野本信正議員の
代表質疑に対する答弁(要旨)

2005.3.3
【鶴岡市長】
○ 市政運営の基本姿勢について
 税制改正は、少子・高齢化の進行の中、活力ある経済社会の構築へ、年金・医療・介護などの社会保障給付を総合的に捉え、雇用・少子化対策の関連も踏まえた改革と合わせて、税負担の公平・分任・応益原則の観点で、個人所得課税のあり方などが議論されて税制度改革が行われているもの。
 「三位一体改革」による影響額は、16年度は約86億9千万円、17年度は約6億5千万だ。地方交付税と臨時財政対策債の額は、各年度の地方財政計画で的確に決定されているものだ。
 「三位一体改革」で地方税財政基盤が強化され、真の地方分権が実現するよう、他政令市と共同し国に要望していく。
 収支不足の対応は、当初予算編成前に見込んだ193億円の不足を、緑と水辺基金からの借り入れをはじめ各種基金の活用、市所有の未利用地処分、地域再生事業債の活用で、市民サービス低下なしに収支の均衡を図った。財政構造の健全化は、新「行革」推進計画で長中期的観点から取り組んでいく。
 市民生活関連予算は、厳しい財政状況の中でも限られた財源を重点的・効果的に活用し、新5か年計画の着実な推進を基本に編成した。特にニーズが高い環境問題・少子高齢化対策、地域経済活性化など重点7分野、安全・安心の街づくりも積極的に取り組むなど、市民生活に配慮した予算だ。公共料金も、受益者負担原則で、市民への影響等勘案して見直している。
 大型公共事業の見直しでは、蘇我特定地区などの都市基盤整備は、快適な生活環境や都市機能増進、雇用創出、税源涵養につながるもの、都市再生と地域経済活性化に効果を発揮するものだ。厳しい財政状況だが、市民生活の質的向上へソフト・ハード両面のバランス取れた施策展開に努めた。「公共事業見直し委員会」設置は、国交省の補助事業で「公共事業再評価監視委員会」を設置し評価を行っている。新5か年計画で位置づけた大規模プロジェクトを含め重要な施策は、社会経済の変化に応じ、効率的・弾力的に推進に努めており、改めて「委員会」は必要ない。
 JFEのデータ改ざん問題は、県と合同でヒアリングし、経緯の確認を行っている。 
 災害・防災対策では、見舞金を罹災の応急援護策として災害救援法適用外の住宅(流失、全・半壊など)に支給しており、他政令市と遜色ない。学校施設耐震工事は、補強の必要な校舎棟を計画的に実施しH21年までに完了の予定だ。体育館は、緊急対応として小・中・高・養護学校の全体育館の窓ガラスを強化ガラスに取り替えるが、耐震化は今後の改築で対応していく。
 滞納税不正免除事件では、個別外部監査に誠意を持って対応していく。オンライン上で都合の悪い部分の整理はしていない。特別処分の調査は市として可能な限りの結果であり、説明責任は果たしている。改善策も二重照合制度や進行管理・滞納整理事務マニュアルの改訂など対策を講じている。前県議の滞納状況は承知していなかった。公平・公正であるべき税務行政で信頼を損ねたのは監督者としての責任を十分感じている。
 平和公園墓地購入問題は、身内が亡くなり問い合わせたら、平和公園に空があると言うので、通常の手続きで入手したもの。   
 海外視察問題では、訪問日程を私や議長の公務日程とヒューストン市や他の訪問先との日程調整の結果、この時期に決まったもの。事前の打ち合わせでは、ヒューストン市長が出張予定だったが、訪問時には日程調整できて市長の歓迎を受けた。妻の同行理由は、欧米との相互訪問で配偶者同伴は一般的儀礼なので、公式訪問団メンバーは日程など事務レベルで連絡調整し、確認されたものなので、あえて配偶者の記載を依頼し招請状に入れてもらった。旅費・委託料合わせ1,383万円である。妻の旅費の公費支出根拠は「実費弁償に関する条例」に基づくもの。本来ファーストクラスだがビジネスクラスに変え、経費削減に努めた。妻の旅費が同行職員と差があるのは、支度料や旅券代だ。
○ 第2次5か年計画について
