野本信正議員の代表質疑

2005.3.3
1 市政運営の基本と市長の
  政治姿勢について
 基本姿勢の第1は、政府の大増税計画と千葉市民への影響についてです。
 昨年12月、新聞各紙は「大増税時代到来」と一面トップに書いたように、小泉内閣、自民党・公明党政府は、合計7兆円もの大増税を国民に押しつけようとしています。すでに決定している老年者控除や配偶者特別控除の廃止、年金保険料などの値上げの外、今後計画されている定率減税の廃止など、高齢者や若者などの負担能力が低い社会的弱者にまで徹底して負担させるもので、年収460万円で4人家族のTさん宅では、2001年の医療保険の値上から定率減税廃止まで含めると、年間14万6,000円の負担増になります。
 ある論評は「小泉内閣の非人間性を表している」と指摘しています。
 1に、大増税計画で千葉市民が受ける影響をどう見ているのですか。
 2に、市民生活を防衛するため政府に大増税計画の中止を求めるべきではないですか。
 基本姿勢の第2は、三位一体改革と地方分権の確立についてです。
 新年度予算での三位一体改革の不足分は、6億5,400万円と説明しています。政府は、H17年度から一般財源総額の確保といって、市税収入と一体で考えているため、千葉市も「市税の増収分30億円を加えて相殺した」と説明しています。政府の方針に沿った計算と同時に、千葉市財政に与えている影響額の全体を示さないと実態が明らかになりません。
 新年度予算で、三位一体改革の影響は、○国庫補助負担金7億8,700万円円の減額、○地方交付税・臨時財政対策債の合計45億円の減額、○税源移譲は16億3,300万円の増額になります。三位一体の差し引で、36億5,400万円の減額となっています。
 H15年度から始まった「三位一体改革」の影響全体を見ると、○税源移譲・所得贈与税は3年間で31億2,000万円増額しました。○国庫補助負担金は3年間で25億1,100万円減額されました。○普通交付税と臨時財政対策債の合計は、H16年から2年間で110億円減額されました。
 以上を差し引き計算すれば、減額103億9,100万円となります。
 千葉市の三位一体改革の影響全体は、3年間で103億9,100万円減額されたことになります。しかも、政府はH19年度からは「地方財政の中期ビジョン」により交付税総額の縮小を計画しています。
 1に、市長は3年間で103億9,100万円減額されたことを正確にしめして、三位一体改革が千葉市財政を直撃していることを正面から受け止め、議会と市民に明らかにすべきではないですか。
 2に、地方交付税・臨時財政対策債の新年度歳入合計130億円は、H15年度水準の240億円に戻して交付するように、政府に求めるべきではないですか。
 3に、政府の進める「三位一体改革」は、新年度予算と政府の今後の方針で明らかなように、地方財政を削減し、地方自治体の標準的仕事を引き下げ、地方切り捨ての改革であることがはっきりしています。全国の市町村長が批判して反対しているように、鶴岡市長も千葉市財政と地方分権推進のために、「三位一体改革」を批判して反対すべきではないですか。
 基本姿勢の第3は、新年度予算の特徴と問題点についてです。
 新年度予算は前年度と比較することは当然ですが、市長選挙の年に当たって鶴岡市政4年間を通しての検証が必要です。
 まず、収支不足をどこから補ったのか。 
 新年度一般会計総額は、前年比1.2%・40億円の減額です。収支不足の、192億6,300万円への対応で、歳入では、新たに「緑と水辺の基金」からなど53億4,700万円を借り入れしています。これで基金は底をつきました。また、地域再生事業債95億1,400万円など、いわゆる借金で148億6,100万円、不足分の86%を賄っています。新年度の市債依存度は、実質17.3%です。
 また、行政改革などで19億5,000万円縮減しています。義務的経費は、45.6%になっています。新年度予算の借金見込みは、全会計の合計残高が、1兆3,528億円、市民一人あたり145万円にもなっています。H13年度末の松井市政時代に比べ、4年間で1,640億円も増えています。
