木田ふみよ議員の代表質疑への答弁(要旨)

2005.9.21
【鶴岡市長】
○ 市長の基本姿勢・財政運営について
 定率減税廃止・消費税引き上げは、経済情勢や社会構造の変化に考慮し、社会保障制度の改革に合わせ、税と社会保障負担のあり方を国会で議論すべきだと考える。
 市の単年度実質収支が赤字で実質収支比率が低下している主な要因は、市税や普通交付税、臨時財政対策債など歳入の減収によるもので、厳しい財政状況だと認識している。今後、歳入確保に努力し経費を抑制して、実質収支を確保していきたい。
 市税収入確保は、市税徴収対策本部で臨戸徴収強化や高額滞納事案の整理強化など取り組んでいく。地方交付税は、国に交付税総額確保や補正係数の見直し等を要望したほか、交付税に算入される市債を有効活用するなどで確保に努める。
 「三位一体改革」は、税源移譲で地方税の充実を図り、国の関与の廃止・縮減で歳入歳出両面から自由度を高め、住民に必要なサービスを地方自らの責任で、自主的・効率的に選択する幅を広げる地方分権改革だ。今後もこの方向での改革が一層進むことを期待する。
 H16年度の市民1人当たりの標準財政規模は、199,500円で、指定都市平均は234,145円だ。千葉市は、さいたま市に次いで額が少ない。市債と債務負担行為残高が増えた理由は、臨時財政対策債や減税補填債など、国の政策で発行する特別な市債が増えた。また、生活関連施設や都市基盤整備での債務負担行為を有効に活用したからだ。今後、市債・債務負担行為は、将来の財政負担を見極め計画的な活用を図る。H16年度決算の経常収支比率上昇の主な原因は、市税や普通交付税など経常一般財源が減少したためだ。
 都市基盤整備などの公共事業は、快適な生活環境の向上や都市機能の増進だけでなく、雇用の創出・税源涵養につながり、地域経済活性化にも寄与する。今後も、少子化対策や高齢社会への対応など当面の課題を踏まえ、ソフト・ハードのバランスが取れた施策展開に取り組む。
○ 第2次5か年計画について
 「ちばビジョン21」は、社会・経済全体が転換期を迎え策定した、「千葉市基本構想」の都市づくりの基本目標等の実現に向け、市の将来像や都市づくりの基本方向を示した。このビジョンは、市民生活の心のゆとり・潤いの充実、都市の持続的発展を支える税源の涵養を図る都市基盤の充実を掲げており、見直す必要はない。
 計画事業案では、校舎・体育館・コミュニティセンターなど公共施設の耐震化、耐震診断・改修助成推進、地震の災害対策支援システム整備、浸水被害の防止へ雨水対策推進、密集住宅市街地の整備等に取り組んでいく。現在調整中の財政フレームでの計画規模は、約4,000億円で、新5か年計画の3分の2程度だ。その要因は、現在の税収状況を踏まえるとともに行政改革の推進や財政健全化に考慮し、市債・債務負担の活用を抑えている。また、大規模な都市基盤整備や施設整備が新5か年計画には集中していたこともある。実施事業が新5か年計画を上回るのは、市民生活の向上へきめ細かな施策を図る計画だからだ。市債の割合は、まだ調整中であり、詳細には言えないが新行革推進計画で示した市債や債務負担行為の抑制、市税徴収率向上の数値目標を念頭に最終調整している。新5か年計画は、H15年度当初予算の編成で、諸情勢に大きな変化が見込まれ、計画の推進を基本に事業を厳選し、優先的なもの先送りするものなど全体的に整理、見直して進行管理している。先送り事業の主なものは、心の健康センター整備、地震対策支援システム整備、御茶屋御殿の整備、保健医療・衛生情報や福祉総合情報のオンラインシステム整備などだ。これら事業は、改めて事業の必要性や緊急性など他の事業と同様に検討し、第2次5か年計画に位置づけており、新たな事業区分は考えていない。
○ 国民保護法について
