小関としゆき議員の討論


2004年6月23日

 日本共産党の小関としゆきです。市議団を代表して、提出された23議案中、議案第72号、73号、74号、75号、76号、89号、90号、91号に反対するとともに、発議11号が否決され、請願第4号、5号、6号の1、6号の2、6号の3が不採択となりましたので、討論を行います。
 
 まず、議案第74号・千葉市交通安全共済条例の廃止についてですが、1967年(S42年)4月発足以来37年間、多くの市民とりわけ子どもや高齢者、女性などの交通事故に関わる共済見舞金を給付し、大きな役割を果たしてきました。
 廃止の理由として、民間保険や共済制度が充実し、加入者も減少したことで、事業の健全運営が困難になったとのことです。
 しかし、加入者数は、現在98,582人で対人口比10.8%です。この共済の魅力や存在意義は、年間500円の掛け金で加入でき、事故の際、一定の見舞金が給付されることです。
 長引く不況で、生活の困難な人は多く、必死に頑張っている方がたくさんおられます。一人親家庭の子ども達や、わずかな年金で暮らす高齢者など、500円の掛け金で加入できる共済は、安心・安全の心強い支えとなっています。
 健全運営が困難といっても、赤字になっているわけではありません。年間に必要な事務費も、わずか700万円です。この間、事業の改善や加入者獲得の努力をしなかったのは、行政の責任ではないでしょうか。
 しかも、千葉市の行政の中で約10万人・10%の市民に該当する行政サービスは、どれくらいあるのでしょうか。今議会に提案されたスケート場建設は、入場者約6万人を対象に約20億円余りの支出です。サッカー場は、10万人の入場者を確保できるかどうかわからないのに施設81億円、アクセス道路など含め300億円以上です。わずかな予算で、10万人の市民の安全と安心を確保するために、民間保険会社などとの協力も含めて、継続するよう強く望むものです。
 
 つぎに、議案第75号・千葉市保育所設置管理条例の一部改正は、土気地区の唯一の公立保育所を廃止するものです。
 「人件費が公立より民間のほうが安いから」と言うのでは、「子どもたちに、より良い保育を」と願う保護者の要望にそむくものです。
 全国の民営化された保育園では、父母・保育士・自治体が協力し合い、これまで築いてきた保育水準や実績が継続されず、退職する保育士が多く、子どもたちの心にも影響を与えて、大きな怪我が相次ぐなど、いま問題となっています。
 地域の「子育て支援」の拠点として、大切な役割を担ってきた公立保育所を廃止し、民営化することに反対するものです。
  つぎに、議案第76号・千葉市幼稚園条例の廃止についてです。千葉市は、廃止の理由を「建物の老朽化と3年保育の必要性から」と説明しています。
 しかし、これまで、市民や議会から「3年保育の実施を」求める意見が出されていながら、これを無視し続けておいて、今回、廃止の理由にすることなど、到底認めることはできません。
 少子化が進み、2003年度の出生率は、国が1.29、千葉市は1.19とも言われ一層深刻化しています。少子化対策として、教育費の負担軽減が有効だと指摘されていますが、私立の幼稚園の経済的負担は、公立の3.9倍にもなります。負担軽減こそ最優先すべきではないでしょうか。
 今回の決定は、半年前の昨年11月19日に教育委員会会議で議論された結果だとしていますが、それまでに、関係者や市民の声を聞き、議論に反映することなく廃止を決定した後で、関係者の理解を求める説明会を行っています。こうした、市民不在のすすめ方は、時代錯誤と言わざるを得ません。教育委員会会議のあり方を改善するよう強く求めるものです。
 また、これに関連して地元の保護者から、やむにやまれず提出された陳情が不採択となったことは遺憾であります。
 つぎに、議案第89号・91号は、新港横戸町線の建設工事に伴う契約についてですが、特に第91号は、京成電鉄交差部工事として委託契約されたものです。
 4ヵ年の工事計画、総額44億9,000万円のうち、今年度の工事分と説明されています。「鉄道部分の工事だから」と京成電鉄に委託しますが、工事の積算根拠や入札などに、千葉市の意向がどこまで入っているのか、その透明性に疑問が残るものです。
 
 つぎに、議案第90号・蘇我特定地区北側横水路改修工事請負契約は、国道357号線と西千葉駅稲荷町線の交差点周辺の改良が行われ、一部道路車線を拡幅するものです。この道路は、年中渋滞しており、特に夏の時期は大混雑となる場所です。
 今回の工事によって、商業施設は大きな利便性を得ることになります。それなのに、費用は国と千葉市が全額負担し、JFEには負担させないというのは納得できるものではありません。
 ピーク時の車の台数は17,600台あり、商業施設側に迂回路として誘導しても、抜本的な渋滞解消策にならないことが明らかになりました。
地元の3回の説明会でも、「納得できる施策になっていない」という声も上がっています。
 絶滅保護種の「ウラギク」を生実川へ移植し、環境を破壊しながら道路を拡幅しても、交通渋滞は解消どころか、一層ひどくなることが予想されています。
 このような、環境破壊とJFEのための開発は、到底認められません。
 請願4号・蘇我駅に公衆トイレの設置を求める請願が、当局から「蘇我駅周辺の整備計画で、公衆トイレが設置される」と説明されたので、請願は必要ないとして不採択になったことは、市民の請願権を無視するものであり、市民や駅利用者が不便を感じ、トイレの設置を求めて提出された請願ですから、採択すべきです。
 
 請願第5号は、無免許マッサージから住民の命と健康を守る請願です。本来、国家資格が必要な治療行為である指圧やマッサージなどが、「ボディケア」や「足裏マッサージ」の看板で「治療」ではなく「ケア」だとして、無免許での営業が増えています。
 昨年2月には、この事態を重く見た厚生労働省が、各都道府県知事あてに、免許を受けていない「あんま・マッサージ又は指圧を業とする者の取り締まり」についての通知が出されています。無免許マッサージは、受療者の命と健康を脅かし、医療に対する信頼を損なうことになります。市民の安全を守るための請願であるにもかかわらず、不採択としたことは残念であります。
 
 請願第6号は、障害者の切実な願いの実現を求める請願であります。支援費制度の改善、医療費助成の現物給付、障害者の雇用拡大や教育条件整備など、どれも障害者が自立する上で、なくてはならない当然の要求であり、署名も15,012筆にも及んでいます。日ごろ、ノーマライゼーションを口にしながら、障害者の切実な叫びを受け止めようともせずに、不採択としたことは納得できません。
 
 最後に、発議第11号・千葉市国民健康保健条例の一部改正について申し上げます。長引く不況で、勤労市民の収入が落ち込み、保険料の支払いが困難で滞納せざるを得ない世帯が急増しています。
 滞納世帯には、短期保険証や窓口で10割負担となる資格証明書が送られ、病気になっても受診できない状況となっています。「命と健康を守る」本来の国保制度から逸脱していることは重大です。
 今回、「払える国保料にするため」に、一世帯あたり一万円の引き下げを行うもので、他政令市と比べても低い繰入額を増額すれば実施は可能なものです。
 委員からは、「理解するが、賛成しかねる」との意見が出され、否決されたのは残念であります。
 以上、日本共産党千葉市議団の態度と見解を明らかにし、討論を終わります。