ふくなが洋議員の
平成15年度決算不認定討論


2004年10月5日
 日本共産党千葉市議団を代表して、平成15年度決算議案20件中6件に対して不認定の立場から討論を行います。
 平成15年度の決算は、歳入の根幹であり、収入認定の基礎となる市税収入における不祥事、すなわち花沢三郎県議滞納税不正免除事件が発覚し、公正・公平であるべき納税が歪められたもとでの決算の審査となっています。
 今議会の開会中に開かれた公判で、花沢被告及び大塚・西郡被告とも起訴事実を認め、不正免除にかかわる花沢被告の横暴ぶりが明らかにされるとともに、花沢被告と鶴岡市長との関係から、市政への絶大な影響力を恐れて徴収を諦め、不正免除を実行されたとされています。
 この間、何人もの市職員が関係したとも陳述されており、市役所が組織的に関与してきた疑惑が一層深まっています。
 昨日、10月4日の花沢県議納税不正免除事件の判決で、大塚被告が、出世人事の見返りを期待して、花沢県議の利益を優先したことが明らかになりました。判決は、「政治家の利益を優先した犯行動機に酌量の余地はなく、市民の市に対する信頼と納税意欲が著しく損なわれた」と厳しく指摘をしています。
 こうした事態では、鶴岡市長のこれまでのような他人事のような姿勢、発言は許されません。さらに、「特別処分」は、総務省の見解でも「不適切」とされているにもかかわらず、「問題はない」とする見解も信じがたいものがあります。行政のトップである鶴岡市長の責任は、きわめて重いものです。
 鶴岡市長は、部下の責任にすることなく、自らの政治責任を市民に明らかにすることを強く求めます。
 決算の認定基準は、数字の正誤だけでなく、行政の執行の適性が問われるものであり、最も公正であるべき納税が歪められ、市民の信頼を失わせた花沢三郎県議の滞納税不正免除事件にかかわる決算は、不認定とされるべきです。
 さらに、鶴岡市長が公募外で平和公園に墓地を購入したことは、問題です。市長は、常々「公正な市政」と発言しています。「李下に冠を正さず」でなくてはなりません。
 優先的とも思われる墓地の購入は、さらに市民の信頼を裏切ることになり、きわめて問題です。

