ふくなが洋議員の条例提案理由説明


2004年9月9日
 発議16号千葉市福祉奨学金支給条例の提案理由の説明を行います。
 この条例は、経済的な理由で就学困難な子どもや障害者に対して、教育の機会を保障し向学心を高め、世帯の自立と福祉の増進を目指そうとするものです。
 今年の3月16日、最高裁で「高校進学のために費用を蓄えることは生活保護法の趣旨に反しない」との初めての判断を示しました。
 これは、高校進学のために積み立てた学資保険の満期金を福祉事務所が収入とみなし、生活保護費を減額したのは違法として、福岡市の姉妹が訴えていたものです。
 最高裁判決は、生活保護費について、使い方の自由の原則を認めたものであり、また「ほとんどの者が高校に進学状況であり進学は自立に役立つ」と言及しています。東京新聞の当日、3月16日の夕刊でも「貧しい子どもが進学できなければ、高収入の仕事につくことが狭まり、貧しさのサイクルから抜け出せない」と述べています。さらに「子どもの高校修学のため貯蓄する努力は法の趣旨や目的に反するものではない」「健康で文化的な最低限度の生活を保障した憲法の理念を具現化したしたもの」と捉えられています。
 裁判の提訴から12年たって、ようやく生存権の確立と教育権の確立の歴史が刻まれました。しかし、厚労省はいまだに関係者からの強い要望である「生活保護の教育扶助を高校教育には適用する」ことは認めていません。
 こうしたなかでも、多くの地方自治体では就学扶助を独自に支給しています。
千葉市では、他の政令市が入学支度金、修学扶助のどちらかしか支給しないなか、両方を支給していることは評価できます。
 しかし現実は、生活困窮世帯が高校に進学するには大変な困難があります。特に、私立高校の場合、入学金・授業料が高くなっており、支払いは大変困難です。そのために、入学する場合、国立・公立は30,000円、私立高校では90,000円。奨学金は、国立・公立高校では月7,000円、私学は10,000円とするものです。
 さらに、大学・専修・各種学校に在学する場合にも、奨学金を支給しようとするものです。母子・寡婦、身体障害・知的障害・精神障害にある対象者についても、多くの自治体で就学援助しています。これについても、今回千葉市でも新しく援助しようとするものです。
 これは、不況の中、高校・大学進学がさらに大変である生活保護世帯、障害者世帯に対しても進学の希望を与え、道を開くために一定の援助を行います。
そして、教育を通じて自立を社会貢献する人材を育成しようとするものです。
今日、教育のあり方が色々議論されていますが、人間の自立や社会の発展のために、教育のもつ力は偉大です
 経済的理由で進学をあきらめざるを得ない子どもに対して、教育の機会均等を保障することは国の責任であると同時に自治体の責任でもあります。
もっとも教育を保障されるべき人々が、きちんと教育の機会が公平に与えられるように条例を提案しました。
 同僚議員の皆さんのご賛同をよろしくお願いいたしまして、発議の提案理由の説明を終わります。