 1に、鶴岡市長の財源対策では、基金は「これ以上は借りられない」限度ぎりぎりまで、借り尽くしているため、今後取り崩す財源もありません。異常ではないですか。
 2に、結局来年度以後は、市民負担増と市民生活の切り下を求めていく考えなのですか。
 3に、今さえとりつくれば良い、後の見通には責任を持たない、不足分は市民に犠牲を押しつけるような、財源対策は改めるべきではないですか。
 4に、鶴岡市長の財政運営が千葉市財政を一層硬直化させ、重大な危機をもたらしていることを改めるべきではないですか。
 次に、施策の選択は何を優先して何を削ったのでしょうか。
 重点7分野への予算反映状況は、合計417億円で前年度に比べ、85億円減額しています。減額の中身は、環境問題への取り組みが57%に減額、地域経済活性化が69%に減らされているのが特徴です。
 歳出予算を款別に見ますと、民生費は伸びていますが、生活保護費など義務的経費を差し引くと、前年度比で10億円の増額です。市長の「目玉政策」の子育て支援は、国民生活全体を削る小泉内閣が、ただ一つ増やしている子育て支援の国庫補助事業分を除くと、新規は2事業で、予算は3億6,000万円しかありません。政令市の中で、千葉市の民生費は最下位クラスです。政令市平均まで引き上げるためには、あと219億円が必要です。
 衛生中環境保全部の予算は、13億円余で、H13年度との比較では13.9%の減額です。環境重視、地球温暖化防止対策予算としては余りにも少なすぎます。
 商工費は、98億円で毎年連続のマイナスです。H13年度は213億円ありましたから、半分以下になってしまいました。
 土木費は、減額ですが道路の予算で見れば、大型道路・新港横戸町線の予算を60億円計上していますが、道路維持費・舗装新設・舗装改良・橋梁維持など、生活道路関係は59億円で5年連続減額です。
 教育費は、11.6%と最も高い伸び率になっていますが、小学校・中学校費はH10年から13年度までの4年間と、H14年度からの鶴岡市政の4年間で比較すると、83億円の減額であります。
 一方で、都市再生など大型開発や大型道路の建設などはどうでしょうか。
 千葉市が実施している10億円以上の大規模公共事業は、件数で84件、新年度予算の合計は684億円であります。
 都市再生などの大型開発は一段落といっていますが、蘇我臨海開発・中央第六地区市街地再開発・中央港地区区画整理・千葉駅西口再開発・新港横戸町線の合計は、145億円の予算を計上しています。繰り越し明許費を足すと新年度事業費総額は228億円を越します。
 大型開発の4事業は、H14年度〜17年度の4年間の201億6,000万円を、H10年度〜13年度の4年間の521億円と比較しますと、その差額は319億円にもなり、鶴岡市政は、前の市長より258%も多く大型開発に予算を注ぎ込み、力を入れていることがはっきりしています。
 以上の予算の中で、市民サービスを切り下げる主な影響は、難病見舞金3億2,200万円減額、小児慢性特定疾患治療研究事業費約2億円削減、水質監視測定事業見直し1,400万円、火葬料金を無料から一体6,000円に有料化し、合計2,565万円の負担増などがあります。また、国民健康保険料(介護保健納付分)を平均4,000円引上げ、4年間で3回値上して、合計10億1,300万円も引き上げています。鶴岡市政4年間の公共料金値上げは、61件30億2,495万円にもなっています。
 新年度予算の特徴と問題点での第1の質問は、市民生活関連の予算を増やし、サービスの切り下げはやめることについてです。
 まず民生費ですが、特別養護老人ホームの待機者1,824人、保育所の待機者791人の解消は緊急の課題です。前年比1億5,703万円減額している国民健康保険料法定外繰入金を増額して命と健康を守るなど、深刻な市民福祉を向上させることが強く求められています。政令市平均より219億円も少なく、義務的経費を除くと、10億円しか増えていない民生費の大幅増額を求めます。