 次に、予算が市民本位に使われたかについてです。
 歳入決算の特徴は、平成15年度の当初予算で、70億円の収支不足を補うため、土地開発基金及び市債管理基金から合計50億円の借り入れをしました。その結果、決算では50億円の中から45億円が使われ、千葉市政では初めて「特定の目的を持って積み立てている基金」を取り崩すという深刻な事態となりました。
 次に、決算収支や財政指標を見ると深刻な財政危機がはっきりしています。税収の落ち込みや地方交付税の減収などで、歳入総額は5年前に比べ143億円も減収となっています。
 決算上の一般財源を示す一般財源等は、2年前より少なく、市民一人当たり26万4,000円と13政令市中11位であり、市独自に使える財源は最下位クラス。財政の自由度や安定性は低迷しています。
 歳入不足を補う借金は増え続け、決算では市債・債務負担の全会計における元利合計は1兆2,356億円になり、債務負担行為を含む公債費比率は20.9%と、15%の警戒ラインを大きく超えています。
 財政構造の弾力性の指標である経常収支比率は、前年比1.8ポイント上がり93.7%になりましたが、現在の借金返済がピークになる平成18年度は95.3%に跳ね上がる見込みで、千葉市財政はますます硬直化をしていく傾向です。財政の根幹をなす市民税収入が1,594億3,051万円で、構成比45.3%で、前年比マイナス4.1%となりました。主要財源である市民税のマイナスは、財政の不安定さを増しており問題と言わねばなりません。
 実質単年度収支は、8億2,661万円となっていますが、繰入金64億9,969万円が使われたからであり、繰入金は先に申しましたが、公債管理基金の取り崩しであって、禁じ手を使っての黒字であり問題です。
 政府は、平成14年10月30日に地方分権改革推進会議が打ち出した「三位一体改革」いわゆる「骨太の方針」では、国庫補助負担金・地方交付税・税源移譲を含む税源配分を進めようとしています。
 それは、地方むけの予算をさらに削減する方向です。さらに政府は2004年度に「まちづくり交付金」を制度化しました。これは主に、地方都市の再生に活用される資金ですが、使い道を自治体が柔軟に使うことができるとされています。しかし、これは「都市再生」をすすめるプロジェクトに対して交付金を活用させるもので、新たな自治体の地域間競争を生み出すことになります。
 こうした「都市再生」に頼る公共事業の拡大ではなく、自立した身の丈にあった財政に転換を図るべきです。「三位一体改革」を高く評価する市長の姿勢は厳しく問われます。
 また、無駄と浪費を削って、簡素で市民本位の行政改革が求められるのに、市民負担を増やし、PFI事業や指定管理者制度を無批判に導入することは、公共施設の建設や管理運営を民間事業者に任せるやり方であり、市民サービスを低下させるものです。
 これらの「官から民へ」という公共サービスを民間に任せる行政手法では、弱肉強食の地域社会となり、市民の安全や福祉は守れなくなります。
 こうしたやり方は、新自由主義の「改革」であり、財界が進める「構造改革」の具体化です。これらは、地方自治構造改革としてナショナルミニマムから自治体の責任を放棄するものであり、許せません。
 歳出予算では、財政危機で限られた財源を有効に活用して、市民本位に執行することが求められています。しかし、相変わらず市民要望が抑制される一方、見通しのない大型開発には多額の投資がされています。
 投資的経費では、蘇我臨海開発に79億8,991万円。千葉駅西口再開発に15億4,679万円。中央港地区区画整理に19億393万円。中央第6地区市街地再開発に3億790万円。新港横戸町線に66億8,761万円。5事業合計で184億3,615万円にもなります。
 その一方で、市民の切実な要望は削られたり減らされたりしています。前年度決算との比較で、地域経済活性化に必要な商工費の決算は19億円のマイナスです。豊かな教育を目指す教育費は29億円のマイナスです。地球温暖化防止を進める環境保全部の予算は約10%のマイナスです。福祉のための民生費は市民1人当たり85,372円で、政令市平均116,823円の73%にとどまっており、政令市中11番目になっています。
 施策別に見ると、やっと現物給付になった乳幼児医療費助成は、一回の診療ごとに200円の手数料を負担させ、子どもルームの利用料は6,000円から7,200円に値上げし、保育料の値上げは全体で1,700万円の負担増となっています。介護保険料も値上げし、全体で5億1,200万円の負担増。一方、農業後継者対策費は157万9,000円から、わずか11万円になりました。市民の安全に必要な歩道・側溝・交通安全対策費を8億円も減額しています。
 以上の様に、平成15年度決算は深刻な財政危機、多額の収支不足の中で市民生活の予算を削り、3つの都心開発を中心とした財界が進める「都市再生」の大型開発には多額の投資を行った決算となっています。

 次に、各論について申し上げます。
 総務行政では、指定管理者制度の導入が、2003年6月に地方自治法244条の改正に伴いすすめられています。指定管理者制度は、住民の福祉の向上にもならず、「公の施設」にとって重要な公正さや平等性は守れません。
 こうしたことを「市民サービスの向上と経費の節減を図る」と評価していることは問題です。
 女性の管理職は、平成15年度で課長級以上が15名、管理職全体のうちのわずか2.6%です。当局は、能力・適正を見て配置するとしていますが、働き続ける環境を整備しつつ、能力・適正を正当に評価して、女性を積極的に登用すべきです。

 企画行政では、新港クリーンセンターの余熱利用で、都市ガスを燃やしてまで売電することは認められません。中央第6地区市街地再開発は、多額の投資で市財政を圧迫し、保健福祉センターが11階に入る構想などで、市民には利用しやすい施設ではありません。
 千葉駅西口再開発は、用地買収は92%ですが進捗率は63%です。他会派からも空地使用の提案がされています。テナントが入る見通しのない今、これ以上の財政負担は止めるべきです。
 中央港地区区画整理事業は、事業費ベースで73.8%です。市は、自ら駅前の一等地に、雨水ポンプ場の設置を計画し、コインパーキングが並ぶなど、今後の見通しは困難です。後年に渡り財政難を押しつけることが予想され、見直しが必要です。
 市民不在で進められた四街道市との合併は、国の方針そのままに、強引に推進されましたが、四街道市民に拒否されました。この教訓は、今後の市政運営に生かすべきです。

