やなぎだ清議員の討論


2004.12.17
 日本共産党のやなぎだ清です。
 ただいま上程されています議案22件のうち、議案第141号、議案第143号、議案第146号、議案第159号、議案161号の5議案について反対の立場から、また、発議第22号、請願第8号、請願第12号について採択を求め討論を行います。
 まず、議案第141号・市税条例の一部改正についてです。
 これは、地方税法改正に伴い、生計同一の妻に対する非課税措置が廃止され、課税されるものです。小泉政府が進める「三位一体改革」は、国から地方への財政支出大幅削減が進められ、地方自治体と住民の負担が拡大されることになってきます。
 この市税条例の改正は、個人住民税の均等割が県民税1,000円、市民税3,000円の計4,000円も引き上がるもので、当面、来年は経過措置とのことで、その1/2を引き上げる条例改正となっています。均等割は、住民税の基礎をなすものであり、特に低所得者への配慮は重要な問題です。
 生計同一の妻への課税問題は、社会状況の変化から検討を要するものであるとはいえ、今日働く女性の年収は、男性の69%という低賃金に置かれており、かつ個人住民税の非課税措置の廃止は、多くの国民が不況に苦しんでいる中、引き上げるのは適当ではありません。
 さらに、自民党・公明党は、来年度の税制大綱をまとめましたが、焦点になっていた所得税・住民税の定率減税を半減し、増税することを決め、小泉首相も「妥当」だとしました。これは、かつて1999年度に景気対策のため、恒久的減税として始まった定率減をわずか数年で廃止しようとし、国民の負担は3兆3,000億円にもなる大増税になろうとしています。
 一方、定率減税と同時に引き下げられた法人税率と法人事業税率には手を付けず、減税したままで、庶民にだけ大増税を押し付けるのは、到底納得することはできません。また、見過ごせないのは、政府・与党が定率減税の廃止を消費税増税への一里塚にしようとしていることです。消費税は、2年後の2007年には10%に、そしてゆくゆくは10数%にと要求している日本経団連に応えようとしています。
 消費税は、低所得層ほど負担が重い「悪税中の悪税」です。今回の地方税法改正も、こうした庶民に痛みを強いる、不公平を広げるだけの増税路線の一貫であり、許せません。地方税法の改正・生計同一の妻に対する非課税措置の廃止は、これら国民を苦しめる大増税計画の中で行なわれていることを指摘しておきます。

 次は、議案第143号・いきいきセンター設置管理条例の一部改正についてです。
 これは、稲毛区あやめ台小学校内に、いきいきセンターを設置するもので、いきいきプラザを補完するものとして、地域の高齢者に歓迎されるものだと思います。
 しかし、現在の大宮小学校にある「若葉いきいきセンター」や花見川団地にある「花見川いきいきセンター」は、社会福祉事業団が管理運営しているのに、ここは指定管理者に管理委託をするのは問題であります。
 経費の節減を第1に、民間に何でも任せようとしていますが、このことによって、運営についての透明化が図れないことや市民へのサービス低下が危惧されます。

 次に、議案第146号・少年自然の家設置管理条例の制定についてです。
 これは来年4月、長柄町にオープンする「少年自然の家」の管理条例を制定しようとするものです。少年の健全育成を図るために、すぐれた自然環境の中で宿泊を伴う集団生活や体験活動をこの「少年自然の家」で行うというものですが、いよいよオープンになるにつれて、いろいろ懸念される問題が出てきています。
 なによりも、施設への交通アクセスが非常に乏しいこと。「市内にも十分検討すべき同様の自然環境はあった」との批判はまぬがれません。
 また、PFI事業による利用料の負担、また児童の教育施設としての役割が民間に委ねられることによってその目的が十分果たせるのかとの疑問が残ります。
 いずれにしろ、教育施設としての「少年自然の家」が、その目的や役割など、民間に任せるのではなく、教育委員会としての責任を明確にした管理運営が重要であることを指摘しておきます。