 環境重視と言うが、地球温暖化防止、JFE対策など山のような課題を抱えているのに、一般会計の0.39%と、余りにも少なすぎる環境保全予算を、大幅に引き上げるべきではないですか。
 地域経済活性化をまじめに考えているのなら、H13年度213億円に比べ46%・98億円に減らしてしまった商工費を大幅に増やすべきではないですか。
 土木費は、生活道路の整備維持補修費や交通安全施設・側溝新設改良など、市民の生活環境を維持し安全を守り、仕事も町場の業者に発注されて経済波及効果のある予算は減らさず増額を求めます。
 子どもを取り巻く環境が深刻な時に、前の市長時代より83億円も減っている教育予算を増やして、行き届いた教育を進めるべきではないですか。
 行政改革による問題については、難病見舞金の減額をやめて対象除外者5,500人を元に戻すことと、小児慢性特定疾患治療研究事業費は、4,600人の対象除外者に、今まで通り手当てを支給すること。そして、深刻な病気と闘う市民の希望を奪うことは止めるよう求めます。水質監視測定事業費は、必要性がなくなったので減額するようですが、JFE問題で対策強化が求められている時だけに、減額しないで水質汚濁防止対策を強化する有効な施策に使うべきではないですか。
 火葬料金の有料化は、10カ月で2,565万円の増収予定ですから、元に戻す事は難しくありません。今までどおり無料として、人生最後の儀式を安心して行えるようすべきです。
 以上、答弁求めます。
 第2の質問は、大型公共事業を大胆に見直して、その予算を市民生活に使うことについてです。
 予算総額を40億円も減額し、192億円の収支不足の厳しい予算なのに、大型開発や10億円以上の大規模公共事業を見直さないのは、市民生活の軽視であります。
 1に、蘇我臨海開発は、公害たれ流しやデータ改ざんで、千葉市民と行政を裏切り、信頼関係がなくなったJFEに対して、900億円以上も注ぎ込んで国と市が応援するのは中止すべきではないですか。
 2に、中央港地区区画整理は、当初計画が頓挫したことを認め反省すべきではないですか。
 3に、17年間も経過して見通しもない千葉駅西口再開発は、見直して遊休地の市民利用を急いで具体化すべきではないですか。
 4に、これら大型開発について、松井市政の4年間に比べ、鶴岡市政は4年間で180%も多い1,430億円を注ぎ込んできました。これが、福祉・環境・地域経済活性化・教育を削ってきた原因です。また、借金を増やし続け、財政危機を招いてきた原因でもあります。大型開発優先を反省して、見直しを行い、市民生活優先に切り換えることを求めますがどうですか。
 5に、10億円以上の大規模公共事業84件684億円について、この必要性・採算性・環境への影響の観点から見直して、仮に10%見直しできれば68億円、15%なら102億円を福祉予算などに回すことができます。ぜひとも実行を求めます。
 また、大規模公共事業の見直しについて、客観的な判断をする第3者による「公共事業見直し委員会」の設置を求めます。
 6に、幕張メッセ負担金6億8,000万円の中止、簿価300億円の「塩付け土地」の有効活用など、無駄を省き財源を確保すべきではないですか。
 以上、答弁を求めます。
 基本姿勢の第4は、JFEスチール(株)東日本製鉄所(千葉地区)における環境問題についてです。
 JFEスチール(旧川鉄)の排水の自社測定データの改ざん、有害物質の基準値を超える違法排水、報告排水量を数倍上回る大量の排水のトリプル違反事件は、余りにもズサンな大企業の公害管理に、市民のショックと怒りは大きく広がっています。
 その1は、データ改ざんについて
 1に、JFEによる排水の自社測定データ改ざんは、「水質担当職員が単独で行った」「歴代の担当職員が口答で改ざんを伝えていた」「上司は知らない。会社ぐるみではない」と言っていますが、だれも信じられないことなのに、千葉市は、JFEの主張をその通りと受け止めているのですか。
 2に、水質担当者は、現在処分を受けて自宅待機中と聞きますが、この職員が水質担当に着任したのは、何年何月何日なのか。データの改ざんは、10数年間と言われているので、平成元年頃からの担当者が、着任し次の職員に交替した年月日を順序よく明らかにして下さい。
