小関としゆき議員の討論

2005.3.18
 日本共産党市議団を代表して、74議案中、17議案に反対し、発議1号が否決され、請願2号が不採択になったことに対して、討論を行います。
 私どもは、新年度予算が市政の主役である市民のために編成されているかを基本にして分析すると共に、併せて鶴岡市政4年間を検証して予算審査を行いました。その結果、予算案が市民生活よりも大型開発を優先するものであり、市政の実態も同様であることが一層明確になりました。
 以下その特徴と問題点を指摘し、予算の切替えと市政の転換を求めるものです。

 第1は、「三位一体改革」と地方分権など政府に対する姿勢についてです。
 政府の「三位一体改革」は、一般財源総額の確保といって市税収入と一体で考えているため、千葉市も市税の増収分30億円を加えて相殺したため、不足分は6億5,400万円と説明しています。
 しかし、新年度予算で「三位一体改革」の影響は、(1)国庫補助負担金7億8,700万円の減額、(2)地方交付税・臨時財政対策債の合計45億円の減額、(3)税源移譲は16億300万円の増額になります。これらを差し引くと36億5,400万円の減額で、これが「三位一体改革」の影響額であります。
 また、H15年度から始まった「三位一体改革」の影響全体を見ると、(1)税源移譲・所得贈与税は3年間で31億2,000万円増額、(2)国庫補助負担金は3年間で25億1,100万円減額、(3)普通交付税と臨時財政対策債の合計はH16年から2年間で110億円の減額です。以上を差し引き計算した103億9,100万円の減額が、「三位一体改革」で千葉市が受けた3年間の影響総額です。
 日本共産党市議団は、この実態を正確に説明しながら、必要な国庫補助負担金の削減は中止すること、地方交付税・臨時財政対策債は新年度歳入合計130億円をH15年度水準の240億円に戻すこと、税源移譲を適格に実施すること、を政府に求めるよう提案しました。そして、地方財政削減、地方自治体の標準的仕事の引き下げ、地方切り捨ての改革である「三位一体改革」を批判し反対することを求めました。
 また、市民生活を直撃する小泉内閣、自民党・公明党政府による7兆円の大増税計画の中止を求めるよう提案しました。
 しかし、市長は「三位一体改革」は「地方税財政基盤が強化され、真の地方分権が実現される」との答弁で、地方切り捨ての改革に全面的に賛成しています。
大増税計画については、「国民の安心を確保しながら、活力ある経済社会構築の税負担の公平分任・応益のための改革」だと、市民の痛みを全く理解しない答弁でした。
 このような政府追随の鶴岡市長のもとでは、財政危機の克服や、真の地方分権の確立ができないのは明白であり、認めることはできません。

 第2は、新年度予算の特徴と問題点についてです。
 その1は、歳入についてです。
 新年度一般会計総額は前年比1.2%、40億円の減額です。収支不足192億6,300万円への対応で、歳入は、新たに「緑と水辺の基金」からなど53億4,700万円を借り入れしています。これで、基金は底をつきました。また、地域再生事業債95億1,400万円などで合計148億6,100万円、いわゆる借金で不足分の77%を賄っています。
 新年度公市債の依存度は実質17.3%です。また、「行政改革」などで19億5,000万円縮減しています。
 新年度予算の借金見込みは、全会計の元利合計残高が1兆3,528億円で、市民一人あたり147万円にもなっています。
 このように、鶴岡市長の財源対策は、基金を「これ以上は借りられない」限度ぎりぎりまで借り尽くし、今後取り崩す財源もない異常な事態となっていて、来年度以後は、「行政改革」と称し、市民の負担増と市民生活切り下げ計画となっています。
 また、借金総額は、H13年度末の松井市政時代に比べ、4年間で1,640億円も増えていて、財政を硬直化させ、重大な危機をもたらしています。2月22日付け「千葉日報」は、「借金増え、財政硬直化」「市民負担じわり」と厳しく指摘しています。
 私どもは、今さえとりつくろえれば良い、後の見通しには責任を持たない、不足分は市民に犠牲を押しつけるような財源対策は改めるよう求めましたが、「市民サービスを低下させることなく収支の均衡を図った」との市長答弁は、市民への犠牲は当然とするものであり到底認められません。