 計画策定にあたり、議会や市民からの意見を踏まえ、優先性・緊急性・地域バランスを勘案し計画事業を厳選する。
○ 区役所窓口休日開庁について
 千葉市は、週休2日制導入後、千葉駅連絡所で土曜午前に各種証明書交付を実施し、H15年5月から公民館などに10ヵ所自動交付機を設置、土日・祝日も午後5時まで利用できるが、休日開庁等は費用対効果・必要性を検討していく。
○ 商工業の発展について
 産業振興財団補助金は、市内事業者に経営・技術支援事業、人材育成事業などの支援を実施している。新年度は事業者のニーズに応え、専門化派遣事業、情報提供事業などを拡充したい。H14年度は、市内事業者交流や産学協同研究に施設整備、情報提供システム整備の経費があったので多額となったもの。今後も支援事業の充実を図り市内事業者育成に努める。
 空き店舗対策支援は、商店街の賑わいのため空き店舗を活用し、新たな店舗誘致やコミュニティ施設等を設置した場合に支援している。空き店舗の継続活用は困難な点も多いが、商店街と市民、NPOなどの連携で「街づくり」の一環として活用する必要があり、地域経済活性化の事業として推進していく。
 千葉市の農業産出額は、13政令市中3位の高水準にある。他都市同様、高齢化・後継者不足・農地減少など喫緊の課題だが、新規就農希望者研修や農業版ハローワークを実施、農作業受託組織の育成など課題に対応した施策に努めている。今後も消費者ニーズを捉え、生産力向上など効果的な施策展開を考えていく。日頃、農政センターは農家を巡回し、指導活動の中で営農状況の把握や意見交換を行っている。各事業の推進は、関係農家や農業団体・専門家などの各種協議会・専門部会を組織し、農家の意見を聞いて反映するようにしている。 
○ 平和行政について
 私は申すまでもなく、戦争をしない平和な国を望んでいる。憲法は、国民全てが尊重しなければならないもので、私も9条を含め憲法を尊重し、擁護している。

【小島助役】
○ 行政改革について
 地方自治体は、住民の福祉の増進に努め、最小の経費で最大の効果を挙げ、組織及び運営の合理化に努める不断の努力が必要だ。そのための行政の役割は、行政効率・効果、受益と負担の公平確保、市民観点、納税者が納得できる税金の使い方など多角的観点で検討し、業務のムダをなくすよう行革に取り組んでいる。また、規制緩和、情報化推進、窓口対応改善などサービスの向上にも取り組んでいる。
○ 母子生活支援施設について
 旭ヶ丘母子ホームの施設整備では定員40世帯に拡充し、自立促進等の指導を行う「グループホーム型」5室を設け、DVに対応する緊急一時保護室の整備など、生活の処遇向上が図られる。小桜園は定員13世帯だが、過去3年間の推移を考えれば、小桜園の改築なしに対応できる。 

【林助役】
○ JFEスチールのデータ改ざんについて
 JFEの報告によれば、データ改ざんの水質担当者の在任期間は、H8.9.1からH9.9.30までとH12.3.1からH17.1.27までとなっている。H元年以降の担当者では、H4.6.30までが1人、H4.7.1からH8.8.31までが1人、H9.10.1からH10.6.30までが1人、H10.7.1からH12.2.29までが1人と聞いている。改ざんしたとされる担当者は、前任者から申し送りを受けたと言っているが、前任者は記憶にないといっている。その他の前任者は退職していて検証は困難とされている。改ざんの経緯は、組織的責任も含め可能な限り明らかにするようJFEに求めている。データ改ざんを発見できなかったのは、JFE・千葉県・千葉市の3者で公害防止協定を締結し、公害防止を約束した企業であり、報告データを信頼していたもので、職務怠慢ではない。対応が甘かったとの指摘は真摯に受け止め、このような行為を二度と許さないよう立入検査等強化していく。
