中村きみえ議員の議案質疑


2004年9月13日
 日本共産党の中村公江です。通告に従い議案質疑を行います。
 初めに、指定管理者制度について伺います。 
 今議会で、議案99号から101号まで指定管理者制度を導入する条例として、はじめて提出されています。そこで、指定管理者制度に対する市としての見解についてまず伺います。
 小泉構造改革路線のもと、新自由主義、すなわち社会の中での国家・自治体の役割を限りなく小さくし、代わって企業が自由に活動できるよう転換する理念・政策が打ち出され、その手法の一つが今回の指定管理者制度です。
 昨年6月、地方自治法が改正し、これまでの「公の施設」の管理は、普通公共団体が出資している法人で政令に定める公共団体・公共的団体に委託していたものを、普通公共団体が指定する指定管理者、いわゆる民間企業も施設管理運営を行うことができるとするものです。さらに、施設の使用許可処分など許可権限も持てるようになりました。
 千葉市は、3年の間に350の施設の管理運営を指定管理者に管理代行させる計画と伺っています。そこで伺います。
 第1の質問は、指定管理者に管理を行わせることによって「公の施設」の持っている「公共性」を維持させることができるのかについてです。 
 地方自治法244条で「公の施設」とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用を供するために、地方団体が設置する施設と規定されています。
 それは、スポーツ施設や文化施設がスポーツ、文化の振興に供すること、福祉施設では福祉の増進に供するという目的・理念が掲げられています。
 市役所が管理・運営する場合は、地方自治法が前提になりますが、民間の場合は行政から示された条例の範囲で管理・運営するのが原則だと思います。
そこで伺います。
 1つに、提案された3件の議案のうち、議案第100号はスポーツの振興及び市民の健康増進を図るためと目的・理念が明記されています。99号と101号は、設置目的や理念が示されていません。千葉市は、なぜ指定管理者に対して、地方自治法244条の示す「公の施設」を目的どおり運営することを明確にしないのでしょうか。
 第2の質問は、利用者側から見ての対応について伺います。
 その1、無差別・平等の原則が守られているかどうかについてです。
 今回の3つの条例で、千葉市は指定管理者の指定手続き等が、99号、101号では第12条に、100号では第16条に指定管理の指定のあり方を定めています。
 その中で「市民の平等な利用を確保するものであること」とうたってあります。本来ならば「市民の福祉の増進」、「公平な利用」、「差別的な扱いをしてはならない」という立場で運営すべきですがどうか伺います。
 その2、無料、あるいは廉価な使用料が保障されるのでしょうか
 その3、施設運営に住民の意向が反映されるのでしょうか。
 利用者からの、運営や施設改善についての要求をどのようにして聞き、対応していくのでしょうか。誰が、いつどのようにして行うのでしょうか。
 第3の質問は、議会の関与についてです。
 利用料金制になった場合には、地方公共団体の歳入として予算・決算に計上されず、チェック機能が果たしきれない問題があるのではないでしょうか。
 事業を行う上での計画書、選定理由、業務内容、協定書などの情報開示をすることが重要ですが、どのようになっているのですか
 今後、決算の議会などで、事業報告や調査報告などを明らかにされるのか伺います。
 第4の質問は、公募の選定にあたり伺います。
 選定委員会は、行政の内部にとどまらず、第3者機関が調査、検討、評価できるようにするべきではないか、お答えください。
 第5の質問は、運営上の問題です。
 1、民間事業者が、倒産した場合、市の損害の責任はどこがもつのでしょうか。住民負担によって補うことはないのかどうか伺います。
 2、不公正な運営があった場合に、行政が指定の取り消しを行うことができるとしていますが、いつの時点で判断し、実施するのでしょうか
 3、指定管理者制度によって民間事業者の雇用の面では市内での雇用を優先させるのか伺います。その際、不安定雇用にならないのかどうか伺います。
 4、これまで、社会福祉事業団やスポーツ振興財団、文化振興財団など外郭団体については、指定管理者制度の導入によってプロパー職員の待遇は、どのように対応していくのでしょうか

