ふくなが洋議員の
一般質問への答弁(要旨)

2005.3.17
【保健福祉局長】
○ 障害者問題について
 精神障害に関わる「事件」について、犯罪白書ではH15年度の一般刑法犯検挙人員は、37万9,910人で、その内精神障害者は999人、精神障害の疑いがある者は1,655人、両者合わせても検挙人員の割合は0.7%だ。一方、精神障害者数はH14年の患者調査では258万4千人で、人口比で2%となっている。このことから精神障害者の犯罪発生の割合は低いといえる。「事件」の背景は色々な要因があり、服薬中断などの治療が適切に行われないことや社会から孤立した状況にあるなどが考えられる。精神障害が原因の犯罪で犠牲となった方々にとっては大変不幸なことであり、社会全体での取り組みが必要だと考える。その解決方法や行政の役割は、適切な医療や福祉サービス、相談支援など地域社会での支援体制を充実し、精神障害に対する正しい知識の普及と理解の促進が必要だ。
精神保健福祉法第20条の「保護者」は、精神障害者に必要な医療を受けさせ、財産上の保護を行うなど、生活行動一般の保護を役割とする制度で、十分な医療保護と人権尊重の点から必要なものだ。H11年の法改正で保護者の自傷他害防止監督義務が削除されるなど、負担軽減が図られる。
 今国会には「障害者自立支援法案」が提出されており、国会の動向を注視し対応していく。昨年6月に障害者基本法が改正され、「障害を理由として差別してはならない」との差別禁止の理念が明示された。また、国民の責務として「障害者が差別されることのない社会の実現に寄与する」ことや、国・地方自治体の責務「障害者の権利の擁護及び障害者に対する差別の防止」「障害者の自立及び社会参加を支援する」ことが明記されている。こうした法改正の理念を踏まえ、市民や事業主等に対し、障害を理由の差別禁止を啓発していく。
 障害者市議会は、杉並区が支援費制度移行を機に、12月の障害者週間の事業の一環でH14年から障害者区議会が行われている。千葉市では、昨年10月開催の「心の健康フェア」で、「ピアサポートの可能性『あなたの個性が輝くとき』」と題する、障害者のユーザーによるシンポジュウムを開催した。現在、策定を進めている「地域福祉計画」を検討する各区「地区フォーラム」に、身体障害や精神障害のある方々が参加している。また、「障害者保健福祉推進計画」策定でも、障害者にアンケート調査するなど障害者自らの意見を施策に反映するよう努めている。
○ 児童養護施設「ほうゆう」問題について
 H15年4月開設後、内部告発や新聞報道があり、市の随意監査や特別監査を行った。その後職員の解雇や退職が続き、職員体制が安定しないため、市の児童相談所はじめ県内各児童相談所が措置を見合わせていた。措置の再開は、法人が施設運営の種々の問題で反省と児童養護施設の責任が自覚できた。職員体制が整備され小舎制が確立できる。個々の児童の自立支援計画を作成した。ケース検討会議が行われている。施設職員の資質向上を図っている。などから児童の処遇体制が整いつつあり、新たな措置を受け入れる準備に入りたい。受け入れに万全を期すため、児童相談所などで入所児童全体の状況を確認し、適切な対応を図りたい。運営適正化委員会の訪問は、施設に対する苦情解決のための調査と聞いている。同委員会から鳳雄会に対し「事情調査結果に関する通知書」で「改善等報告書」の提出を求めている。市としては、指導監督庁として、引き続き法人の施設運営全般の指導をしていく。
 昨年1月19日に実施した特別監査の結果に基づいて、著しく適正な運営に欠くとして食材等の購入に係る差額の返還、開設準備金の返還、2月2日には適正な会計処理の改善措置を講じるよう勧告。16日に法人から改善結果が提出され、市としても確認している。
