野本信正議員の代表質疑への答弁(要旨)


2003年9月18日
【鶴岡市長】
○ 地方自治体への攻撃について
 国の三位一体改革は国と地方の役割分担に応じた事務事業と国庫補助負担金の見直しが行われるものであり、基幹税の充実を基本に税源移譲と一体的に行われ、自主的・自立的な地域社会が実現されるものだ。地方交付税の縮小は、地方が標準的なサービスを安定的に提供できる機能は維持されるものと考えている。「県費負担教職員制度」の見直しは、地方分権改革推進会議からの提言で、義務教育費国庫補助負担金の一般財源化とともに検討されるもの。見直しによる千葉市の影響額は、H13年度決算での試算では、私立小中学校教職員の給与費総額が386億円、国庫負担金は166億円で、一般財源の負担額は約220億円となる。他の影響額は、現時点では具体的な内容が出ていないので不明だ。三位一体改革は、地方分権の実現には必要な改革だ。税源委譲を基本にした改革になるよう要望していく。
 標準財政規模と一般財源総額がマイナスになった要因は、長引く景気低迷の影響と市税収入が前年度と比べ23億円減収となった。また、消費の低迷で地方消費税交付金も10億円減収となった。利子割交付金も、郵貯の償還がピークを過ぎ、28億円の減収となった。千葉市の財政力指数は政令市の上位にあるが、人口・高齢化率などは低く、標準的なサービスを算定する基準財政需要額の規模は小さくなっている。財源の安定度を示す自主財源比率は62.6%で、政令市比で上位にある。自主財源の大半を占める市税収入が3年連続で減収し前年度比0.4ポイント低下した。税収の落ち込み原因は、企業収益の悪化によるもので、新規設備投資の減少によるものだ。
 市税減収の影響は、H14年度ではあまりないが、根幹をなす市税収入が3年連続で減収し、今後の大きな課題だと考える。H15年度の見通しは、企業収益の減収はあるものの予算額は確保できると考える。しかし、個人市民税は所得の落ち込みで約20億円程度、固定資産税も約8億円程度減収し、厳しい状況になると考える。借金は、国の景気対策で市債を活用したため、市債残高が増加し、起債制限比率は若干減少したが、公債比率と公債費負担比率は上昇傾向にある。よって、起債制限比率等の具体的な数値目標を決めて取組んでいる。市債の発行規模は抑制できている。今後も目標達成へ努力する。

○ 市町村合併について
 合併協議会は、協議会規約・会議運営規定に基づき公正に議事運営をすすめている。協議会では、事前に協議すべき項目を明らかにし、基本的な考え方と具体的な協議資料を示した上で協議しており、ボリュームのある行政制度の調整では大筋合意を得ても約1か月半、委員の意見を自由に出せる期間を設けている。合併の是非は、協議項目全て揃ったところで総合的に判断すべきであり、急いではいない。意見書の扱いは、幹事会で協議・調整することになっており、それに従ったもの。意見書の内容で、可能なものは運営上生かしている。

○ 雇用対策の改善について
 緊急地域雇用創出特別基金事業は、H16年度までの限定事業だが、地域の雇用に貢献し、有意義な事業であり、今年8月8日に政令市長連名で事業継続と事業の改善を求め要望書を出した。市独自の雇用拡大は、毎年雇用拡大を視野に入れた新規事業を組んでおり、国の事業と合わせて雇用創出を図っている。青年の就職対策は、求職者アンケート調査を実施しその中で、青年の声も聞いている。勤労者市民行政懇話会等を通じて雇用対策の強化を要望している。今年7月から若者を対象にキャリアカウンセリングを始め、就職支援を行っている。雇用・能力開発機構では、ヤングジョブスポットを開設し、相談・情報提供で就職支援を行っている。

○ 平和行政について
 千葉市は2度の空襲体験を踏まえH元年に平和都市宣言を行った。宣言の主旨を風化させないため、毎年千葉空襲写真パネル展、ちばピースフルコンサートなど各種啓発事業を展開している。私自身の戦争体験から平和の尊さを実感している。広島・長崎の平和宣言もそれぞれの戦争体験からのものだと認識している。