 次に、平成16年度千葉市一般会計補正予算と議案99号千葉市斎場設置管理条例の委託について伺います。
 第1の質問は、条例中別表に示されている使用料についてです。火葬施設使用料は、市内居住者12歳以上の遺体6,000円、12歳未満の遺体3,000円としています。現在の火葬施設使用料は無料です。問題の多い千葉市行政の中にあって、人生最後の儀式ぐらいは無料にと1972年から続いてきたものです。
 なぜ、ここで有料にしなければならないのか、お答えください。
 第2の質問は、葬儀式場使用料についてです。1室1日につき50人席用37,000円。100人席用75,000円となっています。今民間の葬儀場の費用が高くて悲鳴を上げている市民が多い中で、市営の式場ができることは朗報です。使用料金は、当たり前の収入がある市民には大きな負担ではないと思いますが、わずかな年金暮らし市民など収入が少ない市民にとってはかなりの金額だと思います。もっと引き下げることを提案しますがお答えください。
 第3の質問は、管理運営費についてです。
 千葉市斎場が指定管理者に代行させるための管理運営の費用は、横浜市規模ということで約3億6,000万円を予定しています。
 現在の桜木斎場の管理運営に必要な経費は、2億3,300万円ですので差し引き新しい斎場の方が、1億2,700万円多く必要となります。
 そこで、収入の面で考えて見ますと、新しい斎場の使用料収入は、1億4,100万円が予定されており、現在の桜木斎場の使用料収入が1389万円ですから、差し引き1億2,711万円増額となり市民負担増で収支を合せようとしているではありませんか。
 当局は、無料だった火葬施設使用料を、6,000円に大幅値上げや式場使用料を75,000円も徴収するのは、市民サービスよりも、指定管理者に支払う管理運営の費用捻出を考えて金額を決定しようとしているのではないのか伺います。
 第4の質問は、企業努力についてです。球技場やスケート場は利用料金制度で賄う方式のため、赤字にならないように企業努力が生まれます。斎場は使用料が市役所の収入になり、管理運営に必要な経費は市役所から全額負担がされます。これでは企業努力する必要がなく、市民サービス向上につながらないのではないでしょうか。
 第5の質問は、市民利用の公平性の確保についてです。
 斎場使用の申し込みは、火葬の人気のある時間帯確保や式場の利用など、市役所職員が行っていた時と民間業者が行う時と差が出る心配があります。葬儀社の代行申し込みと市民の直接申込では不公平が出る心配も出てきます。直営の時は公務員である市職員が確保してきた公平性が指定管理によって維持できる保障はあるのでしょうか。具体的にお答えください。       

 次に、議案第100号千葉アイススケート場設置管理条例の制定についてです。
 千葉市と同様の江戸川区のアイススケート場では、収入と支出でも単年度収入が6749万円、支出は2億2304万円で1億6千万円の赤字となっています。
 そこで伺います。
 1、アイススケート場の収支についてです。
 指定管理者が8年5ヶ月で、一般の方の利用料、4億6千万円の収入を予定している中で、管理運営を行うとしています。もし、予定通り利用料金の収入がなかった場合、指定管理者がリスクを負い、千葉市は1円も負担しないと議案研究で説明していましたが本当にそうなのでしょうか。
 2、市の財政負担は生じないということですが、電気代3,700万円、蒸気代700万円で、年間4,400万円相当を千葉市が無償で提供し、また、電気をつくるための都市ガスの購入費用など、市の負担になっているのではないでしょうか。
 3、直営で、どの位費用がかかるのか聞いたら、当局は「計算していない」と答弁しています。他の政令市では、直営で行っているところがあります。市は、最初から指定管理者導入ありきとなっているのではないですか。効率性について、経費縮減というのであれば、きちんと直営の場合も含めて資料を提出すべきではないですか。お答えください。
 4、高齢者や障害者が利用する際に、減免制度は具体的にはどうなるのでしょうか

 次に、議案第101号千葉市蘇我球技場条例の制定についてです。
 来年、夏ごろオープン予定の球技場について伺います。
 千葉日報の蘇我副都心の新聞記事によると、「天然芝で芝の耐用面を考えると年間利用できる日数は80日、ジェフなどの公式試合が10日あっても残りの70日程度の利用」と報道されています。他の自治体でもサッカースタジアムが財政上、負担となっています。千葉市では、維持管理費は年間約1億6千万円かかると予測を明らかにしています。千葉市がスタジアムの命名権もいまだ決定せず、収入の面でも財政見通しは不透明なままです。
 しかも、スタジアムをとりまく3方向には大型の工場が隣接し、安全の確保ができるのかどうかが問われています。そのうえ、利用者の交通アクセスについても不安材料だらけです。
 6月議会で、国道の拡幅を行ったものの、渋滞を克服できる打開策にはなっておりません。専用の駐車場確保もせずに、JRを利用するよう誘導すると伺っています。
 蘇我駅の混雑解消と駅での改札改良などの環境整備や、他の駅からのバスの運行などの必要性も指摘されています。そこで伺います。
 1、蘇我球技場は千葉市都市公園条例に基づく施設で都市公園法の第1条の目的では「都市公園の健全な発達をはかり、公共の福祉の増進に資すること」としています。これが保障されるものと考えているのでしょうか
 2、財政上の見通しとして収支についてはどうするのか、赤字解消はどうしていくのか伺います。
 3、広告についてはサラ金業者など市民に有害な業者などはさせないように指導を徹底すべきです。見解を伺います。
 4、危険な工場に囲まれている球技場での安全確保はどんな対策がとられているのか、千葉市とJFEとではどのような契約が行われているのでしょうか
 5、利用者の交通アクセスについての対策は、今後駐車場の確保の見通しはどうなっていますか

