木田ふみよ議員の討論

2005.7.13
 日本共産党千葉市議団を代表して、議案第94号、第98号、第113号について反対の立場から討論を行います。
 はじめに、第94号・千葉市国民健康保険条例の一部改正についてです。
 改正の理由は、「三位一体」の改革による、国の補助金等の整理及び合理化として、定率国庫負担が減額され、新たに都道府県調整交付金が交付されるということです。現在、国保の給付費は50%を公費での負担とし、その40%を定率国庫負担で、残りの10%は、市町村間の医療費や所得水準の格差などを是正するため、財政調整交付金として各自治体に交付されています。しかし、これまで千葉市への定率国庫負担は、H14年度38.7%、H15年度37.5%、H16年度37.9%と40%を下回り、調整交付金もH14年度5.1%、H15年度5.5%、H16年度5.9%と10%を大きく下回っています。その不足分は、一般会計よりの繰入金で賄うか、あるいは市民に負担を求め、保険料を値上げしています。
 創設される「都道府県調整交付金」もまた、自治体の財政力で差が生じる調整交付金であることから、これが導入されれば、千葉市は国からも県からも負担金を削られることになり、市の国保財政は一層圧迫され、今でさえ高い国保料が値上げされることになります。市民の命と健康を守る国保制度の更なる危機を招くことは明らかであり、到底認められません。

 次に、議案第98号・日本スポーツ振興センター共済掛金徴収条例の一部改正についてです。
 この制度は、その目的に「学校の管理下における児童生徒等の災害について災害共済給付を行うことにより、学校教育の円滑な実施に資する」とされています。
 今回は、障害見舞金等の額を引き上げるために、共済掛金の額を引き上げる必要があり、保護者負担を増やすものとされました。その総額は、320万円です。
 長引く不況で、所得が低下しているもとでの公共料金の値上げや教育費の保護者負担増は、市民生活に重くのしかかることになります。
 いま、市民生活を守る地方自治体としての役割を果たすことが求められています。さいたま市では、市民への負担転嫁をせずに維持しています。千葉市で実施できない理由は見当たりません。
 また、この制度は、保険適用分しか補償されず、保険適用外のケースでは10割負担となり、保護者負担は大きなものとなってしまいます。保険適用外のケースでも、補償する制度に改めるよう国に求めるべきです。

 次に、議案第101号から105号の小学校屋内運動場及び校舎の取得についてです。
 議案そのものには賛成ですが、都市整備公社の活用について一言申し上げます。これまで千葉市は、学校建設において、人口急増時代には、それに見合った建設が求められ、財政負担の均等化を図るため、都市整備公社の活用は有効とされてきました。しかし今日、新設校が激減しているもとで、その活用は、利子や事務費が大きな負担を招いており、ふさわしくありません。今回の議案では、建設費総額30億4,996万円に対し、利子と事務費で総額7億2,488万円にも及んでいます。
 都市整備公社を引き続き活用するか否か。また、償還期間の短縮など厳しい財政状況の中で、如何に経費を節減していくのかについて、関係部局と連携して工夫することを求めておきます。

 次に、議案第113号・都市計画道路新港横戸町線、京成電鉄千葉線交差部工事に係る工事委託契約についてです。
 多額の事業費や環境負荷を伴うにもかかわらず、利便性がすぐ得られるわけでもなく、賛成しかねます。

 次は、請願第5号の1・障害者より実現を求めて提出された請願についてです。
 この請願は、障害者のニーズに応えて基盤整備を急ぎ、施設の充実、医療費の現物給付を求める、いずれも障害者にとって切実な要望です。しかし、自民党、新政五月会、公明党は、「医療費助成現物給付は、県全体ですすめる必要がある」など、障害者の要望は認めつつ、「当局が努力しているから」と反対しました。請願を採択し、事業の促進を求めるべきなのに、不採択としたことは障害者の願いに反する、冷たい対応であることを指摘しておきます。