 3に、千葉市が10数年間、改ざんデータを発見できなかったのは、JFEとのなれ合いで、真剣にチェックする姿勢に欠けていた職務怠慢ではないですか。その責任をはっきりさせるべきですがどうですか。
 その2は、有害物質の基準値を超える違法排水について
 1に、JFE西工場は何の囲いもなく、とりわけ寒川側には護岸もなく、製造過程から漏れだす有害物質物や、7万トンも積み上げられたスラグに、雨が降れば高アルカリ・シアン・六価クロムなどの有害物質が、海へストレートに流れ出します。違法排水は、西工場稼働時期から、ずっと続いていたのではないか。JFEは、それを承知で流し続けてきたのではないですか。
 2に、千葉市は、公害防止協定を結び、度々立ち入り検査もしてきたのに、常時たれ流しの実態をなぜ改善指導しなかったのか。見てみぬふりをして違法排水をストップさせなかったのではないでか。
 3に、JFEは、有害物質排水の原因を「シアンはスター炉での漏出」「六価クロムはタンクローリの洗浄水」と発表していますが、信じられません。
 千葉市は、信用していますか。この際、西工場も含め大規模な土壌汚染調査をするよう求めます。
 その3は、水質汚濁防止法違反と刑事告発について
 鶴岡市長は、はじめから「刑事告発しない」と発言したと報道されているのはなぜですか。事実だとすれば、市民の環境を守るよりもJFEを擁護することになります。川鉄の公害を追及できない理由は何ですか。
 その4は、青空裁判の教訓を学んでいないことについて
 1975年から17年間争われた青空裁判で、JFEは12年前、東京高裁で公害患者に加害責任を謝罪して、公害防止を約束しました。しかし、その時すでに違法排水と、データ改ざんをしていたのであります。公害患者や市民への背信行為と、青空裁判の教訓をなにも学んでいない、反省もしていない、市民の健康よりも利益追及を優先する悪質な企業体質を厳しく糾弾すべきではないですか。
 その5は、蘇我臨海開発の安全性について
 蘇我臨海開発では、サッカー場やハーバーシティーに集まる数万人規模の市民の安全が保障されるのでしょうか。千葉市は、JFEの測定を了として、安全だと言っていますが、信頼関係が裏切られた今日、大気・土壌・環境アセスメントを行政の責任でやり直すことを求めます。
 基本姿勢の第5は、地震・台風災害など災害・防災対策についてです。
 新潟県中越大地震を始め、全国の地震・台風災害などから教訓を学び、災害・防災対策を積極的に進めるように求めてきました。新年度予算は、国の補正予算を活用して、校舎大規模改造などが予算化されたことは前進です。
 1に、災害時の避難場所の確保についてですが、学校体育館は落下物対策等だけでなく、生徒と市民の安全な避難先を確保するため、耐震工事を計画的に実施すべきです。
 2に、災害復興の中で、被災者の最大の要求は住宅復興であり、行政の支援なしでは出来ません。他都市の全壊・全焼流失した住宅に対しての見舞金は、習志野市が50万円、福井県鯖江市466万円。県レベルでは、広島・京都・徳島が300万円などと努力しています。千葉市は、5万円の見舞金を大幅に引き上げるよう提案します。
 基本姿勢の第6は、公共施設などでの健康・アスベスト対策についてです。
 99年7月に、東京都文京区さしがや保育園の「違法な改修工事」で、園児が発癌性アスベストにさらさる事件がありました。また、工事を行う建設労働者は、いつもアスベストの粉塵を吸う危険があります。「静かな時限爆弾」といわれているアスベスト対策について質問します。
 1に、千葉市は、大気汚染防止法に基づき、「特定粉塵排出等作業実施届出」を求めて指導していますが、工事を行っている企業は、作業基準を順守しているのか。それをどのように点検しているのか。今まで事故等は無かったのか。無届けで工事している実態は無いのですか。
 2に、東京都は、環境保全条例の中に「アスベスト含有建築物解体工事に係る届け出等について」という要綱を作って対応していますが、千葉市でも実施すべきではないですか。