 建物の構造・規模・設備、児童養護の基本方針や処遇、職員の配置を児童福祉法に基づく児童福祉施設最低基準の要件を満たしていることが必要である。法人の設置認可と施設整備は、H13年度の「市社会福祉法人設立認可等審査委員会」で審査されている。法人の収支は、理事会・評議員会の承認を得ており、社会福祉法に基づき現況報告書が本市に報告されている。特別監査で改善勧告などあったが、適正な収支が確認されている。H15年度に千葉市の単独補助金額は、児童の生活費加算79万1千円、職員の研修手当てなど87万1千円、児童の寝具設置補助15万3千円、職員を定数以上配置した場合の補助310万4千円、施設建設に伴う借入補助661万2千円、合計1,153万1千円補助している。「ほうゆう」の予算書と決算書は、法人事務局で公開することになっている。
 フォレスト・アトラスを通じて発注していたことは、監査の中で把握したもの。法人は、効率的・効果的な運営に一括発注していたと聞いているが、15年9月末で止めている。
○ エンジェルホームについて
 乳児院の役割は、棄児・父母の死亡等で保護者のない児童を入所させ、昼夜を問わず養育にあたる施設だ。現在、乳児院で解決すべき問題はない。職員体制は、同規模の定員を有する他の乳児院と比べ遜色ない。医療体制は、嘱託医のほか常勤看護師4人が配置されており、嘱託医の指示で小児科や耳鼻科など掛かりつけの医療機関を定めて、受診する体制になっている。施設規模は、千葉市が他市へ委託していた措置児童の推移と、他市の施設規模などを比較検討したもの。必要性は、H4年の政令市移行で、市が児童相談所を設置し、措置権者となったが、県内乳児院の定数が不足しており、県外の乳児院へ措置委託している状況から、千葉市の乳児を安定的に措置でき、緊急を要する一時保護にも対応できるもの。
 研修体制は、看護師や保育士を毎月実施している外部研修に参加し、看護師を中心に施設内のケース検討会議を1〜2週ごとに行っている。これまでの事故は、施設内で子どもが急に走り出し、ロッカーにぶつかって怪我をした報告が1件ある。事故後の対応は、ロッカーにクッション材やカバーを貼り付け、施設職員の子どもへの声掛け等で再発防止を図っている。予・決算は、理事会・評議員会の承認を得ており、収支は社会福祉法に基づき法人現況報告書
賀詞に提出されていて、適正に行われていることを確認素いている。予算・決算書は法人事務局で公開することになっている。

【総務局長】
○ 職員の問題について
 団塊の世代が60歳を迎える2007年問題への対応は、千葉市でもH19年度末から27年度にかけて団塊世代が退職時期を迎え、退職者は増加傾向にある。大量退職者全てを新規採用で補うのは困難。再任採用で活用し、マンパワーの縮減を抑制する。事務の委託化や非常勤職員の活用等効率化を進めるなど、事務事業全体を見直し、必要な職員数を抑制。民間経験者採用の導入など職員の確保手段の拡充などを組み合わせて対応していく。団塊世代が退職しても支障がないよう、マニュアルの整備等で適切な対応を図る。
 特殊勤務手当ては、昨年末総務省が実態調査結果を公表。千葉市も年末年始業務や戸籍・住民登録業務などへの特殊勤務手当てが指摘を受けている。現在、全ての項目を制度の趣旨に合わなくなったものを見直すため、職員団体と協議中だが、協議が整い次第条例を改正したい。新設する手当ては考えていない。
 調整手当ては、民間賃金、物価及び生計費が異なるので、高い地域に地方自治法204条による条例で支給している手当だ。千葉市は10%支給しているが、市民の理解が得られるように、支給率の引き下げを職員団体に提案しており、合意され次第実施したい。