 その2は、歳出についてです。
 施策の選択では、何を優先し何を削ったのでしょうか。歳出予算を款別に見ますと、
 民生費では、生活保護費など義務的経費を差し引くと、前年度比で10億円の微増です。市長の「目玉政策」子育て支援は、国民生活全体を削る小泉内閣が、唯一増やしている子育て支援の国庫補助事業分を除くと、新規は2事業で、予算は3億6千万円しかありません。政令市の中では、千葉市の民生費は最下位クラスで、市民一人当たりの予算を政令市平均まで引き上げるためには、あと219億円必要です。
 衛生費中環境保全部の予算は13億円余で、H13年度比較では13.9%の減額です。
 商工費の98億円は、毎年連続の減額でH13年度の213億円に比べて半分以下になってしまいました。
 土木費のうち道路の予算は、大型道路・新港横戸町線に60億円を計上していますが、生活道路関係の全体予算は59億円で5年連続の減額です。
 教育費は、11.6%の増額ですが、そのうち小学校・中学校費は、H10年から13年度までの4年間と、H14年度からの鶴岡市政の4年間で比較すると、83億円の減額です。
 一方で、都市再生など大型開発や大型道路の建設などはどうでしょうか。
 千葉市が実施している10億円以上の大規模公共事業は、件数で84件、新年度予算の合計は684億円です。
 都市再生などの大型開発は、「一段落」といっていますが、蘇我臨海開発・中央第六地区市街地再開発・中央港地区区画整理・千葉駅西口再開発・新港横戸町線の合計は186億円の予算を計上しています。繰越明許費をたすと、新年度事業費総額は269億円を越します。
 蘇我臨海開発・中央第六地区市街地再開発・中央港地区区画整理・千葉駅西口再開発の4事業の予算は、H14年度〜17年度の4年間で521億円、それ以前のH10年度〜13年度の4年間では202億円でした。比較するとその差は320億円も増額しており、鶴岡市政は、前の市政の258%も大型開発に予算を注ぎ込み、力を入れていることがはっきりしました。
 以上の予算の中で、市民サービスへの主な影響では、難病見舞金3億2,200万円の減額、小児慢性特定疾患治療研究事業費約2億円の削減、水質監視測定事業の見直しで1,400万円の減額、火葬料金の無料から一体6,000円への有料化などで2,565万円の負担増などがあります。また、国民健康保険料の介護保険納付分を平均4,000円引き上げています。鶴岡市政4年間の公共料金値上げは、61件で30億2,495万円にもなっています。
 以上のことから明らかなように、新年度予算は、前年比40億円の減額で、192億円の収支不足を、基金の借入れや市債など膨大な借金で賄う厳しいものとなっています。その中で、市民生活関連予算は削減しながら、大型開発や10億円以上の大規模公共事業は見直すことなく推進しているのが特徴です。

 その3は、大型開発と10億円以上の大規模公共事業を見直し、大型開発優先から市民生活優先に切り換えることについてです。
 いま、市民が主役の予算に切り換えることが強く求められています。
蘇我臨海開発は、公害たれ流しやデータ改ざんで千葉市民と行政を裏切り、信頼関係がなくなったJFEに対して、国と市が900億円以上も注ぎ込んで応援していますが、中止すべきです。
 中央港地区区画整理は、当初計画が頓挫し、計画されていた21,900人の雇用は立ち消えてしまいました。土地利用の変更はやむを得ないとしても、結果として、自社敷地にマンションを建設する事業に、公共が530億円も注ぎ込んで基盤整備したことになり、税金の使い道が問われる大問題です。
 17年も経過しながら、見通しのない千葉駅西口再開発は見直して、遊休地の利用を市民の声を広く聞いて、急いで具体化すべきです。
 中央第六地区市街地再開発における中心街の活性化は期待できません。公共施設としての利便性でも、区役所から離れた保健福祉センターにも、不満が出されています。また、底地の購入費用も含めて、千葉市財政への重大な借金として重くのしかかる事業なのに、何ら見直すことなく進めていることは大問題です。
 これら大型開発4事業に、鶴岡市政は前市政より、4年間で258%も予算を注ぎ込んできました。これが福祉・環境・地域経済活性化・教育を削ってきた原因です。また、借金を増やし続け、財政危機を招いてきた原因でもあります。
 市長は、「都市の再生と雇用の増大、税の涵養につながる」と言いますが、現実はどうでしょうか。
 千葉駅西口再開発は17年間、523億円もの税金を使いながら空き地が広がるばかりです。蘇我臨海開発での雇用対策は2,300人規模との答弁でしたが、中央港地区区画整理事業が530億円の事業費で21,900人の雇用を当初計画していたことと比べれば、総事業費1,601億円の蘇我臨海開発での雇用数は余りにも少なく、「大型開発は市民にとって有効」という市長答弁は、説得力がありません。
 大型開発優先を反省して、事業を見直し、市民生活優先に切り換えることが「市民が主役の千葉市」をつくる決め手です。
 また、10億円以上の大規模公共事業84件684億円については、この必要性・採算性・環境への影響の観点から見直して、仮に10%見直しできれば68億円、15%なら102億円を福祉予算などに回すことができることを提案しましたが、「事務事業評価をしている」との答弁で、結局、一つも事業を見直すことなく、84件全部進めるという立場であり、無駄を省く真剣さが欠落しています。
 改めて、大規模公共事業の見直しを客観的に判断するための第3者による「公共事業見直し委員会」の設置を求めます。
 負担の根拠が希薄な幕張メッセ負担金6億8,000万円、地方財政法27条関係の国直轄道路負担金10億円、港湾整備負担金1億5,000万円などは中止し、簿価300億円の「塩付け土地」の有効活用など、無駄を省き財源を確保するよう重ねて要求します。