 次は、議案第159号・工事請負契約についてです。
 これは、新港横戸町線にかかわる下水道管の移設工事です。道路新設に伴って移設を余儀なくされる下水道管は、当然起こり得ることですが、大変大掛かりな工事になっています。
 これで、この新港横戸町線の工事の進捗は、31%が発注済みになるようですが、これまで発注された40数件の工事案件を見ると、入札価格が96%から97%と常に高率の入札率になっており、あまりにも不自然な入札が多過ぎます。
 用地買収は、すでに終わろうとしていますが、多額の費用を要する道路工事は、これから70%近くもあるもとで、適正な入札になるよう入札のあり方を見直すこと。工事による、周辺住民への振動・騒音などの危害が起きないよう求めておきます。 

 次に、議案第161号・議決事件の一部変更についてです。
 これは、市民球技場・サッカー場の新築工事が、2か月遅れてしまうので工事請負契約を変更するものです。
 この蘇我臨海開発事業は、都市基盤整備公団に全て委託される中、この大型工事のサッカー場も81億円で委託契約されてきたものです。私どもは、その当時から指摘してきたように、契約金額においても発注経過についても公団まかせになり、入札状況についても透明化が図れないまま推移し、今回の工事期間の2か月の延長についても、工事が遅れても実害がないからと、市当局の対応は、あまりにも受動的としか言いようのない態度であり、認めるわけにはいきません。
 また、地元中小業者への仕事の発注については、何ら把握されておらず、多額の税金を投入しているという認識が全くないのは問題です。
 大気汚染対策でも、JFEの調査結果から、ベンゼンと降下煤塵の異常値が出ています。数値や対策を議会に提出すると共に、早急な対応をJFEに求めるべきです。

 次に、発議第22号・大規模公共事業見直し委員会の設置についてです。
 これは、わが党が議案提案したものでありますが、大型開発事業に対する国民の批判が高まる中で、全国の自治体で見直しが始まっているので、本市でも、大規模公共事業の見直しを検討するための委員会設置を提案したものであります。
 広島市では昨年、大学教授など7名による「公共事業見直し検討委員会」が設置され、専門的な知識や経験を生かしながら客観的に検討し、10億円以上の大型公共事業164事業のうち5事業を中止し、22事業を一旦中止することを提言したり、他の大半の事業についても見直しの条件をつける答申を行っています。
 広島市長は、こうした答申を尊重して、大型公共事業を見直し、その予算を市民生活に関連する医療や福祉、教育などの施策充実のために回して、市民から歓迎されています。本市でも、大規模公共事業を見直すための、第三者機関である委員会を設置するよう強く求めるものです。

 次に、請願第12号・国民健康保険の改善・充実を求める請願についてです。
 長引く不況の中で国保料の支払いができず、滞納世帯は年々増加し、病院窓口10割負担となる資格証明書の発行は、過去最多の15,391世帯に及んでいます。
 この請願は、保険証がなくて病気になっても病院にも行けず、命を落とすという痛ましい事件が起きている中で、「千葉市国保を考える会」が、千葉市に、保険料滞納世帯を全て悪質な滞納者だとして、一律に資格証明書を発行するのではなく、それぞれの実情をよく調査し検討すること。保険料を収入に応じて支払いができるように、申請減免基準を生活保護基準の1.3倍まで認めるよう求めたものであります。
 市民の命と健康を守る切実な要望に、十分な論議もせずに不採択にしたことは問題であります。

