ふくなが洋議員の
予算議案に対する反対討論


2004年3月17日
 日本共産党千葉市議会議員団を代表して、本会議に提案された  議案中 6議案についての反対の立場からの討論を行います。

市長の基本姿勢
 第1は、市民の平和の問題です。
 イラクへの派兵強行について市民のいのちにかかわる問題を、あいかわらず「国の専管事項」としか答弁しないことは市民の命を預かる市長として無責任だといわざるを得ません。
 第2は、三位一体改革を評価する態度も問題です。
 「これでは三位バラバラ改悪だ」と梶原拓岐阜県知事・全国知事会会長が発言し、また全国市長会も2月23日「地方財政の三位一体改革で地方交付税の削減が続けば「破綻状態におちいる自治体が数多く生じかねない」と改革の全体像を早急に示すように緊急要望を総務省に提出しています。
 千葉市も同様に厳しい予算を組まざるを得ない情況です。地方交付税が削減され財政破綻といわれる「三位一体改革」を「評価」することなどできないのではないでしょうか。
 約177億円の収支不足の新年度予算は、地域再生事業債、禁じ手といわれる土地開発基金、市庁舎整備基金までも取り崩すことなどで補います。
こんな非常事態にもにもかかわらず、蘇我臨海開発予算には約100億円、 千葉駅西口再開発関連事業約8億円、千葉中央第6地区市街地再開発約12億円、中央港土地区画整理事業には約20億円もの予算を組み4事業で約140億円、その他大型道路、新港横戸町線も合わせると186億円の税金が投入されます。
 見通しのない大型開発に、このような莫大な予算を組むことは問題です。
 第3に、借金と財政運営の問題です。
 莫大な借金によって編成された新年度予算の借金残高は、市債が440億円、債務負担行為は210億円増となっています。これによって、新年度全会計の借金残高は市債及び債務負担行為とその利子の合計で1兆3,312億円になり、これに市債管理基金からの借入金総額60億円、基金からの借入金総額40億円が加わります。これで、市民1人あたりの借金額約147万円になります。また、自主財源の構成比が60%を割り59.5%となりました。
 そして、市債の構成比が新年度は18.8%となり、5年後にはなんと27.3%と予想されるように、将来の財政運営がさらに困難になることを示しており、さらに返済見込みについても明確な回答はなく、鶴岡市長は「市税の歳入見込みは神様しかわからない」と、無責任な発言をすることは許されません。
 新年度予算では「暮らし福祉を守りながら財政再建をする」ことが急務であり、そのためにも財政危機を作ってきた大型公共事業を大きく見直すことであり、さらに地方交付税の削減中止、必要な税源移譲を国に要求すべきです。
 同じ政令市の広島市の秋葉市長は、長野県のダム見直し委員会で知られる法政大学の五十嵐教授を含む7人の専門家からなる「公共事業見直し委員会」を設置して、10億円以上の大型公共事業をすべて白紙から見直す作業を始めています。兵庫県の尼崎市でも、福祉を守りながら財政再建を進めています。
 千葉市は、長野県や広島市のように公共事業を見直して、財政再建をはかる方向をきちんと打ち出すべきです。ここにメスを入れた新年度予算に改めるべきではないでしょうか。      
 千葉中央第6地区の再開発は、全体事業費が約432億円にもなる事業です。建物82%が千葉市の公共施設です。補助金が約47億円あるとしても、その半分を千葉市が負担するわけで、市は約408億円もの市民の税金を支払わなければなりません。
 先の12月議会では、他会派からもこの第6地区のプラネタリウム建設に強い懸念が出されています。
 さらに、蘇我臨海開発が十分な合意もないまま急ピッチで事業が進められていることは問題です。
 また、中央港土地区画整理事業は、民間の土地18億円で下水道用地として購入することが決まりました。駅前の一等地を雨水ポンプ場とすることは、これまでの街づくりの計画を根本から変えることになりますし、これまで「みなと公園に建設する」と説明していたことを簡単に変えることも納得がいかないのです。