 その4は、市民生活優先へ予算の切り替えについてです。
 まず民生費ですが、特別養護老人ホームの待機者1,824人、保育所の待機児童791人の解消は緊急の課題です。前年比1億5,703万円も減額している国民健康保険料法定外繰入金を増額して、命と健康を守るための市民福祉の向上が強く求められています。政令市平均より219億円も少なく、義務的経費を除くと10億円しか増えていない民生費の大幅増額が必要です。
 環境重視、地球温暖化防止、JFE対策など山のような課題を抱えているのに、一般会計の0.39%と余りにも少なすぎる環境保全部予算を、大幅に引き上げるべきです。
 地域経済活性化を真剣に考えるのなら、H13年度の213億円に比べ、46%の98億円に減らしてしまった商工費を増やし、有効な施策を講ずるべきです。
 土木費は、生活道路の整備維持補修費や交通安全施設、側溝新設改良など、市民の生活環境を維持し、安全を守り、仕事も町場の業者に発注されて経済波及効果のある予算は、減らさずに増額することが必要です。
 子どもを取り巻く環境が深刻な時に、前の市長時代より83億円も減っている教育予算を増やして、30人学級への独自の取り組みと、当面2億4千万円の予算で可能な少人数学習指導員を小学校6年生まで配置することが急がれています。
 行政改革による問題については、難病見舞金の減額をやめて対象除外者5,500人を元に戻すことと。小児慢性特定疾患治療研究事業費は、4,600人の対象除外者に、これまで通り手当てを支給し、深刻な病気と闘う市民の希望を奪うことはやめるべきです。「必要性がなくなった」と減額する水質監視測定事業費は、JFE問題で対策強化が求められている時だけに、減額しないで水質汚濁防止対策を強化する有効な施策に使うべきです。
 火葬料金の有料化は、10か月で2,565万円の増収予定ですから、元に戻す事は難しくありません。今まで通り無料として、人生最後の儀式を安心して行えるようすべきです。
 地震・台風など災害時の対策を強め、避難場所の確保、学校体育館耐震工事の計画的実施、災害復興対策中でも被災者住宅復興への支援は、先進都市に学び大幅な引き上げが必要です。
 以上、市民生活優先の予算への切替えを求めるものです。