 現在、高アルカリ水の排出原因等については調査中だ。シアン・六価クロムなどの有害物質は、JFEによるスラグの溶出試験の結果報告では検出されていないが、市としては必要に応じて確認していく。これまでも市は、H10以降の法や協定での立入検査結果では、排出口で延べ3か所3回、場内の排水溝で延べ7か所8回、基準超過を確認し改善指導を行っている。有害排水の原因は、JFEからヒアリングしている。土壌汚染調査は、必要に応じて実施する予定だ。JFEの刑事告発は、すでに海上保安部が捜査を始めており、状況を見守りたい。市としては、水質汚濁防止法で改善命令等の厳しい行政措置を講じ、再発防止に努める。
 JFEがデータを改ざんし、基準を超える排水を排出してきたことは、法や協定の精神を著しく逸脱する行為で遺憾であり、厳しく行政措置を講じる。
 環境調査結果は、提出された報告書・測定データと分析を行った計量事業登録業者の証明書を書面確認し、適正な報告であると確認しており、問題はない。
○ アスベスト対策について
 千葉市は、大気汚染防止協定で特定粉塵排出等作業実施届出に基づき、届出された全ての作業現場で、アスベスト除去作業前に飛散防止対策を現地確認している。これまで、事故等の発生や無届工事は把握していない。アスベスト除去作業は、届出が義務付けられており、環境省発行の「飛散防止対策マニュアル」を参考にすれば対応は可能だ。市も、石綿排出作業を行う事業者向けにパンフレットを作り、指導している。
 市有建築物でのアスベスト使用状況調査は、建築物の改修・解体時に労働安全衛生法・特定化学物質等障害予防規則等を遵守し、飛散防止等の適切な処理を行っていく。
○ 温暖化防止対策について
 千葉市地球温暖化対策地域推進計画では、大規模な事業者は省エネ法での計画策定や業界団体の自主行動計画、中小企業は市地球環境保全協定締結など、企業自ら率先して温暖化対策に取り組むことになっている。今後も連携し効率的に進めていく。積極的な独自の取り組みは、国の動向や計画の進捗を踏まえ、必要に応じて検討していく。温暖化防止対策予算では、関連部局で普及啓発事業、支援事業等を進める。例えば太陽光発電施設整備など、新エネルギー施設整備や普及、低公害自動車の普及、緑化の推進など総合的に進めていく。 
○ 住宅耐震改修助成制度について
 設計・施行などの建設関係団体への説明会を行ない、市民へは市政だよりやホームページへの掲載、リーフレットの配布等で耐震診断助成制度と合わせて周知を図っている。市内業者は、建設業法の許可届出者、技能がそれに準じた資格ある者の参加を検討している。

【教育長】
○ 憲法について
 学習指導要領では、小学校社会科に「日本国憲法は国家や国民生活の基本を定めていること」、中学校社会科に「日本国憲法が基本的人権の尊重、国民主権及び平和主義を基本的原則としていること」などが示され、学校はこれに基づき発達段階に応じて指導している。「新しい憲法の話し」を文部省が発行しているのは承知しているが、千葉市としては学習指導要綱で指導している。
 歴史教科書の採択問題は、千葉市はこれまで、国・県の通知等に基づき、(1)学習指導要領の趣旨を踏まえる。(2)市の教育施策や実情、児童生徒の生活経験・学習能力に適合していること。を踏まえ、全ての教科書を採択してきた。今後も、公平かつ中立な立場で採択していく。
○ 教育予算について
 少人数学級は、県の定数措置によるため、あらゆる機会に要望している。少人数指導教員は、市独自に派遣してきたがH17度から発達段階を考慮し、小学3年生まで拡充する。更なる配置は、今後の研究課題とする。
 普通学級へのクーラー設置は、H16年度に全小・中・養護の普通教室に2台扇風機を設置した。クーラー設置は今後の研究課題とする。
 就学援助制度は、学校教育法の「経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は必要な援助を与えなければならない」と規定しており、市町村の行うべき重要な事務だと認識している。今後も、これまで同様市民への周知と適切な対応に努める。