 最後に、請願第8号・「100条委員会」設置に関してです。
 この請願は、千葉市の税行政を大きく歪めた、花沢県議会議員の滞納税不正免除事件の真相究明を求める市民の会から提出されたものです。
 千葉地方裁判所において、関係した市役所職員2名は有罪となり、張本人の花沢前県議も11月16日、懲役1年6か月の有罪判決が下されたのであります。
 しかし、この事件の真相について、市は何ら説明責任を果たしていません。これまで、市は「内部調査を行ったが、組織的関与は一切なかった」としてきましたが、議会運営委員会の中で、わが党が指摘した通り、過去6年にわたって開催された「個人住民税徴収対策会議」には、税務部長も含め、延べ約100名を超す職員が参加しています。そこでは、花沢前県議の滞納問題が一度も報告されておらず、このこと自体、組織的関与を示しているではありませんか。
 しかも、この問題では鶴岡市長の見解に対して、岡田財政局長は全く反対の答弁をしています。それは、H11年からH13年までの3年間、花沢前県議を滞納者リストに載せなかったことを、岡田財政局長は「分納誓約がされていたから」と説明しています。しかし、「分納誓約」されていたのは、滞納税の3期分であり、4期分の約3,000万円はそのまま滞納されていて、H14年9月に時効となっています。
 それを裏付けたのが、H16年3月12日に鶴岡市長が行った「時効となった延滞税を徴収するのは困難」だという答弁です。
 こんな重大な問題で、鶴岡市長と財政局長が正反対の答弁をし、食い違っていることは、ますます疑惑を深めるものであり、説明責任は果たされていないのであります。
 説明責任を果たしていない問題は、まだまだたくさんあります。花沢前県議の不正免除事件について、鶴岡市長は「2人の職員が独断で行った」「私は何も知らなかった」と言い続けています。さらに、今議会では、花沢前県議が13年間にもわたる「高額滞納者」だったことについても、「私は知らなかった」「一度も報告を受けなかった」と明言しました。このことは、助役として8年、市長として3年、合計11年間、高額滞納者の実態を一度も把握していなかったことを示すものであります。
 鶴岡市長は、H6年4月助役に就任し、ただちに税の「収納改革」に取り組み、その結果、収納率を引き上げるなど、自治省税務局企画課長として、全国の税金問題を指導してきた経験と力を発揮されたようです。しかし、その後は「収納率引き上げ」の妨げとなっている高額滞納者の実態を、一度も調査・把握していなかったのであります。
 「部下から報告を受けなかったので、私は知らなかった」ということは、鶴岡市長自らは、何もしなかったということであり、これでは職務怠慢ではありませんか。
 11年間、本当に知らなかったのか、知っているが隠しているのか、この重大な疑惑も市民に説明する責任があります。
 次に、鶴岡市長の「不正免除事件は全て部下の責任だった」かの様な発言は、大問題であります。12月9日、次期市長選挙への出馬表明をした鶴岡市長が、議会終了後に記者会見した様子が翌日の新聞で報道されています。この中で、鶴岡市長は「悔いのない3年5か月だった」「ただ一つの悔いは税の不祥事だ」と述べ、「部下がやってはいけないことをやった」「この重荷だけは市長である限り背負い続けなければいけない」と語ったようです。これが事実だとすれば「不正免除事件は、すべて部下の責任だ」と言っているのであります。これでは、職員が余りにも気の毒ではありませんか。
 不正免除事件の背景として、鶴岡市長の選挙責任者だった花沢県議の大きな影響力から、様々な「特別扱い」をして来たことは、これまでにも指摘されてきた通りであります。いちいち繰り返すことはしませんが、一つだけ申し上げれば、花沢被告が実刑判決を受け、議員辞職した現時点でも、反社会的犯罪で市政を混乱させた張本人に対し、批判も抗議も出来ないのであります。部下の責任は追及するのに、この期に及んでも花沢前県議を擁護し、「特別扱い」する市長の態度を、市民は決して納得しないでありましょう。この問題でも、市長には説明責任があります。
 さらに、このような疑惑を解明するのが市議会の役割であり、責任であります。そのためにも「100条委員会」を設置し、これまでの税に関する資料の提出を求め、関係者の証言を得る事はどうしても必要であります。
 議会運営委員会では、この請願に反対する自民党・公明党・新政五月会からは、「司直の手によって明らかにされたので、総務委員会で対応できる」とか、「100条委員会は、究明する効果は得られない」など、あれこれ反対理由が述べられましたが、結局、事件の真相究明には消極的なのであり、議会としての権能を自ら否定するものであるということを厳しく指摘しておきます。
 以上、日本共産党の立場を明確にして、討論を終わります。