 時間外手当については、H15年度の時間外勤務が多い職員の実績は、一番多いのが情報システム課の職員で、庁内ネットワークの稼動に伴い、年間1,957時間、月平均163.1時間、年約390万円支給している。次に、東京事務所付けで省庁に派遣している職員が、年間1,200時間、月平均100時間、年約270万円支給している。次は、情報システム課の職員で先ほどと同じ業務で、年間1,191時間、月平均99.3時間、年約290万円、次は稲毛区福祉サービス課の職員で、児童扶養手当・乳幼児医療費の支給事務等で年間1,142時間、月平均92.8時間、年約250万円支給となっている。時間外手当が年間100万円以上の職員数は734人で、時間外勤務は所属長等の事前命令、事後確認を徹底しているので、適切な時間外勤務となっている。しかし、長時間・長期間の時間外勤務は、職員の健康管理の面から好ましくなく、今後、次世代育成支援対策推進法に基づく特定事業行動計画で、時間外勤務の上限を定めた目安時間の設定や管理職員の意識啓発など実効性ある縮減作を推進し、適正な人員配置や業務配分に努める。県や他政令市との比較では、最高は月平均19.9時間、最低で7.2時間と各団体でばらばらだが、平均で12.4時間であり、本市は11.8時間と下回っている。
 職員の異動では、職種によって違いはあるが、概ね3年から5年を目安に、職員の適性・能力・本人の希望等で総合的に判断している。職員の育成・活用・組織の活性化等から、合理的な理由がない長期の同一部署配置などないように努めている。
 外国籍職員の任用では、千葉市はH14年度の採用試験から、消防職を除く全ての職種で国籍条項を撤廃している。また、採用後の配置も「公権力の行使」に該当する業務、「公の意思の形成への参画」に該当する職に就くことができないとされているが、スタッフ職として管理職への昇任は可能だ。1/26・最高裁判決内容は、千葉市に特に影響はない。在職する外国籍職員は、医療関係職員1人で、その任用は適切に対応していく。

【市民局長】
○ 地域経済活性化について
 市の正規雇用創出に向けた取り組みでは、昨年6月「無料職業紹介所」を開設し、市民の雇用促進を図り、求人開拓推進相談員を配置し、市内の事業所を訪問して求人開拓に努めている。ハローワーク千葉等と連携し、新規高卒者や大卒者、障害者の就職面接会を開催するなど、雇用創出に努めている。
 職業訓練は「職業能力開発促進法」で、基本的に国・県の事務となっている。国は「若者自立・挑戦プラン」をH15年6月に策定し、教育・雇用・産業政策の連携強化で若者の就労支援を図っている。その中で、企業の実務的な実習を組み合わせた職業訓練をH16年4月から実施している。県でも、昨年4月から都町の千葉高等技術専門校を「ちばキャリアアップセンター」に改め、機能強化を図っている。

【経済農政局長】
○ 地域経済活性化について
 ヨーカ堂、島忠、ネクサスでの市内からの雇用は、現在、採用説明会の実施等の募集段階であり、実際の雇用状況は明らかでない。設置者側の説明では、全体で約2,300人程度の新規雇用を考えていて、内訳は、ヨーカ堂が約5割、島忠が約3割、ネクサスが約2割と聞いている。千葉市は、地域経済活性化の観点から、設置者に対し、市内からの雇用を優先するよう要望している。今後も引き続き地元雇用を要望していく。
 セントラルプラザ跡地開発については、当該地区の再開発計画や千葉市中心市街地活性化基本計画で、地元と活性化方策を検討してきた。昨年11月、民間業者が当該地区にマンション建設のために土地を取得したとの届出があったので、建設にあたっては、商業機能等の導入など「基本計画」に沿った事業推進を図るよう要望した。商工会議所・中心市街地まちづくり協議会からも、周辺に賑わいを醸し出す商業施設を設けるよう要望している。これらの要望に対し、事業者からは、商業施設導入を検討するなど、協力したいとの意向が示されている。

【環境局長】
○ JFEの排水データ改ざんについて