 第3は、JFEスチール(旧川鉄)の環境問題についてです。
 JFEスチール(旧川鉄)による有害物質の基準値を超えた違法排水、排水の自社測定データの改ざん、報告排水量を数倍上回る大量の排水など、あまりにもズサンな水質管理は許されないことです。
 JFEは、1975年から17年間争われた青空裁判で、東京高裁において加害責任を認め公害患者に謝罪し、公害防止を約束しましたが、その時すでに違法排水と、データ改ざんをしていたのです。これは公害患者や市民への背信行為であり、市民の健康よりも利益を優先する悪質な企業体質といわなければなりません。厳しく糾弾し、徹底した真相の究明と責任の追及、再発防止が求められています。併せて千葉市環境行政の責任と対応も問われています。
 高アルカリ・シアン化合物・六価クロムなど有害物質は、製造過程から漏れ出すだけでなく、7万トンも積み上げられたスラグに雨が降る中で溶け出し、何の囲いもないJFE西工場から海に直接流れ出ていました。JFEは違法排水を承知で流し続けてきたようです。
 千葉市は「公害防止協定」を結び、度々立入検査もしながら、なぜ、常時たれ流しの実態をつかむことができなかったのか疑問です。この際、西工場も含め大規模な土壌汚染調査をすべきです。
 JFEは、自社データ改ざんについて「担当職員が独断で行った」「次の担当者に口頭で改ざんを伝えていた」「上司は知らなかった」などと言っていますが、大企業の管理システムからして、会社ぐるみの改ざんは明白であり、許されません。
 千葉市が「協定企業を信頼していた」として10数年間、データ改ざんを発見できなかったことは、JFEとのなれ合い、真剣にチェックする姿勢に欠けていた職務怠慢であり、その責任をはっきりさせるべきです。
 水質汚濁防止法違反は明白であるにもかかわらず、鶴岡市長はJFEに対して「刑事告発しない」といい続けていることは、市民の環境を守るよりもJFEを擁護することであり、許されません。
 サッカー場やハーバーシティーの環境について千葉市は、JFEの測定した大気・土壌の環境アセスメントを了としていますが、信頼関係が裏切られた今日、利用する数万人規模の市民の健康と安全を守るために、行政の責任で測定をやり直すことを求めます。

 第4は、花沢県議滞納税不正免除事件についてです。
 鶴岡市長は「私は知らなかった」と自らの関与を否定し、花沢元県議が高額滞納者であったことも「部下から報告がなかったので知らなかった」と言いのがれしています。市長選挙立候補表明した記者会見では、「部下の犯した間違いを私は背負っていく」と、まるで被害者のような発言をしていまが、部下にすべて責任を押しつけることは無責任であります。
 個別外部監査人による監査について、資料提出などに全面的に協力することを求めます。また市長は外部監査任せでなく自浄能力を発揮して、組織的関与疑惑、不可解な特別処分の実態、権力者に対する特別扱い、鶴岡市長と花沢元県議の特別な関係疑惑などについて、改めて調査解明して説明責任を果たすことを求めます。

 続いて各部局ごとの問題点について指摘を致します。
 総務行政についてです。 
 1に、千葉市行政改革推進計画は、緊急通報システム・はりきゅうマッサージ利用助成・障害者入浴サービス事業・特定事業場水質検査・公民館自主講座などの見直しや、ファミリーサポートセンターの委託化、PFIの積極的導入などであります。市民生活にとって定着し必要とされている事業を、「見直し」と称して切り捨てることは中止すべきです。無駄と浪費を削り、簡素で効率的な行財政を行う本物の行政改革を求めます。
 2に、指定管理者制度の指定についてですが、あやめ台いきいきセンターについては、社会福祉事業団が指定されたことで公的責任が維持されるものとして賛成するものですが、葬儀場・アイススケート場・蘇我球技場については、民間が指定されたことで、公的責任が放棄され、企業の利益優先とならないか、市民のプライバシーの保護や公正な運営ができるかどうか不安であり、反対です。
 3は、職員の適正配置についてです。福祉事務所のケースワーカーの配置状況は、国の標準数に対して20人不足しています。忙しい職場などに適正に職員を配置して、市民サービスに応えることが必要です。

 財政局についてです。
 議案第65号和解についてですが、千葉市の発注した建設工事の入札業者が独占禁止法に違反して行った不当な取引の制限により生じた損害の賠償請求について和解が成立した議案は、損害額の合計が20億円、契約件数で354件と膨大であります。談合を行った業者件数は78社で千葉市全体業者数の78%にも上ります。また一社当たりの談合件数もA社19件、B社18件、C社16件など、落札した事業のほとんどを不当取引していたことが明らかになりました。このことは千葉市の業者間の談合が日常的で体質的なものであったことであります。これを機会に公正な入札の確立に特段の努力が必要であることを指摘しておきます。