 次に、請願第5号の2・障害者の切実な願いである「雇用の促進に関する請願」が総務委員会で反対多数により、不採択となったことは遺憾です。
 請願は、障害者の法定雇用率未達成企業に、達成を促し雇用開発助成金の支給期間終了後も、障害者が働き続けられるように援助を求めています。長引く不況と雇用不安の中で、健常者の雇用も極めて厳しいもとで、障害者の働きたいとの希望をかなえることは大変困難となっています。
 日本共産党は、委員会で「市独自に助成制度の創設に努力すること」「8,000人もの署名があることを受け止め、社会の構成員である障害者に光をあてるべきだ」「議会は市民の代表として、市当局に市民の苦しい実態を伝え、対策を喚起する役割がある」「障害者のための施策を講じる真剣な努力を当局に促すためにも、全会一致で採択すべきだ」と要請しました。
 採択送付を求めた会派は、21世紀クラブ、市民ネットワーク、日本共産党でしたが、自民党は、「法定雇用率達成が第1、引き続き努力されたい」と反対し、新政五月会は、「国の制度として役割分担させるべきだ」と反対、公明党は、「法定雇用率未達成企業がなくなるよう努力を望む。支給終了後の継続雇用の徹底を市が国へ強く要望するようお願いする」として反対しました。
 障害者が置かれている大変な実態を、千葉市はこのまま放置するのでしょうか。当局に、1歩でも2歩でも改善の努力を求めるのが、市民の代表である議会と議員の役割であることを重ねて指摘しておきます。

 次に、請願第5号の3・障害者の切実な願いである「教育条件の整備」に関する請願についてです。
 その内容は、全児童生徒の6%の比率で在籍すると言われている、LD・ADHD・高機能自閉症の子ども達の教育条件整備を求めるものです。千葉市の実態は、教育委員会によれば、全体の1.5%在籍し、その数は1,044名で、特別支援教育指導員配置は16名、配置率はわずか1.5%とのことです。また、学校訪問相談員を1名有し学校へ派遣しているとのことです。
 こうした状況のもとで、自民党は「願意は満たされている」として反対し、公明党は「市の動向を見守っていきたい」と反対、新政五月会は「何でも学校に押し付けるのではなく、家庭でのしつけをもっと重要視すべき」と反対、市民ネットワークは「障害を限定した願意であり認められない」「子どもの診断方法について国で審議中」と反対しました。
 さて、こうした障害のある子どもたちに対して、親のしつけに原因があるかのような発言がありましたが、事実と違います。
 文部科学省の資料によると、LD(学習障害)についてですが、基本的には全般的な知的発達に遅れはありませんが、聞く・話す・読む・書く・計算する、また推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものです。
 ADHD(注意欠陥多動性障害)は、年齢あるいは発達に不釣合いな注意力、及び衝動性・多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものです。7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経に何らかの要因による機能不全があると推定されています。
 高機能自閉症は、3歳位までに現われ、他人との社会的関係の形成が困難、言葉の発達が遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものを言います。また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されています。
 以上が、これら障害の定義とされており、親のしつけに原因があり現れる症状ではありません。
 また、市民ネットワークは「障害を限定しているから反対」とのことですが、市民が関心を持つ部分、あるいは関係のある特定の部分について請願するのは当然のことであり、これを認めない態度は、市民の請願権を奪うことになるのではないでしょうか。さらに、「願意は満たしている」との意見もありましたが、千葉市では、特別支援を必要とする子どもが1,044名いるのに、そのための特別支援教育指導員は、16名です。この実態は、決して十分ではなく願意は満たされておりません。
 憲法26条は、「全て国民は法律の定めるところにより、その能力に応じて等しく教育を受ける権利を有する」と規定しています。どの子どもにも、その権利を保障するために、この請願は採択すべきではないでしょうか。

 最後に、発議第7号は、千葉市が深刻な財政危機のもとで、財源を確保するために、中小企業には影響がないよう配慮して提案しました。
 しかし、自民党は「大阪市は適切な例ではない」「財政状況を考えると次期尚早だ」と反対し、新政五月会は「占用料の値上げが消費者に負担転嫁されかねず、市長裁量で負担を求める考えには疑問がある」と反対、公明党は「大阪市での見直しの必要性や公共料金の値上げは千葉市になじまない」「地価が大阪市と違うから賛成できない」と反対しました。しかし、地方分権のもとで、自主財源の確保を市長の裁量で行うものであり問題はなく、このことを実施したことで、大阪市は市民の公共料金値上げにはなっておりません。
 反対した委員から「すばらしい内容だ」との発言もありながら、賛成した会派は市民ネットワークだけというのは大変残念です。
 以上申し上げ、討論を終わります。