 千葉駅西口再開発も見通しがありません、ここも大胆に見直し、暫定利用を進めて計画を大幅に修正すべき時です。
 これら大型公共事業は先に提案しましたが、「将来にわたる公共事業のあり方、公共事業の見直し、個別大型プロジェクトの見直し」などを行う委員会を設置して、根本的に改革を行うべきです。
 さらに問題なのは、県議の市税滞納事件で、市長の責任ある態度が明確になっていない問題があります。税の不公平は行政の根幹にかかわる重大問題です。
 真相究明も不十分なままフタをすることなどもってのほかです。
 読売新聞の2月16日付け社説でも、「課長の一存ですんなり多額の滞納が免除されたのはなぜか、組織の病根に鋭くメスをいれないかぎり納税者の信頼は回復できまい」さらに「市町村の税務行政に不信感を抱かせた90万都市・千葉市の責任は重い」とも指摘されていますが、この指摘にもまったく答えないのでは、市民の納得は得られません。市長が先頭になって、真相を明らかにすべきです。
 さらに、社会福祉法人ほうゆう会への予算をめぐって、予算特別委員会でも激しい議論が展開されて指摘要望事項にもなりましたが、これまでの千葉市の指導管理責任は極めて重いにもかかわらず、後手後手の対応であり「厳正に指導する」といいながら、実態はまったく変わらないのでは、子どもの利益や権利を守ることはできません。
 措置費の不明朗会計や大きな社会問題になっているのに、理事会の責任が問われないのも問題です。全会一致で可決された「ほうゆう会」の改善を求める請願書でも指摘されているように、理事会の解散も視野に入れた抜本的な改革が急務です。
 新年度予算では、乳幼児医療費助成の拡大が4歳未満まで行われる。特優賃の市営住宅化。子どもへの安全対策やトイレの改修など前進面もありますが、財政危機といわれる情況では、くらし・福祉優先で無駄な大型公共事業を見直し、財政再建に大きく踏み出すときです。
 続いて、個別の問題について指摘をします。
 1つは、総務局にかかわるものです。
 指定管理者制度は、公務を民間に丸投げするもので「住民が等しく必要なサービスを安価・低廉な利用料で受けられる」公的サービスが受けられなくなり大問題です。
 また、県議の滞納税問題を究明する100条委員会が否決され、真相究明の請願は不採択では、市民の付託に答えることができません。
 市長交際費が1,800万円計上されていますが、昨年の決算額は1,378万円ですから、千葉市の財政状況から大幅な削減が必要です。
 また、透明な行政のためにも、長野県知事のような1日のスケジュールを公開して、市民の誰もが市長と面会できるシステム作りが必要です。
 国際交流は、市内に在住する外国人は中国・韓国・フィリッピンなどの国籍を持つ人が1万人を越えています。こうした人たちとの交流を深め、通訳を充実することなどが求められます。
 2つは、企画行政です。
 「先に四街道市との合併ありき」で、準備を引き続き進めることは問題です。公民館の改築や文化ホールなど、身近な施設が次期5カ年計画に先送りされることも問題です。
 千葉市の第3次拡張事業で、県から工業用水の余浄水押し付けは道理がありません。人口推計、1日最大給水量を過大に見積もることは、市民の負担を増やし環境破壊につながります。無駄な投資と負担金の支払いは中止すべきです。
 3つは、市民行政です。
 「落書き防止条例」「路上喫煙防止条例」については、私どもは修正案を提出して改善を求めました。修正案が否決されたことは大変残念です。
 修正案では、罰金を科すことによって新たな冤罪を生む問題があることを指摘し、また公共施設に落書きを防止を限定をしたことは、市民の財産権にかかわる事でもあり、千葉市としては公共施設に限定をすることにしたものです。
 何よりもこうした問題は、市民道徳の育成やマナー、ルールをキャンペーンなどで広めて防止をすることが必要です。そんな地域こそが安心・安全な社会になります。
 住基ネットは、千葉市の目標枚数23,000枚に対して、現在わずか1,598枚です。これでは住基ネットへの進入やプライバシーの侵害が問題になっている住基ネットは制度の見直しをすべきです。