 企画行政についてです。
 新5か年計画達成率の91%は、見直し計画6,028億円406事業の進捗率であり、当初計画6,289億円402事業の進捗率は88%です。また当初計画になかったサッカー場など4事業215億円が追加されたため、それを差し引いた進捗率は84.5%しかありません。その結果保育所や公民館の建て替えはじめ、市民ニーズのたかい事業が削られて、一方で当初計画になかったサッカー場はじめ大型開発には遠慮なく事業費が注ぎ込まれました。第2次5か年計画は、歳入見通しが極めて不透明の中で、業務核都市・3都心開発中心から脱却し、市民生活最重点の計画にすることを求めます。

 市民行政についてです。
 1、危機管理マニアル作成予算など国民保護関連事業の準備が進められていますが、千葉市は「国民の保護に関する計画」策定を予定しています。
 関連事業の中には「実施体制」「計画策定」「避難の検討」などが有りますが、住民や自主防災組織への啓発や市民の参加が義務付けられ、「有事」「軍事災害」を想定した訓練なども準備されています。平時と有事における情報収集も検討されていて、市町村に思想調査をさせる懸念もでているなど、基本的人権を侵害する心配も出てきています。また、計画推進のため現職自衛官や0Bの採用を検討する自治体もあるといわれています。「国民の保護法」は、「武力攻撃事態法」の枠組みに沿って日本が米軍の戦争を支援し、共同して軍事行動を遂行する体制を作り上げるものです。自衛隊・地方自治体・企業・国民が総動員されるものであり、憲法9条の平和原則が踏みにじられます。市民の平和と人権を守り憲法を順守する立場から「国民の保護に関する計画」策定を中止するよう求めるものです。
 2、緊急地域雇用対策では、国の補助金が打ち切られましたが、市は独自の雇用を縮小せずに充実すべきです。
 3、消費生活センターにおける消費者相談は多くの市民を救済しています。相談員の増員など体制強化が必要です。

 保健福祉行政についてです。
 国民健康保険は、滞納が33,000世帯、窓口10割負担の資格証明書発行が1万世帯もあり、市民の命と健康を守るためにも、高すぎる保険料を引き下げ、資格証の一律発行は中止すべきです。
 介護保険は、保険料を払えない人が約5,000人、認定を受けてもサービスを受けていない人が4分の1も占めています。保険料の減免制度を拡充すること、利用料の減免制度をつくることが必要です。
 各種検診制度は、毎年受診できるよう保障すべきです。
 母子生活支援施設については、福祉法人の建て替えは、市民に待たれたものであり、母子家庭の自立を促すものとして、今日、必要性が高まっています。市立の小桜園は、法人の建て替えが実施されれば、廃止とされていますが、7,400世帯の母子家庭がいる中で、改築してその機能を充実させることを求めます。
 障害者の医療費助成制度の現物給付は、1億9千万円で実現できるのに、政令市の中で実施していないのは、仙台市と千葉市だけです。償還払いは障害者の医療を受ける権利をはばむもので、現物給付の実施は行政の努めです。
 ほうゆう学園に対しては、市長の責任が問われています。正常な運営が行われるよう指導すべきです。
 
 環境行政についてです。
 環境行政の強化が求められる中、予算が削減されているのは問題です。
 一般廃棄物処理基本法計画の見直しについては、市民参加が重要といわれていますが、パブリックコメントだけでは不十分です。溶融スラグのストックヤード建設は、安全性が疑問視される溶融スラグを利用促進しようとするもので問題です。
 地球温暖化対策が必要とされる中、ガスを燃焼させるスーパーごみ発電は、時代に逆行するものであることを指摘しておきます。
 現在の市の廃棄物指導要綱は、産業廃棄物処理施設がその周辺住民に大きな影響を及ぼすものであるにもかかわらず、市民にその中身を知らさることなく、建設計画が進められるという欠陥をもっており、改正する必要があります。

 経済農政行政についてです。
 蘇我臨海開発にともなうハーバーシティーのオープンによる中心商店街などへの影響は大きなものが予想されます。早急な対応策を強めることが必要です。
地域経済の活性化に向けて、制度融資や雇用の拡大を産業振興財団まかせにせず、千葉市経済部が責任をもって対応することです。
 千葉市農業は、農産物生産高で高い水準にあり、その消費量の拡大に力を入れる必要があります。千葉産米などブランド品を開発することや、学校給食に使用することを強めることです。

