やなぎだ清議員の代表質疑に対する答弁(要旨)


2004年3月2日
【鶴岡市長】
○ 市長の政治姿勢について
 このたびの復興支援、人道支援のためのイラクへの自衛隊派遣は、国の専管事項である。派遣される自衛隊員が、無事に任務を果たし帰国することは国民全体の願いと信じる。有事関連法案は、3月上旬の閣議決定後に国会で審議されるが、動向を見守る。
「三位一体」改革は、国庫補助負担金の一般財源化と税源委譲として所得譲与税が創設され、所得税から個人住民税への基幹税移譲の道筋が示されたと評価している。今後、「三位一体」改革の進め方を早い段階で明らかにするよう国に要望していく。
地域再生事業債の活用は、市債残高が増加傾向にあり抑制に努めることを基本に、地域再生事業債など将来の元利償還金に交付税措置がある市債を、各種事業の着実な推進のため有効に活用したい。基金からの借り入れは、各種基金の設置目的を妨げない範囲で活用するのが基本だ。新年度も効率的な予算執行やその他財源確保に取組む。市債の借入金返済は、景気の回復如何に関わらず、利率等を定めた借入先との約定で、償還計画を作成し返済を行う。今後の市債や債務負担行為の活用も、後年度の財政運営に及ぼす影響を的確に見通し、適切な活用に努める。
 新年度予算は、極めて厳しい財政状況だったが、斎場建設や保健福祉センター整備など、新5か年計画の推進を基本に、少子高齢化への対応や教育環境の整備、安全・安心な環境づくりなど市民生活密着の施策に予算を重点的に配分した。
都市再生及び大型プロジェクトは、蘇我特定地区などの都市基盤整備で快適な生活環境の向上、都市機能の増進、雇用創出、税源涵養につながり、都市再生と地域経済活性化に効果があるもの。
税金問題は、本来公平・公正であるべき税務事務で不正処理があったことは遺憾であり、二度と起きないよう服務規律の徹底で、再発防止を講じた。関係職員は、事情聴取を十分行い厳正な処分を実施した。市長・助役も地方公務員法は適用されないが、自戒措置で減給とした。
県議からの圧力はない。延滞金の徴収は、分納誓約書が出ており、その納付状況を見て適正に処理したい。一般的に、時効となった延滞金は法的に請求できない。刑事告訴については、引き続き関係機関と協議中だ。今後も襟をただし、市民の信頼回復に向けて努力する。
第6地区の再開発については、中央区役所が区役所周辺での用地取得が難しく、地域の保健福祉拠点を早期整備する観点から、福祉事務所と保健センターを統合した保健福祉センターを、近くの中央第6地区市街地再開発の中で整備することにしたもの。保険・福祉に関する申請等の添付書類を保険・福祉センターで交付するなどの検討を行っており、利便性の確保へ工夫している。
児童センター、こども科学館、産業振興会館など市民・民間団体からの要望を基に、新総合ビジョン、新5か年計画に位置づけており、すすめていく。
公共事業の談合防止への改善は、H15年4月からの制度改善で、不正行為があった場合、損害賠償予定条項を契約約款に新設し、契約金額の10%賠償予定額にした。250万円以上の工事の予定価格、最低制限価格は事前公表し、落札業者からは、工事費内訳書を徴収する。設計コンサルタント業務等も、損害賠償予定条項を新設し、最低制限価格を試行導入と最低制限価格の事前公表を実施している。今後も、不正行為の防止に向け、入札制度検討会等で検討を進めていく。
公共施設の修繕費は、厳しい財政状況のもとで一定の縮減を行っているなかでも、市民利用の安全性や利便性の観点から、前年と同額を配分し施設の適正管理に配慮した。公共施設の修繕は、適正な履行を確保するため、建設工事、物品等入札参加資格者名簿で行うが、発注は、可能な限り市内の中小業者へ発注するよう指導している。
○ 総務行政について
 指定管理者の選定は、管理経費の縮減以外に、施設設置目的の達成能力、住民の平等利用、物的・人的面の業務遂行能力など、条例で定める選定基準で行う。実際の管理業務で、公共性や適正管理に重大な支障が生じた場合、設置者側の管理監督権で、指定取り消しなどができ、施設の公共性は確保できる。今後、新たに開設する施設は、指定管理者制度を原則導入する。既存施設は、施設の専門性・特殊性などから導入運の是非を検討、その結果導入すべきものは、18年度から移行を予定している。この制度の目的は、民間能力の活用であり、管理経費の縮減や利用者サービス向上など管理水準の維持向上にあることから、設置者が管理の実態を掌握できるよう、指定管理者には、毎年度、業務の実施状況や施設の利用状況など事業報告書の提出を義務付けている。その内容で、必要な指示を行い、成果の向上に努める。