 三者協定締結の経過は、S40年代に千葉県東京湾沿岸部に石油コンビナート等の工場群が集中的に立地したことを契機に、公害防止の観点から企業と県・地元市の三者で公害防止協定を締結し、公害防止に積極的に努めるとしたもの。千葉市でも、S46年4月27日に県・市・川崎製鉄と三者協定を締結。その後、社会情勢の変化を受けS49年1月に、現在の協定を締結した。現在、同様の協定を東京電力、サミット美浜パワー、J−オイルミルズ、新東日本精糖、JFE鋼板、美浜シーサイドパワー、千葉製粉の7社と締結している。協定内容は、企業ごとに協定値が異なり、企業情報に係わるので非公開としてきたが、情報公開条例ができたので、適正な手続きを経れば、必要なところの公開はしている。千葉市の責任は、協定が県・市・事業者相互の信頼関係での「紳士協定」であり、協定の中の市の責任は果たしていると考える。
 このような事件を引き起こしたJFEの責任は重大だと考える。同社では、環境管理体制の抜本的建て直し、県・市民への情報開示等を約束しており、市としてもJFEが新しい体制を十分機能させることで、二度と今回のような事態を引き起こさないよう万全を尽くしてほしいと考える。JFE発行の「環境への取り組みについて」の内容は、不適切な記載があると考えるが、この問題は同社が判断すべきだと考える。
 立入検査体制では、JFEに対して、近年は通常「水質汚濁防止法」に基づく立入調査を2人1組で年1回実施。また、公害防止協定に基づき、県と合同で基本的に3人1組で年2回実施してきた。協定締結企業として公害防止対策が自主的に実施され、県・市への報告がされることが前提とされ、業務量に見合った体制だったと認識している。今回の問題を踏まえ、今後は検査体制の強化を図りたい。

【消防局長】
○ 消防局の職員について
 2007年問題への対応で、大量退職者はH20年度から第1次ピークが到来するが、消防職員全員が災害対応要因で、危険を伴う活動に携わっており、民間委託や非常勤職員の活用は一般的には馴染まない。基本的に、新規採用職員や再任制度を活用し、計画的に人材確保に努めたい。市民サービスの維持は、団塊世代の持つ技術や知識を継承するため、市消防学校や各消防署での教育、訓練を計画的に実施し、消防職員の知識・技術の向上に努めていく。
 各部署の問題と解決策では、消防業務は、救急救命士や船舶の航海士など資格を必要とする業務が多く、業務に支障がないよう計画的に資格取得を進め、対策を講じている。
 特殊勤務手当ては、消防業務は他の業務と比較し、危険性や困難性、さらに特殊技能を駆使する業務が多いが、市長部局と協議し検討していく。新たな手当てを設ける予定はない。
調整手当ては、市長部局と同様な扱いとなっており、総務局長答弁と同じだ。
 時間外手当は、H15年度で一番多い職員は、総務部人事課付けで省庁派遣の職員で、年間1,091時間、月平均91時間、年約365万円支給している。次は、予防部予防課の職員で、消防法改正に伴う住宅防火対策の制度作り業務により、年間614時間、月平均51時間、年約120万円、次は予防部指導課職員で、危険物施設の許認可事務や違反処分マニュアル作成で、年間613時間、月平均51時間、年約215万円、次は予防部指導課職員で、同様の業務で年間580時間、月平均48時間、年約134万円、次に警備部救急救助課職員で、医師常駐体制を含むメディカル・コントロール体制の構築事務で、年間569時間、月平均47時間、年約119万円支給している。100万円以上の職員数は88名で、そのほとんどが救急隊員の夜間救急出動で、適正な執行である。他政令氏との比較は、手当て支給対象が異なり、一概に比較対照できないが、最高で月平均15.7時間、最低は5.0時間であり、当局は13.5時間で上位から3番目となっている。時間外勤務手当の大部分は、市民の安全を護るもので、消防隊・救急隊員の夜間の災害・救急出動によるものだが、時間外勤務の見直しに向け、市長部局と同様に縮減策を推進していく。
 職員の異動は、部署により若干の違いはあるが、概ね3年から5年を目安に、職種の適正・能力・本人の希望を総合的に判断し、実施している。合理的な理由のない、長期の配置は事例がない。