ふくなが洋議員の決算議案への討論 


2003年10月2日
 日本共産党千葉市議会議員団を代表して平成14年度決算議案20件中6件に対して、不認定の立場から討論をおこないます。
 最初に総括的な視点から討論を行います。
H14年度決算は、千葉市財政が極めて深刻な事態となっていることを示しています。歳入の基本をなす市税収入は、マイナス1.4%となり、国庫補助負担金、地方交付税も厳しさを増していますが、小泉内閣による三位一体の改革で、さらに削減が計画されています。
 千葉市の財政力規模は、一般財源総額で対前年比50億円余も減額となりました。市民1人あたりで見ると、政令市では下から2番目であり、千葉市の財政力規模は小さいことを示しています。経常収支比率は、前年より1.8ポイント上昇しています。その原因を当局は、税収が減っていることを挙げ、対策として「分母の財源を上げていく」「経常経費を抑制していく」と述べています。財源の確保は言うまでもないことですが、経常収支比率の上昇に、公債費の増大が大きな比重を占めています。財政力規模の小さな千葉市財政を一層厳しいものにしているのが借金です。千葉市の公債費負担比率が初めて20%を越しました。公債費比率は19.2%ですが、債務負担行為を合せると21%になります。
 公債費の元利償還は486億円余で、現行債務の償還ピークであるH16年度には852億円にもなります。本年度より366億円も多い償還であり、これでは歳出が大幅に抑制されてしまいます。当局は「借換債237億円を発行するので、差し引き償還額は約615億円ですむ」と言いますが、これは借金の返済を先送りするだけで、何の解決にもなりません。
 借金残高は、市債9,150億円余、債務負担行為817億円、返済利息を加えると合計1兆928億円となり、市民1人あたりの借金は134万円にもなります。
 借金が増大した主要な原因は、長年にわたる大型プロジェクト優先の市政にあることは明白であります。このように、厳しい財政状況のもとでも、千葉市の重点施策は、相変わらず大型開発の推進です。財政力の規模では、政令市の中で最下位クラスにありながら、都市再生として蘇我臨海、千葉駅周辺、千葉みなと駅西の大型開発に、莫大な建設費を投入するような、異常な自治体であることが浮きぼりになりました。
 大型開発に対する質疑で、いくつかの重大な問題点が明らかになりました。
蘇我臨海開発が、JFEの莫大な利益を保証する開発であることは明らかです。総事業費が1,601億円のうち、JFEの負担分とされる615億円のほとんどが、道路や緑地の土地負担や住宅街区へのガス・水道敷設などであり、JFE単独の開発行為で行う場合、当然負担が義務づけられているものばかりで、これを「応分の負担」だと言うのはとんでもないことです。結局、JFEが支出するのは、京葉線の新駅舎分などの35億円程度と言うことになります。
 また、サッカー場や商業施設など、多数の人々が集まる場所が、実は危険と隣り合わせであることも明らかになりました。JFEのコークス炉が、H30年まで稼動することになっており、サッカー場から、わずか22メートルしか離れていません。
 9月3日、新日鉄名古屋工場でガスホルダーの爆発事故があり、多数の負傷者が出ました。この爆発したガスホルダーと同じ施設がJFEにも3基あり、その安全性が問われています。川鉄跡地の活用は、もっと慎重に検討すべきです。
 次に、中央第6地区市街地再開発事業ですが、プラネタリウムは何度も見学に訪れるような施設ではなく、産業振興会館も先行き不透明です。1階か2階が当然の保健福祉センターは、11階・12階につくられ、しかも区役所とは250mも離れています。市民や周辺住民から、充分に意見を聞くこともなく進められる事業では、中心街活性化の見通しはないと言わなければなりません。決算分科会では、他会派の議員からも「プラネタリウムは、他都市では廃止している」「莫大な建設費と維持管理費が必要となる」と、批判的な意見が述べられていました。しかも、建設費は利子込みで約200億円を超え、土地代とその利子合計の約200億円と合せると400億円以上もの投資となり、市財政へさらに重くのしかかることになります。
 以上、蘇我臨海、千葉市駅周辺、千葉みなと駅、中央第6地区の4開発の総事業費は、3,500億円を超えるものであり、こんな開発を続けて、どうして市民福祉が守れるのでしょうか。
 鶴岡市長は「大型開発で市民福祉にしわ寄せはしていない」と答弁しましたが、事実とは違います。その実態は、「新5か年計画」が2年目で、早くも261億円の事業費不足が生じ、保育所や公民館整備などが後回しになりました。
 一方、「新5か年計画」にはなかった、サッカー場建設81億円、周辺整備を含め350億円余を次々につぎ込むことを決めました。その結果は、決算に表われているように、保育所改築が遅れて、H15年3月1日で477人の児童が入所を待っていました。公立へ預けられず、やむなく保育ルームに頼っている家庭もたくさんあります。これ以外にも各方面に多くの影響が出ています。「住民の福祉の増進を図る」地方自治体本来の役割を果すためには、大型プロジェクトの凍結・見直しが今こそ必要であり、日本共産党市議団は、大型開発優先から市民の暮らし・福祉・環境優先の市政への転換を情報公開・市民参画・説明責任で行うことを強く求めるものです。
 次に、各論について申し上げます。
 まず、総務行政の事務事業評価についてです。