 次に、市民局です。消費生活センターの役割は大きくなっています。高齢者・障害者など社会的弱者を守る上で、大幅に予算を増やし、相談員を増員すべきです。
 平和教育は、希望者だけの戦跡めぐりではなく、今風化しつつある平和の問題、戦争の悲惨さを後世に伝えるべきです。
 男女共同参画条例施行後、市長は「女性が働きやすい職場作り」を訴えています。それなら、民間業者への働きかけも積極的に行い、真の男女平等社会実現に向けて公的施設での保育施設の設置、DV相談の充実、市独自のシェルターの設置など行うべきです。

 次に、福祉行政です。介護保険料の値上げは、高齢者の実態を無視したやり方で、認められません。誰もが介護を受けられるような保険料・利用料の減免制度の確立や施設整備が求められています。
 全国的に、子どもへの虐待が問題となっている中、保育所の役割は重要です。専門家の配置、良質な保育環境、公立保育所の充実が求められています。
 また、児童養護施設「ほうゆう会」の問題ですが、理事会の意向に添わない職員をほとんど解雇する異常な運営となっています。
 全国的にも、「不正な運営」がテレビ・週刊誌などで報道されています。理事者側は、子どもの権利を守る意識が薄く、直ちに厳しい改革が必要にもかかわらず、漫然と指導を繰り返す千葉市の責任は、決算委員会でも厳しく問われ指摘要望事項になっています。千葉市の「ほうゆう会」に対する、曖昧な姿勢はこれ以上、絶対に認められません。

 次に、環境局です。地球温暖化防止対策の取り組みを抜本的に強化し、毎年減らされている環境保全部の予算を増やすべきです。
 スーパーごみ発電は、ごみ減量計画や地球温暖化対策に逆行するものであり、中止するよう求めます。また、市内で増加する新たなぜん息患者への救済制度について、否定的な姿勢は認められません

 経済農政の問題です。低迷する地域商店街の活性化のために、具体的・効果的な施策を実施すべきです。中小企業等の融資制度が産業振興財団に移り、預託された融資が金融機関の貸し渋りもあり、有効に機能しないのは問題です。
 農政では、食料自給率が40%になっていることは大きな問題とされています。農業後継者への抜本的な援助が求められます。

 都市局です。千葉市中心街の活性化にはつながらない、蘇我臨海開発に多額の予算をつぎ込んでいます。サッカー場も財政的な見通しはほとんどありません。「都市再生法」に基づく開発は、市民の利益に反するものあり、見直しを求めます。空き家の「特優賃」は、借り上げて市民に貸し出す方向は評価できます。市営住宅の建設や老朽化した住宅の修繕を急ぐよう求めます。汲み取りトイレは早急に改善すべきです。
 「花のあふれる街づくり」は、押しつけではなく、自主的な活動を組織し支援するよう求めます。

 建設局です。新港横戸町線に市民の十分な合意がないまま、引き続き多額の予算が使われていることは許されません。また、台風や集中豪雨で床下浸水、道路冠水が繰り返されています。抜本的な対策を求めるものです。
 福祉型公共事業を増やし、道路のバリアフリー化や側溝の改良、点字ブロックの設置などを促進するよう求めます。

 下水道局です。集中豪雨による浸水対策の推進を求めます。下水道管の耐用年数は約50年です。その耐用年数を超えている下水道管が11キロメートルあります。地震災害などに耐えられるよう改修を求めます。汚水適正処理計画については、整合性を図るため下水道局が調整し、合併浄化槽の設置者が不利益とならないよう求めます。

 消防局です。職員の不祥事が続いたことは、市民の信頼を裏切るものであり、真摯な反省を求めます。災害に備えて、消防団の器具置き場の整備のテンポを速めることを求めます。

 教育委員会です。深刻な子どもをとりまく状況を改善するために、教育環境の整備が重要になっています。耐震補強工事やトイレ改修工事、屋内運動場の耐震補強。また、誰もがわかる授業のために、少人数学級の実現や免許外担任の解消。ライトポートに通う児童への交通費や給食費の保護者負担の軽減などが求められています。また、学校にエアコンの設置も必要ではないでしょうか。学校5日制に伴う子どもの居場所づくりも、公民館任せではなく、保健福祉局との連携で早期に対応すべきです。
 教育委員会議を公開し、市民に開かれた教育委員会に転換するよう、強く求めます。
 以上で、討論を終わります。