小関としゆき議員の討論 


2003年12月11日
 提案されました議案14件中、議案第155号、157号、158号、160号、163号、164号に反対するとともに、発議12号が否決され、請願第8号、陳情第8号が不採択となりましたので、討論を行います。

議案第155号・平成15年度千葉市学校給食センター事業特別会計補正予算、および第163号・千葉市大宮学校給食センターPFI特定事業契約について
 若葉・こてはし給食センターの調理業務の民間委託についてです。教育長は、学校給食の民間委託によって「学校給食の一層の向上につながる」と述べました。これでは、今まで安全な食を提供してきた直営方式を否定することにもなります。
また、学校給食が食文化を伝え、「食を通じて生きる力を学ぶ」大切な教育の一環であることから、民間委託はやめるべきです。
 公務員の栄養士が、民間業者の調理員を指導することは違法とされ、民間委託となった自治体では、目が行き届かずに異物混入事件などが相次いでおり、衛生管理や質の低下などが懸念されています。また、保護者への説明も充分果たされずに、来年度から行うというのは問題です。
 市の説明では、「栄養士は、子ども達に対する指導を充実できるようになる」といいますが、子供たちの「品数を増やして欲しい」との要望やアレルギー児などへの、きめ細かい対応を望む親の声に応えていません。
 「他の自治体での民間委託が増加しているから千葉市も実施する」とか、コスト削減を理由に民間委託化すべきではありません。

 大宮学校給食センターのPFI事業については、食材の調達や献立作成、給食費の徴収は千葉市が行うとしています。しかし、そもそも「ハサップだから安全」というのは危険です。雪印牛乳の事件では、その安全性が損なわれる事態となりました。
 「食を通じて生きる力の原点を学ぶ」という学校給食の基本が忘れさられています。教育の公的責任を放棄してはなりません。コスト優先だけでは、子ども達の健やかな発達は保障できないのではないでしょうか。

議案第157号・千葉市職員退職手当支給条例の一部改正について
 条例は、勤続20年以上の職員の退職手当、現行の62.7月を59.28月にして、差し引き3.42月分の引き下げを行うものであります。
 この影響額は、経過処置がとられるH16年度の退職者で、平均1人あたり75万円、H17年度の退職者では150万円となります。なお、12月28日議決された職員給与の引き下げは、年平均1人あたり19万1千円で、H14年度の15万円の引き下げと合計すると影響額は31万円となっています。つまり、市職員は給与と退職金の引き下げのダブルパンチを受けることになります。退職金と給与合計するとH16年度退職者は101万円、H17年度退職者は181万円の引き下げとなります。
 改正理由は、官民格差の是正ということですが、様々の問題点があり、賛成できません。
 第1に、官民格差については、不況のもとで大企業を中心に、民間が賃金引き下げ・リストラなどを行う中で、勤労市民の生活は厳しい状況にさらされています。この民間の引き下げにあわせて公務員が引き下げれば、また民間が公務員にならって引き下げることになり、賃金とそれを基本とした退職金も引き下げとなり、悪循環となっていることであります。
 第2に、長引く不況の打開へ、国民消費を拡大し、景気の回復と税収の向上、社会保障の充実が強く望まれている時に、逆行する行為であります。給与や退職金が減少すれば、消費は減り、不況を長引かせ、国や地方の税収も減ることになり、年金・健康保険など社会保障財源も減り、国民生活全体に影響を及ぼすことになります。
 第3に、市職員の退職金が181万円も減少することは、生活設計にも大きな打撃を与えます。
 今回は2年連続の大幅な賃金引き下げと、退職金の引き下げのダブルパンチとなり、反対するものです。

議案第158号・千葉市下水道条例の一部改正について
 この議案は、下水道使用料を3年ごとに見直すとして、H16年度から18年度までの汚水処理にかかわる収支計画を立て、新たに下水道使用料を3.94%引き上げようとするものです。
 市当局は、下水道事業の経費負担について「汚水私費の原則」により、汚水の処理経費は原則として使用料で賄うとして、資本費の算入率を現行の75%から85%へと10%も引き上げ、一般会計からの補助金を3年間で14億円減らして、これまでの約50億円から36億円にすると説明しています。
 一方、使用料の値上げによる収支バランスをうかがうと、この引き上げによって使用料は3年間で13億9千万円になるとされているわけで、資本費算入率を85%に引き上げるために使用料の改定を行うことは明らかであり、資本費算入率の引き上げを75%に据え置けば、現行の使用料のままですむのではないでしょうか。
 他の政令市と比べ千葉市の資本算入率が低いから、「他都市に早急に追いついて、できるだけ早く100%にし、一般会計からの補助金を廃止したい」とのことですが、他都市の下水道普及率はすでに100%に近く、建設費などの企業債発行は必要なく、維持管理費のみであることを考えれば、他都市と千葉市とを比較するには無理があります。
 第1に、千葉市は、建設費の企業債償還利息が3年間で61億4,400万円もあり、利息を資本費として扱っている以上、一般会計からの補助金を減らすことは問題であり、受益者負担とすべきではありません。長期的・段階的に進めるべきです。
 第2に、下水道事業の企業努力をさらにすすめ、建設費などのコストを縮減することとあわせて、接続率を一層高める具体的な取り組みを行うこと。納入率を高めるための努力が必要です。
 第3に、給料の引き下げや年金等の切り下げによって、市民のくらしが厳しい状況にある中で、「3年ごとの見直し」を理由に、公共料金である下水道使用料は引き上げるべきではありません。
以上、下水道使用料の引き上げを中止するよう強く求めます。