 国民保護法で市が策定する計画は、法で規定されている通り住民の避難誘導等、安全最優先の措置等に関するもので、住民を動員・統制するものではない。計画策定にあたり、国民の保護に関し、住民の意見を求める市町村国民保護協会を設置することになっている。協議会の委員の任命は法の趣旨を踏まえ対応する。市の計画には市民の権利を制限するものはない。市の計画は、市民の安全を最優先するもので、戦争協力のための計画ではない。避難訓練は、既存の防災訓練と連携するよう配慮されている。消防局や消防団の役割は、災害を防止・軽減し、避難住民の誘導を行うもの。国民保護法は、外部からの武力攻撃や大規模テロなどから国民の生命・身体・財産を保護するための法律であり、そのための市の計画を作成するものだ。
○ 大型開発事業について
 西口や中央港地区の両工事は、魅力ある千葉都心づくりを進めるうえで重要な事業と位置づけ取り組んでいる。市の健全な発展と市民生活の充実向上を図かり、未来を支える都市づくりに一貫として、今後も事業を進めていく。事業の政策評価は、既存の事務事業評価システムの枠組みの中で行っていく。
○ 災害対策について
 地震災害対策は、想定されている首都圏直下地震などに備えるため、八都県市間の連携強化と国が示す予定の首都直下型地震大綱等を踏まえ、地域防災計画などの見直し項目を整理し、適宜対応していきたい。耐震改修助成制度は、今年5月から実施したもので、耐震診断助成制度と合わせ、市政だよりやホームページ等で周知し、耐震化を促進していく。学校施設の耐震補強では、早急に耐震補強が必要な校舎棟を計画的に実施、H21年度までに完了する。体育館は、今年度緊急対応で窓ガラスを強化ガラスに交換した。改築は、第2次5か年計画の中で検討していく。公民館などの公共施設の耐震補強は、S56年施行の建築基準法以前の施設約310のうち91%を診断し終え、残りの施設は改築・解体を予定しているもの。診断の結果、補強が必要な施設は、計画的に耐震化を進めている。エレベーターの閉じ込められ対策は、原則として建築物の所有者とエレベーター管理会社が対策を図るべきだ。自主設置となっている「地震時管制運転装置」は、国が義務化を検討中であり、動向を注視したい。
○ 産業廃棄物処理施設について
 産廃廃棄物処理施設については、基本は排出事業者責任で処理することになっており、現在策定中の「千葉市産業廃棄物指導計画」でも、これが原則となっている。一般廃棄物処理施設での産廃の受け入れは、処理計画中では想定していない。新港地区への産廃処理施設設置では、市の指導要綱で事業計画者が周辺地域の事業者等に説明会を行った。同地区の土地利用問題は、食品製造業・運輸業・自動車関連企業を中心に多くの企業があり、市の産業を支える重要な地区だ。当該地は、工業専用地域のため規制は難しいが、地元からの要望等を踏まえ、産廃処理施設の立地に関する基本方向の検討を進めているところだ。
○ 子育て支援について
 乳幼児医療費助成制度は、H15年度に現物給付とし、H16年8月から対象年齢を4歳未満児に引き上げた。更に対象年齢の拡大は今後の検討課題だ。200円の保護者負担は、低所得者に配慮したものであり、制度の維持に必要なものである。保育所の新設や定員変更等で、1,719人受け入れ枠を拡大する「夢はぐくむちば子どもプラン」に基づき、計画的に実施していく。

【小島助役】
○ 滞納税不正免除事件について
 税務行政は事務処理に適正を欠いた特別処分を廃止し、昨年2月より二重照合制度や進行管理等の事務改善などで再発防止策を講じた。地方税法、市税条例、滞納整理事務マニュアルに基づき的確な事務処理を執行し、税務職員としての意識高揚や公務員倫理確立と適正な事務処理に関する研修を行い、納税者に信頼される税務行政推進に努めている。花沢元県議との関係では、これまで圧力や影響力はなかったし、現時点でもない。外部監査については、滞納整理事務マニュアル、税務部の組織・人員構成、議会関係議事録等を提出し、関係資料や端末操作の説明を行った。現時点での指摘事項は一切ない。個人住民税徴収対策会議に関わる高額滞納者は、500万円以上37件、1,000万円以上8件、3,000万円以上1件となっているが、マニュアル等で的確な滞納整理を進めているところだ。その中に公職者の滞納はない。
○ 付属機関の委員構成について