 次に、議案・第108号千葉市美浜区地区ホール、保健福祉センターについてです。
 保健福祉センターは、保健センターと福祉事務所を結合し、保健と福祉のサービスを総合・一体的に提供するとともに、地域の保健福祉体制の拠点施設になるとのことです。
 そこで伺いますが、これまで精神保健福祉業務については、市内で1ヶ所の保健所で行われていますが、この業務を保健福祉センターで行うことが可能となるのでしょうか。また、リハビリ施設やPT配置、ひきこもり相談窓口を設置するなど、必要と考えますが、いかがでしょうか。

 議案第111号から113号の工事請負契約については、桜木園の改築工事に伴うものですので一括して質問致します。
 桜木園は、児童福祉法に基づき重度の知的障害と重度の肢体不自由がある重症心身障害児施設で昭和46年に設置され、常時医療的なケアも必要なため医療法に基づく病院としての認可も受けて、老朽化にともなっての改築工事となります。
 施設開園にあたっては、全国に先駆けて設置されたということです。施設では診療、検査、介護、看護、保育、教育などの治療や日常生活の援助を行う施設として開設されました。入所者も平均年齢が31.9歳と長期化し、当然、保護者の年齢も高くなり、ケアも多く必要とされます。急な変化も見逃せず、肺炎など呼吸器の感染症対策や入所児のケアは高度な専門性が要求されます。
 今回、通所サービスも本格的に行うこととなり、ますます体制の充実が望まれます。
 そこで伺います。
 1、桜木園の改築にあたっての理念はどんなことを掲げているのでしょうか
 2、改築にあたり、本人、保護者や職員など関係者の意見はどのようなものだったのですか。それは反映することができたのでしょうか
 3、通院が長時間かかる負担を解消するためにも外来診療が待たれています。実施を求めます。
 4、医療の安全性の確保という点からも医師は常勤で増員を強く求めます。
 5、現在のスタッフの献身的なケアと手厚い体制を維持しているという点では関係者から高く評価されています。
 今後、質の確保、入所者の命を最優先する上でも、指定管理者制度導入にあたっては社会福祉事業団とすべきです。見解を求めます。

 議案第107号から第116号までの10件については入札にかかわり伺います。
 10件すべてが落札率95%以上であり、今日では95%以上が重なれば何らかの談合の疑いはぬぐえないとされています。
 そこで伺います。
 1、今議会に提案されている10件すべてが95%を超えている落札率は市民の理解を得られるものではないと思いますが入札に関して問題はないのか伺います。
 2、併せて議案第109号は入札業者22社中、18業者が取り消しになっています。この理由と残る4業者で入札したことで公正な入札が行われたのか伺います。

(2問目)

 まず、指定管理者制度についてです。
 当局の答弁では、指定管理者が地方自治法に基づいて適正な運営が行われるということでした。
 そこで第1に、住民のプライバシーの保護について伺います。
 公共性の維持の中には、公の施設の管理をする職員は、市民と接客するときに公務員倫理や守秘義務など市職員としての対応がされてきています。条例にも「個人情報保護」の記載はありますが、民間のパート職員などが公務員のように研修することもなしに、突然接客にあたることも考えられます。指定管理者に管理が移行することによって市民に対する接客対応が「公の施設」の持っている「公共性」を維持させることができるでしょうか。お答えください。

