中村きみえ議員の討論


2004年9月21日
 日本共産党千葉市議団を代表し、補正予算を含む議案22件中4件に反対の立場から、討論を行います。

 まず、議案第99号・千葉市斎場設置管理条例の制定についてです。
 これは、1939年から65年間続いた、千葉市直営の斎場の管理を指定管理者に行わせようとするものです。
 しかも、これまで市民は無料だった火葬施設使用料が6,000円になり、市外居住者もこれまでの14,500円から6万円へと使用料を大幅に引き上げる条例となっています。
 人生最後の厳粛な場所にまで、なにも指定管理者制度を導入する必要性はないと思います。
 しかも、使用料は千葉市に入るわけで、指定管理者は主に管理だけすることになります。また、利用者を意識的に増やすような性格の施設ではありません。委託料も決まっているので、指定管理者としては、手を抜いた方が効率的な運営ができるという矛盾があります。
 行政が、人生最後をきちんと送れるようにするためにも、責任を持って管理・運営すべきです。
 さらに、千葉市はこれまでの直営と指定管理者制度との比較検討は十分されておらず、「指定管理者の方が経費は安いはず」として、最初から指定管理者制度の導入を決め、提案していることも行政の責任放棄ではないでしょうか。
 私たちは、これまで通り市が責任をもって、管理・運営することを求め、修正案を提出しましたが、他会派は何の質問もなく修正案には反対し、原案可決となったことは、とても残念です。

 次に、議案第100号・千葉市アイススケート場設置管理条例の制定についてです。
 「利用料金の範囲内で指定管理者が管理・運営を行い、その中で収益をあげていく」としています。料金設定は、他市の公共のスケート場を参考にされていますが、これらは赤字運営のところであり、その赤字分を自治体が補填しているもので、この料金設定には無理があります。
 アイススケート場という特殊な施設ですが、現在、指定管理者に名乗りを上げているのは3社だけとのことで、もともと民間が運営していくことの難しさを示しています。
 民間は、利益を上げることを最も優先するので、市民サービスの低下やそこで働く人達の雇用条件が悪化していくことが予想されます。
 また、市の監査対象にならないことや業務計画書・協定書などが議会に提出されないなど、運営の内容が透明化されない問題、「議員が指定管理者になることを妨げない」ことも公正な運営を遠ざけるものです。こうした多くの問題を抱えた条例ですから、賛成できません。

 次に、議案第101号・千葉市蘇我球技場設置管理条例についてです。
 「公の施設」として、都市公園法に基づいて運営され、条例の中でも「市民の平等な利用を確保するもの」とされています。しかし、実際はどうでしょうか。委員会の中での説明では、ジェフ市原の試合が最優先され、その次にサッカー協会などの試合が行われるとのことです。同規模の仙台市のスタジアムでは、市民が利用できるのは、年間わずか8日程度とのことです。これで、本当に「公平な利用」となるのでしょうか。
 また、管理委託費の額を明らかにするよう求めましたが、公募する前に公表するのは選定に支障があるからと資料は提出されず、議会での審議が保障されないまま業者が選定されることは問題です。
 さらに、入場者が予測を下まわり、収支が赤字となった場合、「市は委託費以外に支出することはないのか」との質問に、「指定管理者が負担することになる」と答えていますが、そのことによって市民サービスが削られたり、雇用や施設の管理にしわ寄せされるのではないでしょうか。
 市内での雇用についても附帯事項にとどまり、優先的に市民が雇用されるのか不安があります。
 安全対策でも、工場に囲まれながら、ただ柵を作るのみです。環境基準に達しているからと、事故防止のための契約などが具体的に行われないことも問題です。
 以上、指定管理者制度導入に関する3つの条例には反対です。
 指定管理者制度の導入で「公の施設」の持つ公共性が損なわれてはなりません。「公の施設」の設置目的は、地方自治法244条で明確です。それを設置管理条例にも明記すべきです。
 また、利益確保が目的の民間と利用者サービスとは両立するのかとの問題です。利益確保のために経費が節減され、管理・運営に必要な設備費用や職員が削られたら、市民サービスが後退しないという保障がないのであれば、市が管理・運営に責任を持つべきです。
 さらに大きな問題は、多額の市民の税金を注ぎ込んだ施設を、民間業者の儲けのために提供されていいのかということです。
 今回の「千葉市斎場」「蘇我球技場」「アイススケート場・温浴施設」の3つの建設には、合計274億円2,000万円もの税金が投入されています。
 市民の大切な財産や利益を民間に投げ出すことが許されるのでしょうか。
指定管理者制度の導入にあたり、市民に納得のいく説明が必要であることを指摘しておきます。

 次に、議案第96号・補正予算のうち新港横戸町線は、下水道管の移設とのことです。
 地域住民から出されている意見を十分に聞くこともなく、すすめられている事業であり、賛成するわけにはまいりません。

 発議第16号・千葉市福祉奨学金支給条例の制定についてです。
 この条例は、経済的な理由で就学困難な子どもや障害者に対して、教育の機会均等を保障し、向学心を高め、世帯の自立を目指すものです。生活の安定・向上のためにも、教育の力は極めて大きいと考えます。
 子どもをとりまく社会環境は、今日、深刻きわまりない事態です。そうしたなか、子どもたちに希望を持たせ、進学の気持ちがあれば、それを保障することが実に有効な施策です。
 社会の安全・安心を保障し、生活を安定させるためにも教育は必要なのです。本来、国の責任ですが地方自治体も、もっと責任を果さなければなりません。そうした熱い思いで、条例を提案しました。
 委員会の議論では、「千葉市の制度をもっとPRして、充実することが先である」として、条例案は、他の会派すべてに反対されたことは大変残念です。
 しかし、条例は否決されましたが、他会派の議員から「いい条例であり、提案者が言うところの、光の当たらない子どもたちに光を当てて欲しい」との意見を、当局は重く受け止め、奨学金・就学支度金制度を一層充実するよう求めます。

 請願第9号・乳幼児医療費無料制度の拡充と制度の見直しについての請願が否決されました。
 乳幼児医療費を就学前まで助成し、無料化している自治体は全国的にも増えています。また、「200円の手数料をなくして欲しい」との声も切実です。
 これは、約7,800万円の予算で、200円の手数料をなくすことができます。千葉市としては、それほど大きな負担だとは考えられません。
 「もう少し様子をみたいので大きな観点から反対」との意見もありました。しかし、少子化対策・子育て支援は待ったなしです。乳幼児医療費の無料化は、就学前まで拡充するのが大きな流れであり、子育て支援の根幹をなす制度と考えます。
 日本共産党と市民ネットワークの賛成のみで、否決されたことは残念です。