障害者自立支援法案に関する
意見書についての反対討論

2005.9.22
 発議12号・障害者自立支援法案に関する意見書について、反対の立場から討論を行います。
 発議12号は、「持続的可能な制度とするため費用負担の仕組みを見直すとしており、一定の評価ができるものである」などを理由に、厚生労働省による「障害者自立支援法案」の再提出を支持しているのは問題です。
 先の国会で廃案となった「障害者自立支援法案」は、これまで応能負担だった障害者福祉サービスの利用者負担に、定率負担いわゆる応益負担を導入するもので、障害者の生活を破壊する大幅な負担増となることです。全国600万人の障害者とその家族に大きな影響与えるものであります。
 国会審議で明らかになった法案の主なポイントは、(1)これまでの障害種別毎だった障害者福祉サービスを一元化、(2)利用料は「応能負担」から「定率(応益)負担へ、(3)福祉施設を「日中活動の場」と「住まいの場」に分ける、(4)手続きや基準の透明化、(5)公費負担の医療制度を変える、ことであります。
 障害者福祉サービスで改悪されることになる中身は、(1)サービス利用料は、原則一割を負担することになります。ホームヘルプサービス(訪問介護)を利用する場合、月額1,000円のケースが4,000円にと4倍の負担になります。(2)通所施設・入所施設を利用する場合、月額1,000円のケースが19,000円と19倍もの負担になります。(3)公費負担医療制度の改悪では、住民税非課税世帯の育成医療2,200円が、1割負担となり上限5,000円、プラス食費の負担増になります。(4)定率負担の仕組みは、サービスを利用すればするほど、自己負担が増えていく仕組みで、障害が重くより多くの支援が必要となる障害者ほど負担増になり、大幅な負担増は、健康を守り生活していく上で欠かせない、福祉サービスの利用抑制や医療機関への受診抑制につながります。(5)障害者の多くは、収入が障害基礎年金で一級の場合、月額約83,000円。二級の場合、月額約66,000円のみで、無年金の人も少なくありません。
 このように、障害者の生きる権利を奪う法案の廃案を求めて、障害者とその家族・関係者が粘り強く運動してきたものです。
 発議12号は、「持続的可能な制度とするため費用負担の仕組みを見直すとしており、一定の評価ができるものである」と評価していますが、費用負担の仕組みを見直すということは、自民党や公明党が、応益負担がもたらす障害者家族の不安を否定できないため、負担軽減策を打ち出したことです。しかし、応益負担をそのままにして、いくら軽減策を持ち出しても大幅な負担増は変わりありません。
 例えば、社会福祉法人の減免を利用しても、1か月1万円以上の負担増になります。また、障害者本人が扶養家族から外れる仕組みを選択して、負担上限を低くできても、今度は税制上の扶養控除が受けられず、親が年間の収入が300万円の場合、10万円を越える増税になってしまいます。
 低所得者や重度の障害者負担を軽減する有効な方法は、所得に応じた負担であり、それを応益負担にするから矛盾が生まれるのであります。
 法案が持ち出された背景には、障害者支援費制度開始後の利用者急増による、2003年度、2004年度の大幅な予算不足があり、「財政削減ありき」から生まれた法案です。年金制度改悪や介護保険見直しなど、一連の国民負担増を前提とした社会保障改悪路線の中で、増大する障害者福祉サービスの費用を国民に負担させ、将来は介護保険に統合しようとする狙いがあります。
 いま必要なことは、やっと広がり始めた障害者支援とその枠組みを、どう大きくしていくかという視点での改革であります。障害者がいつでも・どこでも安心してサービスを受けられるようにしていくことです。
 「障害者自立支援法案」の再提出は、障害者とその家族に大きな痛みと、障害者の自立を破壊することを押しつけるものであり、到底容認できません。 
 よって、発議12号に強く反対するものです。