 3に、市有建築物でのアスベスト使用状況調査を改めて行い、東京都文京区のように、学校や保育所など施設ごとの一覧表をつくるよう提案しますがどうですか。
 4に、建設労働者をアスベスト被害から守るため、また解体工事の際に周辺に飛散して関係者や付近住民に被害を与えることのないように、具体的に安全指導を強めていくべきではないですか。
 扇屋ジャスコ跡地解体工事は、作業員がマスクもしないで作業していました。一部シートが外され道路から解体ビルが丸見えの状態で作業していました。通行者も多く、隣り合わせにクリニックもあります。法律に基づいた作業順守をすべきではないですか。
 基本姿勢の第7は、花沢元県議滞納税不正免除事件についてです。
 最も公正であるべき納税を、根本から歪めた花沢元県議滞納税不正免除事件は、鶴岡市長の政治姿勢が鋭く問われ続けていて、未だ真相が明らかになっていません。
 1に、個別外部監査人による監査について、市長はじめ執行部は「真摯に受け止め、資料提出などは全面的に協力する」と表明していますが、全面的に実行できますか。
 システム監査について、千葉市のコンピュターシステムが、滞納税免除事件発覚当時のままなら問題点を明らかにできます。しかし、その後、今日までにコンピュターシステムを整理して、都合の悪いところは無くしてしまったようなことはないですか。
 2に、説明責任を果たすことについてですが、税務行政を改革して、同じような事件が発生しないように万全な対策を行うことは当然のことであります。しかし、鶴岡市長自らが事件の真相を解明して、説明責任を果たさなければ市民の信頼回復は困難です。鶴岡市長は、外部監査任せでなく自浄能力を発揮して、組織的関与疑惑、不可解な特別処分の実態、権力者に対する特別扱い、鶴岡市長と花沢元県議の特別な関係疑惑などについて、改めて調査解明して説明責任を果たし、改善策を示すべきではないですか。
 3に、鶴岡市長は、「私は知らなかった」と自らの関与を否定し、花沢元県議が高額滞納者であったことも「部下から報告がなかったので知らなかった」と言い逃れ、市長選挙への出馬表明した記者会見で、「部下の犯した間違いを私は背負っていく」と、まるで被害者のような発言をしています。
 この事について、市民やマスコミも指摘しているように、(1)助役・市長として11年間、高額滞納者の実態を把握しなかったのは職務怠慢であり、(2)部下にすべて責任を押しつけることは無責任であります。このことは、市長としての資質・資格が問われる重大な事だと思いますが、見解を求めます。
 基本姿勢の第8は、身内の墓地をこっそり購入した問題です。
 市長が、身内の墓地をH14年11月に、公募しないで抽選なしで、こっそり購入した事は、市民の怒りを呼んでいます。行政のトップである市長は、最も公正・公平であるべきです。鶴岡市長は、すべての行政を公正・公平に進めるというのなら、平和公園墓地は市民と一緒に並んで、公募によって購入すべきです。「こっそり購入」した身内の墓地を返還すべきではないですか。
 基本姿勢の第9は、夫人同伴の海外視察旅行についてです。
 H14年7月に、千葉市・ヒューストン市姉妹都市提携30周年記念公式訪問があり、市長や議長が海外視察旅行をしました。
 1に、姉妹都市提携30周年記念公式訪問という節目の訪問なのに、なぜヒューストン市長が主張中で不在のとき訪問したのか。千葉市側から熱心に頼んで、ヒューストン市長は急きょ出張から帰ってこられて会えたそうですが、相手側に失礼ではなかったのか。
 2に、鶴岡市長は、夫人同伴で訪問しましたが、市長夫人が同行した理由は何ですか。千葉市の側から夫人同伴を希望し、ヒューストン市長にお願いして0Kしてもらい、実施したように聞いているが本当ですか。
 3に、訪問団の費用総額は幾らですか。また、市長夫人の公費支出の根拠も示してください。そして、市長夫人の旅費は、同行の室長や課長より63,900円多い、124万3,030円ですし、一人当たりの旅費が6泊9日で、約120万円は妥当な金額なのですか。ちなみに、千葉市議会がH16年11月に、10泊12日で実施したアメリカ方面の視察旅費は、一人あたり75万3,500円でした。

