日本共産党が提出した意見書


平成15年第3回定例会 
(提出年月日)平成15年9月2日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団 NO.1

弁護士報酬の「敗訴者負担制度」に反対する意見書(案)

 政府の司法制度改革推進本部は,民事訴訟で負けた側に弁護士費用を負担させる制度の導入を検討している。これは,これまで費用の負担は各自で負担することが原則だったものを,負けた側に負担させるというもので,国民が裁判に訴えることを著しく制限するものとなるのは明らかである。今でさえ,訴訟費用や弁護士報酬など多額の費用を要し,裁判に訴えるには大変な勇気と負担が必要である。もし,負けて双方の弁護士費用も負担することになれば,ますます訴訟をためらうことになり,国民を裁判から遠ざけることにつながるものである。
 「裁判の件数を減らすのが目的」との指摘もあるが,人口1万人当たりの訴訟件数では,ドイツが日本の約5倍,フランスでは約7倍も多く,今,日本で訴訟を抑制する理由はないのである。
本来,司法制度改革は,国民が司法を利用しやすくするのが目的のはずである。今回,導入を検討している「敗訴者負担制度」は,この司法制度改革の理念に背くものである。
 よって,本市議会は国に対し,憲法で保障された「裁判を受ける権利」を守るためにも,弁護士報酬の「敗訴者負担制度」の導入には強く反対するものである。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成15年  月  日

千 葉 市 議 会






平成15年第3回定例会 
(提出年月日)平成15年9月2日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団 NO.2

住民基本台帳ネットワークシステムの本格稼動中止と離脱の権利を求める意見書(案)

 国民に11桁の番号を付け,氏名・年令などの個人情報を国と自治体が共有する住民基本台帳ネットワークシステム(「住基ネット」)が,8月25日から本格稼動となった。昨年8月から実施中の,国や自治体による本人確認に加えて,市区町村同士の情報交換が始まっている。
政府は,これにより,全国どこでも住民票の写しが取得できることや,希望者に交付される「住基カード」(有料)を使えば,転居の手続きの一部が省略できると利便性を強調している。しかし,住民票の写しは現在でも郵送で取り寄せることができ,転居手続きも転居届は郵送できるもので,利便性はほとんど変わらない。
市区町村は,「住基カード」に証明書の自動交付などの独自サービスを追加できるが,多額の設備投資が必要となってくる。
一方で,個人情報に11桁の番号を付け,無断でネット上で利用することは,憲法第13条が保障するプライバシーの権利,とりわけ「個人情報の自己コントロール権」を侵害することとなる。
 よって,本市議会は国に対し,「住基ネット」の本格稼動を中止し,離脱の権利を保障するよう求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成15年  月  日

千 葉 市 議 会






平成15年第3回定例会
(提出年月日)平成15年9月2日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団 NO.3

骨髄バンクの仲介料に保険適用を求める意見書(案)

 白血病など血液難病の治療として,骨髄移植は広く行われている。骨髄バンクからドナーが見つかり骨髄移植を実施する場合,骨髄移植手術・ドナー骨髄液採取費用には医療保険が適用されるが,骨髄バンクの仲介にかかわる費用(コーディネート開始料,ドナー確認検査料,骨髄提供調整料など)には保険が適用されない。
このため,ドナー探しの苦労とあわせて多額の費用がかかることから,関係者には大きな負担となっている。
 突然,患者・家族を襲う病気でもある白血病への不安,高額の治療費による生活への負担を考えると,その痛苦は計り知れないものである。
 よって,本市議会は国に対し,安心して骨髄移植が受けられるよう,骨髄バンクの仲介料に保険適用を認めるよう求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成15年  月  日

千 葉 市 議 会






平成15年第3回定例会
(提出年月日)平成15年9月2日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団 NO.4

ディーゼル車排ガス規制についての意見書(案)