 都市行政についてです。
 1、市民の住宅の耐震改修助成制度・補助率1/3限度額60万円がスタートしますが、耐震診断助成と合わせて、市民へのPRを強め、建設関係の諸団体の協力も得て利用を促進することを求めます。
 2、市営住宅の修繕費は、年間284戸で1億8,749万円ですが、修繕費を増額すれば入居待ちをしている市民がもっと入居できます。老朽化した市営住宅は早急に建替えしなければなりません。住宅マスタープランから見ても、毎年約190戸の建設が必要です。
 3、「静かな時限爆弾」といわれているアスベスト被害から、施設利用者や建設労働者を守るよう対策を強化すべきであります。

 建設行政についてです。
 市民の身近な道路や側溝の新設、改良が待たれていますが、年々予算が減らされていることは問題です。
 交通安全施設の整備は、歩道の段差切り下げ、ガードレールの設置など、バリアフリー化の促進と合わせ、信号機を発光ダイオードに変えることを急ぐことです。

 水道行政についてです。
 霞ヶ浦、房総導水路の負担金が20数年間に190億円余になろうとしていますが、過大な負担金にならないことが必要です。

 教育行政についてです。
 子どもを取り巻く環境が厳しい中、また、長引く不況の中で、どの子にも行き届いた教育を行えるよう援助していくことが求められています。
 私学振興補助金は教育費のわずか0・2%にしかすぎず、父母負担を軽減するためにも、8,800人が通う私学に対して拡充することが必要です。
 学校給食については食の安全、また、市内の農業振興のためにも地元の農産物を使うことを農政局と連携して早期に実現することが必要です。また、給食は教育の一環として位置づけられており、コスト節減を目的とする民間委託は認められません。学校の安全対策は、安全職員制度で対応することが必要です。
 入学式、卒業式での日の丸、君が代については、憲法で規定された思想・良心の自由を遵守し、教育現場での強制は行うべきではありません。

 消防行政についてです。
 消防局の基準消防力は定員の87%で、職員の平均年齢は43歳です。市民の財産と命を守るために、救急・緊急時での対応の機動力が問われます。消防職員の増員をすることが必要です。

 平和行政についてです。
 戦後60周年を迎え、千葉空襲の教訓を色々なかたちで戦争の体験を語り継ぐことが必要です。50周年では、予算が1億2,594万円だったのに、60周年は1,495万円で、あまりにも少なすぎます。大幅な予算増額と平和事業の推進をすべきです。市長は憲法9条を守ると答えましたが、言葉だけでなく行動や、予算措置で示すべきです。

 発議1号についてです。
 「下水道条例の一部改正する条例提案」ですが、「使用した量に応じて料金を支払う」という原則に基づいて使用料の適正化をするもので、他の委員から「いい条例だ」としながらも、「趣旨は理解するが4月1日からの施行には無理がある」などの理由で否決されたのは遺憾であります。
 今、市は2,820億円を超える企業債をかかえ、きわめて厳しい財政状況にあります。社会経済状況の変化など下水道事業を取り巻く環境の変化に的確に対応していくために、福岡市のように下水道使用料体系検討委員会を設置し、様々な環境変化に対応できるよう、今後の下水道使用料体系のあり方について、調査、研究し、検討することを提案します。

 請願第2号についてです。
 「JFE排水データ改ざん事件の真相究明と再発防止を求める請願」が、不採択となったことは誠に遺憾であります。
 このJFE違法排水データ改ざん事件は、大気汚染による公害病の原因企業だった旧川崎製鉄と千葉県・千葉市が結んだ「公害防止協定」を根底から踏みにじった社会的背信行為であり、ゆるがせにできない重大問題です。
 また、長年にわたり、同社への立入検査などを行いながら、市も違法行為を見抜けなかった責任があります。
 千葉地検や千葉海上保安部によるJFEへの家宅捜索が行われました。また、市民の不安と不信は高まっています。しかし、市の対応は到底責任あるものとはいえません。問題の重大性から、また再発防止のためにも、市議会としての明確な態度をとるべきです。
 以上申し上げましたが、日本共産党市議団は、大型開発を大胆に見直し、市民の暮らしが主役になることを望む、多くの市民と力を合わせ、市政を転換するために、全力をつくすことを表明して討論を終わります。