 市民サービスに直接影響を及ぼすような細かな施策をチェックし、わずかな金額まで削減しながら、膨大な財政が支出されている「蘇我臨海開発」「中央第6地区再開発」「中央港地区区画整理事業」などの、大型開発についての評価は不十分であり問題です。見通しのない大型開発にこそ、厳正な評価を行い施策の転換を行うべきです。
 次は、企画行政についてです。
 千葉市・四街道市の合併については、「合併協議会」の会長である鶴岡市長の運営が、きわめて強引で、四街道市議会からも民主的に運営するよう批判されているにもかかわらず、何ら反省されないのは遺憾であります。また、10月7日の「協議会」に、四街道市民の家庭ごみを北谷津清掃工場で処理する計画を提案しようとしています。地元住民の声を聞くことなく、市議会にも説明なく、一方的な提案は市民無視であり許されません。事前に、説明会や懇談会などを開き、住民への説明責任を果たし、住民の意見や要望を聞くことを求めます。
 住基ネットは、少なくとも住民の選択制にすべきです。
PFI事業は、消費生活センターに続き「少年自然の家」が事業化されました。教育施設の管理運営まで民間任せでは、子供たちの幸せや利益を守ることはできません。
 平和予算も伸び悩んでいます。有事法制が可決された今日、イラク戦争に自衛隊を送ることなく、憲法第9条の平和条項を生かす地方自治体にするためにも、子供たちに平和の大切さを学ばせる市政が必要です。
 次は、市民局です。
 いま、雇用対策は社会的緊急課題となっています。とりわけ、大学卒業者の就職率が55%といわれる中で、日本と千葉市の未来を担う若者の雇用確保に、思い切った対策が必要です。当局は、政府や企業に働きかけるなど、全力で取り組むよう求めます。
 次に、保健下水局です。
 介護保険の問題です。利用が少ないのは保険料・利用料が払える金額に減免されていないからです。また、国民健康保険の制度が深刻な状況です。政令市では、10の市で国民健康保険の減免条例をもち、減免を行っています。千葉市も早急に条例を作るべきです。
乳児院・児童養護施設の問題です。これは、千葉市が政令市に移行するときから問題になっていました。そのため、平成6年4月1日、県と市の間で覚書を交わし「千葉市は現在策定中の児童家庭福祉計画の中で検討を行う」として設置を決めていました。しかし、なかなか設置されず、千葉市の子どもが、遠く神戸市や岐阜市などに措置されていることが、関係者から「重大な問題だ」と指摘されていたものです。このような経過の中で、「千葉市待望の施設」とされた社会福祉法人「鳳雄会」が、「補助金不正受給」と報道されました。
 こうしたことで、被害を受けるのは当事者である子どもです。子どもの人権が侵害されることは絶対に許されるものではありません。法人認可をした市の責任も厳しく問われるのではないでしょうか。
 次は、環境局です。
全国では、大型焼却炉建設計画が進められて、ごみの削減がすすまないことが大きな問題になっています。千葉市も同じ方向ではないでしょうか。いま、千葉市に求められているのは、ごみの減量、循環型社会への実効ある取り組みです。
新港清掃工場では、鳴り物入りで導入した「スーパーごみ発電」の12月から3月までの売電収入は1億3,441万円で、そのためのガス代が1億4,492万円というのでは、何のための売電なのか問われます。そもそも、ガスを燃やして売電する方式そのものが、自然環境に反するやり方ではないでしょうか。
 次に、経済農政局です。
幕張メッセへの負担金6億8,000万円について、他会派からも異論が出ました。市の説明も納得できるものではありません。思い切って負担は止めるべきです。
 「広域発酵処理施設整備」の問題です。「PFI方式で行う」としながら、補助事業に突然方針を転換しました。こうした一貫性のないやり方は、農家に負担だけを強いるものであり市の責任は重大です。
 次に、都市局です。
市内オフィスビル等の入居率が20%下落している中、中央港地区区画整理事業や千葉駅西口再開発に、莫大な事業費を投入していることは問題であり、思い切った見直しを求めます。
 千葉市の市営住宅数は、政令市の中で一番低く、増設を急ぐとともに「特優賃」を借り上げることも急ぐべきです。また、築30年以上の住宅が、約半数の3,600戸もある現状で、リフォームやトイレの水洗化などを急ぎ、住環境を向上させることを求めます。
 次は、建設局です。
新港横戸線は、総額700億円の予算で進められていますが、当初は「住民参加の道作り」と言っていましたが、住民の声が十分に反映されていません。
 次に下水道局です。
普及率の向上と充分な水害対策を求めます。
 次は、消防局です。
今年4月より法律が改正された、救急車での細動器の実施は、8月までに14件実施し、4件の心脈回復があったと報告されました。私どもが、関係者とともに要求してきたことでもあり、今後も人名救助に全力をつくすよう求めておきます。
 次は、教育委員会です。
就学援助は、この不況の時期、全国的には対象者の約10%が援助を受けて喜ばれています。しかし、千葉市は5.7%です。もっと援助できるようにすべきです。
また、公立学校へのエアコンの設置は、文科省も必要と認めているにもかかわらず、相変わらずの後ろ向きの答弁で、許されません。
 学校2学期制は、子ども・保護者・学校の意見を十分聞いて進めるべきです。合意のないまま進めることは問題があります。
 以上、私どもの不認定の理由を申し上げて討論をおわります。