 女性センターに保育士が配置されたことは一歩前進です。私どもはセンター建設当初から求めてきたところです。2歳からと年齢制限することなくすべての子どもを保育すべきです。
 4つは、保健福祉行政です 
 長期不況、失業者の増大で、国民健康保険の加入者が増加しています。滞納世帯が3万件を越え、資格証明書の発行は15,045件にのぼり、医療にかかりにくく命を落とすケースも出ています。市からの繰り入れが1人あたり19,755円で、政令市13市中11番目です。
 国民健康保険への繰り入れを政令市平均まで増やし、保険証を他市にならって、まず送付して市民の命を守ることではないでしょうか。
 にもかかわらず「千葉市国保を考える会」から、9,729名の署名で切実な市民の願いである「国民健康保険の改善・充実を求める請願」が不採択になったことはきわめて遺憾です。
 今後、市立保育所の建て替えで「民営化を行い、コスト優先で保育を行う」ということは重大な問題です。
 5つは、環境行政です。
 地球温暖化が問題になっているのに、予算を削ることは問題です。大気汚染・地下水汚染対策や産業廃棄物対策を始め、太陽光・風力・バイオマス発電など再生可能エネルギーにもっと積極的に取り組むべきです。
 6つは、経済農政です
 深刻な不況のもと、中小業者への融資をはじめ公的な支援がもっと必要です。
 全国的な問題になっている鳥インフルエンザ対策を先駆的に行おうとしないことは問題です。
 幕張メッセ負担金についてですが、稼働率が7割以上でも膨大な赤字のため6億8,000万の負担をすることは認められません。
 7は、都市行政についてです
 市民生活に密着した施策は遅々とすすみません。市政住宅は、築30年以上が全体の2分の1を占め、このうち汲み取りトイレ世帯が314戸残され、水洗化する計画さえないのは問題です。約7億円の修繕予算では老朽化に追いつきません。
 また、市民の足となるバス交通予算は年々減り続け4年前の半分です。各地域から要望されているコミニュテイバスの運行を早期に実現すべきです。
 花の街づくりについては否定するものではありませんが、学校などへの押し付けで、花の街づくりを進めるのではなく、自主的に取り組んでこそ意義があるのではないでしょうか。
 一方、マリンスタジアムの「武富士」の看板は、会長が反社会的行為で逮捕されているにもかかわらず撤去を拒んでいます。これでは、花の街づくりを進めても、千葉市の都市イメージは悪くなるばかりです。「武富士」の看板は至急に撤去すべきです。
 8は、消防行政です。
 消防団器具置場改築整備が、新年度予算で1箇所の整備しか計画されていません。このテンポでは整備が終わるのに何十年もかかります。6,000万円の予算を組めば、最低でも5箇所の整備ができます、早急な改善を求めます。
 9は、教育行政についてです。 
 千葉県の生浜高校全日制廃止や千葉高定時制の廃止など、千葉県の「県立高校再編計画」に対して「その動向を注視をする」という教育長答弁は、千葉市の子どもの切実な思いを裏切るもので、教育行政を預かる者の責任ある態度ではありません。
 市立土気幼稚園の廃園・市立土気保育所の民営化を進める姿勢も容認できるものではありません。
 学校給食については、コスト面を重視し、調理の民間委託で経費削減をおこなうより、子どもたちの人格形成のためにも、アレルギー食などきめの細かい給食にすべきではないでしょうか。
 障害を持つ子どもを含めて、行きとどいた教育を行うためにも35人学級を早期に実現することが求められます。
 また、継続審議となっていた「議場への国旗・市旗の掲揚を求める」陳情が、議会運営委員会で可否同数となり、委員長採決で可決されたことは極めて許しがたいことです。
 1999年国旗・国家法制定時には、政府が「国民に対しては義務付けは考えてない」と言明していたのにもかかわらず、こうした採択は強制につながるものであり、「良心の自由」の侵害です。議場に「国旗」を掲揚すべきではありません。
 さらに、意見書案について、同趣旨の場合はすりあわせし提案をすることがルールになっているのに、そのことを認めようとしないことは全く理解できないものです。
 以上で討論を終わります。