【林助役】
○ 大型プロジェクトについて
 蘇我臨海地域開発は、臨海部の遊休化した土地の利用転換と既成市街地の都市機能更新を図り、第3の副都心にふさわしい市街地を形成し、民間投資を喚起し、雇用創出や税源の涵養が図られるもの。事業推進にあたり、国・県・市とJFEスチールが役割分担している。土地所有者のJFEは、民間施設の誘致や公園・都市計画道路等の土地の提供などの公共貢献を行い、その負担は適正なものだ。市民球技場とスラブ精製工場の距離は約22m。商業施設との距離は、位置が確定していないが約50mになる。工場の特性から両施設への影響はないと考える。コークス炉はH30年まで稼動の予定だ。商業施設の敷地までの距離は約250mあり、環境基準を遵守して操業しているので安全性は保たれるものと考える。

【小島助役】
○ 大型プロジェクトについて
 千葉中央第6地区第一種市街地再開発事業の、こども科学館、プラネタリウムについては、交通利便性の高い中心市街地に設置するもので、多くの来館者を得る条件がある。子ども中心の施設で、子どもを取り巻く多くの世代が集まり街に明るさと賑わいが増え、活性化につながる。子どもにとっても必要な施設だ。産業振興会館は、事業者の相談・研修・商談の場となり、創業支援の施設を設け、各種支援事業を展開するもので、市の産業発展に寄与するものだ。施設面積は必要最小限の機能導入にとどめ、小規模となる。中央区保健福祉センターは、区役所周辺での用地取得が困難で、この事業の中で整備するもの。エレベーター設置や区役所との業務・手続きなどは工夫したい。公共公益施設の利用者予測は、年間約75万人を想定。商業施設等も加われば街に賑わいは必ず出てくる。民間取得の保留床は、現在準備組合が選定中の特定業務代行者が処分責任を負う。事業着手時期は、早期着工を望む声が強いことや公共用地先行取得債償還期限がH16年度であり、早期に中心市街地活性化を図ることからのもの。

○ 企画行政について
 H14年度で完成した主なものは、暮らしのプラザ、市民会館のリニューアル、新港清掃工場、市立青葉病院、緑いきいきプラザ、貝塚第2団地、坂月谷当町線、誉田さくら公園などがある。今後完成予定は、若葉球技場、黒砂公民館、泉市民センター、土気跨線橋、天戸大橋、星久喜第2団地、花見川消防署などがある。見直し後の「新5か年計画」で、H17年度末までに、若葉区・美浜区の保健福祉センター、花見川区花島公園内のコミュニティセンターと稲毛区長沼コミュニティセンター、美浜区地区ホール、斎場会館、市民球技場、新港清掃工場余熱利用施設、自然生態観察公園、子どもたちの森、美浜長作町線、鎌取第6小、打瀬第3小、大宮給食センター、少年自然の家、神明公民館、白井公民館などだ。着手済みで、H18年度以降に完成を目指すものは、中央区・緑区の保健福祉センター、看護士養成施設、児童センター、子育て支援プラザ、子ども科学館、産業振興会館、市立千葉高校の改築、新港横戸町線、西口地区市街地再開発事業などだ。

【島田助役】
○ 敬老祝い金・シルバー乗車券について
 敬老祝い金・シルバー乗車券の対象者実態把握は、H13年度に高齢者保健福祉推進計画・介護保険事業計画策定のため実態調査を行った。敬老事業はお祝いが目的なので、申請は必要としていない。敬老事業は、「行革」懇談会の意見も踏まえてあり方を検討していく。

○ 国民健康保険について
 資格証明書発行までには、督促状や催告書を発行し、被保険者証の返還警告通知などで種々相談の機会を設けているが、それでも応じない場合に、資格証明書を発行している。医療費の一部負担金減免制度は、負担金が高額になった場合、高額療養費制度で低所得者へ配慮しており、高額療養費貸付制度もあることから減免は考えていない。