2、総務行政について 
 千葉市行政改革推進計画には、3か年で実施する計画が示されていますが、市民サービスを切り下げる項目が多数あります。
 17年分の事業への見解は先に述べましたが、それ以外に、緊急通報システム、はりきゅうマッサージ利用助成、障害者入浴サービス事業、特定事業場水質検査、公民館自主講座の見直し、ファミリーサポートセンターの委託化、PFIの積極的導入などであります。市民生活にとって定着し、必要とされている事業を「見直し」と称して、切り捨てることは中止すべきであります。
 無駄と浪費を削り、簡素で効率的な行財政を行う、本物の行政改革の実施を求めます。

3、企画行政について
 新5か年計画が、91%の達成率で終わろうとしていますが、問題は何が削られたかであります。保育所や公民館の建て替えをはじめ、市民ニーズのたかい事業が削られ、一方で当初計画になかったサッカー場など大型開発には、遠慮なく事業費が注ぎ込まれました。第2次5か年計画は、歳入見通しが極めて不透明の中で何を選択するか。業務核都市・3都心開発中心から脱却し、市民生活最重点の計画にすることを求めます。

4、市民行政について
 区役所窓口の休日開庁や業務時間延長問題についてです。
 市民の声は、土曜・日曜・休日に市役所窓口が開いていればと望んでいます。今後、年間を通じて、市民課・年金・保健、介護・子育てなど身近なサービス窓口を休日や時間外にも開庁してほしいという声は多くあります。
 千葉市は、土曜日の午前中だけ、千葉駅前連絡所を開庁していますが、市民ニーズには到底追いつきません。
 他都市では、県内で浦安・市原・君津・鴨川市が市役所本庁を開庁して、市民課などサービスをしています。首都圏の政令市では、横浜市が月2回、土曜日に港南区役所を開庁しています。業務時間の延長では、県内の市川市・成田市が週一回、19時とか20時まで開庁しています。千葉市においても、市民サービス向上のため、土曜日曜など休日に交通の便がよく、駐車場スペースが安定している区役所を開庁して、市民課など幾つかの業務のサービスをしてはどうか。休日出勤する職員は、市役所全体から交替で当たれば一年間に1〜2回で済むと思います。業務時間の延長も含めて、市民サービス向上に改革を提案しますが、答弁を求めます。

5、保健福祉行政について
 母子生活支援施設「旭ケ丘母子ホーム」の改築は、長い間の懸案で、関係者とともに何度も要望してきた私どもも喜んでいます。定員も20人から40人に増しますが、千葉市民だけでなく広域に入所する施設です。
 そして、完成と同時に、千葉市直営の母子生活支援施設小桜園、定員18人を廃止するとの事ですが、家庭内暴力やセクハラなど深刻な社会状況の中で施設の必要性は高まっています。千葉市直営の母子生活支援施設小桜園は、残して改築などするよう求めます。

6、環境行政について
 京都議定書が発効され、地球的規模の温暖化防止対策がアメリカを除いてスタートします。千葉市は、新年度3事業の推進のため6,150万円予算を計上しています。
 1に、市民・事業者・市が連携して推進する計画ですが、産業部門は温室効果ガスを90年に比べ8.6%削減目指す計画ですが、これら事業者が、まじめに取り組まないと効果が上がりません。JFEのような企業の社会的責任を果たさない事業者に、責任を持って取り組ませるためには、JFE事件にかんがみ今までと違った対応が必要と思うがどうですか。
 2に、地球温暖化防止対策予算としては、少ないのではないか。取り組みの姿勢が問われますがどうか。

7、経済農政行政について
 第1に、商工費は、毎年予算が大幅に減り、このままでは商工業の発展の展望が見えません。
 1に、産業振興財団補助金2億7,000万円は、H14年度4億円近い予算であった事から見れば大幅な後退です。産業支援体制の中心的実施機関と位置付けている事業費ですから、せめて過去に実績がある4億円ぐらいの予算を計上して、必死に頑張っている商工業者の支援をするよう求めます。
 2に、商学連携モデルと合わせて、空店舗対策支援は合計3店舗分の予算です。市内の空き店舗数の合計318から考えると、3店舗分の予算では少なすぎます。50店舗、100店舗ぐらいの規模の支援対策を打ち出し、市民の知恵と力を借りて、地域経済活性化に思い切った取り組みを行うよう提案しますがどうです。
 第2に、千葉市農政は、都市近郊農業の利点を生かすと共に、高齢化・後継者不足・農地の減少という、千葉市農業の危機を正確にとらえた農政を行うべきではないですか。「地域のブランド米を作りたい」など、意欲を持った後継者の声が私にも届いています。千葉市農政部は、部長を先頭に93人全員が足を使い、専業農家はもちろん・兼業農家へも出かけて行って、直接の声をもっと聞くべきではないですか。 

8、都市行政について
 市民の住宅の耐震改修助成制度が、補助率1/3限度額60万円がスタートする事は評価します。耐震診断助成と合わせて、市民へのPRを強めていく事が求められていますが、建設関係の団体にも知らせて協力を求める事も含め、利用促進をどのように取り組んでいくのですか。
 また、施工業者に建設業許可取得などハードルを設けずに、市民の身近にいる町場の業者、施主と日頃から信頼関係のある建設業者が、耐震工事に参加できるようにすべきと思いますがどうですか。

