弁したが、なぜ千葉市民から、また識者や全国的に心配の声が上がっているのか。「住民基本台帳法の関係規定」を信じていれば心配ないというのか。
 また、現行規定があっても自衛官募集事務に便宜を図るなどプライバシー権が侵害されていることをどう説明するのか。第2次稼働にあたって独自の対策を強めるべきではないか。
 第2は、システム管理者などは21人とのことですが、みなさん公務員として自覚の高い人達だと思います。しかし、全国的な例として、過去に防衛庁など関係職員から個人情報が漏洩しています。千葉市としての対策はどうなのか。
 第3に、「インターネットへの流失はありません」と断言しているが、専門家は「技術的には防ぎ用がない」といっています。何を根拠にないと断言しているのか。
 第4に、安全管理や住基カードに関わる費用は、かなり小額だとの答弁でした。しかし、今後多くの世帯へのカード普及や様々なセキュリティー対策など、多額の費用が必要との指摘については、どう受け止めるのか。
 第5に、個人情報保護法の欠陥を何点か指摘したが、なぜ大丈夫だと答弁するのか。
 政府のいうことは「何でも良し」ではなく、欠陥は欠陥として素直に受け止め、市民に被害が及ばないように対策を取るのが千葉市の役割ではないのか。
 第6に、自衛官募集事務には「適正に処理」ということは、協力するということか。
 第7に、広域処理とカード交付についてですが、住民票の広域処理をどれ程の人が転入転出の特例処理をするのか。通常ちょくちょく住民票を動かす人はいないと思う。それより、区役所を当番制で休日開く方がよっぽど市民サービスになるのではないか。

議案第73号国民健康保険事業特別会計補正予算
 第1に、滞納者の中には払えるのに払わない人もいると思う。しかし、滞納者の多くは不況や生活苦で、電気や水道が停止寸前だったり、3度の食事を2度にしてしのいでいる人もいる。親切に対応とは、どういうものか具体的にお答えください。
 第2に、千葉市は保育料・住宅使用料・国民健康保険料の徴収嘱託職員が合計48人。通常の料金徴収で集金の目安。ノルマは無い。今回のような滞納徴収は初めてで目安。ノルマとして、1日平均6万5千円、1カ月130万円の集金を求める。
しかも給与の半分余は歩合制。これでは相手の立場を尊重できずに、強引な集金になるのではないか。目安を無くすこと。給与の歩合制はやめて全部基本給にするよう求めます。
 第3に、プライバシーは守るといっているが。最近事件があったことを知っているか。

議案第90号工事請負契約について
 第1に、サッカー場を急ぐ理由についてうかがいます。
 サッカー場が市の計画として具体化された時期の答弁はH13年10月とあり、これはH13年4月よりスタートした、新5か年計画より7か月後であります。
 急ぐ理由として、「見るスポーツ」として「サッカーへの市民の関心がより一層高まった」とあります。市民の関心や夢をかなえていくことには異論はありません。しかし、千葉市がH15年度予算で70億円もの収支不足と言う、空前の財政危機の中でなぜ今急ぐのか、理由が成り立ちません。説明を求ます。しかも、市民の関心が高まったのは全国的なことであって、W杯以後新しい大型のサッカー場を建設するのは千葉市だけであります。なぜなのかうかがいます。
 災害時には「後方支援基地の現地対策本部として機能させることができる」と答えましたが、川鉄跡地は海を埋め立てた土地で液状化・流動化の最も危険な場所です。しかも敷地内と西工場側に、巨大な高炉やコークス炉はじめ大地震の時に大きな2次災害の危険がある施設が林立しています。ここが災害時には後方支援基地の現地対策本部として適地だと本当に考えているのか。
 第2に、建設費用についてうかがいます。
 答弁はサッカー場をふくめた総合スポーツ公園建設費431億円、利子が52億円とあり合計483億円となる。土地代の230億円は、市の債務負担行為で公団が川鉄に全額支払っているので、それを全額足すと、サッカー場オープンまでの投資額は335億円となる。この巨額の支出が、千葉市の他の施策・予算に重大な支障を来していることについて、どのように把握しているか。
 第3に、サッカー場運営の見通しについてうかがいます。
 答弁は、ホームタウンとして承認されたが試合数は未定。市民利用も今後のこと。具体的な管理運営は今年度調査を予定。これではサッカー場の利用について何等具体的な見通しがないこと。維持管理費がいくら必要なのか。これから調査で全く分からない。年間の収益見込みや必要経費も明らかにしないまま、しかしサッカー場建設だけは巨額費用を注ぎ込んで進めていく。こんなズサンな計画なのか。それとも本当は分かっているのならば公表をすべきです。
 第4は、環境問題についてです。
 98年のベンゼン環境基準は、溶融炉やコークス炉もある地域が、適地といえるのか。