 行政改革は、社会経済情勢や地方分権推進に的確に対応した、簡素で効率的な行財政運営を行うため、積極的に推進している。行政の役割り、受益と負担の公平確保、行政の効率・効果、市民サービスへの影響など多角的に検討し、事務事業の改善・改革を行っている。
 事務事業で所期の目的を達成、受益の公平の観点から廃止や引き下げを行った。補助の目的達成度、国県の動向も踏まえ、市民生活への影響も考慮して見直したものだ。
 民間保育園の補助金では、委託料の減少は主に人事院勧告の給与引き下げに伴うもので、公立保育所との格差は広がらない。
○ 企画行政について
 地上デジタル放送は、多様なサービスが可能になるもの。自治体としても、防災情報の提供や双方向機能の活用など、テレビを通して市民に新しい行政サービスが提供できるもので、今後の進展に期待している。よって、国への見直しを求める要望は考えていない。
 都市基盤整備公団住宅の問題は、建て替えに際し、公的住宅としての役割りを踏まえ、居住者の意向に十分配慮し、市とも協議しながら計画的に整備されている。
○ 市民行政について
 「落書き」は、一般的に器物損壊などの犯罪行為であり、都市の美観を損なうなど市民生活に与える被害は深刻だ。「路上喫煙」は、市の職員へのアンケート結果で、歩きタバコによる火傷、荷物の焦げなどの被害があると答えている。「落書き」「路上喫煙」のいずれもモラル・マナーの問題として対応するだけでは困難と判断し条例で規制するものだ。事実認定は、違反行為の現場で、現行犯として対応するので、事実認定を誤る恐れはない。罰則は、「落書き」の犯罪性から、「路上喫煙」はルール違反の場合に、それぞれ5万円以下の罰金と2万円以下の過料とするのは問題ない。
 住基ネットのシステム乱用の危険性については、各自治体および指定情報処理機関並びに各委託先で、本人確認情報の取り扱い事務の従事者へは、住基台帳法で守秘義務や通常より重い罰則が規定されている。システムの利用の際は、繰作者用ICカードとパスワードで、繰作者と使用データ範囲を限定し、繰作履歴の記録など技術面・運用面で保護対策が講じられているので、危険性はない。住基ネットは、住民の利便性向上や負担軽減を図り、行政の合理化に資するもので、全国的に区域を越えて本人確認ができるよう構築したもの。市区町村長は、住民票記載の本人確認情報を都道府県知事へ送付が義務付けられている。総務省見解でも、選択性や任意性は認めておらず違法とされている。近年のIT社会の急速な進展と電子申請など高度情報化社会到来の時代を勘案すると「行政情報化の基盤」として是非必要であり、制度の見直しを求める考えはない。
○ 保健福祉行政について
 乳幼児医療費助成制度の周知は、対象世帯への個別通知や全医療機関にポスター掲示など様々な広報で徹底する。県内のほぼ全ての医療機関で、現物給付での受診が可能だが、県外での受診は、審査支払事務が都道府県ごとに行われるので現物給付は困難だ。200円の保護者負担は、低所得の方々に配慮し、一定の所得以上の人から無理のない範囲での負担となっている。この制度の維持のためにも必要だ。
 「鳳雄会」問題では、理事会が著しく適正な運営を欠くとして、2月2日の改善勧告とあわせて人事・組織面も重要であり、運営体制の刷新を指導している。ほうゆう学園分会からの抗議文への対応だが、昨年11月10日に前施設長が、来庁し実情を話した内容で理事長を指導した件は、「施設長の変更は慎重に」と話したものだ。開設準備金は、1月19日に特別監査を実施し、帳簿・領収書などで確認したもの以外は、目的外使用、対象期間外、支出裏づけのないものの返還を求めた。児童相談所は、増加する児童虐待の早期発見、早期対応を図るため、H13年度・14年度に児童福祉司、心理判定員等4名増員し体制の充実を図っている。予算は、新年度当初予算で前年比5.47%増の1億4,280万7千円計上した。
 国民健康保険については、市の要綱に定める特別の事由がある場合は、保険証を交付することにしており、資格証明書の一律発行はしていない。被保険者への訪問は、納付相談で個々の事情を聞きながら対応している。
○ 環境行政について