9、教育行政について
 第1は、憲法についてです。
 今、憲法改定論議が盛んに行われていて、恒久平和主義の憲法9条を改悪する動きが強まっていますが、一方で日本と世界の宝である、憲法9条を守れとの運動も高まっています。
 1に、最高法規である憲法を、学校教育の中で正しく知らせていく事は当然でありますが、この事に対する見解を伺います。
 2に、憲法制定当時、文部省が発行した「新しい憲法の話し」は、戦争の放棄について次のように書いています。「今やっと戦争が終わりました。2度とこんな恐ろしい悲しい思いはしたくありません。日本の国はどんな利益があったのでしょうか、何もありません。悲しい事がたくさんおこっただけで、戦争は人間を滅ぼす事です。そこで今度の憲法では、日本の国が2度と戦争をしないように戦争の放棄を決めたのです。しかし心細くはありません。日本は正しいことをほかの国により先に行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません」教育長は、読んだことがあると思いますがいかがですか。この立場で教育してきたのでしょうか。千葉市の教育は、今もこの内容に沿って行われているのでしょうか。
 第2は、「歴史教科書」の採択問題についてです。
 教科書採択の時期が巡ってきましたが、大事な事は、歴史の事実を正確に伝える事であります。しかし、「新しい教科書をつくる会」など一部の人達によって、歴史の事実をわい曲した「歴史教科書」を一部の学校に無理やり押しつける決定がなされました。千葉市議会でも、教育委員会に特定の教科書採択を執拗に迫る議論がされています。
 しかし、日本の侵略戦争は事実であり、歴史の真実を改ざんする事は許せません。日本の戦争をどう見るかは、内政問題ではなく国際問題です。戦後の世界秩序は、日本・ドイツ・イタリアの侵略戦争を世界が断罪した基礎の上に成り立ち、60年前に調印された国連憲章も、そのすべての条文が「侵略戦争の再現を許さない」という基礎の上に成り立っています。
 「あの戦争が正しかった」とする歴史の改ざんが主流になれば、世界秩序の成り立ちを根本から認めない国となり、アジアでも世界でも生きていく立場を失ってしまいます。その認識を持って「歴史教科書」は採択する事を求めますが、教育長の見解を伺います。
 第3は、教育予算についてです。
 1に、小人数学級への独自の取組を計画するとともに、少人数学習指導教員配置は6年生まで、速やかに実施するよう提案します。
 2に、施設改善は、耐震工事の促進と快適トイレ2系列目を急ぎ、職員室にクーラーが設置されることはよい事ですが、教室にも計画的に設置できるよう求めます。
 3に、三位一体改革の影響で、準用保護児童等援助費国庫補助金がカットされ、2億1,200万円の減収となりました。今日、保護者たちが不況と収入不足で、給食費などの滞納も増えています。経済的理由で教育を受ける権利が制限されないために、就学援助の果たす役割は大きい訳ですが、その認識について伺います。
 また、今後申請者の増大が予想されますが、全面的に受け入れて充実していくよう求めますが、お答え下さい。

10、平和行政について
 鶴岡市長に、千葉市長という公人の立場から、憲法9条にたいする見解を伺います。
 憲法9条がつくられた時、二つの決意があったといわれています。
 1つは、国際公約として、日本が「2度と戦争をする国にはならない」と言う決意です。
 2つは、世界平和の先駆になることであり、世界に率先して、戦争放棄と軍備禁止の恒久平和主義を、極限にまですすめた道に踏み出す事であります。
 このことは、教育長への質問に引用した、文部省発行の「新しい憲法のはなし」で、義務教育にも徹底されているものです。
 1に、鶴岡市長は、戦争をしない平和な国を望むのか、戦争をする国を望むのでしょうか。
 2に、千葉市長という公人の立場から、憲法99条の憲法順守義務が市長には問われますが、憲法9条を守る立場かどうか。

(2回目)

1、「三位一体改革」と地方分権について
 市の説明では、「三位一体改革」での不足分は6億5,400万円としているが、市民に誤解を与えるものだ。H15年度から始まった「三位一体改革」で、千葉市の影響は3年間で103億9,100万円減額している。この事実を明確にし、政府に改善を求めるべきだ。でなければ、政府の地方切り捨てを応援することになる。市財政や地方自治を守る立場に立つべきだ。

