ふくなが洋議員の条例提案理由説明 


2003年9月8日
 提案理由の説明を行います。
 身体障害者補助犬法が、2002年10月1日より施行されました。法律の第2章の「介助犬または聴導犬の訓練」に係わることについては、2003年4月1日から施行されています。法律の第9条「不特定かつ多数の者が利用する施設における身体障害者補助犬の同伴」については、2003年10月1日から施行されます。不特定多数が利用する施設とは、スーパー、百貨店、ホテル、旅館などであり、施行から1年遅れなのは、補助犬法の周知の期間であるとされています。補助犬法の目的は、補助犬を利用することで身体障害者の自立と社会参加を促すことにあります。関係者からは、補助犬法がうまく機能するためには、社会的な理解をすすめる補助犬の啓発活動にかかっているとされています。
 そのために、国民の理解を深めるための措置として、法律の第23条で「国及び公共団体は教育活動、広報活動等を通じて身体障害者の自立及び社会参加の促進のために身体障害者補助犬が果たす役割の重要性について国民の理解を深めるように努めなければならない」と規定されています。また、第24条で「国民は身体障害者補助犬を利用する身体障害者に対し、必要な協力をするよう務めなければならない」とされています。
条例の提案は、こうした法律の趣旨に基づき、千葉市として取り組むべきことを具体化しようとするものです。そして、補助犬と市民が暮らしやすい千葉市を目指すものです。
 身体障害者補助犬は、盲導犬、聴導犬、介助犬とされています。以下、補助犬について若干の説明を行います。
 盲導犬は、国内で初めて誕生したのは1957年です。2002年3月末現在の盲導犬の実働数は895頭です。育成団体は9団体とされています。盲導犬の寿命は12.9歳とされ、その効果は「安全に歩行できる」「外出が増える」「楽になる」「運動不足がなくなり健康になった」等々です。問題点は、「入店拒否で活動範囲が制限される」「医療などの経済的な負担が大きい」「世話に手間がかかる」などです。盲導犬の育成は、見た目が優しく、人の歩幅で歩くラブラドール・レトリーバーがほとんどです。生まれた子犬は、飼育奉仕のボランティアに約10か月預けられます。その後、育成団体で候補犬として適性判断されて、適性があるものが盲導犬として訓練されます。
 次に、聞こえない音を伝える聴導犬は1981年、国際障害者年に社会貢献事業として、日本小動物獣医師会が聴導犬の育成をはじめ、1983年に第1号が誕生しました。
 育成団体は7つで、2002年4月1日現在、19頭が聴導犬として活躍しています。聴導犬は、犬の種類にかかわらず適性によって育成されていることが盲導犬、介助犬と大きく違います。聴導犬は、盲導犬と違い使用者に付き添い歩行する必要はなく、介助犬のように使用者のサポートを必要としません。鳴っている音を伝えるのが仕事であり、犬種や大きさは関係ありません。育成する犬は、動物愛護センターが保護した犬から選んでいます。育成団体は、予算も少なく苦しい運営といわれます。認定した犬を継続的に訓練・指導することが必要とされます。
 次に、肢体不自由者の手足となる介助犬は、日本で働き始めたのは1992年であり、アメリカからやってきた介助犬はマスコミで取り上げられて話題となったものです。
 介助犬の使用目的は、障害者の自立と社会参加・社会復帰、使用者の生活の質の向上、介助者の負担軽減の3つがあります。介助犬の役割が他の補助犬と違うのは、使用者の障害が多様であり、どんな不便があり、何をするのかが様々であることです。
 介助犬は、2003年3月1日現在で16の介助犬育成団体のもとで26頭が実働しています。育成団体の分裂もあり実態は不明確なところもあるとされています。
 介助犬として、皆さんご存知のように、「オリーブ」が現在、千葉市障害者相談センターで働いています。オリーブは2002年5月16日から職員のYさんと同伴勤務をしています。介助犬の場合、必要性がなかなか解かってもらえないことが大きな課題です。
 以上、現在の補助犬の実態についてお話をさせていただきました。そして、補助犬の利用者からは「補助犬法ができたということを知ってもらいたい、そして自由に公共機関、ホテル、不特定多数が利用する施設などの出入りができるように」との強い要望があります。さらに、補助犬の働く場の問題、暮す場所の確保などの支援が求められています。
 次に、条例提案の内容についてです。
 まず、PRについてです。国や公共団体はポスターやパンフレットなどの作成で補助犬法を広めなければなりません。地方公共団体は、補助犬使用者や育成団体と一緒に多くの市民が補助犬を理解する機会を設けることが大切です。こうした中、新居浜市では、介助犬同伴で入場できるステッカーの張り出しを行い、市民にPRして、介助犬が受けいれられる街づくりをすすめています。
 次に、育成団体の助成についてです。育成団体への公的補助金が「精算払い」なので、成果が出てから補助するのですから、育成団体は不安で運営に支障をきたしていることもあります。育成団体の場所にかかわりなく、補助金を出してほしいとの意見もあります。
 次に、地方公共団体の役割についてです。補助犬法の施行で一番大切なことは、直接かかわる地方公共団体の役割が大切です。千葉市に、補助犬の相談窓口を設置して、補助犬に関する相談やトラブルが起きた時などに対応します。さらに、担当職員が補助犬法や補助犬の理解を深める、育成団体へ研修の委託をする、また介助犬の暮しやすい住居の保障をすることも必要です。
 次に、補助犬についての諸問題についてです。補助犬については、まだ様々な問題が山積することも事実です。たとえば盲導犬についても呼び名が統一されてはいません。
 また、補助犬の協会によっても補助犬に対する考え方や訓練方法がまったく異なっている事もあります。複雑な問題もありますが、身体障害者補助犬法が成立して、各団体は、法の目的に沿って真摯な取り組みを展開しています。その中で、必ず解決される問題と考えます。まだまだ、補助犬への市民の理解は十分ではありません。その中で、千葉市が支援条例を制定して、補助犬と共生できるユニバーサルデザインの街づくりを進めることが、市民にとっても暮しやすい千葉市になるのではないでしょうか。時代の要請とされる補助犬法は、法律ができても千葉市など地方自治体の社会整備がすすめなければ、補助犬を必要とする関係者の願いが生かされません。そのための条例提案です。
 以上、申し上げまして提案理由の説明とします。皆さんのご理解・ご賛同をよろしくお願いいたします。