議案第160号・千葉市農業集落排水処理施設条例の一部改正について
 長引く不況のおり、改定率3.25%もの使用料の値上げで、これ以上、市民負担を増やすことには賛成できません。使用料を安くし、低い接続率を高めるようにするべきです。

議案第164号・都市計画道路新港横戸町線京成電鉄千葉線交差部工事に係る工事委託契約変更について
 この事業は、新港横戸町線と京成電鉄線の交差部の工事費11億5,500万円を8億1,500万円増額し、19億7,400万円に委託契約を変更するものであります。この新港横戸町線の道路建設にあたっては、いまだに地域住民から大気汚染、騒音、街の分析、生活道路の拡幅による用地買い上げの話は聞いているが、何の説明もないなど、不安や疑問の声が寄せられています。情報公開・説明責任・住民参画が極めて不充分であり、これでは住民との協働による「道づくり」とは言えません。事業計画を見直すよう求めます。

発議第12号・千葉市国民健康保険条例の一部改正について
 この発議は、国民健康保険法第44条で「保険者は、特別の理由がある被保険者で一部負担金を払うことが困難と認められるものに対し、減額や免除、徴収猶予ができる」と規定されているものを、千葉市の条例として制定しようとするものです。
 長引く不況の中、営業不振やリストラで失業し、家計が厳しいもとでも国民健康保険料を納付しながら、病気の際に窓口で支払う医療費を心配して受診を控え、重症化するケースも生まれています。
 本条例案は、国民健康保険法の主旨を千葉市で生かすものです。すでに、政令市の8都市では実施されていて、多くの市民に利用されています。生活保護の医療費助成とは別に、本市でも適用されることが待たれています。
 この発議を審議した保健下水委員会では、「発議の趣旨は賛成だが、市当局の努力で高額医療費の償還制度がある」とか「実施している政令市は、昔に施行されたもので、近年実施した都市はない」などの発言があり、不採択になったことは大変遺憾であります。沖縄県では、医療費の支払いに困った人が申請したところ、「制度がない」と却下されたのを不服として、県の国民健康保険審査会に審査請求を行いました。
 審査会は、「法の主旨から言って、申請されれば制度を実施すべきで、制度を実施しないのは法違反」であるとの結論を出し、県の福祉保険部長名で各市町村長に通達が出されています。千葉市でも、国民健康保険法第44条の主旨を早急に生かすよう求めておきます。

請願第8号・乳幼児医療費の拡充を求める請願について
 少子高齢化がすすむ中で、子育て世帯への支援策として、全国の自治体が乳幼児医療費の無料化に取りくんでいます。就学前までの幼児への助成も、多くの自治体に広がってきています。
 千葉市でも、本年4月より3歳未満児の窓口無料化が実施され、市民から喜ばれていますが、幼稚園や保育所に通うようになって、さまざまな病気にかかる3歳過ぎの子どもたちへも助成を拡大することが求められています。
 この請願は、子どもの幸せを願って活動する「新日本婦人の会」の皆さんから出されたものです。市民からの切実な願いであり、子育て支援策の1つとして、乳幼児医療費助成制度を拡充してほしいとの訴えであります。保健下水委員会の審議では、他政令市ではすでに実施している施策なので、本市でも早急に検討するよう求める意見が、私ども日本共産党以外の2会派からも出されていました。1日も早く、市民の期待に応えて実現できるよう望むものです。

 最後に、2学期制についてひとこと申し上げます。明治以降行われていた3学期制を変えて、2学期制を市全体で実施するにあたって、常任委員会での報告だけで審議が行われないというのでは、議会に対しても、市民に対しても、市の説明責任が果たされていないことを申し添えておきます。

 以上、日本共産党千葉市議団の態度をのべて、討論を終わります。