2、歳入について
 新年度予算と前年度との比較や、鶴岡市政の4年間を検証し質問したが、市長の認識は市民感覚と乖離している。税収不足を賄うために、もうこれ以上は無理という限度ぎりぎりまで借りまくっている。後の見通しには責任を持たず、不足したら市民に犠牲を押し付けるような財源対策であることを認め、改めるよう重ねて求めるが、どうか。

3、歳出について
 歳出の民生費は、義務的経費を差し引くと前年度比では微増だが、政令市平均より219億円も不足している。環境保全部予算は、H13年度と比較すると13.9%減額している。商工費は、H13年度と比べ54.1%減額。土木費の生活道路関係や安全対策など生活環境維持予算は、5年連続減額だ。教育費は、H13年度までの松井市政4年間とその後の鶴岡市政4年間を比較し83億円減額だ。
 以上にように、市民生活分野の予算が大幅に減らされているのに、市長は、「市民生活に十分配慮した」と答弁した。事実に反するのではないか。

4、都市再生・大型開発について
 一方で、蘇我臨海開発、中央第6地区市街地再開発、中央港地区区画整理、千葉駅西口再開発の大型開発4事業予算は、H10年から13年度で772億円。H14年度から17年度では1,430億円と、前市長時代の4年間と鶴岡市長の4年間では180%、658億円も多く予算を注ぎ込んできている。この実態を「新5か年計画」で見ると、市民要望の達成率は88%と削られる一方で、計画にはなかったサッカー場建設等に215億円もかけている。その結果、借金は急増し、前市長時のH13年度の借金残高とH17年度末の借金残高見込みを比較すると、鶴岡市政の4年間で1,640億円も増やしている。これが、市民要望を遅らせていることは明らかだ。市長は、相変わらず「都市整備、雇用の拡大、税の涵養」というが、4年間で1,430億円注ぎ込んでも、雇用は増えず、空き地が広がるばかりだ。「市民生活に十分配慮した」予算にするには、大型開発優先から市民生活優先に転換することを要求する。

5、JFEスチールのデータ改ざんについて
 旧川鉄が「水質担当職員が単独で実施した」「歴代の担当職員が口頭で改ざんを引き継いだ」と報告しているのに、「データ改ざんの経緯を確認している」と答弁した。数年前には担当者が自殺したと伝えられているが、亡くなった担当者がどうやって口頭で引き継げるのか。当然、新担当者は上司と相談したはずだ。最初に改ざんした担当者も自らの判断で改ざんし、次の担当者に引継ぎすると思うか。旧川鉄の報告が虚偽であるのは明らかだ。責任を一担当者に押し付けることは許されない。市は厳しく追及すべきだ。
 千葉市が10数年間もデータ改ざんの事実を発見できなかったのは、データを信頼してもので、怠慢ではないと答弁した。しかし、「今後は、(1)自社測定結果をチェックし排水基準が遵守されているか確認する。(2)分析機関の報告書と記録書を照合する」としているが、今まではそれすらやられてこなかったことになる。10数年間、こんな基本的なこともやらず、ただ旧川鉄のデータを何のチェックもせず受け取っていたことを認めたわけだが、これこそ職務怠慢ではないのか。
 刑事告発はせずに、改善命令で済まそうとしているのではないのか。「JFEが操業停止になれば地域経済に打撃がある」との議論もあるが、JFEは環境報告書で「環境保全に世界最高水準の取り組みを行っている」「これからも発展していくためには、企業市民として世の中に認められ信頼されることが重要」と述べている。問題を中途半端に解決することなく、JFE自信が公害対策を根本から改め、国民の信頼を回復することが次の発展につながるのではないのか。そのためにも刑事告発も含めた厳正な対応を行うべきだ。
 この間、例えば、三菱自動車の欠陥・リコール隠し、三井物産のDPFデータ捏造、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載、UFJ銀行の金融庁検査妨害など、企業の社会的責任が著しく欠落している。企業の言い分をそのまま受けずに、市民の命と健康を守る立場で対応すべきだ。

6、身内のお墓入手方法について
 「公募なしで入手したが問題ない」と答弁したが、抽選にもれ墓地を入手できない市民もいる。「納得できない」と言われたらどうするのか。墓地は返還すべきではないのか。