 第2に、住民へのサービスについて伺います。
 管理運営を指定管理者に管理代行させることで利用者・住民のサービスが、維持できるのかどうかです。
 当局は、指定管理者制度によって「市民サービスの向上と経費節減を図ることができる」と説明しています。そこで伺います。
 1、管理運営は条例でしばりがかかっていますから、民間の指定管理者が条例を逸脱することがないので、一律のサービスが受けられる仕組みになっています。条例どおりに行うのであれば、市役所が行ってもサービスは同じではないでしょうか。
 指定管理者制度によって「市民サービスの向上を図る」という説明は根拠がないと思いますがお答えください。
 2、「経費節減と市民サービス向上」は両立するのでしょうか。当局の言う「経費節減とはどんな内容なのでしょうか。それは、管理運営について、千葉市が直営や外郭団体で行う経費を、指定管理者が行う場合には削減して委託することをさすのでしょうか。
 指定管理者を取り入れた他都市の例を見ますと、「経費削減」の中味は、外郭団体に派遣していた市職員やOB職員を引き上げたことによる給料の削減が主だときいています。千葉市の削減も、その程度のことなのでしょうか。
 市職員やOB職員を引き上げ、給料の削減以外に経費削減ということになると、指定管理者が、雇用する職員をパートなどの経費が安い不安定雇用にすることでしょうか。結局「経費節減」は不安定雇用を増やし、市民サービス向上には何もつながらないと思いますがいかがですか。
 以上、三点についてお答えください。

 第3の質問は、指定管理者制度は地方自治体の責任を果たすことになるのかどうかです。
 施設の建設に必要な費用は、どのくらいかかったのでしょうか。
 千葉市斎場は、建設費、土地代、アクセスなど、合計108億3千万円です。この他に地元対策費があります。
 千葉市球技場は、建設費、土地代、アクセスなど合計146億2,000万円です。
 アイススケート場・温浴施設は、建設費19億6,917万円です。
 3つの施設の合計は274億2千万円にもなります。
 指定管理者制度は、市民の税金をこんなに多額に注ぎ込んだ施設を、民間の企業が無料で使って、管理運営費の税金と利用料で業務を行おうとしているのです。
 そこで利益を上げれば、株主に配当することにもなります。住民にとって大切な公の施設を、公共性を持たない営利を目的とする民間企業にまかせて、代行させることが、地方自治体の責任を果たすことにならないと思いますが、明確な答弁を求めます。

 次に、斎場の問題について伺います。
 民間事業者が行い、サービスが向上するとのことですが、直営と指定管理者とで比較した場合、サービスのメリット、デメリットと経費の効率化はどのように検討したのか伺います。

 次に、アイススケート場について伺います。
 これについても、直営と指定管理者との比較検討した資料を求めましたが、お答えいただけず、新たな財政負担が生じない。ランニングコストの削減、住民サービス向上など、総合的に勘案し導入すると答弁しています。
 収支のデータについては、明らかにする説明責任が問われる問題です。この際、明らかにしていただくことを求めます。お答えください。
 アイススケート場に、清掃工場の余熱利用として電気の提供が無料で行われています。本来は、市民に還元されるものとなるわけです。しかし、指定管理者の負担とならず、その分が市民負担になるのではないでしょうか伺います。

 次に、蘇我球技場についてです。
 年間の維持管理費が1億6千万円かかり、収入はいくら位見込んでいるのでしょうか。
 指定管理者に対しての管理委託費は、いくら見込んでいるのでしょうか。同様の施設の仙台スタジアムでは、平成14年度では収入が約6,600万円、支出が1億6千万円となっています。
 千葉市では、どのくらいを見込んでいるのでしょうか。お答えください。
 また、スタジアム周辺の安全対策についてですが、工場周辺の柵の設置だけで十分と考えているのでしょうか。工場の災害や排ガスなど大気汚染などの環境上の問題から入場者の安全性について配慮されなければならないと思うが、対策がとられているのかどうか、伺います。

談合問題に関して、
 談合排除、官民癒着防止で公共事業の入札・契約の改革がすすみ、2001年には公共事業入札適正化法が施行されました。この法律で、入札監視員会、指名業者の選定基準の情報公開などが定められています。千葉市もこうした措置を取っていますが、また今回のように、談合を疑わせる入札が目立つのは問題といわねばなりません。
 制度やマニュアルの整備するだけでなく、貴重な市民の税金を無駄にしない千葉市の厳しい姿勢が問われるのではないのか伺います。
 2問目
 2、スーパーごみ発電によってガス料金は4億4900万円買い、できた電気を
4億4300万円で売ろうとしていてもすでに採算的には赤字が出てしまっている