 市は、「付属機関等設置運営要綱」で委員定数、委員の兼任制限、付属機関等の設置・運営に係る基準を明確にし、行政運営の簡素効率化や透明性向上に努めている。7/1現在で5つ以上の兼任者は10人、7つが2人、8つが3人、9つが1人、10が2人だ。公募の委員がいる付属機関は3機関ある。選任の際、高齢化の抑制、女性委員の登用など一定配慮しているが、設置目的や所掌事務に関する専門的な知識が必要だ。
○ 指定管理者制度について
 市は、指定管理者制度の導入に伴い条例を改正した。情報公開条例で公の施設管理に関し、保有する情報の公開に関し必要な措置を講ずること、個人情報保護条例でも個人情報の保護に関し、必要な措置を講ずることの義務規定を設けている。このことから、市と指定管理者が締結する協定では、情報公開規程と個人情報保護規程で自ら情報公開と個人情報保護措置を行う、市もその徹底の指導を行うので、指定管理者を実施機関にしなくても、十分制度の運用はできる。「選定委員会」は、施設の状況を熟知した所管局で、市内部の選定委員会を組織するが、必要に応じて外部委員を活用するなど適切に対応していく。施設運営は、指定管理者の定期的な事業報告書提出を義務付け、調査し、適切な指示を行うなど適正な管理に努める。指定管理者は、行政処分であり請負契約ではないので、地方自治法の兼業禁止規程はないが、選定では施設の管理能力や業務遂行体制など、公平・公正な審査を行う。勤務する職員の労働条件は、労働基準法関係法令の遵守が義務付けられ、適切に対応されると考える。
○ 国民健康保険について
 被保険者の実態は、区役所保険年金課窓口での納付相談や職員の臨戸訪問の際に個々の事情を把握し、「特別の事情」に該当すれば被保険者証を交付している。国保事業会計は、保険料と国庫負担均等で運営することが原則だ。医療費が増嵩する中、被保険者の負担軽減のため、一般会計から法定分以外でも繰り入れはしている。

【林助役】
○ 公正な行政について
 千葉県との関係は、中断していた公共施設の引継ぎを、余熱利用施設問題が解決したので「幕張新都心における公共施設等の引継ぎに関する確認書」を締結し、協議を進めることにした。今回、引継ぎがあった施設は、下水道22.8km、駐輪場1か所、道路6路線・6.3km、公園・緑地3か所・3.0haで、年間維持管理費は約2億3千万円見込みだ。今後の予定は、下水道42.9km、道路55路線・22.4km、公園・緑地8か所・7.1haで、年間維持管理費は約3億7千万円の見込みだ。引継ぎにあたり、企業庁の責任と負担で改修等の機能保全を図った後、段階的に引き継ぐが、引継ぎ後に負担を求める考えはない。
○ 付属機関について
 建築紛争調停委員には、法規定だけでは解決できない地域性や住民感情が絡み、様々な建築紛争を調停するための特殊な専門性と知識・経験が求められるため、継続している。都市計画審議会と環境影響評価審査会、建築紛争調停委員会の兼務は、それぞれ専門的な観点から公平に審議しており、支障はない。
○ JFEの違法排水・データ改ざんについて
 本件は、千葉地検と千葉海上保安部が行っている捜査の状況が報道されたもので、市は、その動向を注視し、JFEが水質汚濁防止法に基づく適正な措置を講ずるよう指導していく。
 現在、捜査中であり、市としては改善命令等の厳しい行政措置を講じているので、改めて告発することは考えていない。再発防止の具体的改善策は、高アルカリ水の排出防止目的の護岸の嵩上げやシアン化合物の飛散・流出防止策など、所要の対策を順次進めている。環境管理体制の改善措置は、環境管理部門の組織強化が図られ、本社では「環境管理諮問委員会」の設置や「企業の社会的責任について取り組むための推進組織」の設置など、抜本的な対策を講じていると報告されている。新たに県・市・JFEと締結した「公害防止協定に基づく改善報告書に関する確認書」で、改善対策の実施状況を3ヶ月ごとに県・市に報告させ、県・市合同の立ち入り調査を行い改善状況の確認をしている。工場排水の水質測定結果は、データ改ざんを防止する観点で分析結果の提出を義務付け、監視の徹底に努めている。