木田ふみよ議員の発議討論


2004年6月23日

 教育基本法の「改正」に関する意見書が出されていますので、反対の立場から討論を行います。
 意見書では、近年「規範意識や道徳心」が希薄化し「青少年の凶悪犯罪」につながっており、学校教育では「学級崩壊やいじめ、不登校、学力低下」などの問題を抱えているので、教育基本法を「改正」すべきとの内容です。
 しかし、これは、今日の教育の荒廃が、教育基本法に原因があるとするもので、なんら根拠も道理もない主張です。
 1947年に制定された教育基本法は、戦前の教育への深い反省に立って制定されました。「国のため」にすべてを優先させる「国家主義、軍国主義」が、教育を通じて子ども達に注ぎ込まれ、国民を侵略戦争に駆り立てたことを反省したものです。教育基本法の前文では、日本国憲法がめざす「民主的で文化的な国家の建設」や「世界の平和と人類の福祉への貢献」の実現は、「根本において教育の力にまつべき」であるとして、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」ことや「普遍的」で「個性豊かな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない」ことを明記し、「教育の目標」に「人格の完成」「平和的な国家、社会の形成者の育成」を掲げたのです。この崇高な「教育の目標」を変える理由が、どこにあるのでしょうか。
 むしろ、長年、日本政府が「人格の完成」や「教育行政による教育の支配の禁止」など、教育基本法の精神に反した、世界でも例のない「競争と管理」の教育体制をつくってきたことこそ、いじめや暴力などの教育の荒廃をつくり出した、大きな原因です。このことは、本年1月に日本政府が、「国連・子どもの権利委員会」から「過度に競争的な教育制度によって、子どもの身体及び精神的な健康に悪影響が生じている」と厳しく指摘され、批判されたことではありませんか。
 与党の自民党・公明党が合意したとされる「教育基本法の全面改正」は、政府が中期的な「教育目標」を決めて現場に指示するなど、禁止されている「政治による教育介入」を認める内容です。
 また、教育の目標に「愛国心」をすえようとしていますが、愛国心は本来、国民1人ひとりの見識や社会の自主性にゆだねるべきものです。政府が法律で上から押し付けるやり方は、戦前の「国家主義、軍国主義」につながるもので、民主主義の原則とは絶対に相入れるものではありません。
 以上の立場から、今回提案された「教育基本法の改正に関する」意見書に、日本共産党市議団は、強く反対するものです。