 ディーゼル車などが排出する粒子状物質(PM)による健康被害は深刻となっている。自動車メーカーや事業者の総量規制など,効果的で実効力のある大気汚染対策が求められている中で,10月1日からは条例に基づき,東京など1都3県では,PM排出基準に適合しない車は運行できなくなる。
この規制を前に,国は「低公害車普及促進対策費補助金」事業として,PM低減装置の装着を支援したが,予想を大きく上回る申請があり,受付を締め切る事態となった。補助金や融資制度などが不十分なまま,規制が開始されれば,長引く不況のもとで,装着資金を捻出できない中小零細業者にとっては死活問題となる。
よって,本市議会は国に対し,以下の実施を強く求めるものである。
1 「低公害車普及促進補助金」の受付けを延長すること。
2 車の買い換えのための融資制度を創設すること。
3 販売した車に装着できる,NOx・PM低減装置をメーカーの責任で開発するよう求めること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成15年  月  日

千 葉 市 議 会 






平成15年第3回定例会
(提出年月日)平成15年9月2日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団・市民ネットワーク NO.5

八ッ場ダム事業の見直しを求める意見書(案)

 群馬県の利根川流域吾妻川に計画されている八ッ場ダム建設事業は,千葉県を含む1都5県の都市用水開発と洪水調節を目的に,51年前の1952年に国によって計画されたものである。
 しかし,その後、産業構造や森林状況は大きく変化しており,建設目的の利水面では,人口の頭打ちや一人当たりの水使用量の減少で,この10年,水道用水・工業用水とも,ほぼ横ばいの状況となっている。治水面では,森林や堤防の整備が進み,洪水の危険をなくすことは可能とされている。
 千葉県でも,今後の水需要に大幅な増加はなく,新たな水源確保の必要性は薄れている。また,八ッ場ダムの総事業費は,2,110億円だったものが大きく膨らみ,完成までには5,000億円になると予想されている。千葉県の財政状況は46年ぶりの赤字決算であり,財政再建団体への一歩手前である。ダム事業費の増大は水道料金の値上げにもつながり,県民生活に重くのしかかってくる。
 よって,本市議会は千葉県に対し,以下の事項について強く求めるものである。

1 八ッ場ダム事業費の見直しにあたっては,水需要を精査し,水利権量の縮小を国に求めること。
2 千葉県環境保全条例で地域を指定し,地下水採取を規制しているが,適正な地下水利用になるよう見直すこと。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



平成15年  月  日

千 葉 市 議 会






平成15年第3回定例会
(提出年月日)平成15年9月2日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団 NO.6

ヤミ金融取締り強化を求める意見書(案)

 本年7月25日,ヤミ金融規制のために,貸金業の規制等に関する法律及び出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律の改正法が成立した。本年1月から6月までの半年間に,全国の警察が摘発したヤミ金融事件は229件,摘発人数は469人,被害者数は約16万6千人,被害総額は約173億7千万円にのぼり,1990年以降最も多かった昨年1年間と比べても,摘発人数や被害者数,被害額はすでに昨年1年間をも上回っており,この法改正は歓迎すべきことである。
改正法は,高金利を定めた金銭消費貸借契約は無効としたこと,貸金業者の登録要件を厳しくしたこと,広告・勧誘に関する規制の強化,取立行為の規制強化,違法業者への警察の取締り強化,罰則の強化など,ヤミ金融取締りと被害者を救済する上で有効なものと考える。
 しかし,今日のヤミ金融業者の横行,被害の実態からすれば,警察の対応が重要である。警察庁は,去る8月4日,全国ヤミ金融事犯捜査担当者会議を開き,ヤミ金融撲滅の方針を明確にした。また,各都道府県警察に生活安全部門と暴力団取締部門を中心に「集中取締本部」を設置し,専従体制を確立するとのことであるが,今日なおヤミ金融被害は後を絶たず,被害者は警察が敏速に行動してくれないことに不満と怒りの声をあげている。
よって,本市議会は国に対し,警察関係機関と金融,情報・通信等の団体との連携を強化し,ヤミ金融問題への迅速な対応を強く求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



平成15年  月  日

千 葉 市 議 会






平成15年第3回定例会
(提出年月日)平成15年9月2日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団 NO.7

幼稚園・保育所の「一元化」,保育所調理室の設置義務廃止について慎重に検討することを求める意見書(案)