シアン対策専門委員会での意見については、施設の運転管理状況、排出水のモニタリング結果を定期的に市へ報告されるなど遵守されている。ダスト精錬路等の改善が進められているが、JFEがシアン化合物の発生抑制、除去等に係る技術開発に努め、改善を着実に図るよう指導し、5年後を目途に検証する。大気汚染・土壌汚染調査は、この地域が市民の集まる環境であることから、本年6月からJFE周辺で市独自で大気汚染調査を始めた。土壌調査は、既にJFEが実施しており、土壌汚染対策が終了した後、市でも確認調査することにしている。オープン以前にJFEが実施した大気汚染・土壌汚染調査結果は、証明書原本確認で改ざんはなかったことを確認している。
○ アベスト被害対策について
 政府は、アスベスト問題に関し、政府の対応の検証が行われており、社会的にも検証・評価されていくと考える。政府への要望は、今年8月23日に指定都市市長会で緊急要望を行っている。他政令市とも連携し、対応していく。アスベスト問題は広範な対応が必要で、両助役・各局長等で構成する「千葉市アスベスト問題対策会議」を設置した。市民の安全・安心の確保へ全庁上げて取り組む。市有建築物での吹付けアスベストを含む建材の使用状況調査で、H7年に法令で規制強化されたことから、H8年度までに竣工した施設を対象に実施している。その結果は公表する予定だ。使用が確認された施設は、順次施設の利用形態、吹付け場所や劣化状況を勘案し適切な対策を講じていく。建築部に相談窓口を設けており、市のホームページで告知し、市民の問合せに答えている。建築物の解体や改修は、大気汚染防止法で適正な飛散防止策を実施するよう事業者を指導し、関係法令が遵守されるよう労基法との連携を努める。小規模事業者への公的支援は、国で支援策が検討されており、その動向を注視したい。健康相談窓口を保健所に設置し、9/15までに99件の相談に応じている。その中で、アスベスト関連事業場で働いた方などの相談があり、治療・診断体制が整備された千葉労災病院を紹介するなど、適切に対応している。従事者や家族への援助では、基本的に従事者は労災補償制度が適用されるが、家族等は国で新たな法的措置で救済制度の検討が行われており、動向を注視したい。国が診断・治療の中核となる「アスベスト疾患センター」を設置しており、千葉県は千葉労災病院がセンターとなっているので、市は受診案内を行っている。アスベストの診断・治療に応じられる医師は全国的に少ないので、市立病院で専門医を確保し、応じられる体制の確保は考えていない。

【教育長】
○ 30人学級の実施について
 現在、小学校1・2年生と中学1年生は38人学級編成を実施している。学級編成の基準は、県教育委員会が定めており、機会あるごとに県教委へ要望している。市独自には少人数指導教員として、小学校1・2・3年生で36人以上の学級がある学校に講師を派遣している。
○ 教室へのクーラー設置について
 これまでの保健室・コンピューター室・校長室・事務室・カウンセリングルームに加え、今年度は職員室に整備した。普通教室には16年度からの2学期制導入に伴い扇風機を2台設置したのでクーラーの設置は考えていない。
○ 学校給食について
 食育に対する教職員配置では、これまで各小学校に1名の栄養職員を配置し、給食指導主任や学級担任等と協力して、食に関する指導を行っている。学校給食センターでは、農政センターや中央卸売市場等と連携し、安全・安心なちばエコ農産物や特別栽培農産物のニンジン・ホウレンソウ等5品目を使用している。各小学校でも、農政センターから提供される市内産野菜の月別出荷リストを参考に、地場産の食材料購入に努めている。
○ 打瀬地区の幼稚園整備について
 打瀬地区から周辺の幼稚園に通う人数は、約840人いる。幼児教育の重要性は認識しており、地域周辺に教育施設が在ることが望ましいことも理解している。打瀬地区に限らず、地元から幼稚園設置の要望が出された場合、社団法人千葉市幼稚園協会に、その要望の趣旨を伝えることにしている。