○ 乳幼児医療費助成について
 200円の保護者負担は、低所得の方々に配慮した上で、無理のない範囲内で負担いただくことにした。制度の維持のためにも必要なものだ。助成年齢の引き上げは、今年4月からの現物給付により、事業費の大幅な増加が見込まれ、当面は推移を見守り、今後の検討課題としたい。

○ 青葉病院の夜間救急初期診療について
 海浜病院内の「夜間救急初期診療部」の患者数状況は、昨年度はインフルエンザの流行で約3千人増加したが、数年来ほぼ同数で推移している。夜間救急初期診療を2か所で実施することは、医療スタッフの確保や効率的運営からみて、現状では困難だ。「夜救診」から遠い地域の患者で、緊急を要する場合は青葉病院救急部で対応している。

○ 民間墓地「緑区おゆみ野霊園」の造成について
 霊園建設計画は、H15年5月27日に事前協議申請が提出され、「墓地、埋葬に関する法律」に基づき、保健所が書類審査等を行っていたが、計画の大幅変更を理由に申請が取り下げられた。仮に、見直し計画が提出されれば、法律に基づき適正に審査する。

○ 環境行政について
 新内陸最終処分場の防犯体制については、既設の防犯カメラに加えセンサーの設置など再発防止を期している。なお、施行業者は既に捜査当局へ被害届を提出しており、今後徹底した調査が進められると思う。

○ ヤミ金対策について
 豊島区の事例は、事業者ではなく個人に限った債務処理だ。千葉市は、中小企業の金融問題では産業振興財団の経営相談窓口で相談に応じている。事業者対象のヤミ金対策は考えていない。

○ 中央卸売市場について
 貸金1億円については、千葉青果(株)が千葉中央青果(株)との統合で、営業権を譲り受けるため3億円借り入れる必要があった。融資条件を緩和するため金融機関に1億円預託するため予算化したものだ。しかしその後、預託の必要性がないことが判明したことから未執行となった。

【教育長】
○ 学校二学期制の導入について
 学校二学期制は、すでに市立稲毛高校と山王中で実施されている。学校二学期制研究指定校8校の取り組みや先進市の状況から、導入のメリットが明らかになったので導入することにした。
 二学期制で、授業時間数が約30時間程度増え、学期が長くなりゆとりある個別学習、くり返し学習などをこれまで以上に丁寧な指導が可能となる。長期休業後は、スムーズに学校生活を再開できるよう全校集会などを行う。全校集会は、各学校で随時行っており、二学期制だからと増減はしない。市内中学校の大多数で、現在も年3回から4回定期テストを行っている。二学期制では4回となるが概ね変化はしない。評価の回数や評価の伝え方は、二学期推進委員会や校長会等での検討を踏まえ適切な評価が行われるよう指導したい。二学期制で夏休みの時期は変わらないが、その性格は変わることになる。その内容や過ごし方は各学校を中心に検討する。秋休みは、10月中旬に土日を挟んで4・5日予定している。その過ごし方は、春休みや冬休み同様、過程や地域で過ごすことが基本で、受け皿は考えていない。二学期制導入の背景は、授業時間が増え、学習指導要領に沿ったゆとりある教育活動の中で、特色ある教育活動が一層推進できるとの考えから。「わかる授業、楽しい教室、夢広がる学校」の実現につながると期待する。

○ 学校の耐震工事について
 耐震補強工事は、早急に補強が必要な学校を対象に進めており、H12年度の県耐震判定協議会の評価を踏まえ見直した。地震での建物への影響は、地形や地盤の状況など、さまざまな要因があり、安全性も一概に断定できない。災害から児童生徒の安全を守ることは第一義と認識している。現在、見直し計画で優先的にすすめている耐震補強予定校は、構造耐震指標の値が低いのでH21年度までの計画で実施する。