 地球温暖化対策に係る予算は、環境保全部の地球温暖化防止キャンペーンなどの温暖化対策事業費をH16年度3,500万円計上している。関連事業として、太陽光発電設備の設置がある。市民等への普及啓発、活動支援はこれまでも市民や事業者の協力で推進してきたが、「地球温暖化地域推進計画」推進へ協議会を設置し、アクションプランを策定することにしている。
○ 経済農政行政について
 市内中小企業の支援は、一店逸品創出支援事業や資金需要面から融資制度の見直し、既存事業直しで効果的・効率的な予算配分を図った。事業所の直接訪問調査は、景況調査や製造業での新事業発掘調査など、その時々の課題で商工会議所や産業振興財団と連携し実施している他、日常の業務活動や商工関係団体等との事業活動を通じて実情把握に努めている。
○ 都市行政について
 特定優良賃貸住宅の経営は、空家住戸を市営住宅化することで公社の欠損金の軽減が図られる。特優賃の空家解消策は、入居促進を図りつつ市営住宅化を検討している。
 コミュニティバスの運行は、利用者数を1便あたり5人程度と想定している。1日の運行数・運行路線は、地元協議会で検討する。車両は、小型バスを前提にバス事業者と協議中だ。今後の計画は、「バス交通に係る対応方針」に基づき、対策が急がれる乗合バスの退出後の「交通不便地域」に導入を進めていく。
○ 建設行政について
 交通バリアフリーでは、道路特定事業計画で駅の自由通路にエレベーターを設置することにしている。H16年度では土気駅北口自由通路に設置する。歩道の段差解消は、新町若松町線などの特定経路19路線、約6,100mの整備を行う。特定経路以外のバリアフリー事業は、歩道段差解消を206箇所、視覚障害者誘導ブロック約1,700m整備の予定。

【小島助役】
○ 国民健康保険について
 介護納付金は、介護保険制度を運営する国が、介護サービスの需要見込みから納付金総額を積算し、各医療保険者が負担することになっている。保険料は、国庫負担金等で賄うことが原則だから、繰り入れは考えていない。
○ 鳥インフルエンザについて
 市民に対する予防のための啓発・対策を進めるための予算については、予防は鳥との接触後はうがいと手洗いが重要だ。市民からの相談は、保健所で対応する他、市のホームページで予防方法等を周知している。
○ 消防行政について
 消防職員の飲酒事故については、交通事故防止はじめ、職務の執行に当たって各種法令の遵守は厳しく指導してきた。今回の事案発生に鑑み、更に綱紀の保持を通達し、救急業務の適正運用を厳命した。今後、二度と起こらないよう救急隊員はじめ全職員の指導教育を徹底する。
 花見川消防署施設の活用では、職員寮は耐震性能上、消防局では倉庫以外利用できず、公民館としては難しい。消防署庁舎は37年を経過して、雨漏りなどの不具合が度々発生し、老朽化が著しく他用途には適さず、解体して土地を有効利用する。
 花見川区横戸町と緑区あすみが丘の消防用地は、今後の人口動態や防火対象物の状況等当該地域の進展を見ながら消防出張所の設置を検討する。施設は老朽・狭隘化した庁舎を建設優先して整備している。
 携帯電話での119番通報の位置確認等の対応では、位置が確認できない場合に最寄の公衆電話や一般加入電話から通報するよう協力を依頼している。通報者の様子がおかしい場合は、携帯事業者に発信エリア、所有者、電話番号等の照会を行い、通報者の所在確認し、救急隊や消防隊を出動している。県警では、番号で位置を確認する電柱表示システムを活用しているが、携帯からの発信表示機能を通信事業者が研究中で、その動向を見守る。

【林 助役】
○ ごみの減量について
 ステーション回収での回収量は、年間約576トンを見込んでいる。集団回収未実施地区は、町内自治会の理解を得ながらステーション回収の拡充に努める。生ごみ処理機購入への補助制度は、H2年から始め、H15年12月末で累計18,146基に達している。これで、年間約1,870トンの減量を見込んでいる。地域型生ごみ処理機設置モデル事業は、現在検討中で、結果を見て、今後の生ごみの減量施策へ反映したい。狭隘道路用の2トン収集車は、新年度での増車はしない。
○ 農政問題について
 市内農産物の利用促進は、安全・安心な農産物を供給するため、減農薬減化学肥料栽培の大根・人参・ほうれん草・じゃがいもを学校給食センターや病院に供給する支援と、教育委員会・中央卸市場・農業団体等と連携し供給量の拡大に努めている。ホテルでのイベントや大型スーパーでの地場野菜コーナー等でPRしたり地産地消を推進、消費拡大と安定供給に努めている。