 昨年来,地方分権改革推進会議を初め政府の諮問機関は,幼稚園と保育所の制度の「一元化」と,幼稚園にはなく保育所のみに義務付けられている給食調理室の設置義務の廃止,さらに,保育所運営費負担金の一般財源化を提起している。これまで,幼稚園・保育所は,戦後60年近い歴史を重ねる中で,それぞれ独自の機能を拡大してきている。今回の「一元化」の提起は,こうした各施設の実態や子どもの保育条件,地域住民の切実な願いなどを無視し,幼稚園と保育所の水準をどちらか低い方に合わせるものであり,国の財政削減策にすぎないものである。この性急な提起には,厚生労働省・文部科学省からも反対意見が出されるほどである。幼稚園・保育所制度の不十分な点を実質的に改善することこそ急ぐべきである。また,今後については,地域間隔差を生じさせず,子どもの保育・教育が等しく保障されるよう充分な財政的裏づけのある制度確立のため,国民的な議論を時間かけて行うことが必要である。
 よって,本市議会は国に対し,幼稚園と保育所の「一元化」と,保育所の給食調理室設置義務の廃止問題に関して,関係者の意見を充分踏まえて,慎重に検討するよう強く求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成15年  月  日

千 葉 市 議 会






平成15年第3回定例会
(提出年月日)平成15年9月2日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団 NO.8

障害児教育のリストラによる「特別支援教育」に反対し,豊かな教育条件の整備を求める意見書(案)

 文部科学省の調査研究協力者会議は,今年3月に「今後の特別支援教育の在り方について」(最終報告)をまとめ,これからの教育のあり方について提言した。その中で,これまで障害児教育の対象とされていなかったLD(学習障害),ADHD(注意欠陥・多動性障害),高機能自閉症などの障害児が,通常学級に約6%の比率で在籍している可能性があり,その教育的対応が重要な課題であることを明らかにした。そこで,義務教育段階で,盲・ろう・養護学校に5万1千人,障害児学級に8万2千人,通級指導に3万2千人在籍している現在の障害児教育対象者に加えて,今後さらに,約67万人の子どもたちを新たな障害児教育(「特別支援教育」)の対象にするとしている。それにより,障害児の94%が通常の学校の中で特別な教育を受けることになるのである。障害児教育の対象を広げた今回の「最終報告」では,「一人一人の教育的ニーズに応じて特別の教育的支援を行う『特別支援教育』への転換を図る」としているが,肝心の人員の配置,施設や設備整備には新たな予算化はなく,「既存の人的・物的資源の配分」として,リストラによる実施を進めようとしている。さらに,地方分権を楯に「地域の実情を踏まえ,自己決定・自己責任の原則の下で」などと,国の責任を放棄する危険性も指摘されているのである。
よって,本市議会は国に対し,障害児教育のリストラによる「特別支援教育」に反対し,豊かな教育条件の整備を強く求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



平成15年  月  日

千 葉 市 議 会






平成15年第3回定例会
(提出年月日)平成15年9月2日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団 NO.9

千葉県立病院の統廃合に反対し,存続・充実を求める意見書(案)

 千葉県では今年2月,千葉市内にあるこども病院・千葉リハビリテーションセンター・がんセンター・救急医療センター・精神科医療センターと,市原市にある循環器病センターの6つの専門病院を1か所に統合する等の「県立病院将来構想(案)」を発表した。
また,6月4日の県立病院経営健全化・将来構想策定委員会において,平成25年度以降,急性期型の総合医療センターへの統廃合について検討していくことなどが決定された。この中では,経営健全化と県立病院の高コスト構造の転換,経営体質の改善を問題にしているが,これでは,「良質な医療の提供」どころか,県が医療行政から撤退し,利用者の負担を高めて,「命よりお金優先」の計画となりかねないものである。
これまで,千葉県は「県立病院は採算がとれなくても地域医療で果たさなければならない役割がある」と述べてきたが,今後も公立病院としての責任を果たすべきである。
 よって,本市議会は千葉県に対し,県立病院の統廃合ではなく,存続・充実に力を尽すよう求めるものである。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



平成15年  月  日

千 葉 市 議 会