 市民農園は、市民ニーズに対応するため、生産から収穫まで体験できる農園を整備し推進している。本年1月現在、28農園・約72,000?整備され、1,648世帯の市民が利用している。今後も、市民の交流促進と地域活性化へ整備する。
 家畜糞尿処理では、適正処理へ家畜環境アドバイザーを配置し、施設整備希望農家46戸に技術的支援を実施、施設・機械整備に5億9,800万円余を支援する。これで、廃業等を除く全ての畜産農家が法律に定める処理が可能となる。堆肥利用は、耕種農家と畜産農家の連携で「畜産堆肥利用検討会」を設置、千葉県・千葉市・市原市・八千代市で構成する「地域畜産経営環境保全推進指導協議会」のネットワークを活用し、有効利用を図る。
○ 都市問題について
 災害に強い街づくりでは、耐震診断助成制度について市政だよりやホームページに掲載し、リーフレット配布などPRしている。要望があれば、自治会や町内会等へ職員が出向き説明するなど、制度の普及・啓発に努めている。受付場所は、建築指導課で行っている。診断後は、住宅改良資金利子補給制度、分譲マンション改良工事資金利子補給制度で対応している。住宅改良資金利子補給制度は、H16年度から診断結果で利子補給率を改善する。
 市営住宅の修繕は、要望に基づき緊急を要する住戸から計画的に実施し、適正な管理に努める。
○ 鳥インフルエンザについて
 市内の養鶏場は13か所、羽数は採卵鶏が約20万羽、ブロイラー約200万羽だ。防疫マニュアルは、養鶏農家に対し飼育鶏に神経症状・呼吸器症状・消火器症状等が表われた場合、直ちに家畜保健衛生所等の関係機関へ報告を求めている。
○ 建築行政について
 美浜長作町線・武石インター付近の改良は、インター海側の幕張地区からインターまでの約520mを街路事業として、山側は習志野市との行政界までの860mを主要地方道千葉鎌ヶ谷松戸線の道路改築工事として用地取得中だ。県道長沼船橋線の長沼十字路までの約400mは、県管理の県道だから、県に整備を要請している。
 柏井町三角町線の整備は、鉄工団地部分の測量調査中で、H16年度から暫定整備する予定。柏井町方面は、整備へ検討中だ。
 横戸町23号線の整備は、延長420mの区間を拡幅整備する計画だ。予定地の中に一部村中持ちの土地があり、関係自治会と協議中だが合意は得ていない。
○ 下水道行政について
 H15年度当初の供用開始済み約336,000世帯の内、未接続数は約18,000世帯だ。15年度中に新規供用が約12,000世帯見込まれている。そこで、訪問指導やイベント等で接続を促進し、新規接続約13,400世帯、接続率0.4%増の95%をめざしている。土地所有者が不明で整備できない箇所は、H14年度に補助制度を設け、共同設置の希望者へは、誓約書等の提出で補助金を交付している。現在、該当箇所は13か所あるが、H16年度は地元から打診の8箇所を予算化した。老朽管の改修は、5か年計画で敷設後50年経過した中央区の市街地と地盤沈下や硫化水素での腐食が発生している美浜区新港地区を計画的に実施している。次期5か年計画では、松波、弁天地区などで改修のための調査を行っている。

【教育長】
○ 子どもの権利と教育環境について
 国連子ども権利委員会から「教育制度の過度に競争的な性質による、子どもの身体的・精神的健康への悪影響や最大限可能な発達が阻害されている」などの懸念が示されているのは承知している。千葉市は、H12年度に「学校教育改革会議」を設置し、「完全週5日制」「新学習指導要綱」への対応で、「わかる授業・楽しい教室・夢広がる学校づくり」を進めている。本年4月からは、全市一斉に学校二学期制を実施、ゆとりの中で、自らの能力を最大限伸ばせるよう努力している。
 義務教育予算は、前年度比7億円増となっており、今後とも充実を図る。
○ 県立高校再編計画について
 この計画は、価値観の多様化、国際化、高度情報化など社会の変化や中学卒業者数の減少、教育ニーズの多様化など、環境の変化に対応し魅力ある高校をつくるものと聞いている。実施プログラム案は、県教育委員会で検討中だからその動向を見守る。
○ 学校給食について
 給食の安定供給、食に関する指導の充実、運営の合理化・経費節減などについて総合的に勘案し、実施するものだ。したがって、これまで通り市が責任をもって安全でおいしい給食を提供するとの目標は十分達成できると考える。